close

はじめての方はご登録ください(無料)

メニュー

BizHint について

カテゴリ

最新情報はメールマガジン・SNSで配信中

キャリアアップ助成金

2020年2月4日(火)更新

キャリアアップ助成金は、有期契約労働者に対して正規転換やスキルアップ、昇給等の取り組みを実施し、待遇改善やキャリアアップにつなげる企業に対して行う助成制度です。 今回は、キャリアアップ助成金を受給するために必要なポイントや「正社員コース」をはじめとした7つのコースごとの詳細、実際に申請する際の方法を解説します。また、記事の最後では実際の活用例も具体的に紹介していきます。

キャリアアップ助成金について

国による、雇用を促進させるための助成制度にはさまざまなものがあります。たとえば、経験の浅い求職者を積極的に雇うことで受けられる「トライアル雇用助成金」や、景気のあおりを受けて事業縮小をした会社が教育訓練などを図る事で従業員の雇用を維持した場合に受けられる「雇用調整助成金」など、その種類は目的や効果に応じて多岐に渡ります。

今回は、その中でも比較的耳にすることが多い助成制度「キャリアアップ助成金」を取り上げていきます。

キャリアアップ助成金とは

「キャリアアップ助成金」とは、非正規社員の正社員への転換や賃金規定の改定、健康診断制度の導入などに取り組み、非正規雇用労働者の地位、処遇の向上などを行った事業主に対して、一定の額の助成金が支給される制度です。

時代の流れに応じて毎年のように内容が変化するこの制度を取り入れることで、会社の将来に通じるさまざまなメリットが期待されています。

多彩なコース設定

平成31年度のキャリアアップ助成金としては、次の7つのコースがあります。

  1. 正社員化コース
  2. 賃金規定等改定コース
  3. 健康診断制度コース
  4. 賃金規定等共通化コース
  5. 諸手当制度共通化コース
  6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  7. 短時間労働者労働時間延長コース

【参考】キャリアアップ助成金のご案内(平成31年4月1日現在)/厚生労働省

従業員キャリアアップの重要性とは

会社にとって、そこで働く従業員の存在は欠かせません。従業員の質が高ければ、それに比例して会社も成長を遂げます。そのため、従業員のスキルをアップさせ、レベルを高めることは、同時に会社のレベルもアップさせることになる重要なミッションなのです。

助成金全体に関する要件

まず、キャリアアップ助成金全般で把握しておくべき点を解説します。

支給対象事業主

全コースに共通して、以下の条件を満たしている事業主が「支給対象事業主」となります。

  • 雇用保険に加入した事業主であること
  • 有期契約労働者のキャリアアップを図る担当者の「キャリアアップ管理者」がいること
  • コース実施日までにキャリアアップ計画を作成し、所轄の労働局長の受給資格の認定を受けること
  • キャリアアップ計画期間内で適切にキャリアアップの取り組みを行うこと
  • 対象労働者の名簿や賃金台帳、出勤簿などの法定帳簿を整備、保管していること

キャリアアップ計画

キャリアアップ助成金を申請するためには、「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」 に沿った「キャリアアップ計画」を作成する必要があります。「キャリアアップ計画」とは、労働者のキャリアアップに向け、大まかな取り組み(対象者、目標、期間、事業主が行う内容)をあらかじめ記載したものです。

キャリアアップ計画は、当初の予定を記載するものなので変更が可能です。変更の場合は管轄労働局に「キャリアアップ計画変更届」を提出する必要があります。

生産性要件

キャリアアップ助成金を活用するにあたり、覚えておかなければならないのが「生産性要件」です。

生産性要件とは、今後の人口減少において懸念される労働力不足を補うため、労働生産性を高める取り組みを行い、効果があった事業主に対して行われる助成金の上乗せ制度です。具体的には、規程に沿って算出された生産性伸び率が要件を満たしているかで判断されることになります。

【参考】労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます/厚生労働省

キャリアアップ助成金を利用する際のポイント

7種類の多彩なコースが用意されているキャリアアップ助成金。すぐにでも取り組みたい!と考える場合も多いことでしょう。

助成金制度といえば、一見すると煩雑で難解に見えますが、うまく活用すれば企業経営の貴重な運営資金となりえます。ここでは、キャリアアップ助成金を利用する場合のポイントについてお伝えします。

就業規則など労働環境の整備

申請にあたり重要なことは、助成金の条件以外の労働環境を整えておくことです。助成金の審査では、雇用契約書や就業規則の内容をはじめ、出勤簿と賃金台帳を照らし合わせて未払い残業の有無についても細かくチェックされるので、日頃からの適切な勤怠管理は欠かせないといえるでしょう。

