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2019年7月29日(月)更新

業務委託契約

業務委託契約とは、自社の業務を外部の企業や個人に委託する契約のことです。多くの企業では何かしらの業務委託契約を締結しています。しかしながら、幅の広い契約であるため、十分に理解しないまま契約すると大きなトラブルを招くことになります。この記事では、業務委託契約がどのような契約であるのか、また、契約書に記載すべき内容などについて解説しています。

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業務委託契約とは?

「業務委託契約」とは、法律上の用語ではありませんが、一般的には、民法上の「請負契約」、「委任契約」および「準委任契約」を総称するものとして使われています。

業務に関する契約としては、そのほかに、従業員との「雇用契約」や派遣会社との「労働者派遣契約」があります。

請負契約と委任契約・準委任契約の違い

請負契約と委任契約・準委任契約とはどのような契約であるのか、また、その違いについて説明します。

請負契約とは

請負契約については、民法第632条において「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と規定されています。

例えば、社内システムのプログラム開発を外注し、期日までに納められたプログラムに対して報酬を支払うような契約が挙げられます。

請負会社は注文会社に労働者を常駐させることありますが、注文会社は常駐している請負会社の労働者に指示を出したり、出退勤の管理などを行うことはできません。請負契約でこれを行うと「偽装請負」になり法的に責任を問われます。

労働者を指揮命令下に置くためには、その労働者と雇用契約を締結するか、派遣元の会社と労働者派遣契約を締結しなければなりません。

【参考】民法 第632条/電子政府の総合窓口e-Gov

委任契約・準委任契約とは

委任契約については、民法第643条において「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」と規定されています。

例えば、弁護士に事件の処理を依頼する契約や、弁護士や税理士などとの顧問契約も一般的には委任契約に該当します。

委任契約は請負契約と違って、仕事の完成を目的とするものではなく、法律行為そのものに報酬を支払う契約です。仕事の完成を求める場合(税理士に税務書類の作成を依頼するなど)には、法律家との契約といえども請負契約になりますので注意が必要です。

準委任契約については、民法第656条において「委任の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。」と規定されています。

つまり、委任契約とは切り分けて、法律行為ではない事務、業務を社外に委託する契約のことで、例えば、社内システムの保守を外注するような場合が挙げられます。

この契約においても、受任会社は委託会社に労働者を常駐させることありますが、委任会社は常駐している受託会社の労働者に指示を出したり、出退勤を管理したりすることはできません。これを行うと、偽装請負と同様に法的に責任を問われます。

【参考】民法 第643条・第656条/電子政府の総合窓口e-Gov

その他の契約形態との違い

業務に関する契約としては、そのほかに、雇用契約と労働者派遣契約があります。

雇用契約については、民法第623条において「当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」と規定されています(労働契約としては、労働契約法にも規定があります)。

その他の契約と比べると馴染みのある契約ですが、あらためて整理すると、労働者は会社に労働を提供し、会社はその労働者に報酬(賃金)を支払う契約のことを言います。

労働者派遣契約については、労働者派遣法第26条において「当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約」と規定されており、労働者派遣とは、同法第2条において「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて当該他人のために労働に従事させること」と定義されています。

労働者派遣契約とは、文字どおり、派遣会社から労働者を派遣してもらうための契約です。

雇用契約や労働者派遣契約は、請負契約のように仕事の完成を目的としていないという点においては委任契約・準委任契約と同様です。

しかし、請負契約や委任契約・準委任契約と根本的に異なるのは、目的としているのが労働者の労働力そのものであり、雇用契約を締結した労働者、労働者派遣契約を締結して派遣会社から派遣されてきた労働者ともに自社の指揮命令下に置けるということです。

【参考】民法 第623条/電子政府の総合窓口e-Gov
【参考】労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第2条・第26条/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

業務委託契約書に記載すべき内容

業務委託契約が、請負契約であるのか委任契約、準委任契約であるのかによって、契約書に記載すべき内容も異なります。

ここでは、業務委託契約全般として記載すべき主な内容を挙げていますが、具体的な記載方法については、次の章でご紹介している雛形などでご確認ください。

1.委託業務の内容

まずは、委託する業務内容が明確でないと、委託側が契約の範囲内と思っていた業務が受託側には伝わっていなかったなど、契約締結後にトラブルになることがあります。

このため、契約書の冒頭で委託業務の内容がどのようなものか明確に記載し、必要に応じて別紙として仕様書や設計書などを作成します。

2.契約期間

契約期間は、広告制作のように1か月程度のものから、システム開発のように1年単位のものまであり、ケースバイケースです。委託業務に見合った契約期間を記載します。

信用できる外注先で長期継続が前提であれば、契約終了前までに双方から申し出がない場合には契約を更新する旨を記載することで、契約を自動的に更新させることができます。

3.報酬・費用負担

業務委託の対価となる報酬額や支払期日、支払方法(指定口座への振込みなど)、支払いにかかる手数料の負担(一般的には委託側の負担)について記載します。

また、受託側が業務を進める上で生じる費用については、民法上の整理では、請負契約が受託側の負担、委任契約、準委任契約は委託側の負担になっているため、そのことについて記載したり、この原則により難い場合(例えば、請負契約の場合に委託側の依頼で受託側に出張に行ってもらうことがあるような場合など)には別途協議する、などと記載することもあります。

