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2018年11月17日(土)更新

採用戦略

採用戦略は、企業が優秀な人材を確保する上で必要不可欠です。人材不足が懸念される現代社会において、やみくもに採用活動を行ったところで自社の求める人材を獲得することは難しくなっています。自社の人事戦略に沿って適切な採用戦略を立てていくことが大切です。ここでは、有効な採用戦略の立て方と戦略を立てる際に役立つ知識や考え方をご紹介します。

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1. 採用戦略とは?

まずは、採用戦略とはどのようなものか確認しましょう。

採用戦略とは

採用戦略とは、自社に適した優秀な人材を獲得するために立てる方策です。企業の今後の成長を担う人材を獲得できるか否かを決定づけるため、経営上とても大きな意味を持っています。人材不足が懸念され、採用環境が厳しくなっている昨今において、企業の限られた資源の中で、いかに自社の求める人材を獲得していくか戦略を考えることがますます求められています。

また、経営上重要なテーマとして採用戦略を考えることは、経営トップを巻き込み、人事本部だけでなく会社全体として採用活動を行うよう仕向けることができるというメリットももたらします。採用の成功を左右するのは、企業の知名度や事業内容ではありません。採用を戦略として適切に計画できているかと、会社全体で採用活動に取り組めているかが重要になります。採用戦略を立案することは、この2点を実現する可能性を高めることができます。

2.採用戦略と人事戦略の一貫性

それでは、採用戦略はどのように立案していくべきなのでしょうか。前提として、採用戦略は人事戦略と一貫性を持たせることが必要です。例えば、新卒採用に力を入れる採用戦略を立案しようとしているのに、人事戦略として育成にコストはかけないという判断をしているのであれば一貫性がないと言えます。新卒の社員を戦力として育成するためには、一定程度育成のコストがかかります。人事戦略として、育成に時間や人材、お金をかけることを考えていないのであれば、新卒採用に力を入れる採用戦略を立案すべきではありません。即戦力となる中途採用に注力する採用戦略を検討すべきでしょう。

また、人事戦略として短期的な成果で評価や報酬を決める施策を考えているのであれば、長期的な成長を視野に入れた人材を獲得する採用戦略を立てると一貫性に欠けると考えられます。成長を見込んだ人材を採用するのであれば、成果だけでなくプロセスも評価する施策などが必要となるでしょう。このように採用戦略は、育成や評価、報酬、配置など企業人事を司るさまざまな人事戦略と一貫性を持たせるように立案することが大切です。

3.採用戦略を立てる際の4つのステップ

ここからは、具体的に採用戦略の立て方を4つのステップに分けて説明します。採用戦略は様々な立案方法が考えられますが、以下のステップのように具体的な計画とともに検討していくと効率的です。そして、各ステップにおいて、人事戦略との一貫性を適宜確認しながら進めていくことが大切です。

求める人材像を設定

最初のステップは、求める人材像を設定することです。今後の自社の成長のために、どのようなスキルやパーソナリティーを持った人材が必要なのか条件を考えます。

ここでポイントとなるのが、自社の未来を想像して求める人材像を考えることです。求める人材を考える場面になると、現在の自社の課題を解決するために必要な人材を考えてしまうことがあります。現状必要な人材を明確化することは短期的には必要ですが、長期的な視点も含めて自社のあるべき会社像を想像し、求める人材を考えることも忘れないようにしましょう。

長期的に求める人材像は、経営目標や経営戦略を理解しておくと会社の方向性とぶれずに考えることができます。求める人材像が明確になってくると、新卒と中途のどちらの採用に力を入れるべきなのかといった採用戦略の方向性もある程度見えてきます。

具体的な採用目標を設定

求める人材像が明確になり、一定程度の方向性が見えてきたら、次のステップはそれらを具体的な採用目標に落とし込むことです。書類選考と面談の日程や終了時期などのスケジュール、目標採用人数などを決めていきます。スケジュールは、いつまでに何をすべきか明確にすることができるため早めに確定させることが大切です。新卒採用は長期間に渡る活動となるため、調整が必要となることも見込んでスケジュールを立てましょう。

目標採用人数に関しては、多面的に検討することが必要です。短期的な戦略として中途採用の目標人数を決める場合には、各部署に対して必要な人員をヒアリングすることが求められます。また、中長期的な戦略として中途採用と新卒採用含めて目標人数を決める場合には、各部署へのヒアリングとともに、今後数年で定年退職を迎える社員の人数、新規プロジェクトや売り上げ目標などの経営目標を達成する上で必要となる人数をあらかじめ算出しておくことが大切です。そして、人件費予算を考慮しつつ、経営と最終調整し、中途採用と新卒採用ともに最終的な採用目標人数を確定します。

