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2019年6月25日(火)更新

安全衛生管理

安全衛生管理とは、事業場で働く労働者の安全と健康を守るため、事業者に義務づけられている取り組みです。今回は、安全衛生管理の具体的な内容をはじめ、実施の必要性やメリットなどについて説明をしていきます。また、安全衛生管理体制に必要な管理者や設置が求められる委員会、実際に管理を推進する上でのポイントも紹介します。

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安全衛生管理とは

安全衛生管理とは、その名の通り労働者の安全や衛生を管理し、安心して働くことができるような環境づくりを行うことで、安全管理と衛生管理を総合した内容を指します。

  • 安全管理 :危険な労働災害などから労働者の身を守るための管理
  • 衛生管理 :有害物質や騒音など人体に悪影響を及ぼすものから労働者を守り、健康を保護するための管理

なお、労働者の安全面・衛生面において最低限守らなければならない基準について定められたのが、労働安全衛生法です。この法律により、事業主には労働者の安全衛生管理を実施するよう義務づけられています。

【参考】労働安全衛生法(安衛法)/安全衛生情報センター

安全衛生管理を怠るとどうなるのか

事業主が労働者の安全衛生にまつわる対策を怠り、ずさんな管理体制を取った場合、労働災害が発生する可能性があります。

労働災害には、労働者を危険にさらすだけではなく、事業主に対して次のようなリスクが生じます。

罰則が科せられる

労働者の安全衛生管理を怠り労働災害が発生した場合、労働安全衛生法119条・120条違反として事業主に6ヶ月以下の懲役や50 万円以下の罰金などが科せられる可能性があります。

また、刑事上の罰則として、刑法221条により業務上過失致死傷罪が科せられる可能性があります。この場合、5年以下の懲役・禁錮や100 万円以下の罰金などの重い罪に問われる危険性も生じます。

【参考】労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕
【参考】 刑法(明治四十年法律第四十五号)/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

損害賠償

労働者が労働中に事故に遭い、その原因が事業主の安全衛生管理体制にあると判断された場合、裁判により損害賠償請求がなされる可能性があります。

通常、労働災害が発生した場合は、労災保険法による保険給付が実施されます。しかし、その金額には限りがあり、すべての損害や被災者による慰謝料を賄えるわけではありません。そのため、保険給付をオーバーした場合は民事上での損害賠償責任に問われる危険があるのです。

安全衛生活動を行うメリット

一方で、安全衛生管理体制を徹底することにより、事業主にとってさまざまなメリットが生じます。

社員のモチベーションアップ

安全衛生管理をきちんと実施することで、働く労働者の安心感が増し、「自分のためにやってくれている」という、会社に対する感謝の気持ちが生じます。その結果、労働者のやる気が増し、モチベーションアップへとつながります。

また、安全衛生管理において労働者の意見を積極的に取り入れることで、働きやすい環境づくりができます。労働者が集中して業務に取りかかれるようになり、労働者自身の安全衛生に関する意識が向上する効果もあります。

生産性の向上

労働環境が整備されることで、作業の効率化が進み、労働者がより仕事のしやすい環境に変化していきます。これにより、生産性の向上効果が見込まれます。

コスト削減の効果

労働災害が発生した場合、前述のようにさまざまなコストが発生する危険性があります。また、労働災害に至らないまでも、ずさんな安全衛生管理を原因とした作業中断などにより、コストがかかる可能性もあります。

したがって、安全衛生管理にきちんと取り組んだ場合は、これらの無駄なコストを削減することができるのです。

安全衛生管理で行うべきこと

事業主には、事業所で働く労働者の安全と健康を確保するために行わなければならない責務があります。この項目では、その責務の基本的な内容について説明をしていきます。

なお、労働者にはパートタイマー、アルバイト、期間従業員など雇用形態を問わず、事業所で働くすべての労働者が対象となる点に注意が必要です。

労働者への労働災害防止措置の周知・遵守指示

安全衛生管理体制の構築は、労使ともに協力して実施することが必要不可欠です。したがって、事業者は労働者に対し、労働災害を防ぐために必要となるルール内容の周知や遵守の指示を出さなければなりません。

