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動機付け

2020年2月18日(火)更新

動機付けとは、ある要因によって行動を起こしてそれを持続させる、人の内的過程のことで、「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の2種類があります。近年、従業員一人ひとりの労働生産性が重要視されるようになった背景から注目を集めています。今回は、動機付けの意味や「内発的動機付け」「外発的動機付け」それぞれのメリット・デメリット、ハーズバーグの動機付け理論や、内発的動機付けを高める方法、さらにはマネジメントへの活用方法まで詳しくご紹介します。

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動機付けとは

そもそも「動機付け」は、モチベーション(motivation)の和訳です。ここでは動機付けの意味や「動機」との違い、動機付けが注目される背景についてご紹介します。

【関連】モチベーションの意味とは?低下の要因や上げる方法、測定手法や企業施策までご紹介/BizHint

動機付けの意味

動機付けとは、人が目的や目標に向かって行動を起こし、達成までそれを持続させる、心理的過程を表す心理学用語です。

動機付けに繋がる要因は主に、人の内部に沸き上がる欲求が要因となって行動を起こす「動因」と、外部からの要因によって行動を起こす「誘因」があります。

動機付けの種類は「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の2つがあります。これらについては、後ほど詳しくご紹介します。

動機との違い

「動機」との違いは、行動を起こす要因と過程です。動機は行動を起こす、あるいは行動を方向付ける要因そのものを表すのに対し、動機付けはある要因をきっかけに行動を起こしてそれを持続させる心理的過程を表します。

動機付けが注目される背景

昨今の労働人口減少問題や、官民を挙げた働き方改革の推進が進むなか、これまで以上に社員一人ひとりの労働生産性が重視されています。

従来は目標管理や行動管理、プロセス管理など、汎用性のある管理手法によって業務効率や生産性を高める工夫が主流でした。しかし、こうした管理手法だけでは社員によってやる気そのものや成果にばらつきがありました。

そこで、結果を出すために誰もが持つことのできる『動機付け』に目が向けられ、これによる持続的な成果や生産性向上のための手法やマネジメント方法が注目されているのです。

内発的動機付けの意味とメリット・デメリット

先ほどご紹介したように、動機付けには『内発的動機付け』と『外発的動機付け』があります。ここでは「内発的動機付け」の意味、さらにメリットとデメリットについてご紹介します。

内発的動機付けとは

内発的動機付けとは、物事に興味や関心を持つことで意欲が沸き起こり、達成感や満足感、充実感を得たいという、人の内面的な要因によって動機付けられることです。

人の内面で自発的に沸き起こる要因によって行動を起こし、持続することが特徴です。

内発的動機付けのメリットとデメリット

内発的動機付けのメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

メリット

  • 自発的な動機付けのため、外的要因に関係なく行動が持続する
  • 創造性が求められる、あるいは問題解決など標準化できない仕事の生産性向上に役立つ
  • 能力開発や自己成長に繋がる
  • 自ら仕事の意味や価値を見出すことでさらに内発的動機付けが強まる
  • マネジメントによってさらに内発的動機付けを引き出すことができる
  • 外発的動機付けと組み合わせて活用することで、相乗効果が期待できる

デメリット

  • 本人の興味や関心がないと動機付けが難しい
  • 内的要因のため個人差があり、汎用性がなく実践が難しい
  • 内発的動機付けの効果があらわれるまで時間がかかるケースもある

外発的動機付けの意味とメリット・デメリット

続いて「外発的動機付け」の意味、さらにメリットとデメリットについてご紹介します。

外発的動機付けとは

外発的動機付けとは、強制や懲罰、評価、報酬などが要因となって動機付けられることです。

職場環境や上司など外部から受ける要因がきっかけで行動を起こすのが特徴です。

外発的動機付けのメリットとデメリット

外発的動機付けのメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

メリット

  • 評価や報酬の見直しなど、汎用性が高く誰にでも実践しやすい
  • 社員自身の内発的動機付けが難しい場合でも、強い動機付けを与えられる
  • 短期間で効果が表れやすい
  • ルーチンワークなど、努力が成果に繋がりやすく標準化した仕事に活用すると、生産性向上に役立つ

