はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2017年10月22日(日)更新

従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントの意味とは、会社の方針や戦略を、経営者を含む従業員全員に浸透させるために有効な手段を指します。急速な発展を遂げる新興国や流動的に変化する世界情勢の影響で、日本企業も早急なグローバル化が求められています。今回は、企業の成長に不可欠な従業員エンゲージメントについて、ご紹介いたします。

従業員エンゲージメント に関するニュースやイベントの情報を受取る

メインビジュアル

従業員エンゲージメントとは?

元々、ビジネスの世界においてのエンゲージメントとは、マーケティング活動における企業と顧客を結びつけることを意味します。

世界140ヵ国以上に社員を抱える世界有数のコンサルティング会社『ウイリス・タワーズワトソン』によると、従業員エンゲージメントとは従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲としています。

従業員の自発的な貢献意欲をさまざまな点から評価・測定することで、最大のパフォーマンスを発揮させる最適の手段といえます。

従業員満足度との違い

企業と従業員の関係を測る指標の一つに従業員満足度というものがあります。従業員満足度とは従業員が組織で働く上での居心地の良さを指します。

つまり、福利厚生や労働環境、上司や部下との人間関係などが挙げられます。

しかし、この従業員満足度と企業の業績アップは相関関係になく、必ずしも企業の業績アップに役立つということはありません。

一方で、『ウイリス・タワーズワトソン』の調査の結果、従業員エンゲージメントの向上は企業の業績向上に大きな影響を与えることがわかってきました。

現在の日本では、かつてのようなイノベーションを起こすだけの製品・サービス開発能力が低下しつつあります。そのため、従業員エンゲージメントの導入はイノベーションを起こしやすい社風、戦略を実現しやすい企業文化を創り出す上で、重要な経営手法といえます。

従業員エンゲージメントが必要な理由

従業員エンゲージメントは企業の成長につながる社風や文化の形成に役に立つだけでなく、優秀な人材の流出を防ぐことができます。

終身雇用や年功序列システムが崩壊し、成果に基づく人事評価を導入する企業が増えています。

また、短期的な成果も評価対象となるため、従業員の会社に対する愛着や忠誠心が低下しつつあります。

しかし、自発的な貢献意欲を高める従業員エンゲージメントは、年収や待遇とは別に、企業と労働者との間に、信頼関係と似た“絆”が生み出すことができます。

結果、優秀な人材を他の企業からのヘッドハンティングされるリスクを回避することができます。

【参考】終身雇用の意味とは?歴史とメリット・デメリットを解説 【参考】日本型雇用システムの特徴とメリット・デメリット

従業員エンゲージメントと離職率の関係性

従業員エンゲージメントは離職率の改善にも期待できます。アメリカの経営・人事管理コンサルティング会社、CEB社(Corporate Executive Board)の「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」というレポートで、従業員エンゲージメントと離職率の関係性を報告しています。

従業員エンゲージメントの高い従業員の離職率は1.2%にとどまり、従業員エンゲージメントの低い従業員の離職率は9.2%と高くなっています。

両者の差は約87%の乖離が見られるため、従業員エンゲージメントはより優秀な人材を自社に留まらせる施策としても有効と考えられます。

【出典】「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」14ページ Commitment Drives Retention 【参考】離職率とは?下げるための工夫をご紹介

従業員エンゲージメントとサービスクオリティの関係性

企業の業績を向上させるためには、従業員の生産性やサービスの向上が不可欠です。

従業員エンゲージメントはサービス、品質、安全性を高めるという研究結果が出ています。

つまり、従業員による自発的な努力は企業が掲げる戦略や目標を成し遂げる活力になることを意味します。今回はその研究結果の一部をご紹介いたします。

従業員エンゲージメントの低い従業員の内部製品・外部製品100万個あたりの品質不良が5,658件だったのに対して、従業員エンゲージメントが高い従業員のそれは僅か52件だった。

