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2018年8月27日(月)更新

離職票

離職票とは、退職者が失業給付(いわゆる失業保険)を申請するために必要なもので、会社がハローワークに退職の届け出をすることで交付されるものです。この届け出が遅れると、退職者の失業給付の申請も遅れることになるため、労務管理担当者はこの離職票の重要性や会社の交付義務などを十分に認識し、速やかな手続きを心がけなければなりません。

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離職票とは

離職票(正しくは雇用保険被保険者離職票)は、退職者が失業給付を申請するために必要なものであり、会社は退職者の希望に応じてハローワークに交付手続きを行わなければなりません。

離職票の交付目的

ハローワークが退職者に対して離職票を交付するのは、失業給付の事務処理を円滑にするためです。

退職者が失業給付を受給するためには、原則として、離職以前の2年間で雇用保険の加入期間が1年以上あることなどの要件があり、失業給付の額はその期間の給与額によって算定されることになります。離職票はこれらを確認するための書類であり、この交付を受けた離職者はあらためてハローワークに提出することで、受給資格の確認を受けることになります。

会社の手続き義務

会社は従業員が退職した場合、社会保険(健康保険、厚生年金保険)と労働保険(雇用保険)の資格喪失手続きを行わなければなりません。

雇用保険に関して言えば、資格喪失届を退職日の翌々日から10日以内にハローワークに提出し、退職者が離職票の交付を希望する場合には、あわせて離職証明書(離職票の交付を受けるために必要なもの)も提出しなければならないことが、雇用保険法および施行規則に定められています。

退職者が59歳以上である場合

退職者が離職票を希望しない場合でも、退職者が59歳以上である場合には、必ず交付手続きを行わなければならないため注意が必要です。

これは、その者が60歳になった時に、次の会社から「60歳到達時等賃金証明書」というものをハローワークに提出しなければならないため、退職時の賃金情報が必要になってくるからです。
(これを提出することで、60歳以降の賃金が60歳時点の賃金よりも一定割合下がった場合に「高年齢雇用継続給付」という給付金が受けられます。)

離職証明書とは

離職証明書とは、ハローワークから離職票の交付を受けるために提出しなければならない書類です。この書類は、A3サイズ横長の3枚複写式になっており、下記のとおり1枚目が事業主の控え、2枚目がハローワーク提出用、3枚目が退職者に渡すべき離職票になっています。

ハローワークにこの書類を提出すると、記載内容の確認を受け(場合によっては訂正指示あり)、1枚目と3枚目が返却されます。

【離職証明書(3枚複写式)の内訳】

退職証明書との違い

離職証明書と似たような名称の書類で、「退職証明書」というものがあります。様式としては以下のようなものになりますが、この書類は離職証明書のようにハローワークに提出するものではなく、会社が退職者の請求に応じて発行するものです。

記載事項としては、雇用期間や業務の種類、また、会社での地位、賃金、退職理由などが労働基準法に挙げられており、その中から退職者が請求する事項のみを記載することになっています。

退職者にこの退職証明書が必要となるケースには、次の就職先から提出を求められることなどが考えられますが、国民健康保険の加入時などにも活用できるため、念のために請求しておくような従業員もいます。国民年金や国民健康保険への切り替えには、本来、別に発行している、健康保険・厚生年金保険に関する資格喪失証明書を使用します。

いずれにしても、退職者から請求があれば、離職票と同様に迅速に対応する義務があるものになります。

【退職証明書の様式例】

【出典】【東京労働局】退職証明書(様式)

