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2018年11月14日(水)更新

カウンターオファー

カウンターオファーとは、転職希望者に対して、昇給・昇進などの条件をもとに引き止め交渉を行う事を指します。今回は、このカウンターオファーについてご紹介します。

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1.カウンターオファーの意味

もともと「カウンターオファー」という言葉は、貿易など商業の場面において使用されていた言葉です。商品の価格、納期などにおいて、売り手側の条件に対し買い手側が納得しなかった場合、買い手側から別の条件を提示する事を言います。別名「反対申し込み」「逆申し込み」とも呼ばれます。

人事用語として使用される場合の意味

この「カウンターオファー」は、人事用語としても使用されています。転職希望者・退職希望者に対して、企業側が給与・役職などにおいて現状よりも良い条件を提示し、引き止め交渉を行う事を指します。

2.カウンターオファーの成功率

実際に、カウンターオファーはどの程度の成功率があるのでしょうか。

カウンターオファー実施の実態

エン・ジャパン株式会社が運営する転職情報サイト「ミドルの転職」で、2014年に実施された「カウンターオファー」に対する実態調査(有効回答数422名)を見てみると、「今まで、カウンターオファーを受けた事はありますか?」という質問に対し、31%が「はい」と回答。約3割の転職希望者が、企業側から何らかの引き止め交渉を受けた事になります。

カウンターオファーの成功率

先の調査によると、カウンターオファーを受けた経験のある人への「カウンターオファーを受けて、次の転職先にくのをやめたことがありますか?」という問いに対して、「はい」と回答した人が27%という結果となりました。つまり、73%は受託しなかったという事になります。 また、外資系人材紹介会社のヘイズ・スペシャリスト・リークルートメント・ジャパン株式会社が2016年に実施した調査(有効回答数300名)によると、日本で転職経験のある人の61%が「企業側からカウンターオファーを受けたが、それを断った経験がある」と回答しました。カウンターオファーの成功率は20〜30%程度と、成功率は低いという事が分かります。

【参考】エン・ジャパン株式会社 ミドルの転職「ユーザーアンケート集計結果:カウンターオファーについて」

【参考】ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社「転職希望者を引き留めるための”カウンターオファー”、61%が引き留め辞退」

3.カウンターオファーの重要性

それでは、なぜいまカウンターオファーが重要視されているのでしょうか。

人材の売り手市場という背景

近年は、団塊の世代の大量退職や少子化の影響から、慢性的な人材不足と言われています。そんな中、2016年3月に大学(学部)を卒業した人の就職率(4月1日時点)は、1996年の調査開始以来最高の97.3%に上り、空前の売り手市場となっています。

また、厚生労働省が発表した2016年の平均有効求人倍率は、前年より0.16ポイント上昇の1.36倍となりました。平均有効求人倍率は7年連続で上昇し続けており、2016年は約25年ぶりの高水準となっています。

【参考】東洋経済ONLINE「過去最高の就活”売り手市場”は来年も続く?」

【参考】日本経済新聞「16年の有効求人倍率、1.36倍に上昇 25年ぶり高水準」

人材の確保が急務

厚生労働省の調査からも分かるように、現在の採用市場は新卒採用・中途採用ともに、完全な売り手市場と言えます。つまり、優秀な人材にとっては、好条件での転職が叶いやすい環境であるとも言えます。一方、企業にとっては、企業間で優秀な人材の獲得合戦を繰り広げる一方で、社内の優秀な人材の流出も防止しなければなりません。そんな中で、カウンターオファーは、人材流出防止の一つの手段となり得るのです。

4.カウンターオファーで提示される内容

それでは、実際にカウンターオファーではどのような条件が提示されるのでしょうか。

昇給

基本給やボーナスなど、給与のアップ。また、それまで支払われなかった残業代の整備など。

昇進・昇格

役職のアップや新たな役職の付与。また、契約社員から正社員などへの雇用形態の転換など。

希望部署・職種への異動

転職希望者が希望する部署や、職種への配置転換。

魅力的な業務の担当

新規事業など魅力的な業務の担当、組織・プロジェクト内での役割強化や責任の拡大など。

スキルアップの提供

資格取得などの援助、スキルアップ・キャリアアップのサポート、MBA等の留学の補助など。

慰留面談

面談の場を設け、いかにその転職希望者が会社に必要か、という事を説明。また、普段あまり会う機会のない高位の役職者から直接面談し、自分自身の価値を認識させる。

5.カウンターオファーを行う際のポイント

カウンターオファーを行う際、どのようなポイントに気をつけるべきなのでしょうか。

転職希望者と真摯に向き合う

転職希望者は、何かしらの課題を解決するために転職を決めています。給与などの条件面に不満があったのか、職場環境・人間関係に不満があったのかなど、転職希望者と真摯に向き合い、まずはその転職を考える元となった課題を見つける事が先決です。その上で、その課題を解決するための条件提示を行う必要があります。

情報は厳守する︎

転職希望者は、退職の意向を示した事が同僚や外部に洩れたり、またその事によって今後の処遇に影響しないかどうかを不安視しています。

まず、この事案について転職希望者と会話する場合は、職場以外の場所を使うなど、情報が漏れたり周りが察したりしない環境を作る配慮が求められます。また、今後の処遇などについても影響のないよう、社内調整が必要です。

