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2019年6月24日(月)更新

就業規則

就業規則とは、労働時間や賃金をはじめとした、会社側が定める社内のルールブックです。作成や届出、周知などが法律で義務づけられています。今回は、就業規則の定義や作成義務の内容、作成することによるメリットを説明します。その後、実際に就業規則を作成する手順や、記載すべき事項などを解説していきます。段階ごとに覚えておくとよいポイントも余すことなく紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

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就業規則とは

就業規則とは、その名の通り、 会社で「就労」する従業員に向けて社内における「規則」を明示化したもの です。

労働時間や休日・休暇、支払われる賃金額、入退社時の手続きなど、従業員が会社へ入社し、退社するまでの間に必要とされる取り決めの内容が記されています。

就業規則は、従業員が会社内で守らなければならない規則が記載されていることから「 会社のルールブック 」とも呼ばれています。

会社の規模や業種、従業員数、経営状態、環境、業態などに応じて定めるべきルールは異なります。したがって、社内における就業規則も、会社によって全く異なる内容であることが特徴です。

●就業規則の変更が必要なケース、手続きなどを知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【関連】就業規則の変更が必要となるケースとは?ケース別対応法や必要な書類、手続きのポイントをご紹介/BizHint HR

●就業規則の届出に必要な「意見書」についての詳細を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
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作成義務がある会社

就業規則は、その会社のルールが明示されているものです。つまり、労働者にとっては、自分が会社で働く際に守るべき規則や社内の環境などについて記されている重要な存在になります。

労働者に対して守られるべき権利について記された「労働基準法」では、就業規則の作成義務について、下記条文に記されているように「 常時10人以上の労働者を抱える会社では、就業規則を作成しなければならない 」と義務づけられています。

10人を超える労働者がいるのに就業規則を作成・または行政へ届け出ていない場合は、 30万円以下の罰金 という処分が科されることとされているので、注意が必要です。

「常時10人」の定義

では、この条文における「 常時10人 」という基準は、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

ポイントとしては、「 常時 」という部分です。基本として10人以上の体制を取っている会社の場合は、「常時10人」に当てはまります。一方、普段は8人態勢の会社などが、繁忙期に備えて一時的に短期で労働者を数名雇うことで10人を超える場合などは、「常時10人」には当てはまりません。

なお、人数に加算される労働者には、 正社員のみならずパートタイム労働者・アルバイト・契約社員・嘱託社員など非正規社員も含まれます 。雇用形態に関わらず、常態として会社の一員として雇用されている労働者であれば、「常時10人」にカウントしなければなりません。

ただし、派遣労働者の場合は別となります。 派遣労働者は、派遣元会社と契約を交わしている社員であるため、派遣先の「常時10人」には含まれない ことに注意が必要です。

常時10人に満たない労働者を雇用する会社の場合

常時10人に満たない労働者を雇用する会社の場合は、就業規則の作成義務はありません 。したがって、就業規則を作成せずとも労働基準法違反にはならず、法律上は全く問題がないといえます。

ただし、 雇用関係の助成制度の利用を検討する会社の場合 は、常時10人に満たなくても就業規則を作成しなければならないケースがあります。また、就業規則を作成することは、会社にとって手間がかかるだけのものではなく、さまざまなメリットが見込める可能性があります。

就業規則を作成するメリット

今まで就業規則が存在していなかった会社が新たに作成を試みる場合、たとえば法律で義務づけられていることや労働基準監督署による調査対策など、後ろ向きの理由で作成をするケースがみられることも事実です。

特に、日常業務であっという間に1日が過ぎてしまう中小企業・零細企業の経営者の場合、就業規則の作成には手間や時間がかかるというイメージが払しょくできず、躊躇してしまう場合もあるでしょう。

