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2017年11月6日(月)更新

モラールサーベイ

モラールサーベイは、社員が組織や同僚に対して抱えている思いを洗い出し、社内改善へとつなげていく際に活用する手法です。まずはモラールサーベイの内容を確認し、実施した際に期待できるメリットをお教えします。次に、実際の進め方を段階ごとに、注意点を交えて解説します。その他、実際に導入をしている会社の事例もあわせて紹介します。

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モラールサーベイ(従業員意識調査)とは?

モラールサーベイ(従業員意識調査)とは、その名が表すように、職場の従業員が抱えている意識の内容を調査し、その内容を分析する方法のことです。「士気調査」「社員満足度調査」といわれる場合もあります。

具体的には、社員が会社や組織、仕事に対してどのくらいの満足度を得ているか、または不満に思っているか、どのような問題意識や改善意識を抱えているかなどについて項目ごとに意識調査を行い、その結果を心理学や統計学などを用いて科学的に分析し、現状を把握していく行為をいいます。

【関連】「従業員サーベイ」 / BizHint HR

モラールとは

モラールとは、いわゆる「組織内でのやる気・意気込み」などを表す言葉で、軍隊などでは「士気」を意味する言葉として使われることもあります。道徳観念などを表す「モラル」と言葉が似ているものの、意味合いが若干異なることが特徴で、「集団」の中で育まれた精神力のことです。企業の一員である社員が、同僚や上司、後輩などで組織された集団に対して、どのような信頼感を持っているか、集団の中での自身の位置づけや自身の度合い、一致団結する心などが挙げられます。

どのような場面で活用されるのか

モラールサーベイは、社内における集団行動にまつわるさまざまな問題点を抱えている会社にとって、うってつけの手法といえます。たとえば、コミュニケーションが苦手な社員がいる場合や上司と部下の連携がうまくいっていない場合や、部署内での足並みがそろわない場合、人間関係を理由に離職する社員が多い場合などです。

このようなケースが起こる要因としては、組織の内部に何らかの問題点があり、社員のモラールが低下していることが挙げられます。モラールサーベイを実施することで、上記のような問題が発生する理由や経緯を明らかにすることができます。そして、洗い出した問題点を改善することで、従業員の満足度を向上させ、生産性アップへとつなげることが可能となるのです。

モラールサーベイの誕生背景

モラールサーベイは、第二次世界大戦のさなか、軍隊を組織する軍人の士気を高めるために考案されたといわれています。日本でモラールサーベイが本格的に導入されたきっかけは、モラールサーベイを普及させ、さまざまな労務にまつわる問題点を調査することを目的に立ち上げられた「一般社団法人日本労務研究会」が、1955年に手法のマニュアルとなる「NRK方式」を明らかにしたことです。

【参考】一般社団法人日本労務研究会:今、労働を科学する!モラールサーベイのご案内
【参考】日本の人事部:モラールサーベイ

NRK方式とは

NRK方式とは、前述の一般社団法人日本労務研究会が考案したモラールサーベイの手法で、従業員数300人以上の大企業向けの内容となっています。

方法としては、まず社員に対して簡単なアンケートを実施します。そして、そのアンケート結果から社員のやる気を生み出す元を明らかにするため、①労働条件、②人間関係、③管理、④行動、⑤自我、の5種類の観点から、それぞれ調査内容を分析していきます。

【参考】一般社団法人日本労務研究会:モラールサーベイ(従業員意識調査)とは

厚生労働省方式とは

厚生労働省方式は「厚生労働省方式 社員意識調査(NRCS)」とも呼ばれています。同じく一般社団法人日本労務研究会が考案したモラールサーベイの手法で、NRK方式から2年後となる1957年に生まれました。

NRK方式が規模の大きな企業向けの内容となっているのに対し、厚生労働省方式は中小企業を対象とした内容になっています。具体的には、①仕事、②給料、③上司などの観点からアンケートを取り、社員が考えている内容を分析していきます。「NRCSⅡ」という、サービス業の会社を専門としたモラールサーベイも開発されています。

【参考】一般社団法人日本労務研究会:社員意識調査(NRCS)とは?