【出典】高業績を志向する管理の新潮流 - 名城大学経営学部

従業員エンゲージメントの向上と企業の売上(顧客エンゲージメント)の関係性

従業員エンゲージメントの向上と企業の売上は相関関係があるという結果が出ています。その一例をご紹介いたします。

アメリカの建設機器大手のFabick CAT社が従業員エンゲージメント施策を実施したところ、2002年の従業員エンゲージメントの高い従業員(職務を全うした)の割合が16%から、2006年には45%まで向上できました。

【出典】A Caterpillar Dealer Unearths Employee Engagement

さらにはFabick CAT社の顧客エンゲージメントスコアが8%向上しました。

【出典】A Caterpillar Dealer Unearths Employee Engagement

※顧客エンゲージメントスコアとは、お客様と企業との関係性におけるエンゲージメントを指します。顧客が製品・サービスを積極的に購入する、繰り返し購入する、価格が高くても積極的に購入する、知人・友人に積極的に勧めるなどの行動を数値化しています。

従業員エンゲージメントに最も影響する要素

コンサルティング会社『ウイリス・タワーズワトソン』が2012年に行ったグローバル・ワークフォース・スタディでは、以下の要素がグローバルに通じる共通点トップ5であるとわかりました。

リーダーシップ

日本における従業員エンゲージメントの重要要素トップ5に入っていない要素が、リーダーシップです。

日本企業において、リーダーシップのランクが低いことは、中小企業よりも大企業に勤める人が多く、恵まれた労働環境に囲まれていることが原因とされています。

しかし、激変する世界経済において、今は大企業といえども簡単に倒産や債務超過に陥る時代です。

日本企業が生き残るためには、グローバル化に適応したリーダーシップが必要といえます。

ストレス

従業員エンゲージメントを高めるためには適度なストレスも必要です。

会社の業績を上げるために短期、中長期、長期的な戦略と目標を掲げることで、適度なストレスを与えることができます。

ストレスフリーな環境では現状に甘んじてしまうため、従業員の自発的な貢献意欲や貢献感を高められるような人事評価の策定が必要です。

業務量のバランス

かつての日本では「会社への貢献のためには長時間労働も病むなし」という風潮が蔓延しており、現代でも違法な長時間労働を指摘される企業が数多く存在しています。

貢献意欲が高まると自然と業務量が増えてしまいます。

しかし、それは従業員の生産性の低下につながるだけでなく、心身共に体調を崩してしまう可能性が高くします。

そのため、年間の繁忙期と閑散期をしっかりと把握し、業務量のバランスを保つことが大切です。

ゴール・目標の明確化

ゴールのないマラソンは苦痛以外の何ものでもありません。

ビジネスの世界においても同じことがいえますが、実践している企業は思いのほか、少ない傾向にあります。

また、昔と比べ、流行り廃れも速く、経営戦略の見直しや変更を余儀なくされることもゴールや目標を明確にできない原因ともなっています。

会社としてどの方向に向かうかを短期、中期、長期という期間で、ゴール・目標を明確にし、従業員に浸透させる必要があります。

また、目標達成の折には従業員に十分な報酬を与える評価制度も必要となります。

上司との関わり

組織において、上司と部下の関係性は重要な役割となります。会社の目標や戦略は経営上層部から中間管理職、そして現場の従業員へと伝わります。

これら組織の運営に携わる全員において、信頼関係が構築されることが重要となります。

また、上司は部下の評価や育成を担う重要なポジションでもあります。そのため、叱咤激励を基にしたコミュニケーション、評価姿勢が必要です。

企業イメージ・企業のミッション

従業員が仕事を行う上で、企業のイメージと企業のミッションの浸透も重要です。

日本ではブランドに対する消費者意識が高く、大手企業に勤めているというステータスが良いとされる傾向にあります。

自社の企業イメージを世の中へ発信し、企業価値を高めることが求められます。

社会に対する貢献方法を、企業のミッションに組み込むことは従業員エンゲージメントの向上につながります。

従業員エンゲージメントを高めるポイント

従業員エンゲージメントを高めるためには、経営者や現場を指揮する上司の役割がとても重要となってきます。

部下から信頼を得られるリーダーになること

従業員エンゲージメントを高める上で、現場を取り仕切る管理職の役割は重要です。

部下の職場・プライベート両方に強い関心を持ち、気配りする必要があります。仕事を行う上で、部下が大切にしている点を把握しておくことは上司と部下との間に強い絆を生み出します。

