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2019年9月19日(木)更新

セールス・イネーブルメント

今、多くの営業組織で抱えている課題が「営業力強化」と「営業業務の生産性向上」。これらを解決するために役立つのが、日本国内でも注目が高まってきている「セールス・イネーブルメント」です。本記事では言葉の意味をはじめ、導入方法や役立つツールまでご紹介します。

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セールス・イネーブルメント(Sales Enablement)とは

セールス・イネーブルメントとは、営業活動を改善するための概念です。さまざまな施策を取りまとめ、効率的に成果を出すための一連の取り組みを指します。

営業担当者へのセールスノウハウの研修やマーケティング分析、営業ツール導入といった個別の施策ではなく、営業活動全体を支援して改善していく考え方です。

ここでは、セールス・イネーブルメントの要素のうちカギとなる具体的な項目や「セールステック」との関係を紹介します。

セールス・イネーブルメントに含まれる要素

米国の営業支援・コンサルティング会社レイングループによると、セールス・イネーブルメントに含まれる要素のうち重要な項目は以下の4つです。

  1. 営業支援とコーチング
  2. 営業プロセス
  3. 営業メソッド
  4. 技術・営業支援ツール・リソース

中でも特に営業支援とコーチングが根本的に大切だとしています。

  • 営業支援: アシスタントや事務職による業務のサポートではなく、管理職が営業担当者ひとり一人の能力を最大限引き出すための包括的なサポートを指す
  • 営業プロセス/営業メソッド: 単にノウハウやセールスのマニュアルを習得させるだけでなく、コアになる重要な考え方や理念を共有することが必要
  • 技術・営業支援ツール・リソース: 営業のパフォーマンスを高めるためには、時と場合にふさわしいものを使うことが重要

セールス・イネーブルメントで重要な要素は国・分野・企業規模によって異なるため一概には言えませんが、レイングループの定義は、営業担当者のパフォーマンスを高めるための営業支援のあり方や考え方を的確に表していると言えるでしょう。

【参考】 4 Key Components of Sales Enablement/RAIN Group

セールステック(SalesTech)とセールス・イネーブルメント

セールス・イネーブルメントと似ているキーワードにセールステック(SalesTech)があります。

セールステックは営業・販売(Sales)と技術(Technology)を掛け合わせた造語です。ITツールを導入して営業活動を改善する取り組みを意味します。

セールス・イネーブルメントにも営業支援ツールの導入・再検討が含まれ、セールステックの活用も重要な要素です。しかし、セールス・イネーブルメントには営業担当者のマネジメントやコーチングまで含まれており、どちらも「営業を改善していく」という意味合いであものの、セールス・イネーブルメントのほうがより広い範囲を指していると言えます。

【関連】今注目のセールステックとは?ITの活用で営業の働き方をかえる / BizHint

【イベントレポート】いま知っておきたい新しい人材育成の仕組み“セールス・イネーブルメント”とは

なぜ今セールス・イネーブルメントなのか?必要とされる理由

現在セールス・イネーブルメントは、米国のBtoB営業の現場を中心に普及しつつあり、日本国内でもトレンドになる可能性を秘めている注目の考え方です。

近年はMA(マーケティングオートメーション)といったITツールの普及や、コンテンツマーケティングをはじめとするマーケティング手法の多様化により、大量のリード・質の高いリードを獲得できるようになりました。

ただ、ツールを活用して認知やリードが増えたとしても、そこから受注できなければ売上げにはつながりません。ツールに投資をしたにもかかわらず収益向上に結びつかないという課題を持つケースもあります。

現状多くの企業が抱えている2つの大きな課題は、「営業力強化」と「生産性向上」です。生産性を向上させることでより効率的にリード獲得し、そのリードを確実に売上に繋げられるようになるための施策を打つ必要があります。

組織の営業力強化と人材開発

売上を増加させるには、営業力の強化が重要です。リード獲得後に成約に結びつくかどうかは、商談でのコミュニケーションや提案力が大きく関係します。それらの要素、つまり営業力を継続的に向上させる取り組みも必要です。

セールス・イネーブルメントは、ツールの活用と同時に営業担当者への教育や人材開発も行い、組織全体として営業力を強化する考え方です。例えば、スキルに応じた人材育成やツール活用のための研修、意識を高めるために上司がコーチングを行う、といった方法が考えられます。