4.秘密保持

委託側、受託側とも当該契約に関して知り得た一切の情報について、一方の承諾がない限り、第三者への漏洩、開示を禁止することを記載します。

委託者側は、業務を委託するにあたって、技術情報や顧客情報などを提供する場合もありますので、重要な条項です。

5.知的財産権の帰属

ソフトウェア開発のような知的財産権の発生を目的とした請負契約である場合には、その著作権などがどちらに帰属することとするのかを記載します。

著作権は、原則としてその成果物を作成した受託側に帰属することになるため、委託側に帰属させるためには、その旨を契約書に記載しなければなりません。

特にソフトウェア開発の契約では、開発されたソフトウェアやプログラムの著作権について問題になることが多く、規模の大きな契約では、この記載については専門家に相談するなど十分な検討が必要です。

6.報告義務

委託した業務が最終的に完了できなかったなどとならないように、委託した業務の進捗状況について、委託側が請求すれば、いつでも受託側に報告する義務があること、また、受託側に業務の遂行に支障がある事故があったような場合にも、直ちに委託側に報告する義務があることなどを記載します。

7.再委託

再委託とは、受託側がさらに別の業者などに委託することです。委託側がこれを制限する場合にはその旨を記載します。

なお、この再委託について、民法に明確な規定はありませんが、請負契約は原則として再委託が可能、委任契約・準委任契約は原則として委託側の承諾があれば可能と解されています。

8.損害賠償

受託側がその責めに帰すべき事由によって委託側または第三者に損害を与えた場合の賠償の範囲について記載します。契約によっては、委託側が受託側に損害を与えることを想定して記載することもあります。

この記載がなくても、受託側の故意や過失などがあれば、民法の規定によって委託側は損害賠償を請求できますが、契約書に記載する目的は、委託側としては注意喚起、受託側としては損害賠償の上限額などを定めてリスクを限定することです。

9.契約の解除

請負契約であれば、受託者が仕事を完成しない間なら、委託者はいつでも損害を賠償して契約を解除できるなどの規定が民法にありますが、極めて限定的な事由でしか解除できません。

より柔軟に解除できるようにするために、委託側または受託側が契約内容に違反した場合には相手方は解除することができ、その場合の違約金は双方で協議することや、委託側または受託側が正当な事由によって契約を解除する場合には、数ヶ月前に相手方に通知することなどを記載します。

10.契約終了後の処理

委託側から受託側に使用させる物品などがあれば、契約終了後には、委託側の指示により、返還または破棄することについて記載します。

11.裁判管轄

委託側と受託側の間でトラブルが生じ、どちらかが裁判に持ち込むためには、民事訴訟法上、相手方(被告)の住所地を管轄する裁判所に訴えを提起することが原則とされています。

ただし、当事者の合意があれば、第一審に限って管轄裁判所を選択することができるため、訴える場合の手間も考えて、自社の住所地を管轄する裁判所を管轄裁判所とする旨を記載します。(当事者が合意した裁判所を「専属的合意管轄裁判所」と言います。)

12.反社会勢力の排除

暴力団から不当な要求や暴行を受けた場合には警察に相談することができますが、取引上の問題については民事であるため警察は介入しません。

このため、契約を進めるうえで相手方が反社会勢力である、または、つながっていることがわかった場合にすぐに契約を解除するためにはその旨の記載が必要になります。

反社会勢力とはどのような者を指すのかを明確にし、契約締結後に相手方がそれらに該当するとわかった場合には、催告なく直ちに契約を解除できることを記載します。

業務委託契約書の雛形

中小企業以下で業務委託契約書を作成する場合には、下記のようなインターネット上の雛形をベースにすることも考えられますが、これらはあくまで雛形であって、そのまま使用できるものではないことを十分に理解しておかなければなりません。

【コンピュータ・ソフトウェア開発委託契約書の雛形(請負契約型)】

【出典】コンピュータ・ソフトウェア開発委託契約書の書き方/文例書式ドットコム

【顧問契約書(弁護士)の雛形(委任契約型)】

【出典】顧問契約書(4)(弁護士)の書き方/文例書式ドットコム

【コンピュータ等の保守業務委託契約書の雛形(準委任契約型)】

【出典】保守業務委託契約書(コンピューターシステム)の書き方/文例書式ドットコム

契約内容に合った雛形を利用する

業務委託契約には、上記で説明したとおり、請負契約や委任契約、準委任契約があります。

例えば、社内システムのプログラム開発の委託などであれば、一般的には成果物を伴う請負契約になりますし、社内システム保守の委託などであれば、準委任契約になり、それぞれ、契約書に記載すべき事項は異なります。