また、5年以上在籍している部下は従業員エンゲージメントが下がりがちですので、特に注意して、気配りを行いましょう。

部下が成果を出した際は公平かつ公正な評価をすることも大切です。

また、第一線のリーダーは国籍や性別、雇用形態、世代などの多様性を理解し、それぞれに適切なアクションを取れる必要があります。

部下に権限を委譲すること

部下に意思決定・提言を行える権限委譲は、職務満足度の向上を生み出し、従業員エンゲージメントを高める効果があります。

これにより、部下は自分が抱えるプルジェクトを自らコントールし、より強い責任感の元、仕事に集中することができます。

また同時により高い権限を得られる昇進や昇給などを目指しやすくなり、部下の成長にもつながります。

前向きになる業務に取り掛かれる職務環境を作ること

前向きに仕事に取り組むためにはワーク・ライフ・バランスを尊重することが大切です。

会社・上司として従業員の健康管理とプライベートな時間を確保することは、部下が安心して職務を全うさせる義務ともいえます。

チーム内では個人間で協力や仲間意識を促し、適度にストレスを発散させることで、仕事自体を楽しむことができます。

また、管理職は部下のやる気を起こさせる方法や鍵を把握しておく必要があります。

しかし、これにはマネージャーだけの職務として運用させることは難しいことも事実です。

会社として、部下にやる気を起こさせる企業文化を創り出していく努力を行うべきです。

部下たちに自信を根付かせること

何事においても自信は人を勇気づけ、自発的な行動へと駆り出してくれます。

そのため、どんなに小さな貢献も見逃してはいけません。

部下の長所を見つけられない上司は無能とされていますが、欠点ばかりを指摘し、注意する上司は数多く存在します。

部下がどんなことに成果を出したかを見つけ出す努力を怠ってはいけません。

従業員エンゲージメントは従業員自身が高めていくものであるため、部下に自信を植え付けることで、自発的に組織に良い影響を与え、課題を解決へと導くことができます。

人事部も従業員に対して、タレントマネジメントを行い、管理職をサポートすることも大切です。

フィードバックを忘れないこと

若手の部下を育成する上で必要不可欠なことがフィードバックです。

部下の新たなスキルを開発する上でコーチングやトレーニングを行う機会を取り入れ、隠れた才能を見つけ出し、開花させる環境(タレントマネジメント)を作り出しましょう。

メンターシップやシャドーイング・プログラムも若手従業員の育成にはおすすめです。

また、フィードバックは従業員が成長するための気づきとなるだけでなく、部下の成果をきちんと把握する良い機会にもなります。

世代によっては、フィードバックの仕方が異なる場合もあるので、個性を尊重し、多様性を認める意識を忘れないようにしましょう。

エンゲージメントの測定を行うこと(実態を認識すること)

評価する立場にある上司や人事担当者は従業員エンゲージメントの調査結果を収集する必要があります。

これは将来的に必要となる人材開発の見直しや調整に必要となるデータです。

従業員との面談を行いながら、企業が目指している戦略や目標が浸透しているかを確認し、従業員エンゲージメントのレベルを理解するように努めましょう。

従業員が潜在的に有している能力の開発につとめる

従業員エンゲージメントを高めるには、会社として従業員の潜在的な能力を引き出す必要があり、従業員もまた自ら高いパフォーマンスを上げる努力をする必要があります。

これらがうまく作用した時にはじめて、高い顧客満足度を得ることができ、会社としてのパフォーマンスを向上することができます。

上層部から始める

従業員エンゲージメントを高めるためには、経営陣や上司が従業員に対して、強いメッセージを発する必要があります。これは自発的に貢献せよとメッセージを送るのではなく、日々会社が存続していることは従業員の努力によるものだという労いのメッセージを送ることが大切です。

