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2019年4月9日(火)更新

リアリティー・ショック

かつて、新しいことが始まって一か月ほど経つと、張り詰めていた緊張が解けて体調を崩したり、思っていたように物事が運ばずに憂鬱になったりという現象を「五月病」と呼んでいました。近年では、入社前の理想と入社後の現実のギャップに悩むことを「リアリティー・ショック」と呼び、実際に新入社員の6割以上が感じていると言われています。今回は、その原因や対策を徹底分析していきたいと思います。

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リアリティー・ショックとは?

「入社する前は、自分の能力を生かせるやりがいのある仕事をさせてもらえそうだという期待感でいっぱいだったのに、いざ入社してみたら戦力として計算されている様子もなく、希望する職種とは全く関係のない部署に配属されてしまった・・・」

このように新たに職に就いた人材が、入社前に抱いていたその企業や職場に対する「理想」と、実際に職場で働きながら経験する「現実」とのギャップに衝撃を受けてしまうことを、リアリティー・ショックと言います。

リアリティー・ショックを防ぎたい理由

新入社員がリアリティー・ショックの状態に陥ってしまった場合、当然ですが企業としても多くの不安要素を抱えることとなります。

新入社員のモチベーション低下

新入社員が理想と現実のギャップをうまく消化できない状態が続くと、会社や仕事に対する不安が増大し、やがて幻滅するようになります。仕事に対するモチベーションも上がらぬまま喪失感に苛まれながら仕事をしていれば、当然、思うような成果を上げることは難しくなります。職場での評価も下がり、さらにモチベーションを失っていくという負のスパイラルに陥る危険性もあります。

最悪は早期退職に至ることも

理想と現実のギャップに悩むということ自体は決して珍しいことではありませんが、そのギャップが大きければ大きいほど、前項で挙げた不安や幻滅、喪失感は大きなものになります。ネガティブな方向への乖離が激しければ激しいほど精神的な影響は大きく、どこかで歯止めをかけることができなかった場合、早期退職に至るケースもあるのです。

ベテラン社員にも起こりうる

リアリティー・ショックは、何も新入社員だけに起こることではありません。経験の豊富なベテラン社員であっても、配置転換や出向、転籍、転職など大きな環境変化に直面すると、リアリティー・ショックの状態になってしまうこともあります。

リアリティー・ショックが起こる原因

それでは、どのような原因でリアリティー・ショックが引き起こされるのでしょうか。リアリティー・ショックに関するアンケート調査結果で回答の多かった3つの原因をご紹介します。

【出展】<マイコミ社会人レポート> リアリティ・ショックに関するアンケート調査結果を発表

社会人としての自分の能力不足を痛感(42.1%)

新入社員は、困難な就活を乗り切って内定を得たという自信を持って入社してきます。採用面接や内定通知などの際にも、企業側からは将来性を期待している旨を告げられていることでしょう。しかし、実際の仕事の現場においては、残念ながら学生時代の経験というものはほとんど役に立ちません。自分はできると意気揚々と仕事をしても、実際は何もできなくてミスばかりということも珍しくないのです。

このように、理想の自分と現実の自分のギャップに苦しむケースが多いようです。

社内の人間関係がうまくいかない(42.1%)

リアリティー・ショックに限らず、社内の人間関係がうまくいかないというトラブルは後を絶ちません。ハード・ソフト両面において変化のスピードが速い現代社会において、世代間ギャップは以前にも増して大きくなっていると考えられます。

また、昨今では上司や先輩と新入社員の年齢差が大きい職場も決して少なくなく、新入社員のリアリティー・ショックに対して「社会の洗礼」や「通過儀礼」などと一蹴してしまう傾向にあります。中には、敢えて厳しい言葉をかける上司や先輩もいるようです。

職場の雰囲気になじめない(39.6%)

実際に配属された職場の雰囲気が、自分の思ったような雰囲気ではない、事前に聞いていた雰囲気とは大きく異なる、というケースも多いようです。また、新入社員に限らず中途採用でも、例えば伝統のある大企業に勤めていた人材が、中小企業やベンチャー企業など規模の小さい会社に転職する場合には、従来とは大きく違う社風や雰囲気に戸惑い、慣れることができないまま離職してしまうこともあります。

リアリティー・ショックへの対策

続いて、このような新入社員のリアリティー・ショックをできるだけ抑えるような対処法について見ていきましょう。ここでは、個人としての対策ではなく、企業としてできる対策をご紹介します。

入社前のフォローが大事

まず初めにご紹介するのは、入社前にできる対策です。リアリティー・ショックは、新入社員が入社前に抱いていたイメージと入社後の現実とのギャップが原因となって引き起こされるものです。つまり、「入社前に、現実に近いイメージを抱かせる」ことができれば、そのギャップを最小限に抑えられる、ということがポイントとなります。

インターンシップ制度

在学中に企業で就業体験を積ませるインターンシップは、一般的には入社志願者に対して行うものと思われるかも知れませんが、内定者に実施することでリアリティー・ショックへの有効な対策となります。

実際の職場を早く経験することで、社会人と比べて自分自身にはどの部分が足りないのかなどを事前に把握することができるだけでなく、企業や職場の雰囲気を体感させることで、過度な期待を持たせないことにもつながります。

【関連】インターンシップの意味とは?実施の目的やメリットをご紹介 / BizHint HR

RJP(Realistic Job Preview)

RJPとは、Realistic Job Preview(現実的な仕事情報の事前開示)の略で、良いことも悪いことも含め、仕事や組織の実態についての「ありのままの情報」を積極的に提供する取り組みのことを言います。