管理者・推進者等の選任

事業者は、安全衛生管理を取る際に、中心となって実施する担当者をそれぞれ決定しなければなりません。たとえば、安全管理者や衛生管理者、産業医などが該当します。

委員会の設置

事業者は、事業の規模や業種に沿った形で、安全委員会や衛生委員会など、安全衛生に関して審議をし、さまざまな意見を聴収する場を設置しなければなりません。

事業者による危険防止措置

事業者は、機械設備や作業工程において、労働者が怪我や病気などの危険に冒されないような対策措置を実施しなければなりません。設備などの環境を整える危険防止措置に加え、労働者に健康障害が発生しないような対策を取る必要もあります。

労働者への危険防止措置の周知・遵守指示

いくら事業者が危険を防ぐための措置を取ったところで、労働者側がそれを守らなければ意味がありません。労働災害防止措置の場合と同様に、事業者は労働者に対し、危険を防ぐために必要となるルール内容の周知や遵守の指示を出す必要があります。

教育の実施

事業者は、パートタイマー、アルバイトなど事業所で働くすべての労働者に対して、安全衛生教育を実施し、労働者の安全や衛生を管理するにあたって必要となる内容の理解を得る必要があります。

健康の保持増進の措置

事業者は、労働者の健康を守るために次の管理措置を取らなければなりません。

1. 作業環境管理

法律で定められた業務を実施する場合、事業者は作業環境測定を実施し、記録、内容の保管をしなければなりません。

2. 作業の管理

事業者は、労働者が行う作業をさまざまな方面から管理しなければなりません。具体的には、作業環境を綺麗に整えるための作業方法や、保護具などの使用により有害物資を減少させるような作業方法を設定し、適切に進めることができるように管理をすることをいいます。

3. 労働者の健康管理

事業者は、労働者の雇用形態や年齢、従事する作業内容に応じた形で健康診断や特殊健康診断を定期的に実施しなければなりません。

安全衛生管理体制について

事業者は、事業所で働く労働者の安全や健康を保持するため、その事業場ごと(建設現場での就労の場合はその現場ごと)に安全衛生管理体制を整備しなければなりません。

この安全衛生管理体制を確立させる方法については、労働安全衛生法で詳細が定められています。具体的には、次のような担当者を選任し、体制を作り上げていく必要があります。

【安全衛生管理体制 規模の区分表】


※屋外的産業:林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業
※製造工業・商業等:製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業


ここからの項目では、各担当者の内容について順に見ていきましょう。

総括安全衛生管理者

総括安全衛生管理者とは、安全管理者や衛生管理者、救護にまつわる技術的な事項の管理者の指揮を執り、安全衛生に関しての業務を統括管理する者のことです。

職務内容

総括安全衛生管理者が管理する職務には、具体的に下記の内容が挙げられます。

  1. 危険・健康障害防止の措置
  2. 労働者の安全や衛生を目的とした教育の実施
  3. 健康診断の実施などの健康保持増進対策
  4. 労働災害発生時の原因調査、再発防止対策
  5. 労働災害を防ぐため必要な業務
    ・安全衛生に関する方針表明
    ・危険性・有害性などの調査ならびに結果に基づく措置
    ・安全衛生計画の作成、実施、評価や改善

総括安全衛生管理者の要件

事業所で事業を進めるにあたり、現場を統括管理する者を任命する必要があります。たとえば、工場内における工場長がこれにあたります。特に専門的な資格を有していない者でも総括安全衛生管理者に任命することができる点が特徴です。

なお、選任後は14日以内に労働基準監督署長へその旨を報告しなければなりません。また、任命後にやむを得ない事情で総括安全衛生管理者が職務を遂行できない状況になった場合は、事業者は代理の者を選任する必要があります。

安全管理者

安全管理者とは、総括安全衛生管理者が統括管理する仕事内容のうち、「安全」にまつわる技術的事項を管理する者です。

職務内容

安全管理者が行う職務には、具体的に下記の内容が挙げられます。

  1. 建設物、設備、作業場所・方法に危険がある場合の応急措置、または適当な防止措置
  2. 安全装置、保護具など危険防止のための設備・器具の定期的点検・整備
  3. 作業の安全にまつわる教育訓練
  4. 発生した労働災害の原因調査および対策の検討
  5. 消防および避難訓練
  6. 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
  7. 安全に関する資料作成・収集・重要事項の記録業務
  8. 他事業の労働者が行う作業と同一の場所で就労する場合における安全措置

