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2018年3月16日(金)更新

ポテンシャル採用

ポテンシャル採用とは、担当する業務内容におけるスキルや経験を問わず、人材の将来性や潜在能力(ポテンシャル)を評価する採用手法のことです。本来は新卒採用もポテンシャル採用に含まれますが、近年は中途採用市場における採用スタイルとしても注目されています。この記事では、求人や選考のポイントもあわせてご紹介します。

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ポテンシャル採用とは?

ポテンシャル採用とは何でしょうか。言葉の意味について解説します。

言葉の意味

ポテンシャル採用とは、募集している職種におけるスキルや経験を問わず、人材の将来性や潜在能力(ポテンシャル)を評価する採用手法のことです。特に中途採用や転職市場において、転職希望者向けに「未経験であっても採用対象とする」というメッセージを発信するために多く使われる言葉でもあります。

若手人材の採用により企業の年齢バランスの適正化が狙えたり、新卒採用では確保できなかった潜在能力の高く優秀な人材を採用できる可能性があります。

【関連】中途採用とは?意味や母集団形成、面接のポイント総まとめ / BizHint HR

「ポテンシャル採用」が注目される理由

ポテンシャル採用が注目される理由を、時代の変遷とあわせて解説します。

新卒採用も本来「ポテンシャル採用」

そもそもですが、日本における新卒採用は本来「ポテンシャル採用」です。

例えば研究職では大学や大学院での研究内容などが応募資格として重要となりますし、エンジニアやデザイナーなどの技術系専門職では、新卒採用においても担当業務に関する知識やスキルが即戦力レベルで求められる場合があります。ですが、営業や企画、管理系などの一般的な総合職では、新卒採用時には担当業務に関する知識やスキルは問われないケースがほとんどです。スキルや知識に関しては、入社後の企業研修やOJTなどで習得していきます。

ポテンシャル採用は、日本企業においてよく見られる「メンバーシップ型雇用」の特徴とも言えます。新卒の未経験者を一括で大量採用し、人員配置や企業内研修、OJTを通じ育成していく。この一連の流れが、高度経済成長を支えた採用スタイルでした。

【関連】BizHint HR:ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いとは?

不況による新卒採用枠の縮小

1990年のバブル崩壊を起因とする平成不況や2008年のリーマンショックなど、90年代以降の日本は大きな不況に直面してきました。不況が発生すると、多くの企業は人件費の拡大を防止するため、新卒採用枠を縮小します。大卒者が新卒で入社できない「就職氷河期」と言われる時代が度々訪れてきました。

若手社員の不足

このような就職氷河期を経て、20-30代の若手社員が不足し、社員の年齢構成がいびつになっている企業が増加してきました。このような年齢構成の歪みは、組織に様々な障害をもたらします。

例えば、管理職である年配者とボトム層の若手との間にジェネレーションギャップが発生し、コミュニケーションや指揮系統機能の不全を引き起こすような事態が発生します。また、次世代リーダー・経営幹部となる候補者の不足を招く可能性もあります。

中途採用市場の競争激化

不況により企業体力が低下し、全く未経験の新卒社員を育成するコストや労力を費やせない企業も増えてきました。結果、即戦力採用が可能な中途採用市場における、人材獲得競争の激化を招きます。

少子化に起因する労働者数の減少に伴い、転職者の獲得競争はより激しくなりつつあります。

景気回復により 新卒採用市場の競争も激しく

景気回復とともに、新卒採用市場においても人材獲得競争が激化しています。

次のグラフはリクルートワークス研究所の発表した大卒求人倍率の推移です。2012年以降求人倍率(※)が上昇し続けています。

【図表1】求人総数および民間企業就職希望者数・求人倍率の推移

【出典】リクルートワークス研究所:「第34回 ワークス大卒求人倍率調査(2018年卒)」

※求人倍率:求人総数を民間企業就職希望者数で割った値。値が高いほど人材が不足していることを意味します

また、従業員規模別の求人倍率を見ると、学生の大手思考が強まっていることがわかります。2018年3月卒の求人倍率は、従業員規模300人未満企業では6.45倍となっており、また倍率もここ数年は上昇傾向にあります。中小企業にとって、新卒者の採用は更に難しくなる可能性があります。

