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2018年5月18日(金)更新

特別休暇

世の中の会社が、様々な形で、所定の休日とは別に特別休暇を従業員に対して与えています。今やそのことが、優秀な人材を確保し従業員の定着を促すための差別的な要素の一つとなりつつあります。特別休暇がどのような性質を持っているのかを正しく理解することで、内面から企業を成長させていくための制度の運用を行うことができるようになります。

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特別休暇とは

特別休暇とは、法律で義務付けられたものとは別に、それぞれの会社が独自の理由で労働者に対して与える休暇のことです。

福利厚生のひとつ

特別休暇は、福利厚生としての側面も有しています。ワークライフバランスという言葉が定着して久しいですが、従業員が仕事と私的な時間との両立を図りながら豊かな生活を送ることを後押しするための人事上の制度であるとも言えます。

従業員に対する福祉へとつながる対応であり、立派な福利厚生です。

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法定休暇と法定外休暇

休暇には、労働基準法を始めとした各種労働法の中で労働者に対して付与することが義務付けられた法定休暇と、企業が独自に運用する法定外休暇があります。

法定休暇の代表的なものが、有給休暇です。それ以外にも、育児休業や介護休業、産前産後休業なども法定休暇の中の一つです。

一方、本記事で説明する特別休暇は、法定外休暇にあたります。企業の人事制度の一環として存在しています。

特別休暇は無給・有給のどちらなのか

特別休暇を有給にするのか無給にするのかについては、会社が自由に決めることができます。会社が無給であると決定し、そのことが制度化され、従業員に周知されているのであれば、特別休暇取得期間中の賃金を支給しなくても違法性は問われません。

有給にするのか無給にするのか以外の運用上のルールについても、会社が自由に決めることができます。

特別休暇の種類

前に述べた通り、特別休暇は、それぞれの会社が独自に運用する制度であるため、様々な種類、内容のものが世の中に存在します。

その中でも、多くの会社で運用されている特別休暇の種類を、以下に解説します。

忌引休暇

従業員本人あるいは配偶者の身内に不幸な出来事が発生したときに付与する休暇です。

葬儀等への参加や一定期間喪に服すことなどを目的として利用することが想定されており、従業員本人との続柄に応じて1日間から7日間程度の休暇を与えて、有給扱いとする運用が一般的です。

結婚休暇

従業員本人が結婚をするときに付与する休暇です。

新たな生活をスタートするための準備や新婚旅行などを目的として利用することが想定されており、5日間から7日間程度の休暇を与えて、有給扱いとする運用が一般的です。

リフレッシュ休暇

一定年数以上の勤続に達した従業員に対して、表彰としての意味合いで付与する休暇です。

骨休め的な意味合いで利用することが想定されており、勤続年数に応じて3日間から7日間程度の休暇を与えて、有給扱いとする運用が一般的です。

【関連】「リフレッシュ休暇」導入の具体的メリットと、日本企業の事例 / BizHint HR

病気休暇

病気により長期間療養することを余儀なくされた従業員に対して、会社に籍を残したまま治療に専念してもらうことを目的として付与する休暇です。

勤続年数に応じて上限期間が異なる運用が多いです。期間の長さはまちまちですが、数カ月程度から一年間という内容が多く、無給扱いとする運用が一般的です。

教育訓練休暇

従業員が、職務の遂行に必要なスキルや能力を習得し、あるいは高めることを目的として、一定期間就労せずに職場を離れて教育訓練を受けることに対して付与する休暇制度です。すなわち、休暇扱いにしたうえで教育訓練を受けることに専念させるという対応です。

会社が指示をした教育訓練を受ける場合を対象として有給扱いとする運用が一般的です。これに関しては、国が助成金を支給するケースもあります。

ボランティア休暇

長期間ボランティア活動に参加する従業員に対して、会社に籍を残したまま活動に専念してもらうことを目的として付与する休暇です。

これに関しても、期間はまちまちで、無給扱いとする運用が一般的ではありますが、近年は、会社の方からボランティア活動に従事することを奨励し、その期間中の賃金も全額保証するという例も見られます。