カウンターオファー時の契約は書面化する

カウンターオファーで合意を得られても、条件面が口約束では転職希望者に不安を与えてしまいます。転職先からは、書面で条件を提示されている場合もあるでしょう。カウンターオファーで決定した内容は書面にして手渡しし、公式な文書として残すようにしましょう。

平常時の適切な人事評価やコミュニケーションが重要

そもそも、転職希望者を出さないためには普段のコミュニケーションが重要です。

カウンターオファーを受託したくない心情

転職希望者がカウンターオファーを受諾したくない心情としては、「退職すると言った途端に条件が良くなるのなら、元々そうして欲しかった」という気持ちがあるようです。先にご紹介した転職情報サイト「ミドルの転職」でのカウンターオファーに対する実態調査でも、「カウンターオファーで引き止めるくらいなら、その前にどうにかしてほしい」という意見が多く寄せられています。

【参考】エン・ジャパン株式会社 ミドルの転職「ユーザーアンケート集計結果:カウンターオファーについて」

転職希望者が転職を考えるきっかけ

エン・ジャパン株式会社が運営する「エン転職」のユーザーを対象に行った調査(転職希望者1,128名)によると、「転職を考えている理由」として最も多かったのが「給与に不満がある」で、約半数の44%に上りました。次に「会社の将来性に不安がある」「会社の考え・風土が合わない」「仕事内容に不満がある」が続きます。 ここで重要となるのは、普段のコミュニケーションです。転職希望者は何かしらの不満を解決するために転職を決めています。普段から部下との良い関係性を保ち、変化を敏感にキャッチしその不満に気づく事ができれば、優秀な人材の流出を防止する事が出来るかもしれません。

【参考】エン・ジャパン株式会社「転職希望者のホンネ調査2015」

6.カウンターオファーが効果的なケース

それでは、カウンターオファーが効果的なケースを見てみましょう。

転職理由が待遇面(給与・ボーナスなど)である場合

転職理由が待遇面のみにある場合には、転職先の提示している給与に合わせるなど、転職希望者が納得する条件に合わせられれば退職を防止する事もできます。

転職希望者にとっても、慣れた職場で希望の条件が叶うのであれば、その方が好都合でしょう。

退職理由がポジション面(役職・役割・所属部署など)である場合

転職理由がポジション面のみにある場合は、可能であれば希望に合わせた昇進や人事異動などの条件を提示します。そうすれば転職希望者の課題も解決でき、カウンターオファーも成功となり得ます。

7.カウンターオファーによる効果が期待できないケース

次に、カウンターオファーによる効果があまり期待できないケースを見てみましょう。

転職理由が人間関係や職場環境などの場合

転職理由が人間関係や職場環境(会社の考えや風土)によるものである場合、例えば昇給や昇格を提示したとしても、受諾されにくいでしょう。配置換えなどで解決できる場合もありますが、それがそもそもの課題の解決になっているのか、転職希望者とよく話し合う必要があります。

転職理由が業務内容によるもので、現在の会社では課題を解決し得ない場合

例えば全く違う職種に転職するなど、現在の会社では実現し得ない退職理由の場合には、カウンターオファーは有効な手段ではないと言えます。ただし、副業を許可するなどして課題を解決できる場合もあります。

8.カウンターオファーのリスク

最後に、カウンターオファーを実施する際のリスクをご紹介します。

他の社員の便乗や士気の低下を生む

一人の転職希望者に好条件を出してしまい、それが周囲に知られてしまうと、他の社員の士気の低下を招いてしまう事もあります。また、同条件を引き出そうと転職活動を行う社員も出てくる可能性もあり、組織の統率がとれなくなってしまう場合も。情報は厳重に管理しましょう。

転職希望者との間に溝ができる

カウンターオファーが成功しても、一度退職希望を出した社員に対して、それを知っていた同僚や上司が今までと同じように接する事ができない場合もあります。ある意味信頼を失っている状態となり、人間関係を悪化させてしまうリスクも考慮する必要があります。

慰留成功後のモチベーションの維持に課題

カウンターオファーを行うと、転職希望者は自身が会社に必要な存在だという事を認識します。その安心感ゆえに、今以上の努力を惜しみ、モチベーションの低下に繋がる場合もあります。

慰留に成功しても長期的な効果が望めない

先にご紹介したヘイズ・スペシャリスト・リークルートメント・ジャパン株式会社の調査では、カウンターオファーを受諾した人について、その後会社にどの位の期間留まったのかといという調査も併せて実施されました。それによると、「カウンターオファーを受け入れ、12カ月以上その会社に留まった」という人は21%、一方「カウンターオファーを受け入れたが、12カ月以内に退職した」という人は18%という結果となりました。 待遇面ではなく人間関係・職場環境を理由に転職を考えるケースも多く、カウンターオファーに成功してもまた数年で退職してしまう可能性もあります。結果、カウンターオファーが長期的な課題解決には至っていないケースも数多く見受けられます。

【参考】ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社「転職希望者を引き留めるための”カウンターオファー”、61%が引き留め辞退」

9.まとめ

  • カウンターオファーは転職希望者を引き止めるために行われる手法で、昇給・昇進・人事異動などの様々な条件が提示される。
  • カウンターオファーを行う際は、転職希望者の抱える課題に真摯に向き合い、一緒に解決する姿勢で臨む事が重要。
  • カウンターオファーは周囲の社員の士気の低下や、カウンターオファー成功後の社員のモチベーション低下などのリスクも理解した上で実施する必要がある。

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