【図表2】従業員規模別 求人倍率

【出典】リクルートワークス研究所:「第34回 ワークス大卒求人倍率調査(2018年卒)」

業種別の求人倍率の推移を見てみると、「金融業」「サービス・情報業」などの求人倍率は1を下回る一方、「流通業」「建設業」においては2018年3月卒でそれぞれ9.41倍、11.32倍となっています。特定の業種の企業にとっては、更に採用が難しい状況となっています。

【図表3】業種別 求人倍率の推移

【出典】リクルートワークス研究所:「第34回 ワークス大卒求人倍率調査(2018年卒)」

転職者向けの「第二新卒採用」「ポテンシャル採用」

これまで解説してきたように、若手社員が不足している会社では、年齢構成の適正化の為に若手社員を補う必要があります。一方、新卒採用や即戦力採用は人材獲得競争が激化し、採用が更に難しくなってきています。

このような状況下で若手社員を確保するためには、「中途採用ではあるが未経験者を歓迎する」という採用戦略が考えられます。

これが、大学を卒業して数年の転職者を対象にした「第二新卒」をメインターゲットにした採用や、新卒以外の未経験者でも採用、育成する「ポテンシャル採用」が注目されるようになった理由です。

【関連】BizHint HR:第二新卒とは?新卒・既卒との違いや獲得のメリット、採用手法をご紹介

ポテンシャル採用のメリット

ポテンシャル採用を行うメリットについて解説します。

年齢バランスの適正化

企業によっては、就職氷河期の影響で若手社員が不足し、年齢別の人員構成に問題が生じている場合があります。転職者向けのポテンシャル採用を実施し、若手社員を採用できれば、人員構成の偏りが解消できる可能性があります。

社会人としてのベーシックスキルを持った人材が採用できる

ポテンシャル採用では、社会人としてのベーシックスキルを持った人材の獲得が期待できます。

ポテンシャル採用では、業務内容に関する就業経験は無くても、社会人としての一通りの研修を受けていたり、経験を積んでいる場合が一般的です。社会人としての素地を持った人材を採用できるため、ベーシックスキルに関する教育コストは新卒者よりも概して少なくて済みます。

新卒採用や経験者採用で採れない人材が採用できる可能性

ポテンシャル採用により、従来実施していた新卒採用や経験者採用では採れなかったような、学歴や基礎的な思考能力などが高い人材を採用できる可能性があります。

前述の通り新卒市場の競争が激化し、また新卒者の中でも大手思考の高まりや業種による人気の偏りが発生しています。従業員規模の小さい会社や人気の低い業種の企業は、新卒採用で苦戦することが多いでしょう。

しかしポテンシャル採用では、大企業からの転職者も期待できます。一般的に転職者は大手思考が弱くなる傾向があるようです。特に中小企業にとっては、従来の採用方法では獲得できなかった潜在能力の高い人材が確保できる可能性があります。

中小企業はポテンシャル採用向き

これまで解説したとおり、中小企業の場合、新卒採用では苦戦することが多いでしょう。有名な大企業と同じ市場で競争するため、知名度の低さから存在が埋もれてしまい応募者数自体が少なかったり、選考過程で辞退されてしまう、といった事が起こりえます。

一方、中途採用市場では、未経験者に対し大企業の門戸は固くなります。中途の場合は経験者しか採用しない大企業が殆どでしょう。従って、大企業経験者が中小企業へ流れてくることも多く起こります。

また、大企業の場合は一般的に、それぞれの会社のナレッジを結集させた、充実した人材開発プログラムを社員に提供しています。ポテンシャル採用では、そのような育成過程を経た人材を獲得することも可能です。

自社で新卒採用を行った場合でも、一般的には3年で約3割の人数が離職するといわれており、採用や教育コストが無駄になる可能性もあります。

このように、新卒採用ではなくポテンシャル採用を選択することは、特に中小企業の採用戦略としては有効であるかもしれません。

ポテンシャル採用のデメリット

ポテンシャル採用のデメリットについて解説します。

クセのある人材

新卒者と比べ、採用された人材にクセがある場合があります。

前職のクセ

例えば「前の職場ではこうだった」と前職のことをしきりに持ち出すなど、前の職場の経験や常識、仕事の進め方などから抜けきれないケースがあります。

学んだことが汎用性の高い思考方法やベーシックスキルであれば望ましいのですが、中にはその会社独自の仕事の進め方や慣習もあります。そのようないわゆる「企業特殊スキル」(特定の企業で機能するスキル)を捨てきれず、新しい職場に馴染めなかったり、周囲に悪影響を与えてしまう可能性が考えられます。