モチベーションとの違い

モチベーションとは、人間が何らかの物事に向かっていく際に生じる意欲のことで、外部からの刺激で活気づけられることをいいます。

例として、新規事業を任されたことで売り上げが増加し、部署内の雰囲気が良くなったケースを挙げてみましょう。この場合、新規事業を任されたことで社員がやる気を出し、売り上げにつながるよう動くことが「モチベーション」となります。そして、このモチベーションが上がった結果、部署内の結束力が増し、雰囲気が良くなることが「モラール」となります。

つまり順序としては、①外部から良い刺激が与えられる、②モチベーションが上がる、③モラールが高まる、というように覚えておくと良いでしょう。

【関連】モチベーションの意味とは?上げる・高める・維持する方法をご紹介 / BizHint HR

モラールサーベイを用いるメリット

モラールサーベイを実施すると、会社にとってさまざまな良い結果が生まれます。ここでは、モラールサーベイを用いるメリットについて見ていきます。

社員の本音が分かる

モラールサーベイは、実施することで、自身が置かれている環境や同僚・上司・仕事への思いなど、社員が直接なかなか伝えることができない本当の気持ちが明らかとなります。実施するアンケートに加える項目に応じて会社側が知りたい社員の本音を知ることが可能となり、経営のヒントを得ることができます。

職場の雰囲気が改善される

モラールサーベイは、社内におけるさまざまな問題点を解決するための一つの手段ではありますが、同時に社員が会社に対して抱いている思いを吐き出す場ともいえます。つまり、モラールサーベイを実施することで、社員が常日頃考えている気持ちを会社に対してぶつけることが可能となるため、社員自身の気持ちが軽くなり、会社側の社員に対する「改善していこう」という思いが伝わることになります。

その結果、社員の働く意欲が増加し、職場の雰囲気がよい良いものへと変化していきます。

従業員に経営参加意識をもたせる

会社側がモラールサーベイを実施することで、社員側は「自身の意見が会社の今後の経営に反映される」という気持ちを抱きます。そして、社員は「どのような内容でも会社へ伝えよう」と考えることが習慣づけられ、経営に参加しているという意識が高まり、結果として会社と社員の結びつきが強固になります。

会社の問題点を把握できる

モラールサーベイは、社員へのアンケートなどを通して会社の実態を調査していく手法です。したがって、モラールサーベイを実施することで、会社内に存在するさまざまな問題点を洗い出し、組織を再編するための材料を得ることができます。

人事の判断材料となる

モラールサーベイは、社員という「人」に対して実施するものであるため、行った一人ひとりの思考や人柄、現状への思いを把握することができます。したがって、会社の人事を決定するための判断材料とすることが可能となります。

人材を適切に配置できる

モラールサーベイによって割り出された結果は、社員が現在の組織でどの程度満足しているかを図るための指標です。割り出された内容を参考にすることで、人事部門はその社員に適した場所へ配置を行うことが可能となり、組織力をより高めていくことへとつながります。

【関連】人材配置の最適化と適材適所の本質 / BizHint HR

管理職者の見極めができる

モラールサーベイを実施することで、社員の会社への思いや向上心、リーダーシップへの意欲を把握することができます。そのため、会社を支える重要なポジションとなる管理職者を見極める際の参考資料とすることが可能になります。

【関連】リーダーシップの意味とは?定義とトレーニング方法を解説 / BizHint HR

コミュニケーションツールとなる

モラールサーベイは、会社側と社員側をつなぐ効果的なコミュニケーションツールです。モラールサーベイを実施することは会社側から社員側への働きかけとなり、社員がモラールサーベイに回答することで社員側から会社側への働きかけとなります。

そして、社員から集められた回答から割り出された問題改善策を実施していくことで、再び会社側・社員側がお互いへと働きかけることになり、密なコミュニケーションを保つことができるのです。

他社と比較することができる

一般社団法人日本労務研究会などの歴史ある機関が主催するモラールサーベイを利用した場合、割り出された結果はこれまで積み重ねられた数多くの会社の前例と比較することができます。その結果、自身の会社の位置づけや目標をどの程度達成しているかについて、客観的に知ることが可能となります。

モラールサーベイの進め方

ここからは、モラールサーベイ実際にどのような手順で進めていくのかを明らかにしていきます。段階を追って、一つずつ説明しましょう。

モラールサーベイの体制づくり

まず初めに、モラールサーベイをどのような体制で行っていくのかを検討します。社内独自で項目を設定した上で実施するのか、外部機関を利用するのか、などの点について、社内の状況に合わせた内容を考え、決定していきます。