しかし、就業規則の作成には多くのメリットが隠されています。うまく活用することで、労使ともに充実した会社生活を送ることが可能となるはずです。

  1. 社内ルールの見える化
    もしも就業規則が存在しない場合、新たに労働者を雇うごとに一から規則の内容を示す必要があるため、手間や時間がかかります。
    就業規則を作成し、職場内で守るべきルールを統一することで、労働者はいつでも社内ルールを知ることが可能となり、職場規律を整えることができます。
  2. 労使間のトラブル防止
    「言った」「言わない」などの些細な行き違いから、労使間のトラブルに発展することがあります。このような行き違いを防ぐツールとして、就業規則は非常に有効です。
    たとえば、解雇にまつわる規程を整備することで、解雇トラブルを未然に防げます。また、雇用形態による待遇差について明らかにすることで、正社員とパートなどの間で生じる格差トラブル防止にも。賃金規程などの明確化は給料トラブルへの対策となります。
  3. 労務管理の効率化
    たとえば、給与計算担当者や人事労務管理に携わる社員が業務を行う際、就業規則がきちんと整備されていれば、労働者の給与計算や労務管理を効率良く行うことが可能となります。
  4. 経営者の信念が伝わる
    就業規則は、会社のルールを明記するとともに、経営者の信念を盛り込むことのできる格好の存在です。たとえば、前文や企業理念に社長の思いを盛り込む方法や、成果に応じた評価を与える制度の導入など、経営者の信念を盛り込む方法にはさまざまなものが挙げられます。
  5. 助成金対策
    助成制度の内容はさまざまなものがありますが、制度を利用するための要件として多くのケースで定められているのが「就業規則の提出」です。 内容に応じて整備方法は異なるものの、労働者の雇用状況を知るためのツールとして就業規則は広く活用されています。

就業規則作成の手順

就業規則が存在しない会社が一から作成する場合、事前にどこまでの社内ルールが出来上がっているかでかかる時間が異なります。

たとえば、就業規則はないものの、社内の規程を整備し書面化している場合などは、就業規則としての体裁を整えるだけで済みます。一方、ルールの内容があいまいである場合や書面化していない場合などは、まず社内で遵守すべき内容を書き出し、カテゴリごとに整理を行う段階から開始しなければなりません。

実際に就業規則を作成し、運用をしていくまでは、大きくわけて3つのステップがあります。

1.就業規則の作成
2.労働基準監督署への届出
3.従業員へ内容の周知

就業規則は作成したら終わりではなく、労働基準監督署への届出、従業員への周知が必要となります。

就業規則で定める内容

それでは、ここからは実際に就業規則に盛り込むべき内容について解説していきます。

就業規則によって定められる社内ルールの内容は、会社に応じてさまざまなものがあります。したがって、就業規則は会社の数だけ内容が異なるとされています。

ただし、覚えておかなければならないのが、 「就業規則には最低限盛り込まなければならない項目がある」 ということです。盛り込む必要がある項目には、労働者の権利を守るための法律である労働基準法で定められています。

定められている項目は、優先順位に応じて「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」の3種類に分類されています。ここからは、分類ごとに項目の内容を説明していきましょう。

絶対的必要記載事項 相対的必要記載事項 任意的記載事項
始業・終業時刻
休憩時間、休日、休暇
就業時転換
賃金
昇給
退職・解雇
退職手当
賞与・最低賃金額
食費・作業用品等の負担
安全衛生
職業訓練
災害補償・業務外の傷病扶助
表彰・制裁
その他の事項
前文や企業理念
条文の備考
附則

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項とは、就業規則を作成する場合、必ず盛り込まなければならない項目のことです。3種類の区分において、もっとも優先順位の高い記載事項であるといえます。

絶対的必要記載事項として挙げられる内容には、次の項目が挙げられます。

始業・終業時刻

労働者にとって業務開始時刻や終了時刻は、仕事をするにあたり最も重要視される項目となります。ここでは、始業9:00~就業18:00など、きちんとした時間を記載します。

なお、指定する労働時間については、必ず法定労働時間を遵守することが大前提となっています。ただし、いわゆる管理監督者については、この「労働時間」と次項目の「休憩時間、休日、休暇」の適用から除外されることになるため、注意しましょう。