クライアントも大切な存在ではありますが、それ以前に従業員は企業の存続に必要不可欠な大切な存在であることを認識しましょう。

まずは第一線のリーダーを引き込む

チーム・部下のモチベーションを高めるためには、マネージャー以上のリーダーのモチベーションを高めることが大切です。

そのため、従業員エンゲージメントを高めるには現場の第一線で働くリーダーに、しっかりと会社の戦略や方針を浸透させる必要があります。第一線のリーダーが前向きな気持ちになることは、チームをより活性化します。

会社の方針や戦略にネガティブな気持ちを持たせたまま、仕事をさせることは部下やチームメンバーに必ず悪影響を与えるということを理解しておきましょう。

ソーシャルメディアを活用したコミュニケーション

従業員エンゲージメントを高める上で、会社と従業員のコミュニケーションは必須といえます。

特にソーシャルメディアは個人と企業をつなぐツールとして活用できます。近年ではソーシャルメディアを使った、自社の取り組みや自分の勤める企業を紹介する人が増えてきます。

これは自社のプロモーションを行えるだけでなく、企業イメージやブランドを向上させる効果もあります。

そのため、人事担当者は実務上の従業員の管理だけでなく、ソーシャルメディアを活用したマーケティングやブランディング手法も活用する必要があります。

正しい評価体制を引くこと

従業員満足度を高めるためには、報酬を上げることは大切です。

しかし、報酬は時として不公平感を生み出し、従業員エンゲージメントを下げることにもつながります。そこで、注目したいのが成果です。

従業員であれば、誰もが成果を出すことを望んでいます。成果に焦点を充てることで、企業・個人の目標を達成しやすくし、達成時には高い達成感を得ることにつながり、従業員エンゲージメントを高める上で大切な要素となります。

そして、これらの成果の進展を追跡し、うまくいっているかどうかを評価する体制の構築も必要となります。

指標となる売上、利益、顧客満足度、品質の適度なバランスで評価し、従業員の能力を評価することは従業員エンゲージメントを高める上で、経営陣や上司が必ず行うべき行動でもあります。