安全管理者の要件

安全管理者は、次の資格のいずれかを持つ者から選任しなければなりません。

  1. 次のいずれかに該当し、厚生労働大臣の定める研修を修了した者
    ・大学・高等専門学校の理科系の正規課程を卒業し、その後2年以上産業安全の実務に従事したことのある者
    ・高等学校・中東教育学校の理科系の正規課程を卒業し、その後4年以上産業安全の実務に従事したことのある者
  2. 労働安全コンサルタント
  3. その他、厚生労働大臣が定める者

安全管理者は、対象となる事業場のみで就労する専属の者を選任しなければなりません。 ただし、安全管理者を2人以上選任する場合で、その中に労働安全コンサルタントがいる場合は、その労働安全コンサルタントのうち1人は専属である必要はありません。

衛生管理者

衛生管理者とは、総括安全衛生管理者が統括管理する仕事内容のうち、「衛生」にまつわる技術的事項を管理する者です。

職務内容

衛生管理者が行う職務には、具体的に下記の内容が挙げられます。

  1. 健康に異常のある者の発見及び処置
  2. 作業環境の衛生上における調査
  3. 作業条件や施設などの衛生に関する改善
  4. 労働衛生保護具や救急用具などの点検・整備
  5. 衛生教育・健康相談その他労働者の健康保持に必要となる事項
  6. 労働者の負傷・疾病・死亡、欠勤・移動に関する統計の取りまとめ
  7. 他事業の労働者が行う作業と同一の場所で就労する場合における衛生措置
  8. 衛生日誌の記載など、職務上の記録整備

なお、衛生管理者は、少なくとも週に一度は作業場を巡視し、設備や作業方法、衛生状態が労働者に対して害をなす危険性がある場合は、ただちに防止するための措置を講じる必要があります。

衛生管理者の要件

衛生管理者は、次の資格のいずれかを持つ者から選任しなければなりません。

  1. 衛生管理者(第一種・第二種)の免許を持つ者、または衛生管理者免許試験(第一種・第二種)に合格した者
  2. 医師・歯科医師
  3. 労働衛生コンサルタント
  4. その他厚生労働大臣が定める者

また、衛生管理者は事業場の規模(常時使用する労働者の数)に応じて選任する衛生管理者の数が異なります。

  • 50人以上~200人以下:1人
  • 200人超~500人以下:2人
  • 500人超~1,000人以下:3人
  • 1,000人超~2,000人以下:4人
  • 2,000人超~3,000人以下:5人
  • 3,000人超:6人

衛生管理者は、事業場で専属の者を選任する必要があります。ただし、衛生管理者を2人以上選任する場合で、その中に労働衛生コンサルタントがいる場合は、その労働衛生コンサルタントのうち1人は専属の者である必要はありません。

さらに、次のいずれかに該当する場合は、衛生管理者の中から少なくとも1人は、対象となる事業場のみで就労、かつ衛生管理者としての業務に費やす専任の者にする必要があります。

  • 常時1,000人超の労働者を使用する事業場
  • 有害業務事業場(常時500人超の労働者を使用し、かつ法定の有害業務に常時30人以上の労働者を従事させている事業場)

産業医

産業医とは、事業場で働く労働者が健康で安全に作業することができる環境づくりのために指導や助言をする医師のことです。

職務内容

産業医が行う職務は、主に下記の内容が挙げられます。

  1. 健康診断・面接指導等の実施、その結果に基づく労働者の健康保持を目的とした措置
  2. 労働者が作業する環境の維持管理
  3. 作業の管理にまつわる内容
  4. 労働者の健康管理にまつわる内容
  5. 健康教育、健康相談、その他労働者の健康の保持増進を目的とした措置
  6. 衛生教育
  7. 労働者の健康障害の原因調査、再発防止措置

その他の職務として、産業医は労働者の健康確保のため必要であると認める場合は、事業者に対して勧告をすることができます。また、労働者の健康障害防止に関し、総括安全衛生管理者への勧告、衛生管理者への指導、助言をすることもできます。

なお、衛生管理者は、少なくとも月に一度は作業場を巡視し、作業方法や衛生状態が労働者に対して害をなす危険性がある場合は、ただちに防止するための措置を講じる必要があります。

産業医の要件

産業医は、その名の通り医師の中から選任をしなければなりません。具体的には、次のいずれかの要件を満たす者が該当します。

  1. 厚生労働大臣が定める研修修了者
  2. 労働衛生コンサルタント試験に合格し、保健衛生が試験区分となる者
  3. 大学で労働衛生にまつわる科目を担当する教授・助教授・常勤講師の経験者
  4. 平成10年9月末時点で産業医として3年以上の経験がある者