長期間活動する新卒採用は予測が立てにくく、途中で採用目標の変更が必要となる場合もあります。そのような場合には、候補者となる学生の状況などを考慮しながら適宜調整していくことが大切です。

求人手法の選定と面接官の育成

具体的な採用目標が設定できたら、次は目標を達成するための求人手法の選定と面接官の育成を行うステップです。求人媒体や面接官の心構えや質問の仕方などについてこちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

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ヘッドハンティングとは?タイプ別ヘッドハンティング会社一覧
面接官の心得や質問の内容、やり方のポイントを総まとめ

求人手法の選定

スケジュールと採用目標人数に合わせて、具体的にどのように採用活動を行なっていくのか求人手法を選定します。ホームページやパンフレットなど採用ツールは何を使うのか、合同企業セミナーに参加するのであればいつどこに何回参加するのか、応募者管理はどのように行っていくのかなど、母集団形成の手法を具体的に考えます。近年では自社でインターンシップを行うことで、求職者にアピールしている企業も多数見受けられます。他社がどのような施策を行なっているのか情報収集しておくことも大切です。

自社にどのような手法が有効か検討する際には、後ほど紹介するフレームワークが役に立ちます。自社とターゲットとなる求職者、競合他社をそれぞれ分析することにより、どのように求職者にアピールしたら良いかポイントを明確にできます。前年度同様に採用を行なっているのであれば、前年度の手法と結果を分析し、今年度の戦略に活かしていきましょう。採用活動にはそれぞれコストがかかるため、最終的には予算を考慮しながら戦略を確定していくことが大切です。

【関連】採用手法一覧と、市場の変化から生まれた面白い採用手法をご紹介 / BizHint HR

面接官の育成

求人手法の選定と同時に面接官を育成しておくことも大切です。面接官の印象は会社の印象となります。求職者はホームページや採用ツール、説明会でも会社の印象を感じていますが、一番強く実感するのは面接官であると言われています。求職者にとって、面接で出会った人物がその企業における典型的な人物のイメージとなります。自社の好ましい印象を形成するためにも、面接官は自社をよく理解し、最低限のマナーは身につけられているようにしましょう。

また、面接官を育成しておくと、会社のマネジメントの質の向上にも繋がるというメリットもあります。人の多様性を認めながら、自社の求める人材を正しく見極めるスキルは、人を管理する立場となっても活かすことができます。人を正しく見極め、評価やフォローを行うことはマネジメントにおいて重要なスキルです。面接官研修などを実施し、面接の基本的なマナーを教えつつ、人を見極めることができる面接官経験者の人材を育成しておきましょう。

【関連】面接官の心得や質問の内容、やり方のポイントを総まとめ / BizHint HR
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内定・入社後のフォロー体制を確立

最後のステップは、内定と入社後のフォロー体制を確立しておくことです。入社を決めた人材に、自社で長く活躍してもらえるように、また自社の求める人材に成長してもらえるように戦略を立てましょう。

内定後のフォロー

当然のことながら、採用活動は内定を出したら終わりではありません。求職者に内定を承諾してもらい、内定期間自社に惹きつけておくためにはフォローが必要です。新卒採用であれば、入社後を視野に入れた初期教育を内定期間に行っておくことも有効でしょう。

内定者フォローは、内定者の不安や期待に配慮して施策を考えることが大切です。一般的には、定期的に連絡をとることに加えて、内定者同士で顔合わせを行う懇談会や先輩社員との懇談会、ビジネスマナー研修などが多くの企業で行われています。このようなイベントを通して自社についてオープンにしていくことで、職場の人間関係や仕事に対する内定者の不安を解消し、早く働きたいという期待を高めてあげることができます。

【関連】「内定者フォロー」事例10選!計画のポイントや企業事例もご紹介 / BizHint HR

入社後のフォロー

内定者フォローと同時に、入社後のフォロー体制を確立しておくことも大切です。入社前と入社後のギャップが大きくなると、離職のリスクにつながります。入社後長期的に活躍してもらうためには、中途採用新卒採用どちらにおいても、社内において受け入れ体制をしっかりと整えておくことが必要です。