俯瞰した目標と使命を与える

成果というと個人目標に目が行きがちですが、目先の仕事だけを行うことは企業に対してメリットがあるとはいえません。

そのため、自分の役割は組織全体のどの部分に位置付けられているのか、どういった使命を託されているかを従業員に共感させる必要があります。

これらを把握している従業員は自発的にパフォーマンスを高めることができます。

正しい行動と特性を備えた人材を確保する

従業員エンゲージメントの高い人材を確保することは、人事担当者の大切なミッションです。

厳格な採用選考を確立し、研修や使用期間を通じて、企業文化や社風に適した従業員を雇用しなければいけません。

人材確保のミスを行うと従業員エンゲージメントを高めるどころか、他の従業員にも悪影響を与えてしまう恐れがあります。

従業員同士がお互いの目指していることや価値観の違いを理解し、尊重し合う関係をつくる

会社や組織において、全く同じ価値観を持っている人間はいません。

そのため、上司を含めた従業員は価値観の違いを理解することが大切です。

異なる価値観を理解しなければ、些細な事でも衝突が起きてしまい、職場環境が悪化してしまいます。

お互いに違いを知ることはお互いを尊重することと同意です。普段からコミュニケーションを活発化し、相互理解を深めることが大切です。

自分たちでありたい働き方や職場の姿を描き、自分たちで挑戦しながら職場を変えていく

従業員エンゲージメントを高める労働環境は人事担当者や経営陣だけで作り出せるものではありません。

従業員が自ら働きやすい労働環境や働き方を思い描き、挑戦することで創りあげられるものです。

人事担当者としては、そういった発想や考え方に至るサポートを行い、必要であれば、環境を整えてあげるというサポート体制を構築する必要があります。

適材適所の職務を与えること

従業員が職務に対して、興味を持ち、楽しみながら取り組むことは生産性の向上においても大切です。

また、強みや得意分野を担うことは自信にもつながり、成果を出しやすくなります。

従業員との対話を通して、従業員を適材適所に配置することは人事担当者の大切なミッションでもあります。

オープンで効果的なコミュニケーション

企業の戦略や目標を達成するためにはオープンなコミュニケーションが必要不可欠です。

どんな些細なことや当たり前と思っていることでも発言しやすい環境を構築することが大切です。

コミュニケーションが活性化している職場は、従業員が働きやすい職場と言っても過言ではありません。

また、価値観の異なるチームメンバーの相互理解や尊重にもつながります。

必要なリソースを入手できる環境

仕事に必要な情報やリソースをすぐに手に入れられることは、業務の効率化やスピードアップ、さらにはストレスが溜まりにくい労働環境を生み出します。

チームや部門間でのスムーズな連携は従業員エンゲージメントを高める上でも効果的であるということも知っておく必要があります。

顧客志向を徹底する

顧客と接する機会が多い部門には、クレームや要望などにも触れる機会が多いため、従業員エンゲージメントの低下が他の部門よりも顕著に表れます。

しかし、逆に顧客からの支持を仰く、改善ができた場合は従業員エンゲージメントを大幅に向上させることもできます。

そのため、最前線で顧客と触れ合う機会がある従業員の声は企業の業績を上げる上で貴重な意見です。それらに対して、しっかりと向き合い、理解することも大切です。

持続可能なエンゲージメントに必要な要素

ウイリス・タワーズワトソン社に持続可能なエンゲージメントに必要な要素は、生産性の高い職場環境と健全な就労状態の2つであるとしています。

Engaged

従業員エンゲージメントを指します。自発的に企業へ貢献する意欲を測る指標とされ、従業員のパフォーマンスを上げる大切な要素であり、企業の業績へとつながります。

Enabled

従業員の生産性を高められる職場環境を指します。ここでは従業員の安全性はもとよりも業務を行うにあたり、必要な権限の委譲(意思決定)や業務量のバランスが従業員の生産に大きな影響を与えるとされています。