営業業務の生産性向上

セールス・イネーブルメントを実施するためには、SFACRMなどの営業支援ツールの導入が重要ですが、高額なものは導入・運用に数百万円かかります。また、そのツールを使用するまでの労力・教育コストもあり、投資は小さなものではありません。

ツールを活用してパフォーマンスを高め投資対効果を改善するためには、生産性を上げる必要があります。リード数を増加させるだけでなく、問い合わせに効率的に対応し成約に結びつけていく必要があるのです。

このように、ツール導入による営業効率化の恩恵を受けるためには、営業人材への教育や営業組織の見直しなど、包括的に検討することが重要です。セールス・イネーブルメントは、ツールを含めてトータルで最適な営業体制を構築する概念であり、今必要とされている考え方だと言えます。

セールス・イネーブルメントの効果

セールス・イネーブルメントを導入することで、営業業務全般で生産性向上の効果を期待できます。ここではそのうち、施策効果の見える化と、組織としての営業力向上について紹介します。

各施策の効果の数値化によって貢献度を測れる

セールス・イネーブルメントの考え方を取り入れれば、各営業施策の効果を数値化し、組織全体のKPI(重要業績評価指標)に対する貢献度を測ることができます。

例えば、事業計画ではまず組織全体の収益や利益率といった大きな目標を掲げ、各事業所ではそれを達成するために認知度向上や客数増加といったより細かい目標を設定します。しかし、細かい目標だけが目的化してしまい、各施策が全体にどの程度貢献しているのかがわからなくなるケースもあり得ます。

一方、セールス・イネーブルメントの考え方では、各施策と全体の数値がどのように結びつくのかを分析します。全体と個別の両方の視点をバランス良く持てるため、効率的な営業活動が可能です。

【関連】KPIの意味とは?KGIやOKRとの違い、設定方法や目標設定例をご紹介/BizHint

組織全体の営業力の向上

セールス・イネーブルメントを取り入れることで組織全体の営業力向上を期待できます。業務や営業体制の見直しにより、ツールをうまく使えるようになったり、組織間の連携が強化されたり、知見・ノウハウの共有が進んだり、さまざまな効果が得られるでしょう。

セールス・イネーブルメントを導入するステップ

セールス・イネーブルを導入する際は、チーム構築からデータ測定の仕組み作りまで、作業の内容は多岐にわたります。

ステップ1:セールス・イネーブルメントチームの立ち上げ

まず、セールス・イネーブルメントを進めるためのチームを編成しましょう。営業の実務は営業担当者やそのマネージャーが中心に行うため、チームは基本的に内情が把握しやすいよう営業部内に設置することが望ましいです。

また、営業活動にはさまざまな部署が密接に関わっており、関連部署との連携が必要な場合もあります。よって、関連部署の事情にも精通している人材を登用することが効果的です。

セールス・イネーブルメントは単なる営業の補助ではなく、ときに人事部と連携して組織体制を構築し直したり、業務プロセスや営業プロセスを見直したりと、作業量は膨大になるケースもあります。営業の仕事の片手間で進めるのではなく、プロジェクトチームを作って推進責任者を明確にすることが大切です。

ステップ2:理想状態と課題の整理

チームを編成したら、理想と現状を整理し、理想を実現するための課題を洗い出します。営業の理想形は、個々の営業改善施策が噛み合っており、業務プロセスに一体感がある状態です。

例えば、施策の目標値が設定されていても、それが全体の業績にどのようにインパクトを与えるのかが不明確なケースがあるとします。その場合、「各指標が全体の重要指標にどれほど貢献するのかを数値化する」ことが理想に近づくための課題です。

あくまでも、個々の施策や数字だけでなく、営業組織全体にとって理想的な状態を明確にし、その目的に向けた課題を整理するのがポイントです。

ステップ3:数値を計測するためのツールの導入とデータの蓄積

数字を計測・蓄積するためにSFACRMツールの活用方法を決めましょう。まだツールを利用していない場合は新たに導入したり、あるいは既存のものが不十分な場合は見直しが必要です。

セールス・イネーブルメントは数値の測定が成功のカギとなります。売上や引き合いなどの重要目標だけでなく、進捗状況や目標の達成率など、さまざまな要素を管理することが重要です。この管理作業は手書きや表計算ソフトで行う手段もありますが、はじめから機能が組み込まれているツールを使うのが便利です。

