はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年12月27日(木)更新

労働時間・休日・休暇制度

労働時間とは、使用者等の指揮命令下で労働者が会社のために働く時間のことです。今回は、法定労働時間の定義や労働時間に相当する具体的な内容、労働時間の計算ルールについて、順を追って説明します。また、労働時間に関わりの深い通勤時間や休憩・時間外労働・休日の定義や、変形労働時間制やみなし労働時間制の内容も理解しておきましょう。

労働時間・休日・休暇制度 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

労働時間とは

労働時間とは、労働者が雇用されている社長や上司などに指揮命令をされた状態で会社のために就労をしなければならない時間のことです。

今回は、この労働時間についてのさまざまなポイントについて、順を追って見ていきましょう。

法定労働時間による上限設定

労働時間は、労働基準法という法律によって上限時間が定められています。つまり、使用者側は原則として労働者に上限時間を超えた労働をさせてはならない、ということです。

この上限時間のことを「法定労働時間」といいます。

具体的な数値としては、一日あたり8時間、一週間あたり40時間と定められています。

《労働基準法32条(労働時間)》
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法(昭和二十二年四月七日法律第四十九号)

「一日」「一週間」の定義

上記の法律における「一日」「一週間」の定義は、基本的に暦日、歴週をもとにカウントされます。つまり一日とは日付の変わった午前0時から午後12時まで、一週間とは日曜日から土曜日までをいいます。

なお、2日にわたって業務を行い、労働時間が2暦日にまたがった場合は、業務開始時間が属する日の労働と扱われるため、「一日」の労働であるとみなされます。

特例措置対象事業場

商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業については、業務の種類から法律通りの労働時間を遵守することが難しいケースがあります。

そのため、この4業種については特例として法定労働時間が一週間あたり44時間までと定められており、4業種を総称して「特例措置対象事業場」といいます。

所定労働時間とは

所定労働時間とは、会社で定められた就業規則や個別の労働契約書などで定められている実際に会社で働く労働時間のことです。

たとえば、9時から18時までの時間に就労し、13時から14時まで昼休みを取るよう定めている会社の場合、所定労働時間は9時から18時までの9時間より休憩時間1時間分を差し引いた8時間になります。

法定労働時間との違い

法定労働時間が一日・一週間あたりの労働時間の上限を定めているのに対し、所定労働時間は社内で定められた労働時間、つまり法定外の労働時間をいいます。

ただし、労働者を雇用する使用者は労働基準法を必ず守らなければならないことから、所定労働時間は法定労働時間の限度内で設定をしなければなりません。法定労働時間を超過した所定労働時間については、超過分は法違反として認められず、無効になります。

労働時間に該当する内容

労働時間の定義について理解をいただいたところで、次はどのような時間帯が労働時間に値するのかという具体例について見ていきましょう。

まずは、労働時間に該当する内容についてです。労働時間に該当する内容は「使用者の指揮命令により管理されているか」という基準において、客観的に認められる時間帯をいいます。

具体的には、実際に仕事に就いている時間を始め、制服に着替える時間、仕事の待機時間、出席が義務づけられた会議や教育訓練を受ける時間、電話番をしながらの休憩時間などが挙げられます。また、健康診断の受診時間のうち、特殊健康診断に該当する健診を受ける時間帯も労働時間として扱われます。

労働時間に該当しない内容

次は、労働時間に該当しない時間帯について見ていきます。この内容についてまず挙げられるのが、通勤時間です。また、出張や支店間の移動に費やされる時間帯も労働時間ではありません。

さらに、出席が任意とされた会議や教育訓練を受ける時間、通常の休憩時間、一般健康診断・特定保健指導・面接指導を受ける時間帯も労働時間とは扱われません。

通勤時間

通勤時間については、労働者災害補償保険法(労災保険法)により次のように定められています。

《労働者災害補償保険法7条2項(抜粋)》
2 前項第二号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
一 住居と就業の場所との間の往復
二 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
三 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)
【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)

つまり、自宅と職場間の移動、複数の職場間の移動、単身赴任をする労働者の赴任先と帰省先間の移動をするために費やされる時間が「通勤時間」として扱われることになります。

