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2018年11月12日(月)更新

離職 防止

企業における社員の離職理由は主に労働条件や雇用条件、人間関係となっています。また労働人口の減少や新卒社員、介護職の早期離職問題は深刻化し、離職防止策として制度の導入や見直し、HRテックなどを活用した多角的な対策とその実行が求められています。こうした企業全体での取り組みが、社員の定着化や企業競争力強化につながります。

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離職の現状

今や仕事をやめて転職することは一般的となっていますが、社員の離職は人材の流出に止まらず、企業経営に支障をきたす可能性もあります。

離職の理由について

厚生労働省発表の「平成 27 年雇用動向調査結果の概況」によると、離職理由は性別で異なる傾向があります。まず男性は第二新卒以降の世代において「給与等収入が少なかった」が最も多く、次いで「会社の将来が不安だった」、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」、「能力・個性・資格を活かせなかった」がほぼ同じ割合となっています。

これにより収入や雇用条件に対する不満や会社の将来性への不安、業務内容に不満を感じていることがわかります。また離職理由で多いと言われる「職場の人間関係が好ましくなかった」については年齢とともに増加する傾向が見られます。

女性では年代に関わらず「職場の人間関係が好ましくなかった」が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」は年齢と共に減少の傾向、「給与等収入が少なかった」はどの年代でも高く、人間関係の問題、収入や雇用条件の不満が主な理由となっています。

【参考】厚生労働省/平成27年雇用動向調査結果の概要

新卒社員の早期離職について

大卒者が3年以内で離職する割合は3割を超えています。これは以前から問題視されていますが、少子高齢化が進む中、人事部門にとどまらず企業をあげて早期離職の防止策を打ち立て、早急取り組むことが必要となっています。

【関連】BizHint HR/若者の早期離職の理由と対策・防止策をご紹介

なぜ離職を防止する必要があるのか

新卒、中途に係わらず、社員の離職問題は様々な面での損失があり、会社運営に損害を与える大きな要因となります。離職を防ぎ社員の定着化を進めることは企業競争力強化や企業の発展に繋がります。

採用コストの損失

採用1人あたり平均して50万円かかるのが相場と言われています。退職者や退職者の補充による求人広告や採用業務などコストの損失になります。

退職者や欠員補充者にかかる人材育成コストの損失

産労研究所発表の2016年度「教育研修費用の実態調査」によると、社員1人当たりの教育研修費用は平均で35,662円となっています。これ以外にも退職者や欠員補充者に対して先輩社員がOJTに割く時間や労力などの損失もあります。

【参考】産労研究所/2016年度(第40回)教育研修費用の実態調査

受入れにかかる経営資源の損失

社員を受入れるための準備は会社に提出する書類、社会保険など人事労務に関わるものから備品や研修費用、配属先での先輩社員の指導や受入れ体制を整えるなど社員も巻き込んでの準備が必要となり、ヒト・モノ・カネの様々な面で損失となります。

風評被害による損失

定着率の1つの目安となる3年後離職率は「就職四季報」の2007年度版から掲載がされており、就職活動における企業選定の重要な指標として活用されています。またインターネットを利用して企業の評判を調べる口コミサイトを参考に就職、転職活動を行うことが通例となった今、風評被害が企業に与える損失が益々大きな問題となっています。悪い評判が原因で優秀な人材の確保が難しくなるなどのリスクとなります。

クライアントの信用低下

社員の離職によって担当者が変わると、クライアントとの付合いにも影響が出ます。担当者の入替わりが多かったり、担当者のスキルの変動などが原因で会社イメージが低下し、取引先企業の評価や信用が下がることで取引自体に影響がでる可能性があります。

モチベーション低下

退職予定者のモチベーション低下の影響は、他の社員のモチベーション低下につながります。

生産性の低下

退職希望者のモチベーション低下による生産性の低下や、退職者からの引継ぎによる社員の負担増などが原因となって組織としての生産性の低下につながります。

社内モラルの低下

退職者が出た後、組織として定着率向上への改善が見られなかったり、経営層と社員とのコミュニケーション不足などが原因となって社員の帰属意識や社内モラルの低下を招きます。

離職を防止するための対策法(入社前)

入社前にできる離職防止策として、採用段階でミスマッチを避けるための採用手法の導入や内定者フォローを改善することで採用目的に合う人材を選抜、獲得することが重要です。

採用でのミスマッチを回避する

採用活動は求人募集を決定した時から始まります。ミスマッチを回避するためには欲しい人材像についてスキルや経験、価値観、性格などの具体的なイメージを明確にしておくことが重要です。また人事戦略の1つとして普及が進む採用管理システムの導入によって採用活動を一元管理することができます。採用担当者がオペレーション業務から解放され、よりコア業務に注力できることで採用精度の向上に繋がります。

【関連】BizHint HR/採用失敗の原因とは?ミスマッチを防止し、採用に成功するためのポイント
【関連】BizHint HR/雇用のミスマッチの意味とは?現状を踏まえた原因と対策・解消法
【関連】BizHint HR/「採用管理システム」導入メリットと、比較・検討のポイント