デメリット

  • 外的要因という受動的な動機付けのために持続性がない
  • 期待以上の大きな成果が出にくい
  • 社員の自主性を引き出すことは難しい
  • 外発的動機付けに慣れると効果がなくなり、より強い動機付けを求めて依存するようになる
  • 内発的動機付けによって強い意欲がある場合、逆に外発的動機付けによって内発的動機付けを低下させてしまうことがある

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論とは

「動機づけ・衛生理論」は、臨床心理学者のフレデリック・ハーズバーグ氏により提唱された動機付け理論です。

ハーズバーグ氏によれば、仕事に対しては満足感をもたらす要因と、不満感をもたらす要因があり、満足要因を増やして不満要因を減らすことが、仕事に対する満足感を高めることに繋がると説いています。

動機づけ要因

動機付け要因とは、仕事への満足感をもたらす要因のことです。これは主に仕事の内容に関係しており、一例として以下の内容が挙げられます。

  • 業務内容
  • 仕事での目標達成
  • 自己成長
  • 責任感
  • 昇進 など

こうした要因を社員の仕事に対して与えることで、満足感をもたらし、動機付けを高めることに繋がります。

衛生要因

衛生要因とは、仕事への不満感をもたらす要因のことです。衛生要因は主に雇用条件や労働環境に関係しています。具体的な例としては、以下のものが挙げられます。

  • 会社の方針
  • 上司や部下との人間関係
  • 労働の条件や環境
  • 上司の管理方法 など

こうした要因を改善することで社員の不満感の解消には繋がりますが、動機付けを高める要因にはなりません。

【関連】モチベーション理論とは? 10の理論の概要から人事戦略への応用まで徹底解説/BizHint

内発的動機付けを高めるための方法

生産性向上や、従業員の能力開花にもつながる内発的動機付けを高めるためには、どうしたらよいのでしょうか。

社会心理学者のエドワード・L・デシ氏の「自己決定理論」では、人の基本的な心理欲求である「自律性」、「有能感」、「関係性」を満たすことで、内発的動機付けが起こると説いています。

ここでは、それぞれの欲求とそれを高めるポイントについてご紹介します。

自律性による動機付け

自律性とは、自分の価値観に沿って選択し、自主的に行動したいという欲求のことです。自律性による動機付けを高めるためには、以下のようなポイントが挙げられます。

  • 「自己選択して行動している」と自身で認識していることが、自律性による動機付けを強める
  • 十分な判断材料に基づいて自己選択することで自律性が尊重され、動機付けを強める効果がある
  • 内発的動機付けが難しい目標の場合、仕事のやり方などで自己選択の機会を与えると、自律性による動機付けが起こる
  • 上司が部下の立場を理解し、部下自身が行動の主体であることを認める発言や支援を行うことが、自律性による動機付けを高める
  • 自己選択ができない部下の場合、価値観に沿った選択ができるよう、具体的なアドバイスなどのサポートを行うことで自律性が促される
  • さらに外発的動機付けが加わっても、自律性を阻害しなければ内発的動機付けは高まる

有能感による動機付け

有能感とは、他人との関わりや集団環境のなかで、「有能である」あるいは「有能でありたい」という欲求のことです。有能感による動機付けを高めるためには、以下のようなポイントが挙げられます。

  • 「行動によって結果が出せる」と自身で認識していることが、有能感による動機付けを強める
  • 有能感は自身の価値観や考えに基づいて行動を起こすとき、強く動機付けられる
  • 本人の能力より少し高い目標の場合、達成意欲が高まるため有能感による動機付けが強まる
  • 有能感は、内発的動機付けだけでなく外発的動機付けも強めることができる
  • 有能感による動機付けで結果が出た場合、有能感の認知が深まってさらなる自己成長のための行動を促す
  • 有能感を認めるような外発的動機付けが加わると、内発的動機付けはより高まる

関係性による動機付け

関係性とは、他人と絆を結びたい、尊重し、尊重される関係を築きたいという欲求のことです。関係性による動機付けを高めるためには、以下のようなポイントが挙げられます。

  • 上司が部下の自律的な行動をサポートすることによって、関係性による動機付けが持続する
  • 関係性による動機付けは、部署やチームの目標達成のための動機付けにも役立ち、貢献意欲が醸成される
  • 関係性による動機付けに自律性による動機付けが加わると、会社のルールや価値観に沿った自律的な行動を起こすため、動機付けと責任感が共に強まる
  • 強制や懲罰など統制による外発的動機付けが加わると、内発的動機付けが弱まる
  • 目標に対して内発的動機付けができない場合、上司が部下に自己成長などのメリットを伝え、達成に向けて励ましやサポートを行うことで関係性による内発的動機付けが起こる