休憩時間

休憩時間とは、労働者が労務を離れ、心身の回復を図るための時間です。

労働基準法では、休憩について、6時間超の労働時には少なくとも45分、8時間を超える労働時には少なくとも1時間を付与するように定めています。

なお、この休憩時間については、管理監督者にあたる従業員については対象外とされています。

《労働基準法34条(休憩)》
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少なくとも四十五分、八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。(以下省略)
【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法(昭和二十二年四月七日法律第四十九号)

休憩の3原則

労働基準法では、前述のように「休憩」が成立するための要件を次のように定めています。これを「休憩の3原則」といいます。

  1. 途中付与の原則
    休憩時間は、労働時間の途中となる時間帯に与えなければなりません。労働時間の始まり、または終わりの時間帯に付与してはいけません。
  2. 一斉付与の原則
    休憩時間は、すべての社員に一斉に与えなければなりません。ただし、次のケースに該当する場合は例外としては一斉に休憩を与えなくても良いとされています。
    ・労使協定を締結している場合
    ・坑内労働、運輸交通業、金融広告業、商業、映画演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、観光所の事業に携わっている場合
  3. 自由利用の原則
    使用者は、休憩時間中は労働者に自由に過ごさせなければならず、その自由を阻害してはいけません。ただし、坑内労働や警察官、乳児院や児童養護施設などで施設内に居住する場合は例外として、自由利用をさせなくても差し支えないとされています。

なお、休憩時間中に職場を離れ外出をすることを許可制としている会社の場合でも、職場内で自由を尊重している場合は原則違反とはなりません。

労働時間を通算する場合

複数の異なる事業場で働く労働者の場合、一日の労働時間を通算することができます。

たとえば、営業所へ出社後に3時間就労し、その後同じ会社の本店に移動して4時間働いた労働者の場合、3時間分と4時間分が合算され、その日は労働時間が7時間であると扱われることになります。

労働時間概念の例外となる業種とは

これまで、労働時間の定義についてさまざまな視点から解説してきましたが、中には労働時間の考え方が異なる業種があります。

その代表格となるのが、坑内労働における労働時間です。坑内労働の場合は、前述した休憩の3原則のうち「一斉付与の原則」「自由利用の原則」は例外扱いとされています。したがって、坑口に入ってから出るまでの時間帯を、休憩時間を含めた労働時間として扱うことになります。

また、訪問介護に携わる労働者の場合、複数の場所を訪問して就労するケースが主流となります。この場合、自由時間が付与されない形で訪問介護の利用者宅間を移動するようにスケジュールが組まれている場合は、移動時間であっても労働時間として扱われます。

日本の労働時間と国際比較

日本人は、非常によく働く民族であるといわれています。その一方で、長期休暇、いわゆるバカンスの文化が根付いている欧米では有給休暇の取得率の高さを誇り、「よく働き・よく休む」の風習があるとされています。

では、世界における他の国々と比較して、本当に日本人の労働時間は長いのでしょうか。労働政策研究・研修機構が毎年公表している「データブック国際労働比較2017」をもとに、内容を詳しく見ていきましょう。

【参考】労働政策研究・研修機構ホームページ:データブック国際労働比較2017

平均年間総実労働時間の現状

まず、平均年間総実労働時間を見ていきます。これは、労働者一人当りが一年間に就労した労働時間の総数を平均値化したものです。「データブック国際労働比較2017」によれば、2015年度の日本の平均年間総実労働時間は1,719時間です。

他国の現状については、アメリカは1,790時間と、日本よりも高い数値が算出されています。また、欧州諸国であるイギリスは1,674時間、フランスは1,482時間、ドイツは1,371時間と、数値だけを見れば日本よりも低い数値が算出されています。ただし、これらの国々の数値はわずかな減少は見られるものの、ここ30年ほどほぼ横ばい傾向が続いているのが現状です。

長時間労働の割合

2015年度における日本の長時間労働の割合は、全体の20.8%です。これは、5人に1人が長時間労働(この場合は週49時間以上の労働)をしていることになります。

最も長時間労働が行われている国は韓国で32%、その次は香港の30.1%です。一方、アメリカでは16.4%、イギリスは12.3%、フランスは10.1%、ドイツは9.6%と、いずれも低い数値となっており、アジア諸国の労働時間の長さが際立っています。