休憩時間、休日、休暇

休憩時間は、労働者の健康を守るために必要なものです。6時間を超える勤務の場合は45分、8時間を超える勤務の場合は60分与えなければならないと労働基準法で定められています。

ここでは、休憩時間の具体的な内容(12:00~13:00、60分間など)や会社が休みとなる休日(土日祝日・年末年始など)、休暇(有給休暇や特別休暇など)の詳細を明記する必要があります。

就業時転換(交代制の場合)

工場勤務や営業時間の長い店舗、医療施設などの場合、法律で定められた労働時間を超える労働をさせる必要性が生じます。

このような場合に備えた対策として、労働者を2組以上のグループに分類し、交替で働かせる方法があります。この交代制を導入する会社の場合、就業規則には交代制の詳細を記す必要があります。

賃金

ここで挙げられる賃金とは「賃金額の決定、賃金の計算方法・支払方法、賃金の締切日や支払日」を指します。賞与などの臨時に支払われる賃金は除外されるため、注意しましょう。

賃金額には、基本給などの他、皆勤手当や技術手当などの各種手当や時間外労働・休日労働などにまつわる割増賃金率などの詳細も含まれるため、あわせて記載することが必要です。

昇給

たとえば「毎年7月1日に賃金改定を行う」と記すなど、昇給の時期を明記する必要があります。

会社の業績などの状況により改定をしないケースがある場合や昇給の時期が不定期の場合などは、ここでその旨を記さなければなりません。

退職・解雇

従業員の退職は、死亡や雇用期間の満了、自己都合退職、休職期間満了など、さまざまな理由により発生します。この項目では、会社で考えられうる退職のケースや退職の申し出の時期、支給品の返納義務などについて記載をします。また、定年退職制度がある場合は年齢や退職の時期を、継続雇用制度を導入している場合はその詳細も明記します。

また、解雇の項目には解雇事由や解雇予告について記す必要があります。

相対的必要記載事項

相対的必要記載事項とは、社内にルールが存在する場合は、就業規則を作成する際に盛り込まなければならない項目のことです。ルールが存在しない場合は記載する必要がない点が、前述の絶対的必要記載事項とは異なります。

相対的必要記載事項として挙げられる内容には、次の項目が挙げられます。

退職手当

退職者に対して退職金を支給するルールがある場合は、退職金の支払額や計算基準、支給の基準について明記をする必要があります。

賞与・最低賃金額

臨時的に支払われる賃金制度が存在する場合は、この項目で詳細を記すことになります。なお、退職手当については前述の項目に含まれるため除外されます。また、最低賃金額については、毎年更新される都道府県ごとの最低賃金額を上回る内容にしなければなりません。

食費・作業用品等の負担

業務内容に応じて労働者に食事や作業着、制服などを支給する場合の個人負担分の割合など、会社から支給するものに対する一部徴収について記載します。

安全衛生

労働安全衛生法にまつわる安全衛生に関する項目で、火災などの災害が発生した際の対応や指揮命令系統などについてもここで記します。

職業訓練

新入社員に対する研修や管理職研修などの研修制度を設けている会社の場合、この項目内で期間や内容などの詳細を明示します。

災害補償・業務外の傷病扶助

業務中や通勤途中に発生した労働災害に対する療養補償などの補償制度や、業務外の事故や病気にかかった場合の生活保障制度である傷病手当金の他に補償制度が存在する場合は、その旨を記載します。

表彰・制裁

模範社員に対する表彰制度などが存在する場合は、表彰の審査対象となる行動や表彰の方法を、制裁制度を設ける場合は制裁の種類や程度に応じた処分内容、解雇やその際に発生する損害賠償について明記をします。

その他の事項

前述の項目以外の内容で、会社が社員に対して守って欲しいルールが存在する場合は、この項目で記載をします。

任意的記載事項

任意的記載事項とは、その名の通り記載が「任意」の項目のことです。社内にルールが存在する場合は、就業規則を作成する際に盛り込まなければならない項目のことです。前述の絶対的必要記載事項や相対的必要記載事項の内容に含まれない項目で、会社側が自由に記載することができる部分が該当します。