申請書の提出について

以下のサイトより、「キャリアアップ計画書」「職業訓練計画届」など必要な書類がダウンロードできます。

【参考】申請様式のダウンロード(キャリアアップ助成金)/厚生労働省

必要書類など準備物チェックリストの活用

必要書類などが正しくそろっていない場合は受給することができませんので、注意が必要です。東京労働局のホームページにコースごとの書類チェックリストが用意されており、無料でダウンロードすることができます。実施の際にはぜひ活用してみて下さい。

【参考】キャリアアップ助成金 必要書類チェックリスト/東京労働局

申請書類の提出期限に注意

また、各申請書類の「提出期限」に気をつけることも欠かせないポイントです。

たとえば、キャリアアップ計画書は、各コースの実施日までに管轄の労働局長に提出する必要があります。

実施の順番を遵守する

助成金を受給するためには、実施の順番が非常に重要です。具体的な手順についてはそれぞれのコースごとに説明をしていますが、手順を守らないと適切に助成金の受給ができない可能性があるため、注意をしなければなりません。

1日でも期限が過ぎた場合、受給ができなくなるため注意をしなければなりません。

確実に支給を受けるためには

助成金の受給要件を満たすためには1年程度の長い月日を要します。後になって受給できないことが判明することも多々あります。自社で申請手続きを行う場合は、必ず行政官庁のホームページをチェックし、不明点は担当窓口に相談しながら取り組むことをお勧めします。

専門家に頼る方法も有効

もしも、自社の雇用環境が適切なのか不安な場合や、取り組みが困難だと思われる場合には、外部に依頼することも一つの手段です。

助成金については社会保険労務士(社労士)という専門家が存在します。厚生労働省が管轄する助成金の申請は社労士の独占業務であるため、社労士に依頼することでより確実に助成金を受給することができます。

当然ながら、依頼するには費用が発生します。平均的には着手金としておよそ3~5万円程度、助成金の入金時には成功報酬として10%~35%の支払いが発生します。社労士事務所によっても報酬形態は異なるため、依頼する際はどのような支払方法かをよく確認して依頼しましょう。

各県ごとの助成金を確認する

都道府県によっては、助成金に上乗せして独自の助成金が支給されるところもあります。

例えば、東京都では、非正規労働者の正社員化を推進するため、キャリアアップ助成金に上乗せして「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金」が支給されています(平成31年度の受付は終了・令和2年度は未定)。キャリアアップ助成金は国内でも注目されている、労働者のスキルアップを図るために注目されている助成制度です。助成金に挑戦する際は、都道府県独自の助成金がないか、確認する事が重要です。

【参考】正規雇用等転換安定化支援事業/東京都 TOKYOはたらくネット

助成金を受給できない事業主

以下のいずれかの条件に該当する申請事業主は助成金を申請することができません。要は、法令に違反せず、適切な経営をしているかが問われることになります。

①支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
②支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
③性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主 4 暴力団と関わりのある事業主
④暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れがある団体等に属している事業主
⑤支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
⑥支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない※事業主
【引用】キャリアアップ助成金のご案内(平成31年4月1日現在)/厚生労働省

それでは、ここからは各コースの概要や気になる助成金額について、順を追って確認していきましょう。

正社員化コース

有期雇用労働者や無期雇用労働者を正社員に転換した場合や、多様な正社員(短時間正社員・勤務地限定正社員・職務限定正社員など)に転換した場合に助成金が受給できます。

対象となる労働者は以下のいずれかに該当する者です。その他、過去3年以内に正規雇用者として雇われた経験がないこと、などの複数要件が設けられています。

  • 雇用期間が通算して6ヵ月以上の有期契約労働者
  • 雇用期間が6ヵ月以上の無期雇用労働者
  • 同一業務に6ヵ月以上継続して労働者派遣に従事している派遣労働者
  • 事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、修了した有期契約労働者等

助成内容と助成額

助成金の対象となる雇用形態の転換は以下のとおりであり、転換内容や生産性の向上具合によって助成される金額が異なる点がポイントとなります。これは、一定の成果を上げた事業所に対し、より多くの助成を行うシステムから成り立っている金額設定です。

なお、正社員には、多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員および短時間正社員)も含まれますので、注意が必要です。

<中小企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
有期契約労働者→正社員 57万円 72万円
有期契約労働者→無期契約 28万5千円 36万円
無期契約労働者→正社員 28万5千円 36万円