ステップ4:施策の実施

データ計測の仕組みが整ったら、課題を解決するための施策を開始します。実行する施策はどの数値を改善するためのものなのか、実際にどう変化し、何が変化しなかったのかを確認していきましょう。施策に対応する数値をあらかじめ項目を絞っておくことで効果測定をしやすいです。

例えば、リード獲得数は多いのに受注数が伸びないケースで、リード・問い合わせ・商談・見積もり・成約といった一連の営業プロセスのうち、特に商談から見積もり・成約にまで進んでいる割合が低いとします。このケースは営業担当者の商談時の提案力に改善の余地があると仮説を立て、研修やトレーニングなどの施策を実行し、前後での受注率の変化を比較するとよいでしょう。

ステップ5:施策の振り返り・改善

ここまでの流れが確立すれば、その後は改善に向けた施策の実行と、その後のデータ分析、施策の見直し、そして新しい施策の実行というサイクルを繰り返していきましょう。

組織は短時間で簡単に変わるものではありません。目標を達成するまでには、実施してみてはじめてわかるさまざまな課題があります。理想の業務プロセスを目指すためには、継続的にPDCAを回して改善を徹底していくことが重要です。

セールス・イネーブルメントを実践するためのツール

セールス・イネーブルメントを実践するにはツールが必要ですが、SFAやCRMなどさまざま様々なものがあります。営業力を強化するには自社に合ったツールを選ぶことが重要です。

ここではセールス・イネーブルメントを推進するためのツールを4つご紹介します。

SFA(営業支援ツール)

SFAとは、Sales Force Automationの略で、営業員の業務支援、効率化する営業支援システムのことを指します。目標達成率を可視化する予実管理機能や営業案件管理機能、営業報告・営業日報などの支援機能が備わっており、営業活動の強化を手助けしてくれます。

あらゆる営業活動についてデータをもとに分析できるため、セールス・イネーブルメントの実施においては非常に有効なツールです。

【関連】SFAとは?メリットや機能、CRMとの違いからSFAツール5選もご紹介/BizHint

CRM(顧客管理ツール)

CRMとは、Customer Relationship Managementの略称で、企業と顧客との間に長期的かつ良好な関係を構築し、相互利益を向上させる経営戦略、または経営手法です。部門内のみ共有されがちで属人化しやすい顧客情報を可視化し、一元管理することができます。

CRMは自社のデータベースに蓄積した顧客情報の収集・集計を行えることが特徴です。そのため、顧客獲得につながった施策や、確度の高い優良顧客の情報を関係部署担当者へ迅速に情報共有するとことも可能です。また、営業プロセスの見直しや効率化にも活用できます。

CRMとSFAを連携させることで、部門間の連携を促進し、組織全体の生産性向上を促す企業も増えています。そのため、SFAの機能を備えているCRMシステムを提供しているサービス提供会社も存在します。

【関連】CRMとは?メリットや機能、導入ポイントからCRMシステム5選をご紹介/BizHint

オンライン商談ツール

オンライン商談とは、インターネット上のツールを利用して商談を行うことを指します。社内から日本各地のクライアントとコミュニケーションをとることができます。

現地へ向かう時間や費用はかかりません。また、必要な情報は画面上で共有することもできるので、商談を円滑に進められます。そのため、コスト削減や効率化に繋がります。また、音声データを分析できるようなツールも登場しています。

マイクロラーニング

マイクロラーニングとは、短い(=マイクロな)学習コンテンツを利用したeラーニングを指します。

概ね1~3分(5分や10分以内の場合もあり)程度の学習コンテンツを、パソコンやタブレット、モバイル機器など、様々なデバイスを通じて視聴できるため、比較的社外にいることが多い営業パーソンにとって受講しやすい教育システムとなっています。

【関連】eラーニングの新潮流「マイクロラーニング」とは?成果を出すポイントも解説/BizHint

まとめ

  • セールス・イネーブルメントとは、営業活動を改善するための概念で、さまざまな施策を取りまとめ効率的に成果を出すための一連の取り組みを指します。
  • セールス・イネーブルメントが必要な理由は、営業力を強化して生産性を高め、獲得リードを成約に結びつけるためです。
  • 導入によって期待できる効果には、施策効果を数値化して貢献度を測れることや、組織全体の営業力向上があります。
  • 導入の際は営業や関連業務に精通する人材をチームに招いて、数値化とデータ蓄積を目指すことがポイントです。

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