なお、 常時3,000人以上の労働者を使用する事業場の場合は、2人以上の選任が必要 です。

産業医は、次のいずれかに該当する事業場の場合は、専属の者として選任をしなければなりません。

  • 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
  • 常時500人以上の労働者を一定の有害業務(深夜業など)に従事させる事業場

安全衛生推進者・衛生推進者

安全衛生推進者とは、安全管理者や衛生管理者の選任義務がない小規模の事業場で安全衛生管理に従事する者のことです。 安全管理者の選任が義務化されていない業種の事業場では「衛生推進者」を選任することとなります。

職務内容

安全衛生推進者は、総括安全衛生管理者が統括管理する業務を担当します。なお、衛生管理者の場合は、担当する業務は衛生にまつわる内容に限定されます。

安全衛生推進者・衛生推進者の要件

安全衛生推進者は、次のいずれかの要件を満たす者の中から選任します。

  • 都道府県労働局長の登録を受けた者が実施する講習の修了者
  • 総括安全衛生管理者が統括管理する業務を担当するために必要となるスキルを持つと認められる者

安全衛生推進者(衛生推進者)は、原則では事業場専属の者として選任をしなければなりません。

委員会の設置と役割

これまで説明したように、事業者は、事業所で働く労働者のために安全衛生管理体制を構築することが義務づけられています。しかし、事業者側が一方的に管理体制を設けた場合、その体制の矛盾点に気づかず、何らかの問題が発生する可能性があります。

そこで、労働者側に安全衛生への意識を持ってもらい、管理体制へのさまざまな意見を出してもらう場である「委員会」を設けることで、より徹底した安全衛生管理体制の構築につながります。

委員会の種類

委員会には、設置する事業所の労働者数に応じて「安全委員会」「衛生委員会」「安全衛生委員会」の3種類に分類されています。 委員会は、業種や規模に応じて設置義務が異なります。主な内容は以下の通りですが、次からの項目でそれぞれを詳しく見ていきましょう。

安全委員会

安全委員会は、安全にまつわる管理体制構築のために開催するものです。開催頻度は月に一度以上で、議事録の内容は3年間にわたり保管することが求められています。

安全委員会の審議内容は、次の通りです。

  1. 安全に関する規程作成
  2. 危険性・有害性等の調査、結果に基づき講ずる安全措置
  3. 安全に関する計画の作成、実施、評価、改善
  4. 安全教育の実施計画作成

また、設置の義務は、業種や事業場で働く労働者数に沿って次のように定められています。

労働者数 対象業種
50人
以上
林業、鉱業、建設業、製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部の業種(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業
100人
以上
製造業のうち上記以外の業種、運送業のうち上記以外の業種、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・じゅう器等卸売業・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業

安全委員会のメンバーは、次の者の中で構成されます。

  1. 総括安全衛生管理者などの、事業場で事業の実施を統括管理する者:1名
  2. 安全管理者:1名以上
  3. 事業場の労働者で、安全に関する経験を持つ者:1名以上

なお、委員会の議長は、①の者が務めるべきであるとされています。

衛生委員会

衛生委員会は、衛生にまつわる管理体制構築のために開催するものです。安全委員会と同じく月に一度以上の開催が義務づけられており、議事録の内容は3年間にわたり保管することが求められています。

衛生委員会の審議内容は、次の通りです。

  1. 衛生に関する規定作成
  2. 危険性・有害性等の調査、結果に基づき講ずる衛生措置
  3. 衛生に関する計画の作成、実施、評価、改善
  4. 衛生教育の実施計画作成
  5. 法定の化学物質の有害性調査、結果に基づく対策樹立
  6. 作業環境測定結果、結果の評価に基づく対策樹立
  7. 定期健康診断、臨時健康診断、医師の診断・診察・処置の結果に基づく対策樹立
  8. 労働者の健康保持増進を図るため必要な措置の実施計画作成
  9. 長時間労働による労働者の健康障害防止対策の樹立
  10. 労働者の精神的健康の保持増進の対策樹立
  11. 国からの命令、指示、勧告、指導事項のうち労働者の健康障害防止に関する内容

なお、衛生委員会は安全委員会のように設置義務のある業種指定はありません。すべての業種を問わず、常時雇用する労働者が50人以上の事業場で設置しなければならない点に特徴があります。

