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2018年5月13日(日)更新

ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは、社員のモチベーションを高く維持するなど人材育成に利用できる教育心理学用語です。本記事では、この「ピグマリオン効果」の意味や例を詳細に解説いたします。

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ピグマリオン効果とは

ピグマリオン効果とは、人は他者から期待されることによって成績が向上する現象のことです。

これは、アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールによって提唱された、教育心理学における心理的行動のひとつで、別名「教育期待効果」、または「ローゼンタール効果」とも呼ばれています。

ローゼンタールはある小学校のクラスを対象に、知能テストを行う実験をしました。学級担任には「このテストによって今後成績が伸びる生徒が分かる」と説明しましたが、実際にはそのような効果はない一般的な知能テストでした。テスト後、結果に関係なく無作為に生徒を選び出し、「今後成績が伸びるのは、この生徒たちだ」と伝えました。担任教師はこれを信じて選ばれた生徒たちに期待して指導をしました。すると、本当にその生徒たちの成績が向上したのです。

この実験で、成績が向上した要因として考えられるのは、担任が選ばれた生徒たちに期待を示し、子供達は期待されていることを意識してそれに応えようとしたことが挙げられます。

これは、適度な期待が相手のやる気を引き出し、その結果として期待に応える成果を上げることを示唆しています。教育だけでなく、ビジネスでの人材育成やマネジメントに活用することで効果を期待できます。

「ピグマリオン」の由来は、キプロス王ピグマリオンが、自ら彫刻した乙女像を愛し続けた結果、人間の女性になったというギリシア神話から命名されました。

ピグマリオン効果が発見されたきっかけ

最初にピグマリオン効果が発見されたのは、1964年にネズミを使った実験によるものでした。

迷路によるネズミの実験開始前に、生徒(学習者)には利口なネズミと利口でないネズミの系統を伝えられます。その後、提出された実験結果の差を調べてみたところ、利口なネズミと定義づけられたネズミの方が、結果が良かったいう実験結果がでました。つまり、教師が期待する結果に対して、生徒(学習者)が期待通りに応えていることを意味しています。

これにより、教育現場において、生徒(学習者)の知識や学習意欲、また成績結果は担任教師の期待の有無によって、左右されることが発見されました。このピグマリオン効果は教育現場だけでなく、ビジネス分野においても、社員教育や社員のモチベーションアップ、業績回復に応用することができます。

ゴーレム効果との違いとは

ピグマリオン効果とゴーレム効果の違いは、相手に期待するか、しないかです。

ピグマリオン効果は、相手に期待すると期待通り成績が向上します。一方、ゴーレム効果は、相手に期待しないと期待通り成績が低下します。

ゴーレム効果とは

ゴーレム効果とは、人は他者から期待されないことによって成績が低下する現象のことです。

この学説も、ピグマリオン効果と同じくローゼンタールによって提唱されました。

ローゼンタールはピグマリオン効果の実験に引き続き、「成績の良い生徒たちのクラス」と「成績の悪い生徒たちのクラス」を作りました。「成績の良い生徒たちのクラス」の担任教師には「成績の悪い生徒たちだ」と伝え、「成績の悪い生徒たちのクラス」のの担任には「成績の良い生徒たちだ」と伝えました。それぞれのクラス担任はこれを信じて指導した結果、「成績の良い生徒たちのクラス」の生徒は成績が下がり、逆に「成績の悪い生徒たちのクラス」の生徒は成績が上がりました。

この実験結果は、ピグマリオン効果の実験でみられた「期待する」と「成績が向上する」因果関係は、その逆の「期待しない」と「成績が低下する」でも成り立つことを表しています。

ビジネスでは、部下への育成やマネジメントがゴーレム効果にならないように注意する必要があります。上司の期待していない気持ちを示す言葉や態度が部下のモチベーションを低下させ、その結果、能力が発揮できず、成果が出ないという事態を招く恐れがあります。

「ゴーレム」の由来は、ユダヤに伝わる泥で出来た人形(ゴーレム)から命名されました。ゴーレムは意思がなく、主人の思うままに操られて行動しますが、額の文字を一部消すと泥に戻ってしまいます。これを人に当てはめれば、能力がある人が、相手からネガティブな言葉や態度によって自信を失ったら、その力を発揮できなくなってしまうことを表しています。