その上で、調査対象者の選定や実施時期、大まかな質問項目、集計方法やその後の流れについても考える必要があります。

外部機関を利用するかを検討する

実施する際に活用できる外部機関には、一般社団法人日本労務研究会の他、コンサルティング会社、社労士事務所、経営事務所など、さまざまな団体が挙げられます。外部機関を利用すると、コストがかかる反面、専門家の視点から会社に適した内容の項目を選定してもらえる点や、モラールサーベイの実施スケジュールなどを組んでもらえる点などのメリットがあります。

モラールサーベイの実施を通知する

モラールサーベイを実施するための体制づくりが整ったところで、次は社員に対してモラールサーベイを実施する旨を伝えます。

実施の背景や流れを説明する

説明を行う際には、なぜ実施するに至ったのかという経緯や理由、実施することで得られる効果を明確に伝え、社員に理解してもらう必要があります。これは、社員にモラールサーベイの必要性を理解してもらうことで、協力意欲をかきたてる効果を得るために行います。

正直な回答を得られないことには、会社の改善にはつながりません。問題点を徹底的に洗い出すためにも、社員の協力を取りつける必要があるのです。

プライバシー保護に留意する

社員側がモラールサーベイの実施を受けて考えることの一つに「自身のプライバシーは守られるのであろうか」という内容が挙げられるでしょう。包み隠さず記載した内容が、そのまま自分の考えとして意図せぬ形で明らかになることは、社員は望んでいないはずです。

したがって、会社側は他の人に回答が知られることがないような形でモラールサーベイを実施する必要があります。方法としては、匿名形式とするケースや外部機関を利用するケースなどがあります。

事前にヒアリングを行う

モラールサーベイの実施を社員に対して伝え理解を得たところで、いよいよ実施の準備に入ります。

まずは、実施対象者の上司や部署の長など、組織内での問題点をある程度把握することができる人物に対し、事前に聞き取りを行いましょう。このヒアリング結果をもとにして、モラールサーベイの具体的な実施内容となる項目を決定していくことになります。

質問項目を決定する

事前のヒアリング結果をもとに、次はアンケートの内容を決定する段階へ入ります。つまり、アンケートで質問をする項目と具体的な内容を決定することです。

項目を決定する際に気をつける点としては、社員の会社や組織に対する満足度を割り出すための質問を多く準備することです。たとえば、会社に対する思いや仕事へのやりがい、上司や同僚・部下との関係などが挙げられます。また、事前のヒアリングで明らかになった問題点も加味した内容を心がけます。

NRK方式の事例

質問する項目を決定するための参考内容として、NRK方式を挙げてみましょう。NRK方式の場合、「労働条件」など5つに分類された分野ごとに3~4個ずつの「種目を」設け、それぞれの内容に沿った質問を設けています。この質問の数は、全部で95問あります。

【出典】【一般社団法人日本労務研究会】診断の内容について 士気の総合水準(TML)

アンケート調査の開始

項目を決定したところで、社員に対してアンケートの調査を開始します。開始前に、アンケートの実施理由や目的、匿名性の確保などについて入念に説明しておくことが重要となります。また、社員間で実施するアンケートの内容が漏れることのないよう、全社一斉に実施する方法が有効です。

結果の洗い出し

アンケートの実施後はすみやかに回収し、結果を洗い出します。匿名性を保つため、保管場所保管方法、集計作業を行う際には最新の注意を払いながら行いましょう。

集計を行う

初めに、回収したアンケートのデータを集計します。集計作業は、人の目に触れない場所で行うことを心がけましょう。集計をしたデータは、項目別に一覧表化し、傾向がひと目で分かるような状態にします。

内容の分析

集計作業が終了したところで、次は内容を分析し、社員の現状を把握します。まずは、アンケート全体を通しての結果を確認します。大きく分類した項目別に社員がどの程度の満足感を得ているかを調べ、満足度が低い分野を把握することが重要です。特に低い分野については、なぜこのような結果になったかを検討し、改善策を見出さなければなりません。