今後の労働時間の傾向とは

「データブック国際労働比較2017」によれば、日本の平均年間総実労働時間は一定期間、具体的には1988年に労働基準法が改正されて以降の数値は減少傾向にあり、他の国々と比較しても減少の度合いが高くなっています。

現在も働き方改革やワーク・ライフ・バランスが推奨されていることや、グローバル化が進行する中で外国諸国の働き方を参考にする企業の増加が見込まれることなどから、今後も日本における労働時間が減少化は進むものと考えられています。

【関連】働き方改革とは?必要となった背景や実現会議と実行計画、事例まで徹底解説 / BizHint HR

労働時間の計算

労働時間は、前述のように労働者が就労した時間のことです。労働時間のカウント方法は会社に応じて異なりますが、多くはタイムカードや勤怠システムなどを用いて時間の計算を行っていますが、やむを得ない場合は労働者による自己申告制を取っているケースもあります。

使用者は、上記の方法でカウントした労働時間に応じて、労務の対価である「賃金」を支払わなければなりません。

賃金全額払いの原則

事業主が労働者に給与を支払うにあたり、守らなければならない支払上のルールが労働基準法に定められています。

そのうちの一つである「賃金全額払いの原則」とは、賃金は対象期間に応じてその全額を支払わなければならず、原則として金額の控除は認められていない、という内容をいいます。例外は法令による税金、保険料の控除や、労使協定で定めた場合に行う控除などが挙げられますが、この理由以外にも、労働時間の通算時における端数処理が認められています。

端数処理

端数処理とは、計算途中において算出された数値を一定のキリがいい数値に置き換える行為をいいます。労働時間の計算における端数処理としては次の内容が定められており、端数処理を行ったとしても労働基準法違反とは扱われません。

1ヶ月あたりの割増賃金

1ヶ月の間に労働者が行った時間外労働、休日労働、深夜業におけるそれぞれの時間数を合計し、その数値に1時間未満の端数が発生した場合、30分未満の数値を切り捨てて1時間に切り上げることができます。

同時に、端数処理は割増賃金の計算においても認められています。1ヶ月間の時間外労働、休日労働、深夜業から算出されたそれぞれの割増賃金の総額に1円未満の端数が発生した場合、1円未満の数値を四捨五入することとされています。

時間外労働・休日

労働時間を算出するにあたり欠かせないのが、時間外労働や休日についての正しい理解です。時間外労働とはいわゆる残業時間のことで、休日とは就労をしない日のことをいいます。

【関連】 残業時間の上限は?36協定や変形労働時間の概要、計算法や削減対策まで解説/BizHint HR

時間外労働の要件

時間外労働とは、労働者に対して法定労働時間もしくは法定休日を超えた労働をさせることです。

使用者が労働者に対して「時間外労働をしなさい」とただ単に命じるだけでは足りず、ある一定の要件を満たさなければ実施してはならない点に気をつけなければなりません。

36協定

時間外労働を可能とする要件の一つが「36協定の締結・届け出を実施した場合」となります。36協定とは、労働基準法36条で定められた労使協定のことで、時間外労働・休日労働をさせる可能性がある場合に作成・届け出を行うことが義務づけられています。

【関連】36(サブロク)協定とは?残業の限度時間や特別条項・違反まで徹底解説/BizHint HR

臨時の必要がある場合

時間外労働をさせることが可能となるもう一つの要件が「臨時の必要性がある場合」です。これには、主に次のような内容が該当します。

  1. 台風や地震、火災などの災害にみまわれたことで必然に迫られた労務が必要となり、行政官庁の許可を受けた場合
  2. 事前に届け出がなされた代休付与命令における時間外労働・休日労働が認められなかった場合
  3. 公務のために臨時の必要性に迫られた場合

割増賃金

使用者は、36協定の内容に基づき、もしくは臨時の必要がある場合に法定労働時間、法定休日を超えて労働をさせた場合は、法律で定められた割増率に基づいた割増賃金、つまり残業代を支払わなければならないとされています。