<大企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
有期契約労働者→正社員 42万7,500円 54万円
有期契約労働者→無期契約 21万3,750円 27万円
無期契約労働者→正社員 21万3,750円 27万円

※1人あたりの助成額 ※1年度1事業所当たり20人まで申請可

そのほか、派遣労働者を正社員として直接雇用した場合や、母(父)子家庭の母(父)を正社員または無期契約へ転換した場合など、一定の要件に該当するには、加算額が設けられています。

申請の流れとスケジュール

申請の主な流れは以下の通りです。

  1. 対象労働者を6ヶ月以上雇用
  2. キャリアアップ計画書の提出
  3. 就業規則の整備
  4. 正社員等への転換
  5. 転換後の賃金を6ヵ月分支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内に申請

注意点

正社員化コースでは、入社時にあらかじめ正規雇用労働者または多様な正社員として雇用することを約束して雇い入れられていた場合は対象外となります。 また、転換制度に規定したものと異なる手続き、要件、実施時期等で転換した場合や順序を間違ってしまった場合には助成金をもらうことが出来なくなってしまいます。

助成金をもらうためには綿密な計画が必要です。

賃金規定等改定コース

有期契約労働者の賃金規定を改定し、基本給を2%以上増額させた場合に助成金が支給されます。

助成内容と助成額

助成金額は、対象有期労働者の範囲や人数に応じて、次のように設定されています。

1.すべての有期契約労働者が対象の場合

<中小企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
1人~3人 9万5,000円 12万円
4人~6人 19万円 24万円
7人~10人 28万5,000円 36万円
11人~100人 28万5千円 3万6,000円

<大企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
1人~3人 7万1,250円 9万円
4人~6人 14万2,500円 18万円
7人~10人 19万円 24万円
11人~100人 1万9,000円 2万4,000円

2.一部の有期契約労働者が対象の場合

<中小企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
1人~3人 4万7,500円 6万円
4人~6人 9万5,000円 12万円
7人~10人 14万2,500円 18万円
11人~100人 1万4,250円 1万8,000円

<大企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
1人~3人 3万3,250円 4万2,000円
4人~6人 7万1,250円 9万円
7人~10人 9万5,000円 12万円
11人~100人 9,500円 1万2,000円

※1事業所あたりの助成額 ※1年度1事業所当たり100人まで申請可(申請回数は1年度1回のみ)

そのほか、中小企業で3%以上の増額改定した場合や職務評価を導入した場合には、加算額が設けられています。

申請の流れとスケジュール

申請の主な流れは以下の通りです。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 賃金規定等の増額改定の実施
  3. 増額改定後の賃金に基づき6ヵ月分の賃金を支給
  4. 6ヵ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内に支給申請

健康診断制度コース

有期契約労働者に対し、法律の基準を超えた内容の健康診断制度を新たに設け、4人以上の労働者に受診をさせた場合に助成金が受給できます。

対象労働者

このコースの対象となる有期契約労働者とは、次の要件に該当する者をいいます。

  • 無期雇用契約者ではない者
  • 週当たり所定労働時間数が、正社員の4分の3以上ではない者
  • 検診受診日に雇用保険の加入者である者
  • 社長・取締役の3親等以内の親族ではない者
  • 支給申請日に離職していない者

助成内容と助成額

実際に受けることができる金額は次の通りです。

なお、一つの事業所につき支給回数は一回だけです。覚えておきましょう。

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
中小企業 38万円 48万円
大企業 28万5,000円 36万円

※1事業所あたりの助成額 ※1事業所当たり1回のみ申請可

申請の流れとスケジュール

申請の主な流れは以下の通りです。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 就業規則等へ健康診断制度の規定
  3. 4人以上に健診を実施
  4. 実施日の属する月の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

賃金規定等共通化コース

有期契約労働者に対して正社員と共通する賃金規定を新たに導入した場合に助成金が受給できます。

対象労働者

このコースの対象となる労働者とは、次の要件すべてに該当する者をいいます。

  • 新たな賃金規定の導入日の前日より3ヶ月以上前から、導入後半年以上継続雇用されている有期契約労働者
  • 正社員と同一区分に格付けされている労働者
  • 新たな賃金規定導入日以降の期間に雇用保険の加入者である者
  • 社長・取締役の3親等以内の親族ではない者
  • 支給申請日に離職していない者

助成内容と助成額

実際に受けることができる金額は次の通りです。

なお、一つの事業所につき支給回数は一回だけです。覚えておきましょう。

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
中小企業 57万円 72万円
大企業 42万7,500円 54万円