その上で、次は男女別、年代別、職種別、勤務年数別など、社員をとりまく環境別に内容の分析を行います。たとえば、若手の社員に満足度が低い結果が算出された場合は、若い社員に平等にチャンスが与えられているか、上司との関係性はどうか、などの考えられる限りの原因を洗い出します。

また、重要な分析作業としては、アンケート以外の部分に設けられたフリー項目の内容を確認することが挙げられます。アンケート項目では把握することができない社員の本音が記されている可能性があるため、一つずつ確実に分析する方法を取るべきでしょう。

社員への結果報告

集計・分析作業が終了したところで、社員にその内容を報告します。気をつける点としては、会社・従業員間の信頼感を深めるため、一方的に報告を済ませるのではなく、必ず社員側へ不明点・質問事項の確認を行うことです。

内容のフィードバック

まず行うこととしては、内容のフィードバックです。アンケートの集計結果を公表します。方法としては、書面やプロジェクターを利用するなど、表形式でどの社員にも分かりやすい方法を取ることが重要です。

報告する内容は、会社全体での結果、男女別・年代別などの結果など、ジャンルごとに分類することを心がけます。漠然とした結果では、社員側の納得を得ることはできません。詳細に分けた結果を報告することで、社員は自分の置かれた環境で生じている問題についてより深く実感をすることができるでしょう。

改善に向けての対策

集計結果について説明をしたところで、次は結果から見出される問題点を示し、どのように解決していくかを明らかにします。

社内の問題点を改善するために必要なことは、会社側・従業員側が一致団結して取り組むことです。したがって、解決策を話す際には、「会社が取る具体的な方策」と「社員に協力して欲しい具体的な内容」をあわせて伝えることが重要です。また、改善に取り組む場合「〇〇までに行いましょう」というように期限を決めることで、社員側に改善への意識が生まれることになります。

モラールサーベイの活用事例

一般社団法人日本労務研究会によれば、これまでにNRK方式モラールサーベイを活用した会社はおよそ6,100社で、500万人以上の社員を調査してきました。

【出典】【一般社団法人日本労務研究会】NRK方式モラールサーベイ(従業員意識調査)

このように、多くの会社で利用されているモラールサーベイを実際に活用し、社内改善に役立てているケースについて、具体的に紹介していきます。

株式会社富士ゼロックス

株式会社富士ゼロックスでは、すでに1978年の時点でモラールサーベイの実施を始めており、その都度調査結果を社員に対してフィードバックをしています。特に2013年には、職場の環境や従業員の意識改革を掲げ、モラールサーベイの項目を本社・関連会社で統一しました。

その結果、社内の問題点をより正しく把握できることになり、翌年度に結果をふまえた改善活動を実施しました。結果からは経営陣への不信感が浮き彫りになったため、従業員の挑戦心を促す制度を導入するなど、対策を取り続けています。

また、培ってきたノウハウを生かし、他社に向けたモラールサーベイを利用したコンサルティング業務も展開しています。

【参考】株式会社富士ゼロックス総合教育研究所:これからも選ばれ続ける企業であるために~わが社の健康診断(従業員満足度調査)のご紹介
【参考】株式会社富士ゼロックス:従業員への取り組み

株式会社日立ソリューションズ

株式会社日立ソリューションズでは、半年に一度の頻度で、課長職以下の社員にアンケートを実施し、結果をもとに社内の問題点の洗い出しや社員へのサポート体制を整えることで、組織全体の改善に取り組んでいます。

具体的には、仕事や職場、上司、会社に対する満足度を調査し、部署や年齢、ポジション別に集計作業を行っています。その後は社員に対して結果や考えられる問題点、改善策を公表します。また、経営方針を決定する際の資料としても活用をしています。

【参考】株式会社日立ソリューションズ:労働慣行人材育成 モラールサーベイ

まとめ

  • モラールサーベイは、社員が会社や組織、仕事に対して抱いている満足感や不満、問題点を調査し、内容を科学的に分析した上で改善策を見出すための手法。
  • モラールサーベイにより、社員の本音を洗い出し、経営への参加意識を持たせることができる。また、会社側は組織内の問題点を洗い出し、人事の判断材料を得ることができる。
  • モラールサーベイを実施する際には、社員に対する事前の説明・事後の結果報告や改善策の提示を適切に行うことが重要。また、匿名性を保つための対策を取る必要もある。

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