固定残業代を支払うルールを設けている会社の場合でも、実際に労働者が働いた時間が割増率に基づいた割増賃金に満たない場合は、満たない部分を残業手当として追加で支払う必要があります。

割増率

法律で定められた割増賃金率は、次の通りです。

割増賃金の対象 割増率
月60時間以下の時間外労働 25%以上
月60時間超の時間外労働 50%以上
休日労働 35%以上
深夜業 25%以上
月60時間以下の時間外労働+深夜業 50%以上
月60時間超の時間外労働+深夜業 75%以上
休日労働+深夜業 60%以上

なお、月60時間超の時間外労働については、中小企業に対しては適用されず、時間外労働の場合は25%以上、時間外労働+深夜業の場合は50%以上に統一されます。

日付をまたいだ時間外労働

時間外労働が長期にわたり、翌日の所定労働時間帯にかかってしまった場合などは、暦日カウントでは2日扱いだとしても、始業時間の属する日の「1日」労働と扱われます。

この場合の割増賃金の支払いは、日付をまたいだ翌日が労働日か休日かによって異なります。

翌日が所定労働日

翌日が所定労働日、つまり出勤日である場合は、時間外労働の割増賃金は、翌日の所定労働時間にかかるまでの時間帯に対して支払われます。

たとえば、9時から18時までを所定労働時間としている会社の場合で、労働者が翌日の午前10時まで継続して働き続けた場合などは、時間帯の割増賃金を支払わなければなりません。この時間帯は、午後10時~午前5時までの深夜時間が含まれるため、18時以降~翌日の9時までのうち、午後10時~午前5時までの時間帯については、「時間外労働+深夜業」分の割増賃金を支払う必要があります。

翌日が法定休日

翌日が法定休日である場合は、休日となる日の午前0時からの時間帯には休日労働にまつわる割増賃金を支払わなければなりません。

たとえば、たとえば、9時から18時までを所定労働時間としている会社の場合で、労働者が翌日10時まで継続して働き続けた場合などは、午前0時~10時までの時間帯は休日労働扱いとなります。

休日とは

休日とは、労働者が就労をする義務が与えられていない日のことです。労働者自らの意思で休むことを決定した日ではなく、もともと仕事をしなくても良い日を指します。

法定休日

法定休日とは、法定労働時間と同じく、労働基準法によって定められた休日のことです。労働者が健康状態を損ねることなく就労を続けるために最低限必要とされる休日数が定められています。

具体的な日数としては、原則として1週間に1日以上、例外措置として4週間内に4日の休日を与えるべきとされています。

《労働基準法35条(休日)》
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法(昭和二十二年四月七日法律第四十九号)

【関連】法定休日とは?法定外休日との区別、振替休日と代休の関係、規定例まで解説/BizHint HR

休日の単位

休日の単位は、労働時間のカウント時と同じく、歴日数が単位となります。つまり、午前0時から午後12時までの休みが1休日とされています。

ただし、交替制勤務などで2暦日にまたがって仕事をする労働者の場合は、連続して24時間の休業が付与されれば1休日として認められることになります。

振替

振替とは、あらかじめ休日に設定されていた日を労働日扱いにし、別の労働日を休日にすることをいいます。振替を実施した場合は、法定休日に労働をさせたとしても、休日労働として割増賃金を支払う必要はありません。

代休

代休とは、休日に設定されていた日に労働をし、その後代わりとして別の労働日の就労義務を免除することです。この場合は振替のケースとは異なり、あらかじめ休日に労働をさせたという事実が残るため、その日の労働には休日労働としての割増賃金の支払いが必要となります。

変形労働時間制

これまでに述べたように、労働時間は法律で定められた「法定労働時間」を遵守しながら設定をする必要があります。しかし、会社の中にはさまざまな事情により、変則的な労働時間で就労させなければならない事態が生じます。このような状況に対応するため、我が国ではさまざまな労働時間制が設けられています。

その中の一つが「変形労働時間制」です。これは、労働時間の設定に柔軟性を持たせ、週休二日制や休日数の増加、業務の繁閑に沿った労働時間の配分を実施することで、長時間労働を削減することを目指した制度です。

