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連載:第49回 組織作り その要諦

あなたは社員に謝ることができますか?営業時間3割減でも売上が伸び続ける“ぬくもりある会社”の話

BizHint 編集部 2022年6月20日(月)掲載
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社員を大切にし、ぬくもりあふれる会社経営を。そうは思ってもなかなか実現は難しいもの。株式会社長坂養蜂場は、経営理念にもとづく大家族経営で、成長を続けている会社です。静岡県浜松市、浜名湖沿いに位置する人口およそ14,000人の三ヶ日町にある店舗には、年間35万人が訪れるそうです。接客マニュアルもない、売上目標もない。それなのに売上は右肩上がりだという同社。社員が自ら考え動く組織は、どう作られていったのか?三代目である長坂善人社長にお話を聞きました。

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株式会社長坂養蜂場
代表取締役社長 長坂 善人さん

1935年から続く株式会社長坂養蜂場の二代目・光男氏の長男として生まれる。大手ハチミツメーカーで修業したのち、2005年から同社に入社。2013年に代表取締役へ就任。経営理念の「ぬくもりある会社をつくりましょう」に愚直に取り組み、笑顔と感動にあふれる会社作りを行う。第10回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞受賞。


お客さま第一で売上は向上するも社内はボロボロに…。母の教えに耳を貸さなかった若き経営者の5年間

――貴社は、社員を大切にする会社として有名で、2020年の「第10回 日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査委員会特別賞も受賞されました。今日はぜひ、社員を大切にする会社づくりの秘訣を教えていただければと思います。

1935年、養蜂場として創業。その後はちみつを加工して販売する「6次産業」へと業態を転換。静岡県浜松市、三ヶ日町にある店舗には、同社で採蜜した蜂蜜をはじめ、様々な商品が並んでいる。年間約35万人が訪れる人気店で、土日は混雑してお店に入れないときもあるそう

長坂 善人さん(以下、長坂): そのように仰っていただけてありがたい限りです。しかし、理念経営も大家族経営も最初からできていたわけではないんですよ。昔は社員教育もありませんでしたし、何より私が「お客様第一」を追いかけるあまり、社内のムードが険悪だった時期が5年もあったんです。

2005年に当社に入社した後、ギフト商材の販売を始め、新聞広告にも力を入れ、もともと3億円だった売上を、5年間で5億円にまで伸ばしました。ですが 売上が伸びれば伸びるほど、社内はピリピリした雰囲気に……。

――ぬくもりに溢れた今の社風からはまったく想像できません。どんな原因でそのような雰囲気になってしまったのでしょうか?

長坂: 私がお客様第一で、現場の大変さを考えずどんどん高いレベルを求めていった事が原因です。

たとえば弊社では、店舗の入り口でウェルカムドリンクをお渡ししています。来店されたお客さまに一息ついていただきたいという母の想いで始まったサービスですが、お客様のことを考えるのであればと、ドリンクの温度や濃さに量など、どんどん指示が細かくなってしまい…。ただでさえ売上が増えて忙しい中、こういった細かい指示が来るものですから、スタッフは疲弊してしまいますよね。

売上が伸びて会社が忙しくなる中でCS(顧客満足度)を向上させるのは大変で、私の業務もどんどん山積みに……。それで私がピリピリしだして、社内も余計ピリピリしてしまう、そんな悪循環に入ってしまったんです。組織もバラバラでした。

――そんな社内の状況に対して長坂社長も課題意識をお持ちだったんでしょうか?

長坂: 険悪な雰囲気は感じ取っていましたが、 売上が伸びていたので自分は間違っていない と思っていました。よく社長室に呼ばれ、「もっと働く人のことを考えなさい」「正義の刃は人を傷つけるのよ」と当時取締役であった母に叱られましたが、聞く耳持たず。「自分はお客様の事をするのが仕事だから。社員のことは母さんがやってくれ」とハッキリ言っていました。

一番大事だと思っていた「顧客満足」。しかし本当に重要なものは他にあった

――そんな険悪なムードの社内ですと、離職を選択してしまう方もいらっしゃったのでは?

長坂: いえ、実はスタッフはほとんど辞めずにいてくれたんですよ。母のフォローがあったお陰です。母は、人の気持ちや道徳といったことをとても大切にしてきた人で、弊社も温かい社風を大事にしてきました。だからこそ私も、 お客様に温かさが伝わるようなサービスを提供したいと思っていたのですが、それは外向きばかりで、社内に向いていなかった んです。

長坂: しかし、そんな私も自分の間違いに気付くことになります。それは、「日本でいちばん大切にしたい会社」の著書・坂本光司先生のシンポジウムを聞きにいった日のこと。地元浜松の企業も何社か登壇する予定だったので、各社のCSの秘訣が聞けると意気込んで出かけたのですが…。

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