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2018年12月20日(木)更新

売上予測

あらゆる事業を展開する上で営業活動は必ず必要であり、営業活動を展開した結果、売上を計上することになります。今後の事業戦略を立案する上で売上予測は極めて重要な活動であるものの、売上予測の計算は簡単ではありません。ここでは、売上予測の計算方法やそのポイントまで詳しく解説します。

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売上予測とは

売上予測とは、文字通り今後の売上の動向を様々な角度から分析し、売上の予測を立てることです。

業種に関係なく、全ての事業を展開する上で営業活動の管理が必要となります。営業活動の結果として計上できる今後の売上を予測することは、企業として今後の事業活動を管理するために非常に重要な要素です。

経営戦略を立案するうえでの最初の一歩、それが売上予測であるともいえるのです。

しかし、精度の高い売上予測を立てることは簡単なことではありません。顧客動向や経済情勢から需要予測が必要になることもあります。また、統計的な分析も必要になるかもしれません。

売上予測の定義

売上予測とは、様々な分析値から今後の売上額の予測値を算出することと定義されます。しかし、その分析方法は多岐にわたるため、売上予測の計算方法までを定義することは出来ないことを抑えておきましょう。

例えば、売上予測の方法は業種によって異なります。

製造業の場合、売上予測を立てるうえでは製品ごとの需要を把握する必要がありますが、小売業で重視されるのはその地域における顧客ユーザの嗜好や人口動静です。また、創業時の売上予測では、市場動向から売上予測せざるを得ませんが、創業後は過去の実績を重視します。

このように、業種やその企業のライフサイクルなどによって売上予測の方法は変わるため、最適な方法を選択する必要があるのです。

売上目標との違い

売上予測と売上目標は全く異なりますが、両者を混同してしまうことは多々あります。それは、両者が密接に関係しているためです。

売上予測の場合、様々なデータから売り上げの予測値を算出します。このため、できる限り客観的なデータを活用する必要があり、そこに主観が入り込む余地はなく、むしろ主観はできる限り排除すべきです。

一方、売上目標の場合、「市場シェア確保のためにはこの程度の売上が必要だ」「資金繰りを円滑化するためにはこの程度の売上が必要だ」といった主観が多分に入り込み、その上で目標値が立案されます。そして、売上目標を立案する際に参考にするのが、売上予測ということになります。

ここで注意すべきは、売上予測以上の売上目標を掲げることは現実的ではないということです。しかし、予測値以上の売上が必要なこともあるでしょう。こうした場合、営業マンの人員を増加する、新製品を開発する、といった施策をとる必要がでてくるのです。

売上予測の精度が低いと起こりがちな問題

売上予測の精度が低い場合、様々な問題が起こりますが、その問題は「在庫管理」と「資金繰り」に大別されると考えてよいでしょう。それぞれの問題点について、具体的に解説していきます。

在庫管理に関わる問題点

企業は、売上予測値に基づき事業計画書を立て、販売計画や生産計画に落とし込みます。例えば製造業の場合、当月の販売計画に基づき、生産量を決定します。そして、生産量に基づき原材料の仕入の量が決定されるというわけです。

売上予測が実際の売上高より高い場合、製造現場では仕入在庫や製品在庫が過剰となり、不良在庫が原因で経営にダメージを与えることになります。逆に、売上予測が実際の売上高より低い場合、予想以上の売上に生産現場が追いつかず、機会損失を招くことになります。新製品が想定以上に売れてしまい入荷まで数か月待ち、という類のニュースを耳にすることもあるでしょう。

多くの場合、営業などの人員も売上予測に基づき配置されます。製品在庫や原材料といった仕入在庫と同様に、人員も売上予測に振り回されて過剰になったり不足したりすることになります。

【関連】在庫管理を効率化し、適切な管理を行うためには?業界別のポイントも紹介 / BizHint

資金繰りに関わる問題点

企業は、今後の売上動向に基づき利益計画を立て、得られるキャッシュフローを予測します。今後得られるであろうキャッシュフローから、返済計画を立案するのです。

売上の伸び率が予測より上方に推移する場合、利益がついてくれば大きな問題にはなりません。しかし、予測より伸び率が悪化した場合、ほとんどのケースで利益額の減少がキャッシュフローの減少に直結し、資金がショートする可能性が高くなります。

資金繰りに窮した場合、金融機関からの借入を検討する必要があります。しかし、融資を受けるにも、今後の売上予測に基づく事業計画書の作成が欠かせません。すでに予想より悪化した売上予測の中で資金繰りが悪化している場合、説得力の高い売上予測が必要となることはいうまでもありません。