RJP採用理論を導入する

RJP(Realistic Job Preview)は訳すと、「現実的な仕事情報の事前開示」となります。これは米国の産業心理学者ジョン・ワナウスにより提唱された人材採用理論で、転職希望の応募者に対して採用プロセスの早い段階においてRJPの目的を説明した上で、信頼性のあるポジティブな情報とネガティブな情報を誠実に、かつバランスよく提供することです。

これにより応募者が、入社後求められる期待や役割を把握しやすくなり、過剰な期待を抱かせることなく企業との適性を冷静に検討できることから、企業が求める人材像とのミスマッチを減らすことが可能です。RJP導入により採用説明時と入社後のギャップを少なくし、帰属意識を高めて仕事を意欲的に取り組むきっかけを与えるなど、米国では定着率の向上に一定の効果があることが認められています。

【関連】BizHint HR/RJPとは?雇用のミスマッチを軽減し、採用時の定着率を向上させる手法をご紹介

内定者フォロー

最近はSNSを活用した内定者フォローなど、各企業が試行錯誤しながら取り組んでいるのが現状です。時間とコストをかけて採用した内定者から辞退を防ぐことも採用担当者の重要な仕事なのです。内定者が入社前に不安や疑問が残っていると、他社へ目が向いてしまうことになります。「内定が取れたから入社する」を「この会社で働きたいから入社する」に転換することが、内定者フォローにおける本質であり、内定辞退を防いで早期戦力化につなげるきっかけになります。

【関連】BizHint HR/内定者フォロー、正しくできていますか?内定辞退を減らす方法とは

採用手法の見直し

労働者人口の減少は深刻化し、新卒、中途ともに売り手市場と言われるなか従来の採用手法だけでは優れた人材の確保は厳しくなっています。また企業競争力をつけるには、人材の能力を高める必要があると認識している企業が多く、採用の段階でいかに優秀な人材を確保できるかが重要となっています。

就職・転職市場は「守り」の採用から「攻め」の採用へと変化しています。その中で新たな採用手法として注目され徐々に普及しているのが「BIZREACH」や「careertrek」などで知られる ダイレクトリクルーティングや、ビジネスSNSを活用した「Wantedly」 や「LinkedIn」 などで知られるソーシャルリクルーティングです。こうしたサービスを活用することで、求める人材像との素早いマッチングが可能となり、採用コストも削減できます。

【関連】BizHint HR/採用手法一覧と、市場の変化から生まれた面白い採用手法をご紹介
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離職を防止するための対策法(入社後)

入社後にできる離職防止策としては、社員とのコミュニケーションをとりながら生産性やモチベーションを確認したり、適正な人事評価とフィードバック、転職者への教育制度の活用や職場環境の見直し、多様な働き方への対応など様々な取り組みが挙げられます。

社内のコミュニケーションを活性化させる

社内コミュニケーションの低下は社員のモチベーションや企業活動を低下させるだけでなく、離職につながるリスクがあります。社内コミュニケーションが活性化することで人間関係が活気づき生産性が向上します。

【関連】BizHint HR/社内コミュニケーション活性化の方法と事例をご紹介!

1on1の活用

1on1は、上司と部下(1対1)のミーティングです。上司が部下のパフォーマンスに対するフィードバックで部下を育成し、部下の相談に応じることで仕事における自己実現を支援します。社員のトラブルや離職の兆候を見逃すことを防ぐほか、企業としての戦略を共有したり、相談することで互いの信頼関係を深める目的もあり、社員の定着化につながります。

【関連】BizHint HR/1on1の意味とは?話す内容や注意事項、効果を最大化するポイントをご紹介

教育制度の活用

メンター制度

メンター制度は若手社員が職場で抱える問題を、すでに解決してきた先輩社員がメンターとなって若手社員のメンタル面のサポートを行う制度です。特に入社したての新卒社員や若手社員は同じ部署の同僚や先輩社員に相談しにくいため悩みを抱えやすく、メンター制度によって悩みを共有し、アドバイスをもらうことで悩みが払拭され離職防止に効果があるとされています。

【関連】BizHint HR/メンター制度導入!メンターの持つ意味と役割とは?