※1事業所あたりの助成額 ※1事業所当たり1回のみ申請可

そのほか、賃金規定を共通化した有期契約労働者の人数が2人以上である場合には、その人数に応じた加算額が設けられています。

申請の流れとスケジュール

申請の主な流れは以下の通りです。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 有期契約労働者と正社員に共通する賃金規定の作成・実施
  3. 新たな賃金規定に沿った形で6ヶ月分の賃金を支給
  4. 3の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

諸手当制度共通化コース

有期契約労働者に対して正社員と共通する新たな諸手当(家族手当や住宅手当など)制度を導入した場合に助成金が受給できます。

対象労働者

このコースの対象となる労働者とは、次の要件すべてに該当する者をいいます。

  • 新たな諸手当制度の導入日の前日より3ヶ月以上前から、導入後半年以上継続雇用されている有期契約労働者
  • 新たな賃金規定導入日以降の期間に雇用保険の加入者である者
  • 社長・取締役の3親等以内の親族ではない者
  • 支給申請日に離職していない者

助成内容と助成額

実際に受けることができる金額は次の通りです。

なお、一つの事業所につき支給回数は一回だけです。覚えておきましょう。

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
中小企業 38万円 48万円
大企業 28万5,000円 36万円

※1事業所あたりの助成額
※1事業所当たり1回のみ申請可

そのほか、諸手当制度を共通化した有期契約労働者の人数が2人以上である場合にはその人数に応じた加算額や、共通化した諸手当が2つ以上である場合にはその数に応じた加算額が設けられています。

申請の流れとスケジュール

申請の主な流れは以下の通りです。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 新たな諸手当制度の導入
  3. 新たな諸手当制度に沿った形で6ヶ月分の賃金を支給
  4. 3の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

社会保険の選択的適用拡大制度が導入されることに伴い、新たに社会保険の適用対象となる有期契約労働者の賃金を、一定額引き上げた場合に助成金が受給できます。

対象労働者

このコースの対象となる労働者とは、次の要件すべてに該当する者をいいます。

  • 有期契約労働者である者
  • 賃金引き上げ日の前日より3ヶ月以上前から継続雇用されている有期契約労働者
  • 賃金引き上げ日の前日より以前の3ヶ月間、社会保険の加入対象ではなかった者
  • 社長・取締役の3親等以内の親族ではない者
  • 支給申請日に離職していない者

助成内容と助成額

実際に受けることができる金額は次の通りです。なお、一つの事業所につき支給回数は一回だけです。覚えておきましょう。

<中小企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
3%以上5%未満 2万9,000円 3万6,000円
5%以上7%未満 4万7,000円 6万円
7%以上10%未満 6万6,000円 8万3,000円
10%以上14%未満 9万4,000円 11万9,000円
14%以上~ 13万2,000円 16万6,000円

<大企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
3%以上5%未満 2万2,000円円 2万7,000円円
5%以上7%未満 3万6,000円 4万5,000円
7%以上10%未満 5万円 6万3,000円
10%以上14%未満 7万1,000円 8万9,000円
14%以上~ 9万9,000円 12万5,000円

※1人あたりの助成額
※1事業所当たり1回のみ、45人まで申請可

申請の流れとスケジュール

申請の主な流れは以下の通りです。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 社会保険の適用拡大措置に関する労使合意措置
  3. 有期契約労働者の社会保険加入手続き・基本給アップ
  4. 基本給アップ後6ヶ月分の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

短時間労働者労働時間延長コース

有期契約労働者の一週間あたりの所定労働時間を5時間以上増やした場合や、賃金規定等改定コースの適用とあわせて実施し、有期契約労働者の一週間あたりの所定労働時間を1時間以上5時間未満延長することで、新たに社会保険の適用対象とした場合に助成金が受給できます。

対象労働者

このコースの対象となる労働者とは、一週間あたりの所定労働時間を増やす前日より6ヶ月間、社会保険の加入対象者ではなかった有期契約労働者です。また、社長・取締役の3親等以内の親族ではないことや、支給申請日に離職していないことが条件として挙げられます。

その上で、次のいずれかの要件に該当する必要があります。チェックしてみましょう。

  • 一週間あたりの所定労働時間を5時間以上増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者
  • 一週間あたりの所定労働時間を1時間以上2時間未満増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者で、延長後の基本給が延長前より13%以上増額した者
  • 一週間あたりの所定労働時間を2時間以上3時間未満増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者で、延長後の基本給が延長前より8%以上増額した者
  • 一週間あたりの所定労働時間を3時間以上4時間未満増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者で、延長後の基本給が延長前より3%以上増額した者
  • 一週間あたりの所定労働時間を4時間以上5時間未満増やした日より6ヶ月以上継続雇用されている有期契約労働者で、延長後の基本給が延長前より2%以上増額した者