具体的には、教育担当をおいて、社内の人間関係の相談に乗ったり慣習を教えたりする役割を担ったり、人事やマネジメントと定期的に面談したりする機会を設けたりする施策が考えらます。入社後のフォローにおいても、内定者フォローと同様に、新入社員の気まずさや不安、ストレスを軽減してあげることに主眼を置くことがポイントとなります。

4. 採用戦略はPDCAサイクルが大切

採用戦略は、立案し実行に移して終わりではありません。年度ごとに振り返りを行っていくことが必要です。その年度の採用活動終了後には必ずフィードバックを行い、次の年度の採用戦略の立案に活かしましょう。

採用戦略をいくら緻密に考えても、いざ実行してみると課題はたくさん出てきます。採用戦略を立てるステップの中でどこに課題があったのか明確にすることが大切です。目標人材がそもそも違っていたのか、求人手法が適していなかったのか、内定や入社後のフォローが足りなかったのかなど具体的に考えていきます。

課題の洗い出しにおいてはデータを元に定量的に判断していくことが重要です。

課題の洗い出しができたら、改善施策を立案しましょう。課題と改善施策のアイデアは、採用活動に関わったメンバーで出し合うと効率的です。課題と次の一手をメンバーで共有することで、次年度には前年度の課題を潰していきます。このようなPDCAの積み重ねが有効な採用戦略を形作っていきます。

最近では「採用管理システム」と呼ばれる、採用業務を効率化した上で採用手法(求人媒体、人材紹介等)毎の成果(ROI)や面接官のパフォーマンスを定量評価できるシステムが欧米の企業で活用されており、日本国内でも急速に普及し始めていますので、ご活用いただくことでPDCAサイクルを素早く回して行くことが可能になります。

5. 採用戦略に活用できるフレームワーク

最後に、採用戦略を立案する際に活用できるフレームワークをご紹介します。ビジネスにおいて生産性を高めるために活用されるフレームワークですが、採用戦略を考える際にも大いに役立ちます。フレームワークによって情報を整理することで、いかにターゲットの求職者を獲得すれば良いか施策を考えやすくなります。

また、採用戦略を立てる際に、近年ではマーケティングの知識を活用することが世界的に注目されています。フレームワークと合わせて、最後に採用マーケティングという考え方についても簡単にご説明します。

SWOT分析

まずは、SWOT分析です。SWOT分析は、「強み(strength)」「弱み(weakness)」「機会(opportunity)」「脅威(threat)」を軸に4象限を設定し、目標を達成するために、「強みをどのように活かすか」「弱みをどのように克服するか」「市場の機会をどのようにいかすか」「脅威をどのように排除するか」について考えることができます。採用戦略を立案する上で、自社の情報を整理し、自社の強みと弱み、活用できる機会と排除すべき脅威を把握しておくことは有効です。ターゲットとなる人材像にどのように自社の魅力をアピールしていけば良いかがわかります。以下は、SWOT分析を行った例です。

【SWOT分析の例】

強み(strength)

  • 大手企業との取引が数多くある。
  • 独自の技術を持っている。
  • 高い技術力を持ったベテラン社員が多い。

弱み(weakness)

  • 商品や社名の世間的な認知度が低い。
  • 事業が一つしかない。
  • 若手社員が少ない。

機会(opportunity)

  • スマートフォンの普及により、市場拡大が見込める。
  • 日本国内だけでなく、海外展開が期待できる。
  • スマートフォンの小型化と高機能化により、高い技術力が必要とされる。

脅威(threat)

  • 安価な海外製品との競争が激化している。
  • 高い技術力を持った社員が高齢化している。
  • 新たな技術が開発され始めている。

情報を整理すると、何が強みでどう伝えれば良いか、採用活動で押し出していくべき部分が見えてきます。例えば、若手社員を採用したいのであれば、「確かな技術力と市場の成長性」を採用活動で発信していくと効果的にアピールできると考えられます。

【関連】SWOT分析とは?やり方や事例まで解説 / BizHint HR

3C分析

次に、3C分析です。3C分析は、「Customer=顧客」「Competitor=競合」「Company=自社」という3つの視点から、自社を取り巻く環境を分析することができます。それぞれの状況を把握することで、顧客と競合にどのように対応していけば良いかが明確になります。