もちろん、情報やリソースの調達のしやすさやネットワーク環境も含まれます。

Energized

従業員が健康な状態で仕事に専念できる勤労状況を指します。長時間労働や一人で対応しきれない業務量は従業員の心身に深刻な影響をもたらします。

従業員自身が行える業務量を把握・理解できる環境が大切です。

また、この勤労状況にはフレックスや裁量性を取り入れた働き方といった肉体面と、達成感やプレッシャーといった精神面の2つが含まれています。

従業員エンゲージメントを取り巻く昨今のトレンド

企業が優秀な人材を獲得するためには、従業員エンゲージメントを高める環境を構築する必要があります。

これは企業を選ぶ従業員が社風や労働環境に注目し、企業を選ぶことが主流となってきたことを意味します。

では、現在の企業が実践している従業員エンゲージメントのトレンドはどんなものがあるのでしょうか。

従業員エンゲージメントの重要性は増す

職場における成功の基盤ともいえる従業員エンゲージメントは、今後も重要性を増します。

また、従業員エンゲージメントはすぐに醸成することができないため、忍耐強く、続けていく必要があります。

パーソナル・アカウンタビリティがテーマとなる

パーソナル・アカウンタビリティとは、自らの言行に対して、自ら責任を負うことを指します。

従業員はこのパーソナル・アカウンタビリティが自身の成長に必要な大きなテーマとして捉え、実践することで自らのキャリアを形成できると認識しています。

そのため、従業員エンゲージメントを高めるにあたり、従業員がパーソナル・アカウンタビリティを実践しやすい社風や企業文化を形成する必要があります。

スキルアップの機会やステップが離職率を左右する

自発的に成果を出そうとする従業員は、スキルアップの機会やキャリア形成のステップを探し求めています。

そのため、企業としてスキルアップの機会やステップを踏める社風を構築することが離職率対策にもつながります。

グローバル人材を生み出す新人研修

未来志向で自発的に動く従業員を育成するためには、新人研修の内容も従業員が自分のキャリアを思い描けるようなプロセスを導入する必要があります。

それは今必要とされているグローバル人材の育成にもつながります。従来の座学を中心とした研修では自発的な精神を削ぐ恐れがあります。

同僚や仕事仲間は不可欠な存在

従業員エンゲージメントを高める上で、大切な役割を果たすのが仕事仲間と同僚です。

これは上司からの評価よりも仕事仲間や同僚からの評価が高い方が、従業員満足度が高いという相関関係にあるためです。

従業員エンゲージメントを高めるためには、同僚や仕事仲間の存在が大切であり、仲間意識を形成できる環境が大切です。

従業員が行う「横方向」のマネジメント

従来のマネジメントは、上司と部下の「縦方向」で行われていましたが、今後は同僚や仕事仲間をチームメンバーとして求める「横方向」のマネジメントが求められます。

これは従業員がパーソナル・アカウンタビリティ(自らの言行に責任を持つ)を行うために必要となります。

しかし、この「横方向」マネジメントは指示系統が不明確になるため、より強い権限を持つ経営陣などの上層部が適切な管理を行う必要があります。

従業員間で行う称賛や評価の増加

従業員がお互いに称賛や評価を行う環境を求めている割合が増加しており、今後もこのトレンドは続くとされています。

企業としても従業員同士が尊重されていると感じることができる評価制度や社風を取り入れる必要があります。

人員減少の新たなリスクが表面化

金融緩和や政府主導に経済政策によって、日本の労働市場も回復傾向にあります。

その反面、従業員エンゲージメントが高くも低くもない従業員の流入出も多くなってしまいます。労働市場では売り手市場と企業側の人員不足が重なり、こうした人員が企業に流入しやすくなるためです。

全体の従業員エンゲージメントが低下することを防ぐためにも、従業員エンゲージメントの高い人材を留めておく必要があります。

最低賃金の上昇は企業にとってプラスと考える

従業員満足度を高める要因としては、必ずしも効果的とは言えない賃金アップ。

しかし、従業員の多くは賃金の関する不満やストレスを抱えていることも事実です。

従業員エンゲージメント施策を行う上の補助施策として、最低賃金上昇の導入は従業員エンゲージメントを高め、生産性を高める効果が期待できます。

ミレニアル世代が社風を支配する

ミレニアム世代とは、2000年以降に成人、社会人になった世代を指します。

現在の日本企業では、このミレニアム世代が中心となっています。そのため、社風もミレニアム世代が重視するコラボレーションやワーク・ライフ・インテグレーションを重視するものに変化しています。

守旧派からの世代交代に伴う恩恵と痛み

現在の従業員の中心はX世代(戦後1960~80年代のベビーブームで生まれた世代)とミレニアム世代となっています。

これらの世代が守旧派(慣習や習慣、制度を守る勢力)と世代交代を行う上で恩恵と痛みが伴います。

恩恵としては時代遅れの慣習との決別や現状維持のしがらみからの脱却が挙げられます。一方で、守旧派が培ってきた知識や経験が失われるマイナス面も発生します。

若手の従業員によってリーダーシップのあり方が変化

世代交代によって、管理職の年齢が引き下がる中で、リーダーシップのあり方にも変化が起こります。

年功序が主流となっていたリーダーシップがコラボレーションを重視したリーダーシップへと変化し、従業員エンゲージメントの向上に寄与すると考えられています。

風通しの良さを求める声の増加

マネジメントにつく世代の中心がミレニアム世代で占めるため、マネジメントの風通しを求める風潮も強くなっています。

この風潮は、管理職につくミレニアム世代が、情報にアクセスしやすい環境の中で、職務上の行動や成果に対するフィードバックを受けながら、成長してきた背景が要因とされています。