離職票-1と離職票-2とは

離職票には、離職票-1と離職票-2の2つがあります。どちらも会社から離職証明書を提出することでハローワークから交付されるものです。

離職票-1

離職票-1は、以下のようなカード式のもので、離職者の氏名や雇用保険の被保険者番号、資格取得年月日、離職年月日などが印字されているものです。

退職者がハローワークで失業給付を申請する際には、個人番号(マイナンバー)と失業給付の振り込み先となる銀行名、口座番号などを書き加えて提出することになります。

【離職票-1・資格喪失確認通知書(被保険者通知用)】

【出典】【ハローワークインターネットサービス】記入例:雇用保険被保険者離職票-1

離職票-2

離職票-2は、先に説明したとおり離職証明書の3枚目にあたるもので、以下のように会社で記入した事項が複写されたものに退職者が署名、押印する形になります。

退職者がハローワークで失業給付を申請する際には、離職票-1とあわせて提出することになります。

【離職票-2】

【出典】【ハローワークインターネットサービス】記入例:雇用保険被保険者離職票-2

離職票の交付手続きの流れ

ハローワークから離職票の交付を受けるためには、離職証明書を作成、提出しなければなりませんが、この離職証明書は会社で勝手に作成、提出してよいものではなく、退職者本人に必ずその内容を確認させ、署名を得たうえで提出しなければなりません。

具体的な書き方については別に説明しますが、まずは、交付手続きの流れについて説明します。

離職証明書の作成

該当従業員の退職日が決定した段階で、離職証明書の作成を開始します。退職までの給与額なども記入しなければならないため、この時点では完成させることはできませんが、退職月の給与額以外は記入することができます。

退職者による確認

会社側での記入を終えたあと、離職証明書を3枚セットのまま退職者に渡し、内容の確認と署名を依頼します。この際、退職者には自分で記入しなければならない箇所や、離職票全体についての簡単な説明(記入している賃金額は、給与明細上の総支給額(各種控除前)であることや離職理由を自己都合退職としていることなど)はしておかなければなりません。

また、退職者は有給休暇を消化する傾向があるため、なかなか連絡が取れなくなる場合があります。退職日が決まった時点で、その者がどのような勤務状況になるのかを確認しておくことも必要です。

ハローワークへの提出

本人の確認を終えた離職証明書は、退職後、できるだけ速やかにハローワークに届け出ます。
(法令上の届け出期限は、先に説明のとおり、退職日の翌々日から10日以内です。)

この際、次の書類とあわせて提出しなければなりません。

  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 確認書類(雇用契約書や労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、退職届の写しなど)

なお、ハローワークへの届け出は、窓口に持参するほか、返信用の封筒を同封すれば郵送でも可能です。また、一定の手続きを行えば電子申請もできるようになりますが、一番早く離職票を入手できるのは、当然ながら窓口に持参する方法です。待ち時間はあるもののその場で交付してもらえます。

電子申請の手続きについては、以下の厚生労働省やe-Gov(イーガブ)のホームページでなどでご確認ください。

【参考】雇用保険関係手続き 電子申請のご案内/厚生労働省
【参考】雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)(平成30年1月以降手続き)/e-Gov(イーガブ)

ハローワークからの交付

ハローワークへ離職証明書を提出すると、次のものが交付されます。

  1. 雇用保険被保険者離職票-1・資格喪失確認通知書(被保険者通知用)
  2. 雇用保険被保険者離職票-2
  3. 失業給付の手続きに関するパンフレット
  4. 雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(事業主通知用)
  5. 雇用保険被保険者離職証明書(事業主控)

上記のうち、1から3については退職者に送付し、4と5に関しては会社の控えとして保管しておきます。

退職者への送付

上記の書類を退職者あてに送付することになりますが、送付過程で紛失する可能性もあるため、書留などの引き受けから配達まで記録が残る方法で送付することが望まれます。

また、退職者は退職とあわせて転居することも多いため、退職前に郵便物の送付先を確認しておくことも必要です。

離職証明書の記入方法(1)(用紙左側部分)

離職証明書の記入方法について、記入例を挙げてみていきます。

先に説明したとおり、離職証明書はA3サイズ横長の3枚複写式になっていますが、記入しなければならない箇所は、1枚目だけでなく2枚目や3枚目にもあります。このため、2枚目や3枚目の記入例を参考にしながら、離職証明書の左側部分と右側部分に分けて解説していきます。

まず、離職証明書の左側部分は、下記のとおり退職者と会社の基本情報に加え、退職する従業員のこれまでの給与額を記入する形になっていますが、会社、退職者ともに記入すべき箇所があります。
(退職者が記入する部分は赤枠にしています。)