SWOT分析と合わせて活用すると、顧客と競合に対して自社がどのような強みを活かすことができ、どのような弱みを克服すべきか可視化することができます。採用で戦略を立案する上では、「Customer=求職者」として考えます。ターゲットとなる求職者の価値観やニーズを分析し、同時に自社と競合の状況を分析してくことで、自社が採用で成功するための鍵を見つけることができます。以下は、3C分析を行った例です。

【3C分析の例】

Customer=求職者

  • 新規分野へチャレンジしたい。
  • 昇格のキャリアパスが明確になっている環境で働きたい。
  • 入社後に丁寧なフォロー体制が欲しい。
  • 大手企業と安定的な取引をしたい。

Competitor=競合

  • A社は、取引先は中小企業が多く、昨年度新規事業を立ち上げている。
  • B社は、取引先は中小企業と大企業が半々程度で、社員数が少なくスタートアップ企業の雰囲気が強い。

Company=自社

  • 大手企業との取引が中心となっている。
  • 企業規模が大きく、採用後のフォロー体制を毎年強化している。
  • キャリアプランに関する研修や面談を実施している。
  • 新規事業を立ち上げるのではなく、既存の事業を強化する方針をとっている。

顧客と競合、そして自社を分析することにより、競合がまねすることができない求職者に対する自社のアピールポイントが見えてきます。例で言えば、「大手企業との取引実績」や「入社後のフォローやキャリア支援体制の充実さ」を押し出すと魅力的な印象を与えることができそうです。

【関連】3C分析とは?目的とやり方、学べる本などご紹介 / BizHint HR

4C

さらに、4Cです。4Cは、マーケティングプロセスの中で、顧客の視点を分析するために使われているフレームワークです。「顧客にとっての価値(Customer value)」「顧客にかかるコスト(Customer cost)」「顧客にとっての利便性(Convenience)」「顧客との会話(Communication)」を軸に、顧客が自社に期待する価値を明らかにします。採用戦略を立案する際には、顧客を求職者に置き換えて活用します。求職者が自社に何を求め、何を負担に感じる可能性があるかを明らかにします。以下は、4C分析の例です。

【4C分析の例】

求職者にとっての価値(Customer value)

  • 大手企業との取引経験が得られる。
  • 独自の技術を身につけることができる。
  • 日本企業だけでなく海外の企業とも取引経験ができる。

求職者にかかるコスト(Customer cost)

  • 企業の世間的な知名度が低い。
  • 一つの事業しか経験することができない。
  • ベテラン技術者が多く、若い社員は世代間ギャップを感じる可能性がある。

求職者にとっての利便性(Convenience)

  • 合同企業セミナーで説明を聞ける機会が複数回ある。
  • 会社説明会を複数の日程で実施し、求職者の都合の良い日時に参加することができる。
  • 企業パンフレットの内容が充実している。

求職者との会話(Communication)

  • 会社説明会の質疑応答の時間が長く、疑問を解消しやすい。
  • 採用ホームページで人事担当者に気軽に問い合わせができる。
  • 合同企業セミナーでは、ブースで現役社員や事業責任者と会話できる。

4C分析によって求職者像が明らかになることで、アピール方法が明確になります。求職者にとって「コスト」となる負担感は軽減していくことを目指し、「価値」をアピールしつつ、「利便性」や「コミュニケーション」を参考に求人手法を選定していくことができます。

採用マーケティング

最後に、近年注目されている採用マーケティングという考え方です。採用マーケティングは、従来の消費者に対するマーケティングの視点を人材採用に活かしています。アメリカの企業を中心に、効率的な人材確保の手法として取り入れられてきました。人材不足が懸念される中で、中途採用を行う場合、人材紹介会社の求職サイトに登録している顕在的な求職者だけでは、自社の求める人材が確保できなくなってきています。

採用マーケティングの考え方は、このような状況の打開策になり得ます。採用マーケティングであれば、顕在的な求職者だけでなく、潜在的な求職者にも働きかけることができ、自社の求める人材に出会える可能性を高めることができます。即戦力となる中途社員の採用を検討している場合には、考え方として取り入れてみると有効です。

【関連】「採用マーケティング」 最新の消費者マーケティング手法を取り入れ、優秀な人材を獲得する / BizHint HR

まとめ

  • 採用戦略は人事戦略をしっかりと持たせる。
  • 採用戦略立案を立てる際には具体的な人材像を設定して目標に落とし込み、面接官の育成を行う。
  • 内定、入社後のフォローをしっかりと。
  • 採用マーケティングやその他のフレームワークを有効に活用して採用戦略の立案を行う。

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