双方向的なフィードバックが増える

コラボレーションを重視するミレニアム世代は、上司や人事課からの一方的な評価よりも互恵的なフィードバックを求める傾向にあります。

そのため、従来の一方通行の評価体制は廃れつつあると考える必要があります。

フィードバックプロセスの頻度と重要性が上がる

ミレニアム世代が求める双方のフィードバックや風通しの良い社風は、迅速なフィードバックが不可欠です。

社員が抱える不安や課題をいち早く見つけ出し、常に改善していくことは企業・従業員ともに良い結果をもたらしてくれます。

ピープル・アナリティクスによる偏った評価は避ける

テクノロジーが発展する中で、従業員の行動や成果を数値化し、創造性や生産性を高める手法ピープル・アナリティクス。データに基づいた公平・公正の評価制度として、アメリカの企業を中心に導入され、注目を集めています。しかし、このピープル・アナリティクスはあくまでデータであって、従業員の情報ではありません。定期的な面談やフィードバックはデータでは得られない従業員の課題や問題点を浮き彫りにする優れた手法には変わりません。そのため、非効率という理由で対面での評価やコミュニケーションを疎かにすることは従業員満足度や従業員エンゲージメントを低下させる原因となります。

従業員エンゲージメントを高め、業績アップにした企業例

従業員エンゲージメントの向上は経営破綻危機にある企業を、大幅な黒字に一転させるほど強力な効果を持ちます。 具体例を見て、参考にしてみましょう。

ダヴィータ・ヘルスケア・パートナーズの事例

アメリカのダヴィータ・ヘルスケア・パートナーズは2015年時点で売上高114億ドル、利益6.6億ドルまでに拡大させた腎臓透析機器の最大手です。

しかし、15年前は赤字3000万ドルを抱えた経営破綻の危機に直目した企業でした。

そこで再起をかけた新CEOケント・ティリは従業員エンゲージメントを向上させる施策をいくつも打ち出し、見事に復活を果たしました。彼が行った施策は以下の通りです。

  • 全従業員が組織文化変革に参画することを求めた
  • 患者のためにもうひと頑張りした従業員を数百人規模で表彰した
  • 社員総会で表彰、亡くなった患者への追悼など仕事上で触れる感情を社員全員で共有した

会社を支えるという当事者意識を持った従業員全員が、自発的な変革と行動を起こし、会社の業績を劇的に変えたといわれています。

従業員エンゲージメントを高めた証は、CEOケント・ティリの3つの質問の一つに対する従業員の返答にも表れています。

CEOケント・ティリ「ダヴィータ・ヘルスケア・パートナーズは誰の会社か?」 従業員「我々の会社だ!」

小松製作所の事例

建設機械日本シェア第一位、世界シェア第二位の小松製作所は2012年より従業員エンゲージメントの強化へ本格的に乗り出しました。

小松製作所がマネージャーを対象に実施した従業員エンゲージメントを高める施策は以下の通りです。

  • マネージャー層が気を配るべきポイントの明確化(信頼、モチベーション、変化、チームワーク、権限委譲)
  • プロフェッショナルとして働くための教育研修体形の整備
  • 柔軟性に優れた育児・介護支援などの充実した休暇制度
  • 経営陣を含む全従業員に、小松製作所の価値観を記した小冊子「コマツウェイ」の配布
  • マネジメント層に対する説明会の実施

これらの施策により、マネージャー層および従業員は自社への愛着・共感が強くなり、現場で働く従業員が持つべき考え方や心構えを明確に伝達することに成功にしました。

その結果、小松製作所は2012年度の売上高1兆8849億円から、2014年度には1兆9786億円を達成、売上高営業利益率では2012年度11.2%から12.2%まで改善することに成功しました。

まとめ

  • 従業員エンゲージメントは、世の中の移り変わりが早くなる中で、企業戦略を遂行するために欠かせない考え方
  • 従業員満足度との違いは、業績向上に寄与するか否か
  • 従業員エンゲージメントは業績単体のみならず、離職率にも影響を与えると考えられている
  • 従業員エンゲージメントの向上方法はいくつかやり方があるため、ひとつずつ向き合っていくことが重要

注目の人事トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計20,000人以上の会員が利用しています。

BizHint HRの会員になるとできること

  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • BizHint HR限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

従業員エンゲージメントの関連記事

14件中 1 - 5件

従業員エンゲージメントの関連記事をもっと読む

従業員エンゲージメントに関連するおすすめコンテンツ

チーム・組織開発の記事を読む