【離職証明書2枚目左側部分の記入例】

【ハローワークインターネットサービス】記入例:雇用保険被保険者離職票-2を一部加工

会社の記入事項

会社が記入する事項は主に以下のとおりです。

退職者の被保険者番号、氏名、住所等

雇用保険被保険者番号は、その従業員が入社した際に交付された、被保険者証や事業主通知用の資格取得等確認通知書に記載されていますので、その番号を記入します。

会社の事業所番号、事業所名称、所在地等

会社の雇用保険事業所番号、事業所の名称・所在地・電話番号、事業主の住所・氏名を記入して、社印を押印します。雇用保険事業所番号は、雇用保険関係の通知には概ね記載されていますので、その番号を記入します。

なお、社印を押印するのはこの2枚目(安定所提出用)だけになりますので、注意が必要です。窓口での訂正も考慮すると、上記の画像で言えば、左側の欄外に捨印を押しておくことも必要です。

退職者の賃金支払状況等

上記画像の下半分になりますが、被保険者期間算定対象期間と賃金支払対象期間、また、それぞれに対応する賃金支払基礎日数、支給した賃金額などについて記入します。

被保険者期間算定対象期間・賃金支払基礎日数

被保険者期間算定対象期間は、離職日の翌日から1か月ごとにさかのぼって記入します。
これに対応する賃金支払基礎日数とは、被保険者期間算定対象期間のうち、賃金の支払い対象となった期間のことで、一般的な月給制の場合には、被保険者期間算定対象期間の暦日を記入します。(日給制のような場合には、出勤した日数を記入することになります。)

賃金支払対象期間・賃金支払基礎日数

賃金支払対象期間は、上記の被保険者期間算定対象期間に対応する給与の締め期間を記入します。
これに対応する賃金支払基礎日数とは、賃金支払対象期間のうち、賃金の支払い対象となった期間のことで、一般的な月給制の場合には、賃金支払対象期間の暦日を記入します。(日給制のような場合には、出勤した日数を記入することになります。)
なお、これらは原則として12か月分記入しなければなりませんが、失業給付の計算方法が退職前6か月間の賃金総額を基準としたものになっているため、完全月(給与全額が支払われている月)が6か月分あれば、それ以前は省略しても構わないこととされています。

賃金額

賃金額は、上記の賃金支払対象期間に対応する賃金額を記入します。
この欄にはA欄とB欄がありますが、賃金が月または週などの期間で定められている場合にはA欄に記入、賃金が日や時間、出来高で整理されている場合にはB欄に記入することになっているため、一般的な月給制である場合にはA欄に記入します。
賃金額は、通勤手当などその他すべての手当を含め、所得税や住民税、また、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などを控除する前の総支給額になりますので注意が必要です。
なお、上記の画像では、退職月の給与額(95,000円)が記入されていますが、締日の関係で給与計算が間に合わない場合には、「未計算」と記入しておけば問題ありません。(先に説明のとおり失業給付の計算の基礎となるのは完全月だけであるため)

退職者の記入事項

退職者が記入するのは、上記画像の右下赤枠部分だけになりますが、会社が記載した自身の被保険者番号や氏名、住所、離職年月日、賃金などを確認し、署名、押印します。
(このあと説明する署名欄も同様ですが、自筆による署名の場合には押印は省略できます。)

離職証明書の記入方法(2)(用紙右側部分)

離職証明書の右側部分は、下記のとおり、離職理由などを記入する形になっています。こちらも会社、退職者とも記入すべき箇所があります。
(退職者が記入する部分は赤枠にしています。)

【離職証明書2枚目右側部分の記入例】

【ハローワークインターネットサービス】記入例:雇用保険被保険者離職票-2を一部加工

【離職証明書3枚目(離職票-2)右側部分の記入例】

【ハローワークインターネットサービス】記入例:雇用保険被保険者離職票-2を一部加工

会社の記入事項

会社が記入するのは、2枚目だけになりますが(実質的には1枚目に記入すれば複写されます)、従業員の離職理由について、あらかじめ用紙に印字されているものの中から選択して〇を付け、「具体的事情記載欄(事業主用)」にその内容を記入します。

上記の画像の例では、一身上の都合による離職であるため、離職理由として、「労働者の個人的な事情による離職」に〇を付け、「具体的事情記載欄(事業主用)」には、「自己都合による退職」と記入しています。