裁判員休暇

平成21年5月21日から裁判員制度が開始され、毎年多くの国民に裁判員としての活動を行う機会が巡ってくるようになりましたが、ひとたび裁判員としての活動が始まると、最低でも数日間は拘束されることになります。裁判員としての活動は公民権の行使に該当するため、会社は従業員の裁判員活動を拒むことはできないのですが、当該期間中を休暇扱いとすることで心置きなく裁判に参加できる体制を設けている企業がほとんどです。

その場合の休暇期間の長さは裁判員活動が終了するまでとし、活動期間中に国から支給される日当が所定の賃金額よりも低い場合、その差額を企業側が支給する運用が一般的です。

夏季休暇

8月のお盆の時期を全社一斉の休みとしている会社が多く見られます。それに対する扱いですが、全従業員が同じ時期に一斉に有給休暇を消化する対応と、有給休暇とは別に一定日数分の休暇を全従業員に付与する対応があります。

後者の対応を取る場合、会社は、従業員に対して特別休暇を与えたことになります。

特別休暇と有給休暇との違い

特別休暇と有給休暇とでは、様々な面で取り扱いを行ううえでの違いが存在します。

有給休暇とは

有給休暇とは、労働基準法上に定められた企業が労働者に対して有給で休暇を与えなければならない決まりのことであり、労働者の継続勤務期間と週の所定労働時間によって、最低限与えなければならないという意味での法定日数が定められています。

契約職員やパートタイマーといった正社員ではない労働者であっても、法律で定められた日数分以上の有給休暇を与えることが義務付けられています。

【関連】有給休暇とは?付与日数や義務化への改正情報、買取りについてなど詳しく解説 / BizHint HR

取り扱い上の違い

特別休暇と有給休暇との取り扱い上の違いは、次のような内容です。

項目 特別休暇 有給休暇
法律上の義務 なし あり
会社からの許可 必要 不要
利用目的 制限あり 制限なし
取得時期 制限あり 制限なし
賃金の支払い 会社の自由 有給
勤続年数への反映 会社の自由 反映される
次年度への繰り越し 会社の自由 繰越が必要

以下に、それぞれの項目について詳しく解説します。

法律上の義務

特別休暇に関しては、法律上の義務は一切存在しません。よって、会社が自由に制度を設けて運用することができます。一方、有給休暇は法律上の義務です。会社の方針とは関係なく、労働者に有給休暇を取得する権利が発生します。

会社からの許可

特別休暇は会社が自由に設けることのできる制度であることより、その取得に関して会社の許可を必要とする運用を行っても問題はありません。一方、有給休暇に関しては、取得することに対して会社の許可は必要ありません。労働者の当然の権利として行使することができます。

利用目的

特別休暇の利用目的は、会社が定めた内容である必要があります。よって、本来の目的以外での利用を会社は拒むことができます。一方、有給休暇の行使に関しては、利用目的は決められていません。労働者が自由に決定することができます。

取得時期

特別休暇の取得時期は、会社が指定することができます。よって、指定された時期以外での利用を会社は拒むことができます。一方、有給休暇の行使に関しては、取得時期も、原則労働者が自由に決定することができます。

ただし、取得を予定した時期に労働者が有給休暇を取得することで事業の正常な運営に支障が生じる場合は、企業側が取得時期の変更を申し出ることができます。

賃金の支払い

特別休暇に関しては、休暇取得期間中に賃金を支払うかどうかについては、会社が自由に決定することができます。無給扱いであっても問題はないわけです。一方、有給休暇の場合は、必ず休暇取得期間中の賃金を保証しなければなりません。休暇を取得したからという理由で賃金を減額するような対応は、一切許されていません。

勤続年数への反映

退職金の計算や福利厚生の適用など、勤続年数が影響する人事上の制度があります。休暇を取得した期間をこれらの中に含めるのかどうかということについては、特別休暇の場合は会社が自由に決定することができますが、有給休暇の場合は、出勤したものとして取り扱い、勤続年数の中に含める必要があります。

勤続年数に含めない運用を行うことで労働者側に不利益な結果が発生し、そのことが有給休暇を取得したことを理由とした労働条件上での不利益な取り扱いを禁止した労働基準法の規定に反することになるからです。

【参考】なるほど労働基準法|有給休暇の取得に対する不利益取扱いの禁止

次年度への繰り越し

特別休暇を取得できる権利のある従業員が休暇を取得しなかった場合に、その権利を次年度に繰り越さなければならない義務は企業にはありません。取得をしなかった時点で権利を消滅させても問題はないのです。 しかし、有給休暇の場合は2年間の時効があるため、今年度行使しなかった有給休暇は必ず次年度に繰り越さなければなりません。