こちらも主に採用活動の際に実施することが多いですが、その場合はあくまで求職者とのミスマッチを解消することが目的となります。入社前に内定者にRJPを行う際には、より細かい具体的な情報まで提供することが求められます。

【関連】RJPとは?雇用のミスマッチを軽減し、採用時の定着率を向上させる手法をご紹介 / BizHint HR

内定者フォロー

また、内定者に向けた研修会の実施なども、リアリティー・ショックの軽減には有効となります。就活を終えてから入社までの期間は、一度気を引き締めた学生が、再度学生に戻っている期間でもあります。そのため、「学生と社会人の違い」や「働く意義」をきちんと伝えて社会人としての自覚を促し、事前にリアリティー・ショックについても説明して「理想と現実に悩むのは当然であり誰もが通る道である」ということを知らしめておくことが重要となります。

【関連】内定者フォロー、正しくできていますか?内定辞退を減らす方法とは / BizHint HR

入社後のフォローについて

リアリティー・ショックは、陥っている新入社員にとっては辛いことですが、職場での適切なフォローやサポートによって好転することも十分に考えられます。企業としては、リアリティー・ショックをネガティブなものと捉えるのではなく、新入社員の成長を促すチャンスであると考え、しっかりとしたフォローアップ体制を構築することが重要となります。

上司や先輩に相談できる環境づくり

新入社員を迎える部署の上司や先輩といった既存の社員たちは、「新入社員はリアリティー・ショックを受けるものだ」という覚悟を持っておくことが必要になります。新入社員と年齢の近い先輩が入れば、自然と相談相手となり、自身の経験から適切なアドバイスを与えることも可能ですが、昨今では、新入社員と部署の構成メンバーとの年齢差が大きい職場も多くなっていますので、この場合、既存社員の研修なども考慮に入れる必要があるでしょう。

新入社員が定着するか否かは、上司や先輩が如何にフォローアップできるかに係っていると言っても過言ではありません。

先輩によるマンツーマンの新入社員教育

新入社員のごく初期の教育方法として、マンツーマンでの指導も見直されています。先輩によるマンツーマンでのOJT(On-the-Job Training)で業務に必要なスキルを実践的に教えるのと同時に、新入社員が不安や悩みを言いやすい環境づくりにもなるなど、メンタルケアの効果も期待できるからです。

特にリアリティー・ショックでの離職率の高い看護や介護の現場において、積極的に実践されている手法です。

【関連】OJTの意味とは?計画の立て方、研修の内容・手法・メリットをご紹介 / BizHint HR

新人フォロー研修

入社3ヶ月~1年未満の方を対象にした定期的なフォローアップ研修も、リアリティー・ショック対策として有効です。社会人としての基本的なマナーやスキルを再確認するだけでなく、同じような職歴の社員が体験した成功談や失敗談などを情報共有することで自身への気付きとなり、現実に即した目標を設定するなどモチベーションの向上につなげることが可能となります。

また、職場の上司や先輩に相談するだけでなく、同僚同士で意見交換することもメンタル面のフォローには重要となります。そのような意味においても、職歴の似た社員同士が顔を合わせる機会を持たせることは有効な対策となります。

【関連】新入社員の仕事に対するモチベーションを上げ、やる気を引き出す方法をご紹介 / BizHint HR

看護師におけるリアリティー・ショック

前項でも少し触れたとおり、看護職や介護職はリアリティー・ショックによる離職率が非常に高い職業でもあります。その特徴を簡単にご紹介しましょう。

なぜ看護師にリアリティー・ショックが多いのか

一般企業でも見受けられる「社会人としての実力不足」や「職場の雰囲気や人間関係になじめない」といった理由だけでなく、医療専門職に対する神聖化されたイメージと現場の過酷な実態との乖離や、命に関わるという責任の重さ、患者に寄り添う理想的な看護・介護と実際の忙しさのギャップ、交代制勤務への身体的な適応の必要性など、心的ストレスとなる様々な要因が挙げられています。

また、「学校で教わってきたこととレベルが全く違う」という理由も特徴的です。大学や専門学校などでの基礎教育が終了した時点の能力と、実際の現場で求められる能力とのギャップが大きいという問題は、学校教育と直結する職業が抱えるジレンマであると言えるでしょう。実際に看護大学などでは、臨床と協働で取り組むシミュレーション教育が実践されているケースもあります。

離職率の高さがもたらす負のスパイラル

さらに、リアリティー・ショックによる離職率の高い病院や施設では、職場に残っている社員や職員のほとんどはリアリティー・ショックを自分で克服してきた人材であるという事実も、問題が深刻化している一因だと思われます。自力で克服してきた先輩たちの間には「いずれ何とかなる」「辛ければ辞めればいい」といった考え方が蔓延しており、新人看護師のリアリティー・ショックを放置してしまい、さらに新人看護師の孤立が加速するという負のスパイラルに陥ることとなるのです。

だからこそ、最近の看護業界や介護業界では、先輩によるマンツーマンの新人教育が積極的に取り入れられているのでしょう。

まとめ

  • リアリティー・ショックとは、新入社員が入社前の理想と入社後の現実のギャップに衝撃を受けてしまうことである。
  • 新入社員のモチベーション低下を招くだけでなく、早期退職につながる危険性もある。
  • 新入社員の自信過剰や企業や仕事に対する過度な期待の他、職場の雰囲気や人間関係になじめないことも原因になる。
  • 入社前から、仕事や職場の実態を情報開示する、職場経験をさせる、などの対策で軽減させることができる。
  • 入社後は、上司や先輩が如何にフォローアップできるかに係っていると言っても過言ではない。

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