このため、雛形をダウンロードする際には、可能な限り、実際の契約内容に近いものを選んだ方がその後の整理を効率的に進めることができます。

雛形やテンプレートはそのまま利用しないよう注意

契約内容に近い雛形を見つけてダウンロードし、委託業務の内容や契約期間、報酬などを記入すれば、それで完成というわけではありません。

すべての記載事項について、それで適切なのか、また、さらに記載すべき事項はないのかなどを十分に検討しなければなりません。

業務委託契約締結時の注意点

業務委託契約は対応の幅が広いため、実態的に雇用契約や労働者派遣契約に近いものになってしまえば、意図せず法的責任を問われることがあります。

このため、業務委託契約の締結を検討する際には、本来の目的が何であるのかを十分に確認する必要がありますし、その結果、業務委託契約を締結することになった場合には、委託業務の内容や方法を明確にしなければなりません。

そもそも業務委託契約でよいのか

例えば、社内システムのプログラム開発の委託が目的であれば請負契約を締結することになりますが、受託側のシステムエンジニアを社内に常駐させて直接指示を与えることはできません。

冒頭でも説明しましたが、請負契約でありながら、受託側の従業員を委託側の指揮命令下に置くことは偽装請負になり、委託側、受託側ともに法的責任を問われます。

この場合、システムエンジニアに直接指示を出してプログラムの開発をしたいのであれば、新たにシステムエンジニアを雇用するか、派遣会社と労働者派遣契約を締結すべきということになります。成果物だけが目的であるのか、その過程も重要視するのかなどによって、契約方法も変わってきますので注意しなければなりません。

委託業務の内容や方法を明確にする

上記を検討した結果、いよいよ業務委託契約を締結することになった場合には、次の段階として委託業務の内容などを明確にしなければなりなせん。

契約書に記載すべき内容のところでも説明しましたが、そもそも請負契約であるのか委任契約であるのか、また、具体的な委託業務の内容や方法を明確にして契約書に記載しておかなければ、後々の大きなトラブルにつながります。

業務委託契約書に収入印紙が必要になる場合とその金額

業務委託契約書には、その内容によって収入印紙の貼付が必要になることがあります。最後に収入印紙が必要になる場合とその金額について説明します。

業務委託契約書に収入印紙が必要になる場合

印紙税法により、「課税文書」に該当するものは、収入印紙を貼付して印紙税を納付しなければならないことになっています。

この「課税文書」に該当するかどうかは、その文書に記載されている内容に基づいて判断されますが、主に契約書や領収書、約束手形、為替手形などが「課税文書」にあたります。

業務委託契約書には、請負契約書と委任契約書がありますが、収入印紙の貼付が必要になるのは請負契約書だけです。成果物のない委任契約書については非課税文書となり、基本的には収入印紙を貼付する必要はありません。ただし、売買の委託など継続して委託するような場合には、次で説明する「7号文書」などに該当する場合もありますので注意が必要です。

契約内容別の収入印紙の金額

請負契約書の内容が、短期のものであるのか、継続的なものであるのかによって、「第2号文書」または「第7号文書」に分けられ、それぞれ収入印紙の金額も変わってきます。また、「第2号文書」と「第7号文書」の両方に該当する場合もあります。

第2号文書の印紙税額

一般的に、3か月以内の請負契約書(例えば、工事請負契約書や工事注文請書、物品加工注文書書など)である場合には「第2号文書」に該当し、契約金額によって次の印紙税が定められています。

【出典】No.7102 請負に関する契約書/国税庁

第7号文書の印紙税額

次の要件をすべて満たす継続的な取引である請負契約書(例えば、売買取引基本契約書や特約店契約書、代理店契約書など)は、「第7号文書」に該当し、1通につき一律4,000円の印紙税を納めることになっています。

  1. 営業者間での契約書であること。
  2. 売買、売買の委託、運送、運送取扱いまたは請負のいずれかの取引に関する契約であること。
  3. 2(回)以上の取引を継続して行うための契約であること。
  4. 2(回)以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法または再販売価格のうち1以上の事項を定める契約であること。
  5. 電気またはガスの供給に関する契約ではないこと。
  6. 契約期間が3ヶ月以内、かつ、更新の定めがないものではないこと。

【参考】令第26条第1号に該当する文書の要件/国税庁

第2号文書と第7号文書の両方に該当する場合

契約期間が3か月を超えているなど、上記の要件を満たして「第7号文書」に該当した場合には「第2号文書」に該当しなくなるというわけではありません。

このため、「第2号文書」と「第7号文書」の両方に該当することもありますが、この場合には、契約金額が記載されている場合には、「第2号文書」、記載されていない場合には、「第7号文書」として取り扱うことになっています。

【参考】第7号文書と他の号に該当する文書の所属の決定/国税庁

まとめ

  • 業務委託契約には、請負契約と委任契約・準委任契約があります。
  • 請負契約は仕事の完成、委任契約は法律行為、準委任契約は法律行為ではない事務を目的としています。
  • 業務委託契約でありながら実態的に受託側の労働者を指揮命令下に置くことは、偽装請負(偽装的な準委任の場合もあり)であり、法的責任を問われることがあります。
  • 業務委託契約を締結する際に委託業務の内容や方法を明確にしなければ、トラブルにつながる恐れがあります。

<執筆者>
本田 勝志 社会保険労務士

関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。退職後、2010年に社会保険労務士試験に合格。社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業における労務管理等を担当。


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