退職者の記入事項

退職者が記入する事項は、2枚目と3枚目の両方にあります。

2枚目には、会社が〇を付けた離職理由について、意義がある場合には「有り」、ない場合には「無し」に〇を付けて、署名、押印します。

3枚目には、会社が〇を付けた離職理由について、あらためて退職者が〇を付け、その状況を具体的に記入する欄などがあります。また、会社が記入した「具体的事情記載欄(事業主用)」の内容について、意義の有無を記入します。

上記の画像の例では、一身上の都合による離職のうち、転職を希望するものであるため、離職理由として、「その他」に〇を付け、具体的な状況として、「転職希望による自己都合退職」と記入しています。また、会社が記入した「具体的事情記載欄(事業主用)」の「自己都合による退職」について異議がなかったため、「同上」と記入しています。

これらすべての確認、記入が完了すれば、3枚目右下に署名、押印します。

離職票に関する主なトラブル・注意点

離職票は退職者が失業給付を申請するために必要なものであり、失業給付は退職後の生活にかかわるものであるため、会社側が対応を誤ると大きなトラブルを招きかねません。

最後に、離職票に関する主なトラブルを挙げてその注意点について説明します。

離職票の送付が遅い

退職者との間で最も多いトラブルは、離職票の送付の遅さによるものです。

先に説明したとおり、離職証明書は退職日の翌々日から10日以内にハローワークに提出しなければならないことになっています。退職後、すぐにハローワークに出向いて届け出れば、離職票はその日のうちに交付されますが、待ち時間が長くなることもあり、実務的には郵送での届け出になる傾向があります。この場合、各ハローワークの状況や時期にもよりますが、離職票を入手するまでに2週間程度はかかってしまうことになります。

退職者は、すぐに離職票をもらえるものと思っているため、退職前に送付できるタイミングを説明しておくことが望まれます。

離職理由が本人の認識と異なる

離職証明書(離職票-2)には離職理由を記入する欄がありますが、例えば、会社からの働きかけによる退職であるにもかかわらず、会社側で自己都合による退職などと記入した場合には、退職者との間で大きなトラブルになります。

退職者にとって、離職理由を会社からの働きかけによるものとして整理されるのか、自己都合によるものとして整理されるのかは、失業給付の受給開始時期や給付日数にも関係してくるため、非常に重要な問題になります。

解雇や、直接あるいは間接的な退職勧奨、賃金の未払いなどを理由とした退職の場合、また、自己都合による退職であっても、自身や親族の病気などを理由とした退職の場合には、失業給付においては、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」とされ、すぐに失業給付を受給でき、給付日数なども通常の受給資格者と比べて優遇されることになっています。

このため、会社の担当者にはある程度の失業給付に関する基礎知識も求められますが、離職理由について判断が難しい場合には、トラブルを防ぐためにも社会保険労務士などの専門家に確認することをお勧めします。

【参考】特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要/ハローワークインターネットサービス

記載内容について本人に確認がない

離職証明書(離職票-2)について、退職者本人に記載内容を確認することなく会社側だけで記入を完結し、ハローワークから離職票の交付を受けることも不可能ではありません。

例えば、離職証明書の作成時点で既に退職してしまっていて、連絡が取れないような場合には、本人署名欄にはその旨を記入し、社印を押印することで手続きは可能ですし、実務上は、本人に了解を得たうえ、すべて会社側で記入することもあり得ます。

しかしながら、上記のように離職理由について少しでも認識の違いがあるような場合には、本人に了解を得ていても勝手に記入されたと主張されることもあるため、可能な限り、退職前に離職証明書(離職票-2)を完成させ、本人に確認しておかなければなりません。

まとめ

  • 離職票とは、退職者が失業給付を受けるために必要なものである。
  • 離職票は、希望する者と59歳以上の者(希望の有無にかかわらず)には必ず渡さなければならない。
  • ハローワークから離職票の交付を受けるためには、離職証明書を作成して提出しなければならない。
  • 離職証明書は、会社だけで作成、提出してよいものではなく、その記載内容について退職者に確認を取らなければならない。
  • 退職者の離職理由が自己都合によるものでない場合には、その整理について十分な注意が必要である。

<執筆者>
本田 勝志 社会保険労務士

関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。退職後、2010年に社会保険労務士試験に合格。社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業における労務管理等を担当。


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