「変形労働時間制」は以下の4つに分類されます。

  • 1ヶ月単位の変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • 1年単位の変形労働時間制
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制

【関連】 変形労働時間制とは?残業や休日の取り扱い、届出について詳しく解説/BizHint HR

1ヶ月単位の変形労働時間制

1ヶ月単位の変形労働時間制とは、労使協定や就業規則等により、1ヶ月以内の期間内の労働時間を平均して週あたりの法定労働時間を超えないように定めた場合は、特定週・特定日に法定労働時間を超えた就労をさせることが可能となる制度です。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、あらかじめ労使協定で定めた期間の平均労働時間が週あたりの法定労働時間を超えない場合は、週当たりの法定労働時間や一日あたりの法定労働時間を超えた働き方をさせることができる制度です。

この制度を実施する場合、就業規則等で定めを行うことで労働者自身が仕事の始業時間、終業時間を決定することが可能となります。

【関連】 フレックスタイム制とは?メリット・デメリット~仕組みまで徹底解説/BizHint HR

1年単位の変形労働時間制

1年単位の変形労働時間制とは、労使協定により1ヶ月超から1年以内までの間で定めた期間の平均労働時間が、週あたりの法定労働時間を超えないような形でおさめた場合は、特定週・特定日に法定労働時間を超えた就労をさせることが可能となる制度です。

1週間単位の非定型的変形労働時間制

1週間単位の非定型的変形労働時間制とは、日によって繁忙期や閑散期に差がある小売業、旅館、料理店、飲食店事業を営む労働者数30人未満の事業が、労使協定により1日に10時間を限度として就労をさせることができる制度です。

みなし労働時間制

みなし労働時間制とは、実際にかかった労働時間ではなく、あらかじめ設定しておいた時間分の労働をしたものとみなす制度のことです。

使用者の指揮命令権が行き届かない状態での就労や、労働時間を正確にカウントすることが難しい場合などに活用されます。

なお、みなし労働時間制には以下の3種類があります。

  • 事業場外労働のみなし労働時間制
  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制

【関連】みなし労働時間制とは?時間外・休日・深夜労働の取り扱いや、判例も合わせてご紹介/BizHint HR

事業場外労働のみなし労働時間制

事業場外労働のみなし労働時間制とは、その日に行った就労の全体もしくは一部を事業場外で行ったため、使用者が労働時間を把握することが難しい場合に、あらかじめ定めた時間分を労働したとみなす制度です。

設定時間は、原則として「所定労働時間」です。所定労働時間を超えた労働が必要な場合は「通常必要とされる時間」を、労使協定を締結する場合は「あらかじめ定めた時間」分を働いたものとみなします。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制とは、専門性の高い業務に就いている労働者に対し、あらかじめ労使協定で定めを行った場合は、その協定で定めた時間分を働いたものとみなす制度です。

対象となる業務は、厚生労働省令および厚生労働大臣告示で定められた19種類の内容に限られています。

【関連】専門業務型裁量労働制とは?対象業務や導入手順、残業代などの注意点まで詳しく解説/BizHint HR

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制とは、事業運営に関する「企画・立案・調査および分析」に携わっており、その内容を遂行するためには大幅に担当者の裁量にゆだねる必要性がある業務に就く労働者について、労使委員会の決議で定める時間分を働いたものとみなす制度です。

この制度を実施するためには、労使委員会を立ち上げる必要があります。

【関連】裁量労働制とは?専門業務型・企画業務型それぞれの対象、導入手続きについて解説/BizHint HR

まとめ

  • 労働時間とは労働者が社長や上司などの命令により使用者のために就労をしている時間のことで、使用者は所定労働時間を法定労働時間の範囲内で設定しなければならない。
  • 日本の総労働時間は世界と比較して高い数値ではあるものの、改正労働基準法以降は着実に減少傾向にあり、今後も働き方改革等の影響により減少化が進むとされている。
  • 変則的な労働時間で就労させざるを得ない会社のために、労働時間設定に柔軟性を持たせた変形労働時間制や、あらかじめ定めた時間分働いたと扱うみなし労働時間制がある。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計90,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 事業運営のキーワードが把握できる
  • 課題解決の事例や資料が読める
  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次