OJT

OJTで先輩社員から若手社員あるいは上司から部下へと業務スキルを継承するだけにとどまらず、若手の即戦力化や指導側の指導力強化、コミュニケーションの活性化により若手社員の定着化にも効果があります。

【関連】BizHint HR /OJTの意味とは?計画の立て方、研修の内容・手法・メリットをご紹介

ブラザー・シスター制度

ブラザー・シスター制度は、新入社員に対して年齢が近い先輩社員が業務の指導やサポートをする制度です。先輩社員が新入社員の年齢と近いことから親近感を持ちやすく相談しやすいことが職場への定着化を促進します。

【関連】BizHint HR /ブラザー・シスター制度とは?メリット・デメリット導入事例についてもご紹介

人事評価制度の見直し

終身雇用の衰退によって成果主義が主流となり、雇用形態が多様化するなかそれに見合った人事評価制度の見直しを定期的に行うことがスタンダードとなっています。

人事評価制度は多角的な視点で社員の能力を適正に判断するため、目標管理制度コンピテンシーモデルによる評価制度、360度評価などが活用されています。

【関連】BizHint HR /人事評価制度とは?評価対象や評価手法、企業事例などもご紹介

キャリアデザインのサポート

キャリアデザインは、仕事で実現したい自分の理想を、スキルやライフスタイルを考慮した上で自らがデザインすることです。個人の努力はもとより企業がカウンセリングや研修という形でプロセスごとにサポートすることで、キャリア開発や人材育成だけでなく定着率につながります。

【関連】BizHint HR /「キャリアデザイン」とは?その重要性とデザイン方法をご紹介
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異動制度の導入

メンター制度やOJT、ブラザー・シスター制度の導入以外にも、本人の自発的な意思を尊重した社内公募 制度や社内FA制度を導入することは、社員にチャンスを与えて人材育成やキャリア開発につながり、定着化に有効な手段となります。

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【関連】BizHint HR /社内FA制度とは?メリット・デメリットや導入企業・事例をご紹介

新しい働き方の提案

労働人口減少や介護離職などが社会問題として取り上げられるようになり、多様な働き方を受入れるニーズが高まっています。そんな中フレックスタイムテレワークなどの働き方を導入して、生産性の向上や優秀な人材の確保と育成につなげる動きが活発化しています。

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待遇の改善

社員の退職理由の主なものに収入や休日など労働条件への不満が挙げられています。人事評価制度の見直しにより適正な評価を下して給与に反映することや、魅力的な職場環境を整備するために福利厚生を充実させたり、有給休暇をはじめ育児休暇、介護休暇など休暇制度の利用を促進し実績をあげていくことは企業と社員が共に活性化していく原動力になります。

データを分析して離職防止につなげることも

人事が保有するHRデータをAI(人工知能)やデータ解析のテクノロジーを使って積極的に活用するHRテックが注目されています。導入により退職者の傾向や組織の問題が浮き彫りにし、それを基に将来を予測することができるほか、経営層にも説得力のあるデータとして提示しやすいメリットもあります。離職防止だけでなく人事戦略や経営戦略など幅広く活用することができます。

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介護職の離職について

介護職の離職については各メディアでも取り上げられ、社会問題として広く認知されています。実際には早期離職や慢性的な人材不足、賃金など深刻な問題を抱え、改善が急がれています。

介護職の離職率

公益財団法人介護労働安定センター発表の平成27年度「介護労働実態調査」によると、介護職の離職率は16.5%となっています。ところが介護職の1年未満の離職率は40.2%、1年以上3年未満は34.6%となっており、早期離職が深刻な問題であることが分かります。

介護職現場が抱える問題

現場では早期離職の他にどのような問題があるのでしょうか?従業員の過不足は61.3%が「大いに不足・不足・やや不足」となっており、慢性的な人材不足であることが分かります。不足している理由の1位が70.8%で「採用が困難である」、2位が57.4%で「賃金が低い」、3位が48.3%で「仕事がきつい(身体的・肉体的)」、4位が40.8%で「社会的評価が低い」となっています。

その他介護サービス運営上の問題と介護職の労働条件に対する不満は主に人材不足、賃金の低さが原因となっており、運営側と雇用側の抱えている問題が一致していながら打開策が見いだせない現状が窺えます。

介護職の就業意識は高い

就業意識については、介護職を選んだ理由として52%が「働きがいのある仕事だから」、35,8%が「資格、技能が生かせるから」となっています。現在の仕事の満足度では52.9%が「仕事のやりがい」、今後の希望については65.5%が「今の仕事を続けたい」と答えており、介護職で働く人たちは仕事に対するやりがいや使命感をもって仕事に取り組んでいることが分かります。離職防止対策により問題の原因が改善されることで定着率が上がる可能性を示唆しています。

介護職の早期離職対策

2025年には団塊の世代が75歳以上となり介護のニーズも一気に増すことが予想されます。介護職の早期離職問題は社会問題となりつつあり、早急な対策と改善が急がれています。具体的には労働条件や賃金の改善、職場のコミュニケーション活性化など事業所ぐるみで離職防止に向けた対策が必要といえます。

【参考】公益財団法人介護労働安定センター

まとめ

  • 新卒社員や介護職の早期離職や労働者人口減少の問題が深刻化するなか離職による人材の流出を避け、優秀な人材を確保することの重要性が強く認識されている。
  • 離職防止策として入社前、入社後それぞれの各プロセスにおいて制度の導入や見直し、HRテックなどを活用した多角的な防止策をPDCAサイクルで運用することが必要。
  • 企業全体で離職防止に取り組むことは社員の活躍を引き出し、組織としての生産性やパフォーマンスを向上させ、競争力強化や企業発展につながる。

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