ホーソン効果との違いとは

ピグマリオン効果と似ている心理的行動として、「ホーソン効果」が挙げられます。

ピグマリオン効果と同じように、人の行動に影響を及ぼす心理的行動の一つです。

このホーソン効果は、本来、人は「注目される」ことを好み、注目されることで成果を上げようと力を発揮する現象です。

つまり、他人からのポジティブな注目は、自分の意識決定に大きく影響し、自分の行動や結果に差が生じることとなります。

一方で、ピグマリオン効果は自分が他人に期待をかけることで、期待をかけられた相手が期待通りの成果を出すための能力を向上させる効果を指します。

業績の良かった社員を全社員の前で表彰し、注目を集めさせる表彰式は、ホーソン効果によるパフォーマンス向上の一環といえます。

【関連】「ホーソン効果」とは?ピグマリオン効果・プラセボ効果との関係とは / BizHint HR

ハロー効果との違いとは

ピグマリオン効果の要因とされる「期待」。期待とはそもそも人に対するポジティブな情報や印象が元になっています。

この人に対する情報や印象に影響を与える社会心理学として、「ハロー効果」というものがあります。

これは評価対象となる人間の顕著な特徴が際立ち、その他の特徴が埋もれてしまう現象を指します。また、後光効果、光背効果とも呼ばれています。

ビジネスシーンにおいて、「外見が良いビジネスマンは仕事ができる」と感じてしまう現象もハロー効果によるものです。

しかし、ハロー効果は使い方を間違えるとビジネスの現場に悪影響を与える可能性があります。例えば、業績は良いが、周囲との協調性や教育能力がない社員がいたとします。

彼の業績的評価を過大に評価すると、人物的評価が従来よりも高く評価されてしまう恐れがあります。

このような人物が管理職になった場合、パワハラに発展する、部下の退職が続くなどのトラブルに発展する可能性があります。

また、堅実に業務をこなし、定時時間に帰る社員がいたとします。残業をしない彼に対して、「あなたは仕事に熱意がない」と評価してしまうと、彼の堅実な業務に対しても否定的な評価となってしまいます。

このように、ビジネスシーン上では、ハロー効果によるメリットとデメリットを把握しておく必要があります。

ピグマリオン効果もハロー効果も認知バイアスという共通点はありますが、ハロー効果は一部の顕著な特徴で全体を判断する心理である一方、ピグマリオン効果は相手の期待に応えようと自分自身の行動を変えようとする心理的行動であります。

また、ハロー効果は現時点での事実誤認ですが、ピグマリオン効果は未来の結果を変える現象のため、時間軸においても明確な違いがあります。

【関連】ハロー効果の意味と具体例をわかりやすくご紹介 / BizHint HR

ピグマリオン効果と人材育成の関係

ピグマリオン効果は人材育成においても密接な関係があります。優秀な管理職や人事担当者は部下に「高い成果を達成できる」という期待を抱かすことができます。

一方で、部下に「あなたは高い成果を出せない」というネガティブ思考を埋め込む管理職や人事担当者は決して優秀とはいえません。そのため、ピグマリオン効果をうまく使って、うまく人材育成を行うことは自分自身の昇進にもつながります。

また、日本の企業の多くは業績的評価と人物的評価(協和性やコミュニケーション能力)の二つの評価を重きに置いているため、ピグマリオン効果を発揮しやすい環境にあります。

本来、業績のみで判断したいところですが、人物的評価を軸にピグマリオン効果を取り入れると業績的評価の向上にも効果的です。

人物的評価を使うと、「あなたはコミュニケーション能力や協調性、主体性に優れており、プロジェクトには欠かせない存在だ。

そのため、今以上の高い成果を達成できる」という期待がかけやすくなります。

【関連】人材育成とは?目的と実施方法について / BizHint HR

ピグマリオン効果の事例1「営業成績」

ピグマリオン効果が表れやすい部門が「営業部門」です。営業部門は数字による業績的評価が行いやすく、目に見える形で成果が表れます。

上司が部下に期待をかけることで、以下のような効果ができます。

  • 部下が期待に応えようと努力するようになった
  • 部下が自分自身で考え、行動を起こすようになった
  • 部下からの報連相(ホウレンソウ)の機会が増えた
  • 期待をかけられた社員の営業成績が上がった
  • 今以上に上司が部下を気にかけるようになった

「期待」をかけることにより、成果を上げるピグマリオン効果は現場のマネジメントには最適です。また、上司・部下との関係性を良くし、部署全体の活気にもつなげることができます。

ピグマリオン効果の事例2「後輩育成」

管理職一歩手前の中堅社員に託される業務の一つ、「後輩育成」。部下のモチベーションを上げて、成果を出させることは管理職に求められる必須の能力です。

ピグマリオン効果は後輩教育において、高い効果を引き出すことができます。

教育する社員と学習する社員の年齢層も比較的近いことから、期待感をかけやすい、信頼関係も構築しやすいというメリットがあります。

後輩教育では以下の効果が期待できます。

  • 後輩社員の作業スピードが高まる
  • コミュニケーションの機会が増える
  • 管理職候補である教育係の教育能力が向上する
  • 先輩社員、後輩社員ともに業績が向上する

このようにOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)において、ピグマリオン効果は高い成果を出すことができます。

【参考】OJTの意味とは?計画の立て方、研修の内容・手法・メリットをご紹介 / BizHint HR

まとめ

元々、教育現場で使われる心理学用語だったピグマリオン効果ですが、現在ではビジネスの現場でもよく使われるようになりました。

「期待」することで「成果」を出させる手法は子供だけでなく、優秀な社員の育成にも役に立ちます。

業績が振るわない社員の指導や新人教育、後輩育成を目的とした施策の案に、ピグマリオン効果を取り入れることを考慮してみてはいかがでしょうか。

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