売上予測の立て方

それでは精度の高い売上予測はどのように立てていけばよいのでしょうか。まず重要なことは「主観を捨てる」ということがいえます。希望的観測や気合いで売上が上がるほどビジネスの世界は甘くありません。

主観を捨てて、客観的なデータから分析することがまず重要となるのです。

必要なデータを揃える

必要となるデータは業種やその企業のライフサイクルによって異なりますが、需要予測と売上実績に大別されます。このうち需要予測を行うことは極めて難しいのが実情です。可能な範囲で検討していきます。

特定顧客に依存している企業の場合、その顧客の販売計画がそのまま自社の今後の需要予測となります。そのため、日頃から担当者との商談の中で、顧客企業の計画を確認しておくことが重要となります。

しかし、特定顧客に依存せず、特に一般消費者に対して幅広く商品を提供しているような企業の場合、精度の高い需要予測をすることは困難を極めます。

受注確度や精度の高い需要予測をするためには、「市場動向」「人口動静」「季節要因」「イベント」「販売金額」など様々な情報要因を考慮に入れる必要があるのです。実質的には、地域における人口動静など、自社の営業活動に影響を与える1つから2つの要因のみを加味することが現実的であるといえます。

なお、需要予測の領域ではアサヒビールがAIを使ってビールの需要予測を行うなど、困難な需要予測をAIに計算させる取り組みが実用化されています。

このように、売上予測を需要予測の側面から行っていくことは非常に難しいのが実情です。

実務上では、過去の売上実績からその傾向を把握して売上予測を立て、需要予測はその参考にするというのが現実的であるといえます。しかし、先に述べたアサヒビールのように、一般消費者に広く販売する大手企業の場合、売上予測を立てる上で最も重要なファクターは、需要予測であることは抑えておいてよいでしょう。

【参考】NEC:安定と高精度で需要予測の進化を牽引するAI バリューチェーンと社会の課題解決に貢献

売上履歴から売上を予測する

それでは実際に過去の売上実績から売上を予測していきます。しかし、過去の売上実績から、そのまま精度の高い売上予測をすることは出来ません。運よく売上の平均伸び率や成長率が一定であれば可能かもしれませんが、多くの場合一定ではないからです。

売上予測の精度を高めるために、できる限り細かくセグメントに分けた売上実績を準備しましょう。主要なセグメントは、自社の外部に着目した顧客別売上実績と自社の内部に着目した商品別売上実績です。

セグメントに分ければ、この顧客は業績がよいので売上が伸びるが、この顧客は今後減少するだろう、といった予測が可能となります。顧客別と商品別で掛け合わせてクロス分析を行えば、さらに精度は上がってくるでしょう。

回帰分析で売上予測を算出

いくら細かくセグメントに分けても、今後の売上予測を勘に頼っていては主観から抜け出すことは出来ません。より客観的に売上予測をするための方法のひとつが、回帰分析です。

回帰分析とは、統計学で取り入れられる分析手法で、過去の統計データをy=f(x)の公式に当てはめて、今後の予測値を算出しようとするものです。

目的となる値「y」を算出するための要因となる値「x」が一つの場合は単回帰分析、複数の場合には重回帰分析とよびます。

しかし、回帰分析にも問題があります。計算方法が複雑なだけではなく、詳しく理解するとなると、統計学について学ぶ必要があるでしょう。あまり深入りしすぎずに概念を簡単に理解したうえで、ツールなどをうまく活用するようにしてください。

【参考】アタリマエ!:回帰分析とその主な目的。単回帰分析・重回帰分析・ロジスティック回帰分析の違いについて

売上予測の計算方法

過去のデータを使って、最も簡単に売上予測を行う方法は、回帰直線を使う方法です。実際に例を挙げてみましょう。

過去の売上実績が次のように推移している場合、2019年度の売上予測はどのようになるでしょうか。

回帰直線の考え方を取り入れた場合、過去のデータ散布から得られる近似直線を y=ax+b の形に近似し、その公式から今後の売上予測値を算出します。実際に年度別売上の散布図に近似直線を描くと次のような図になります。

近似直線から、2019年の売上は「145,000千円から150,000千円の間」にあると予測できます。

またエクセルを使えば、「FORECAST関数」を使って回帰直線から簡単に売上予測値を算出することもできます。FORECAST関数は、値を以下のように指定します。

  • =FORECAST(予測に使うX値,過去のYの値,過去のXの値)

例に挙げた表の場合、B11のセルに以下のように計算式を入力します。

  • =FORECAST(A11,B2:B10,A2:A10)