動機付けをマネジメントに活かす方法

仕事への内発的動機付けによって部下のパフォーマンスを最大化するためには、どのようなマネジメントが効果的なのでしょうか。ここでは動機付けをマネジメントに活かす方法についてご紹介します。

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部下の動機付けに繋がる表現で承認やフィードバックを行う

部下が仕事に対して継続して前向きに取り組むには、強い内発的動機付けが効果的です。

それにはまず、上司が部下の価値観をよく知って、それを承認することが大切です。そのうえで部下と一緒に仕事の現状を分析し、今何が出来て何が足りないのかを洗い出しましょう。一緒に行うことでそれぞれの認識のずれを防ぐだけでなく、上司からのフィードバックやアドバイスによって部下の動機付けに繋がるマネジメントを実施します。

このとき、部下の価値観を理解して、部下自ら内発的動機付けのきっかけに気づけるような伝え方をすることがポイントです。

【関連】フィードバックの意味とは?実施時の注意点や最大化のポイントまで解説/BizHint

内発的動機付けを引き出す目標設定をする

次に内発的動機付けを左右する目標設定を行います。目標設定によって内発的動機付けをするには、達成のために部下が本気になれる目標であるかどうかがポイントです。

上司は適切な目標を設定できるように、視野を広げて多角的な視点を与えるようなアドバイスを行いましょう。目標の方向性が決まったら、具体的な数値や期限を決めるなど具体化していきます。

目標に対する動機づけが強いほど不足しているスキルも明確になるので、それを補うための具体的な行動計画が立てやすくなります。そして、計画に沿って自ら行動を起こしていきます。

フォローアップと、成長段階に合った必要最小限のルールで自律的な行動を維持する

目標達成に向けて行動を起こした後も、必要に応じて部下をサポートし、動機付けを深めて行動を持続させ、結果が出せるように導くことがポイントです。

具体的には、行動計画の進捗を確認し、実行できていない場合は理由を確認していきます。また、実行しても結果が出ない場合はなぜ結果に繋がらないのか原因を探りましょう。そのうえで、計画の改善策や、行動の改善点について具体的なアドバイスを行うことが大切です。

また、部下の動機付けを持続させるためには部下の成長段階に合った必要最小限のルールを設定することで、内発的動機付けが維持され、自律的な行動も持続します。

動機付けについて学べる本のご紹介

目標達成など動機付けを仕事に活用するには、書籍から学ぶのもひとつの方法です。ここでは、動機付けについて学び、仕事に活用できる本をご紹介します。

動機づけのマネジメント/横田 雅俊

本書では、部下が仕事で結果を出すためには、上司が動機付けから関わることの重要性を説いています。仕事への価値観の多様化が進み、動機付けも世代によって異なってきています。部下がやる気を起こし、自ら行動して大きな成果を出すためには、どのような動機付けをすればよいか、実践的な方法について解説されています。

部下の動機付けのマネジメントに悩む管理職におすすめの本です。

【参考】動機づけのマネジメント/横田 雅俊/Amazon.co.jp

【新版】動機づける力―モチベーションの理論と実践/DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部

本書では、これまでのモチベーション理論であるハーズバーグの2要因理論やピグマリオン効果のマネジメント活用について解説されているほか、優れたマネージャーの条件について心理学的観点からの考察や、人を動機づけるためのポイントについて多数紹介されています。

具体的な事例が多いため理解しやすく、動機付け理論の知識を深めて人材育成やマネジメントに活用したい人事担当者や管理職におすすめの本です。

【参考】【新版】動機づける力―モチベーションの理論と実践/DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部/Amazon.co.jp

まとめ

  • 動機付けとは、ある要因をきっかけに行動を起こしてそれを持続させる人の内的過程のこと。動機付けには、内発的動機付けと外発的動機付けがある。
  • 内発的動機付け、外発的動機付けにはそれぞれメリットとデメリットがあり、それらを把握して活用することで効果が得られる。
  • 動機付けをマネジメントに活用するには、部下が内発的に動機付けられるように上司が積極的に関わり、サポートすることが効果的。
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