「学習棄却」や「学びほぐし」を意味する「アンラーニング」を入社時の研修で実施するなどして、自社の運用に早くなじめるようにすると良いでしょう。

【関連】BizHint HR:アンラーニングとは?アンラーニングの必要性と実施する方法

辞めグセ

ポテンシャル採用の候補者は、転職の理由として、やりがいや成長、自分と会社の性格的なマッチングを求めるケースが多く見受けられます。その動機自体は悪いことではありませんが、このような動機を理由に、長期的に粘り強く取り組むべきことに対しても必要以上に早く見切りをつけ、退職してしまうような「辞めグセ」がついている人もいます。

選考時には辞めグセの有無についてもしっかり確認しましょう。具体的な確認項目としては、在職期間の長さや転職回数、退職理由や志望動機が行き当たりばったりではなく一貫性があるかなどが挙げられます。

人材開発にコストがかかる

ポテンシャル採用では応募資格として実務経験を問わないため、配属後には業務遂行のための人材育成が必要になります。そのため、経験者採用と比べ人材開発にコストがかかります。

ポテンシャル採用における求人のポイント

ポテンシャル採用を推進する上で、求人のポイントを解説します。

給与について検討する

ポテンシャル採用を経て入社する人の給与設定について検討しましょう。給与が低すぎると良い候補者は集まりませんし、高すぎると既にいる社員に対し不公平感を与えてしまいます。

ポテンシャル採用において、一般的に経験の浅い第二新卒や、前職のスキルが活かされにくい採用者の給与は、同社の新卒採用者の給与と同等に設定されることが多いようです。

また、職種や業務内容が変わっても、前職の経験や業績から判断して会社に大きなメリットをもたらすことが期待できる場合は、未経験のポテンシャル採用であっても給与が高く設定される場合もあります。

ポテンシャル重視であることを伝える

求人時には、ポテンシャル重視の採用であることがわかるようにしましょう。例えば、「第二新卒可」「未経験OK」「人物重視」「ゼロからチャレンジ」といったメッセージを、求人広告の文章に入れるとよいでしょう。

中途採用における求人の枠組み自体を明確に分類するのも有効です。経験が問われる即戦力採用と、潜在能力を評価するポテンシャル採用が明確に分けられていれば、応募者も迷うこと無く選択できるでしょう。

採用のミスマッチを防ぐ

強引な採用活動は採用のミスマッチを招き、採用側の企業と応募者の双方を不幸にします。

ポテンシャル採用では人材育成にコストがかかるため、すぐに退職されると企業にとっては赤字です。応募者にとっても、採用のミスマッチが度重なり短期間での離職歴が重なると、選考時には「辞めグセがある」と判断されてしまいます。結果、転職を重ねる度に不利になります。

採用のミスマッチを防ぐには、求める人材を明確に定義したり、面接のやり方を強化することが有効です。ミスマッチができるだけ発生しないように配慮しましょう。

【関連】BizHint HR:採用失敗の原因とは?ミスマッチを防止し、採用に成功するためのポイント

「子育て女性」も可能性あり

人材として優秀であるにも関わらず、結婚や出産で仕事を諦めなければいけなかった女性は、積極的に狙うべき大きなターゲットと言えるでしょう。

子育て世代の女性は、仕事に集中できる時間は限られます。ですが、男性とは異なる視点が加わり意思決定の質が向上したり、家計を握る女性特有の優れた消費者感覚を発揮し、市場ニーズが的確に理解できるようになったり、短時間に集中して業務に取り組み成果を挙げる風土を醸成できたりと、様々なメリットを企業にもたらします。

ワーク・ライフ・バランスの推進や女性が活躍しやすい環境の整備など、子育て世代の女性が求める仕事環境を用意できれば、ポテンシャルの高い優秀な人材を獲得できる可能性があります。

【関連】BizHint HR:ワーク・ライフ・バランスとは?企業の取り組み事例と実現のポイント
【関連】BizHint HR:女性活躍推進とは?メリットや後押しする施策、取組事例やサポート体制をご紹介

選考時にポテンシャルを見極めるポイント

選考時にポテンシャルの高い人材を見極めるためのポイントを解説します。

素直さがあるか

素直さとは、自分の考えや経験のみに固執せず、あらゆる刺激や変化を受け止める力を意味します。ポテンシャル採用において最も重要と言えるのは、この素直さです。素直さを持っている人材であれば、新しい環境でも柔軟に適応していくことができます。