衛生委員会のメンバーは、次の者の中で構成されます。

  1. 総括安全衛生管理者などの、事業場で事業の実施を統括管理する者:1名
  2. 衛生管理者:1名以上
  3. 産業医(専属である必要はない):1名以上
  4. 事業場の労働者で、衛生に関する経験を持つ者:1名以上

なお、委員会の議長は、①の者が務めるべきであるとされています。また、作業環境測定を実施する作業環境測定士を委員メンバーに加えることもできます。

安全衛生委員会

安全衛生委員会とは、前述の安全委員会と衛生委員会を合わせたものです。

安全委員会と衛生委員会をそれぞれ設置しなければならない事業場の場合、これらを個別に立ち上げる代わりに、「安全衛生委員会」として一つの委員会を設置することが認められています。

安全衛生委員会のメンバーは、次の者の中で構成されます。

  1. 総括安全衛生管理者などの、事業場で事業の実施を統括管理する者:1名
  2. 安全管理者及び衛生管理者の中から事業者が指名した者:1名以上
  3. 産業医:1名以上
  4. 事業場の労働者で、安全に関する経験を持つ者:1名以上
  5. 事業場の労働者で、衛生に関する経験を持つ者:1名以上

衛生委員会の場合と同じく、作業環境測定を実施する作業環境測定士を委員メンバーに加えることが可能です。

安全衛生管理を進める上でのポイント

ここまでは、安全衛生管理の必要性や内容、管理体制の整え方や委員会について説明をしてきました。

この項目では、社内で実際に安全衛生管理を進めるにあたって覚えておくべき内容について解説をしていきましょう。

対象者は全従業員

安全衛生管理の実施は、従業員の命を守るために欠かせないものです。したがって、管理の対象となる従業員は、その事業所ではたらく「すべての」従業員になります。

正社員、契約社員、嘱託社員、パートタイマー、アルバイト、期間雇用者など、雇用形態は一切問わず、すべての従業員を守るための管理体制を整えましょう。

ただし、派遣労働者に対しては、派遣先の事業所ではなく派遣元の会社による管理下に置かれることに注意が必要です。

トップから発信し、推進していく

どのような会社においても、指揮命令権のある経営者が動かないことには、職場環境の整備は進みません。「うちの会社はこれまでに労災事故が発生していないから安心」という考えは慢心であり、非常に危険な考え方といえるでしょう。

どのような場合でも、何らかの活動をしている限り「絶対」はあり得ません。後々に後悔をしないためにも、まずは経営陣が安全衛生管理の重要性を正しく理解し、部下を守るために体制を整えていく必要があります。

安全衛生管理規程の作成

安全衛生管理体制を整備するにあたり有効となる手段の一つに、「安全衛生管理規程」の作成が挙げられます。安全衛生管理規程とは、その名の通り安全衛生管理にまつわる社内ルールをまとめたもので、就業規則内に盛り込むことができます。

具体例としては、規程を作成する目的や委員会の設置、安全衛生教育に関する内容などがあり、それぞれの内容を文章にまとめていきます。安全衛生に関する事項は相対的必要記載事項であり、就業規則への記載が義務づけられているものではありません。しかし、安全衛生管理規程には、会社中に安全衛生管理体制を周知、浸透させる効果があります。

同じく、安全・衛生・安全衛生委員会の規程を作成し、それぞれの委員会がスムーズに運営されるような仕組みづくりも重要です。

なお、東京労働局のホームページには、安全衛生管理規程の作成フォーマットが設けられています。参考にしてみて下さい。

【参考】 中小規模事業場の安全衛生管理の進め方(作成例 安全衛生管理規程)/東京労働局リーフレット

安全衛生教育の事前準備

安全衛生教育は、労働者の身を守るために実施しなければならない重要なものです。したがって、教育を実施する前に、徹底した準備を行う必要があります。

具体的には、安全衛生教育を行う目的の策定や、教官・教材・教育内容の選定などが挙げられます。教育を実施するにあたりあらかじめ決めておかなければならない項目を洗い出し、一つずつ検討していくことが重要です。

まとめ

  • 安全衛生管理とは事業場で労働者の安全衛生を管理し、安心して働ける環境づくりを行うことで、労働災害防止措置や管理者の選任、委員会の設置、教育の実施等を実施することです。
  • 安全衛生管理体制を管理・推進する担当者として、事業者は総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医、安全衛生推進者などを選任しなければなりません。
  • 安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会は、労働者の安全衛生への意識づけや管理体制への意見聴取の場として非常に重要な存在であり、月に一度以上の開催が求められます。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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