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連載:第20回 成長企業 社長が考えていること

経験者が全員退職・廃業の危機を乗り越え進む、地方中小企業の生き残り戦略とは

BizHint 編集部 2022年5月11日(水)掲載
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「理想の介護を実現したい」という高い志を胸に起業するも、経験者が全員退職してしまうという波乱の幕開けでスタートした株式会社あきた創生マネジメント。それでも残ってくれた社員とともに、一歩ずつ歩みを進めてきたのが同社代表の阿波野聖一さんです。一時は廃業が頭によぎるほどの危機もあった中、それらをどう乗り越えてきたのか。同社の成長の歩みについて詳しくお話を伺いました。

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株式会社あきた創生マネジメント
代表取締役 阿波野 聖一(あわの しょういち)さん

1976年6月生まれ。2011年3月の東日本大震災をキッカケに、自身の想う介護をしようと一念発起。2011年10月に株式会社あきた創生マネジメントを設立、翌年4月に最初の事業所を開設する。2017年7月、M&Aにて事業譲渡を受ける。2019年11月、事業承継にて有限会社おーがすとの取締役社長に就任。2022年3月、外国人技能実習生の受け入れの経験を活かし外国人登録支援機関に登録。さまざまな経験、実践を通し総合的アプローチで持続可能な介護事業にする伴走型コンサルティング事業をスタート。パーパス「人口減少社会において介護経営をリデザインする」


想いをもって起業するも、経験者が全員辞めてしまう波乱の幕開け

――貴社は「人口減少社会において、介護経営をリデザインする」という目標を掲げ、ICT活用や働き方改革、人財活用など、様々な取り組みに積極的に挑戦されていることが業界内でも注目されていますね。創業当時はどのような状況だったのでしょうか?

阿波野聖一さん(以下、阿波野): 創業当時は大変でしたね…。2011年に「株式会社あきた創生マネジメント」を設立し、翌年に介護施設「ショートステイ輪」(秋田県能代市)をオープンしたのですが、早々に危機的な状況が訪れました…。

施設をオープンした後すぐに、介護経験のあるスタッフが皆、一気に辞めてしまったんです。介護現場で働いた経験がある有資格者は私と家内だけで、残りは新卒1年目の子など、介護経験のないスタッフだけが残されてしまった状況でした。

――なぜ、経験者が全員辞めてしまうような事態に陥ったのでしょうか。

阿波野:その理由は、「その人がありのままに居られる環境をつくること」という私が目指す介護にありました。 多くの介護現場では「その人らしさ」よりも、「管理」が優先される実情があります。私自身も、起業する前はそうした“管理する環境”の中で仕事をしていました。

しかし、私はそれがとてもイヤでした。例えば、高齢者の方が転倒し、ケガをしたとします。転倒を防ぎたいのは山々だけれど、転ばせないためにベッドにずっと寝かせっぱなしにしたり、歩かせないようにしたりするのはおかしい。安全に最大限、配慮しながらも、その方の「動きたい」が実現する環境を作っていく。こうした感覚こそが重要だと考えています。

行動にはすべて、ご本人なりの理由があるはず。その理由を探してくるのが介護のプロだろうと思っていましたし、こうした“人を見る介護”を実現するには、自分自身がトップになる必要がある。そう考えて起業したわけです。そして当然ながら、管理的な介護をしようとするスタッフには厳しく注意しました。その結果が「経験者が一斉に辞める」という状況に繋がったのです。

一方で、介護経験がないスタッフは先入観がないせいか、すんなり理解してくれました。私は同じ方向を見てくれるスタッフと働きたい。その残ってくれたメンバーと少しずつでも歩んでいく道を選びました。結果的には秋田県内で5つの施設を運営するまでに成長。私の目指す介護に共感して入社してくれるスタッフも増え、自分の選んだ道は間違いではなかったと感じています。

この原体験から、採用時には 「介護経験」の有無よりも、私の目指す介護に共感してもらえるかを大切にするように なりましたね。

現在はグループ全体で5つの介護施設を運営している

事業拡大のためのM&A。廃業が頭によぎるほどの組織の危機に

――5施設のうちの2つは、2017年にM&Aで事業を譲り受けた「ショートステイ」「デイサービス」の介護施設ですね。

阿波野: はい。秋田県は若い働き手が県外に流出する一方で、全国で最も高齢化が進んでいると言われています。つまり、お客様は増えているのに、それを支える人は減り続けている。 こうした状況下で安定したサービス体制を構築するには、生産性や効率性を引き上げる必要があります。 そのためには事業規模の拡大が喫緊の課題だと考えました。そこでM&Aの実施に至ったのです。

しかし、M&Aは今まで別の文化を持った企業同士がひとつになるということ。大きな壁が立ちはだかっていました…。

――詳しく教えていただけますか?

阿波野: 秋田ではそもそもM&A・事業譲渡が一般的ではありません。事業譲渡されてきたスタッフからしたら、 元の経営者に裏切られて“身売りされた”という感覚しかなかったようで…。 私に対しても不信感が溢れていて、理想の介護について伝えようとするも、そもそも聞く耳を持ってもらえないところからのスタートでした。

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