選考過程では、この素直さについて確認するようにしましょう。具体的には、自分にとって不慣れな環境に適応した経験や、自分の意見と相反する相手との接し方などを面接時に質問すると良いでしょう。

社会人としてのベーシックスキルがあるか

敬語の使い方、身だしなみや接遇、締め切りを守るための仕事の進め方など、新社会人は会社による育成方法に差はあれど、一通り基本的な社会人としてのベーシックスキルを習得します。このベーシックスキルがきちんと習得できているかを確認しましょう。

なお、習得できていない場合でもその場で足切りにするのではなく、自社で研修や育成を行うなど、成長して潜在能力が発揮できる環境を整えられるのが理想といえます。

学習や経験がどう活きるか

ポテンシャル採用は未経験歓迎の採用スタイルではありますが、前職で学んだことや経験をどう活かすかのビジョンを持っている人材の方が、より活躍してくれる可能性が高くもあります。

例えば転職前にマネジメントを経験した人材がいたとします。このような人材は、転職後に部下として働く場合でも、マネジメントとして苦労をした経験を元に上司を上手くサポートすることが可能かもしれません。

選考時には、自らの積んできた学習や経験を、自社でどう活かそうとしているかについて確認すると良いでしょう。

目標とキャリアの具体性があるか

仕事や人生における目標を持っている人や、確固としたキャリアパスを描いている人材は、辞めグセが原因ではなく意図をもって転職しています。選考時には、その人の目指す目標や、具体的なキャリアイメージについても確認するようにしましょう。

成長意欲があるか

ポテンシャル採用とは、人材の伸びしろに注目した採用スタイルです。キャリアイメージやこれまで自分が成長したと感じたエピソードなどを質問し、成長意欲や将来性を確認すると良いでしょう。

ポテンシャル採用を実施している企業の例

ポテンシャル採用を実施している企業にはどのようなものがあるのでしょうか。特徴的な例を紹介します。

ヤフー株式会社

インターネット広告や会員サービス事業などを手がけるヤフー株式会社では、2016年10月に新卒一括採用を廃止しました。

現在、採用方式を「ポテンシャル採用(就業経験なし)」「ポテンシャル採用(就業経験あり)」「キャリア採用」の三種類としています。

ポテンシャル採用については、「エンジニアコース」「デザイナーコース」「ビジネスコース」の三種類のコースから一つ希望職種を選択し応募することができます。エンジニアやデザイナーコースでは専門的なスキルが必要となるため、入社後には専門スキル向上のためのプログラムも用意されているそうです。

海外大学の卒業者や既卒者など、従来の新卒採用と比較し応募者の幅が広がるといった成果が現れています。

【参考】linotice*:ヤフーの採用しつもん祭り!~みんなのギモンにお答えしました~
【参考】ヤフー株式会社:ポテンシャル採用情報

JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)

JR東日本は、専門職や技術職を採用するプロフェッショナル採用と、総合職を採用するポテンシャル採用の二種類の採用を行っています。

プロフェッショナル採用では、乗務員や設備の検査、車両のメンテナンスなど、技術職としての採用がメインとなります。一方、ポテンシャル採用では、営業企画や列車制御システムの開発とメンテナンス、建築設計や施工管理など、より中枢的な機能を担います。

プロフェッショナル採用の勤務地は基本的に配属エリア内ですが、ポテンシャル採用の場合はエリア全域となります。

採用人数としては、プロフェッショナル採用は1131人、ポテンシャル採用は92人(2017年度入社実績)となっています。

以上のことから、JR東日本の場合のポテンシャル採用は、将来の幹部候補としての採用のニュアンスが強いことが伺えます。

【参考】JR東日本:2018年度新卒採用

まとめ

  • ポテンシャル採用とは、担当する業務内容におけるスキルや経験を問わず、人材の将来性や潜在能力(ポテンシャル)を評価する採用手法のこと
  • 企業における年齢バランスの適正化が狙えたり、新卒採用や経験者採用では採れない人材が採用できる可能性がある
  • 求人のポイントは「適切な給与設定」「ポテンシャル重視であるというメッセージ」「採用のミスマッチの防止」。働きやすい職場をつくれば、優秀な子育て世代の女性もターゲットとして狙える
  • 選考時には、素直さや社会人としてのベーシックスキル、キャリアの具体性や成長意欲などについて確認しよう

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