助成内容と助成額

実際に受けることができる金額は次の通りです。

①有期契約労働者の一週間あたりの所定労働時間を5時間以上増やし、新たに社会保険の適用対象とした場合

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
中小企業 22万5,000円 28万4,000円
大企業 16万9,000円 21万3,000円

※1人あたりの助成額 ※1年度1事業所当たり45人(下記②との合計)まで申請可

②賃金規定等改定コースもしくは選択的適用拡大導入時処遇改善コースの適用とあわせて実施し、手取り収入が減らないよう有期契約労働者の一週間あたりの所定労働時間を1時間以上5時間未満延長することで、新たに社会保険の適用対象とした場合

<中小企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
1時間以上2時間未満 4万5,000円 5万7,000円
2時間以上3時間未満 9万円 11万4,000円
3時間以上4時間未満 13万5,000円 17万円
4時間以上5時間未満 18万円 22万7,000円

<大企業>

  助成金額 生産性の向上が認められる場合
1時間以上2時間未満 3万4,000円 4万3,000円
2時間以上3時間未満 6万8,000円 8万6,000円
3時間以上4時間未満 10万1,000円 12万8,000円
4時間以上5時間未満 13万5,000円 17万円

※1人あたりの助成額
※1年度1事業所当たり45人まで(上記①との合計)申請可

申請の流れとスケジュール

申請の主な流れは以下の通りです。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 一週間あたりの所定労働時間延長の実施
  3. 延長後6ヶ月分の賃金を対象労働者へ支給
  4. 3の賃金支給日の翌日より2か月以内に支給申請

キャリアアップ助成金の活用例

国の企業に対する助成金にはさまざまなものがありますが、その中でもキャリアアップ助成金は労働者の処遇改善などに特化したものです。

このため、これから社内制度を充実させていこうとする中小企業などであれば、すべてのコースへの申請も考えられますし、ある程度の社内制度が整っている企業であれば、「正社員化コース」への申請がお勧めです。

中小企業では全コースが対象

中小企業(特に数人程度の企業)では、そもそも賃金や諸手当の規定、また、有期契約労働者に対する健康診断制度などが整備されていないことが多く、これらを整備して実施するだけで各コースに申請できる可能性があります。

多くの中小企業では、キャリアアップ助成金を含めて各種助成金の存在を知らないまま、社内制度の見直しを行っています。 何か社内制度を改善していこうとする場合には、そのことに該当する助成金がないか、管轄労働局やハローワークなどに相談してみてはいかがでしょうか。

特にサービス業では「正社員化コース」

非正規雇用が多く存在するサービス業では「正社員化コース」が活用されています。 飲食店、販売店などでは、労働者の人数は多くても育児・介護などの事情により一定の時間しか勤務できず、パートタイマーなどの非正規雇用契約で働く方が多く存在します。長く働いており、業務効率も申し分なく会社への貢献度も高いのに、フルタイムで働くことができない。そういう方を雇用している場合は「正社員化コース」を狙うチャンスです。

子どもの成長に応じてフルタイム勤務が可能となった労働者が発生した場合には、正社員に転換します。すると、会社側には経験もあり能力の高いパートタイマーが戦力になるというメリットが生まれ、労働者側には、正社員となり責任やモチベーションが上昇することで、仕事のやりがいが増すという効果が生じます。

会社側・労働者側、ともにWin-Winとなる関係づくりのため、制度を活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • キャリアアップ助成金は、企業の正規転換やスキルアップ、昇給、手当支給などの方法で有期契約労働者の待遇を改善させ、キャリアアップさせる取組をサポートする助成制度。
  • コース設定は正社員化、賃金規定等改定、健康診断制度、賃金規定等共通化、諸手当制度共通化、選択的適用拡大導入時処遇改善、短時間労働者労働時間延長の7種類。
  • キャリアアップ助成金を受給する場合、受給要件の遵守や生産性要件の熟知、実施の手順の確認、書類作成におけるチェックリストの活用、提出期限厳守などの点を押さえる。

<執筆者>
本田 勝志 社会保険労務士

関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。退職後、2010年に社会保険労務士試験に合格。社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業における労務管理等を担当。


仮登録メール確認