この計算式から、2019年度の予想売上高を「146,723千円」と導き出すことができるのです。

売上の増減に影響を与える数値的要因がほかにもあるのであれば、単回帰分析や重回帰分析により、より精度の高い売上予測を行うことができるでしょう。

売上の精度を高める方法とは

売上予測をする場合、セグメントに分けて考えることが効果的であることは既に解説しました。回帰分析する場合でも、全社全体の回帰分析から売上予測をするより、商品や顧客といったセグメントごとに回帰分析を行い、全社全体の売上予測をしたほうが、精度は高くなります。

ほかに売上予測の精度を高める方法はどのようなものがあるのでしょうか。

短期的な視点ではなく先を見据えた計画の策定

売上予測は過去のデータを重視して算出される性質があり、未来的思考が欠落しやすい傾向にあります。せいぜい、1年程度の短い期間しか加味されないのではないでしょうか。

しかし、それでは企業の中長期的な事業計画を、確実性をもって策定することが難しくなります。また、短期的な売上予測を立案する場合にも、長期的な視点が欠落してしまうことにもつながるのです。

過去の実績や直近の経済情勢を加味することはもちろん重要なのですが、先を見据えて売上予測を行い、中長期的な期間を見据えた計画を策定するようにしてください。

顧客の購入プロセスも加味する

顧客の購入プロセスは複数のモデルが提起されています。その中のひとつ「AISAS」モデルでは、Attention(注目・認知)→Interest(興味・関心)→Search(検索)→Action(購買)→Share(共有)の順番で意思決定が行われると考えられています。

【出典】【Web担当者の知識】「AISAS理論」-Web担当者が理解しておくべきeコマースのマーケティングモデル-

精度の高い売上予測を立てる上では、こうした顧客ユーザの購入プロセスも意識するようにしましょう。

具体的には、AやIにあたるプロモーション戦略も売上予測において加味します。また、Sにあたる検索の質や量についても、Google Analyticsなどから入手して売上を予測する際に参考にすると、売上予測の精度は上がっていくのです。

【関連】AISASモデルとは?理論の特徴と購買行動プロセス、関連モデルをご紹介/BizHint

PDCAを回していく

精度の高い売上予測をたてるために、最も重要なことはPDCAを回していくということになるかもしれません。

ここまで解説してきたように、精度の高い売上予測を立案することは、簡単なことではありません。何度も何度もトライアンドエラーを繰り返し、その企業それぞれの方法や情報要素を加味しながら、独自の方法を確立させる必要があるのです。

売上予測を繰り返し、過去の実績が積みあがってくることで、分析可能な形で情報データが蓄積され、更なる売上予測の精度向上へとつながっていくことでしょう。

売上予測に役立つツール

売上予測はツールの活用をなくして進めることはできません。ここでは、すぐにでも活用できるツールをご紹介しましょう。

Microsoft Excel

言わずと知れたマイクロソフト社の表計算ソフトです。エクセルなくして売上予測を立てることは難しいといえるでしょう。

エクセルでは、「FORECAST関数」を使うことで、過去の売上実績があればいとも簡単ンに売上予測を算出できることを解説しました。エクセルでは単純な単回帰分析だけではなく、重回帰分析も行うことができます。

重回帰分析ともなると、売上に影響を与える数値データをピックアップするだけでも、かなりのノウハウが必要になります。統計学に対する深い知識も必要となるでしょう。

しかし、エクセルにはそれだけの破壊力を秘めていることも事実です。より詳細な分析を行う場合、挑戦してみてもよいでしょう。

SFA

SFAとはSales Force Automationの頭文字をとったもので、営業支援ツールの総称であり、顧客管理機能も提供します。日々の営業活動をデータとして登録することで、営業力強化に結び付けるさまざまな機能が付与されます。

こうしたSFAには、売上予測の機能が付与されているものも数多くあります。なかには、過去の実績から売上予測を立てる際、AIによる機械学習で精度を向上させたりするものも出てきました。

多くの場合、SFAはユーザに対し有料のクラウドサービスとして提供されます。費用に見合う機能的な利便性が得られるのであれば、導入を検討してもよいでしょう。

【関連】SFAとは?メリットや機能、CRMとの違いからSFAツール5選もご紹介 / BizHint

まとめ

  • 売上予測とは、今後の売上の予測値を様々な手法で算出することで、営業活動を展開するすべての企業において重要な活動です。
  • 売上予測の精度が低い場合、様々な問題を引き起こしますが、その問題点は在庫管理と資金繰りに大別されます。
  • 売上予測は過去の売上実績をセグメントに区別したうえで、回帰分析の手法を取り入れたり、PDCAを繰り返したりすることで、その精度を向上させることができます。

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