ちなみに、次年度に有給休暇を繰り越した場合に、次年度の有給休暇を新たに発生した分から行使させるのか、繰り越した分から行使させるのかに関しては会社の自由であり、次年度中に行使できなかった繰り越し有給休暇を、次年度が終了した時点で消滅させることも問題はありません。

特別休暇を制度として導入するときの対応

特別休暇は、その都度与えるかどうかを判断しながら運用するものではなく、あらかじめルールを決めて制度として運用すべき性質のものです。

目的を明らかにする

どのような目的で特別休暇という制度を設けるのかを明確にしたうえで運用を開始する必要があります。有給であるのか無給であるのかは別にして、休暇期間中の労働義務を免除することには変わりはないので、制度を導入したことが会社にとっても従業員にとっても良い結果を生み出すものでなければ意味がありません。

よって、どのような会社でありたいのか、他の会社と比べてどのような特徴を持ちたいのか、従業員がどのような種類の休暇を必要としているのか、などの内容を充分に精査したうえで、自社の実情に適した効果的な制度を導入する必要があります。

制度内容の決定

どのような理由に対して、どのような種類の休暇を、どのような形で与え、どのような取り扱いにするのか、ということを明確にする必要があります。

取得要件

どのような要件に該当した場合に、どの程度の特別休暇を取得できるのかを明確にする必要があります。その関係が曖昧なままだと、労使間でのトラブルのもととなります。

先に解説した忌引き休暇などは、不幸の対象となった身内と従業員本人との続柄によって休暇の日数に差を設ける運用が一般的なので、極力細かく、具体的に取り決める必要があります。あるいは、病気休暇やボランティア休暇などの取得に必要な要件に対して一定の制限を設けたいのであれば、その内容を具体的に取り決める必要があります。

対象者

対象となる従業員の範囲を具体的に取り決める必要があります。特別休暇に関しては、正社員と非正社員とでは異なる運用を行うケースが一般的ですが、そのことが具体的に取り決められていないと、労使間でのトラブルのもととなります。

有給か無給か

先に述べた通り、特別休暇を有給扱いとするのか無給扱いとするのかは会社が自由に決めることができますが、実態として、有給扱いの特別休暇と無給扱いの特別休暇が混在するケースが一般的です。よって、特別休暇の種類ごとに、有給であるのか無給であるのかを取り決める必要があります。

なお、無給扱いの特別休暇の取得要件に該当した従業員が、当該特別休暇に変えて有給休暇を取得することを希望した場合、会社は拒むことができません。

取得手続き

従業員が特別休暇を取得するときの事務手続きについても明確な取り決めを行う必要があります。部署によってバラバラな取得手続きを行ってしまうと、賃金を計算するうえでのミスが生じる、記録が残らない、などといった運用上の課題が生じてしまいます。通常は、書面で直属上司を通じて人事部に申請する運用が一般的です。

就業規則の変更

企業には、就業規則上に休暇に関する取り決めを規定化しなければならない義務があります。特別休暇もここでいう休暇に含まれるため、先に述べた制度の内容を規定する必要があります。

従業員への周知

就業規則に規定した内容を、対象となる従業員全員に周知する必要があります。就業規則に規定化した内容は、従業員代表者の意見を聞き、所轄の労働基準監督署への届出を行ったうえで、従業員全体への周知を行うことで制度としての効力が生じます。

さらに、周知を怠ったことが原因で、取得要件に該当した従業員が特別休暇を取得する機会を逸してしまい、そのことが労使間のトラブルに発展するケースもあるので、周知は重要です。

まとめ

  • 有給休暇は法定休暇であるが、特別休暇は法定外休暇である。
  • 特別休暇の内容や運用ルールは、企業が自由に決めることができる。
  • 特別休暇を制度化した場合は、就業規則の変更手続きを行ったうえで、対象となる従業員全員に周知する必要がある。
  • 特別休暇は、優秀な人材の確保や従業員の定着に対して影響を及ぼす要素となりつつある。

<執筆者>大庭真一郎 中小企業診断士・社会保険労務士(大庭経営労務相談所)

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