任意的記載事項として挙げられる内容には、次の項目が挙げられます。

前文や企業理念

前文とは、就業規則の冒頭部分に掲載される、書籍では「はじめに」と呼ばれる部分の文章のことです。また、企業理念は前文や条文の一つなどを活用し記載されるケースが多くみられます。どちらも、就業規則のうち最も会社や経営者の思いを込めることができる部分になります。

内容に関する法律の定めはないため、自由に記すことができます。たとえば、就業規則を作成する目的や社員に対する熱い思い、経営者の目指す理想の会社像など、さまざまなものが挙げられます。

条文の備考

各章で定められた条文の補足となる文章や、解釈の内容などを付け加えたい場合などの利用する項目です。社員に対し、ルールの詳細をより的確に伝えたい場合などに用いられます。

附則

附則には、主に就業規則の運用を開始する「施行年月日」や、就業規則を改正した場合の「改正施行年月日」などを記します。また、パートタイマー就業規則や賃金規程などの別規程をあわせて運用する場合は、別規程の名称も付属規程として附則内に明示します。

【参考】厚生労働省リーフレット:リーフレットシリーズ労基法89条(就業規則を作成しましょう)

記載にまつわる注意点

これまで、優先順位に沿って「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」を項目別に説明してきました。

上記の項目を記載する際に注意する点としては、必ず法律に沿った内容にしなければならない、ということです。万が一、法律に違反する内容を就業規則に定めてしまった場合は、違反に相当する内容は「無効」となります。無効となった内容の条文は、いくら「就業規則で定めたれっきとしたルールだ」と主張したとしても認められません。

これは、労働基準法でも下記のように明確に記載されています。

《労働基準法92条》
就業規則は、法令や労働協約に反してはなりません。

《労働基準法93条》
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効となります。

【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法(昭和二十二年四月七日法律第四十九号)

別規程の活用も有効

就業規則を作成する際に覚えておくと良いポイントの一つに「別規定」の存在があります。

別規定とは、会社のルールを定めた就業規則から派生した規程のことで、就業規則の内容を分野別により詳細にわたって定めるものです。

就業規則を一から作成する場合、前述の「絶対的必要記載事項」をはじめ、さまざまなジャンルにわたり会社のルールを盛り込む必要があります。中には、盛り込む項目が増えすぎてしまうことで規則本体が膨大な量となり、作成者も読み手も相当な労力を伴うものとなる可能性も。

このような場合には別規程を活用し、重要な事項を分散させて記載することで、就業規則本体のボリュームダウンを図ることができます。また、法改正や助成制度への対応に伴う改正箇所の特定や改正作業がスムーズになるというメリットもあります。

別規定の一例をご紹介します。

パートタイマー規程

パートタイマー規程は、その名の通りパートタイマーを対象とした会社のルールブックです。正社員や契約社員など、他の雇用形態の労働者と雇用条件や働き方、給与形態などが異なる場合に作成します。

【参考】厚生労働省ホームページ:トピックス(パートタイム労働者就業規則の規定例)

賃金規程

賃金は、使用者と労働者との間で交わされる雇用契約において、最も重視される雇用条件となります。そのため、就業規則本体から分離させ、賃金規程や給与規程という名称で別規定化させるケースが多く見られます。

賃金規程に定める内容には、就業規則において絶対的必要記載事項とされる「賃金について(賃金額の決定、賃金の計算方法・支払方法、賃金の締切日や支払日)」「昇給」、相対的必要記載事項とされる「退職手当」「賞与・最低賃金額」に定めがある場合はその旨も記載します。

また、「食費・作業用品等の負担」の項目で個人負担額がある場合はその旨を、そして「表彰・制裁」の項目のうち、「制裁」で減給処分を行う場合などは、その詳細も法律に沿った内容で記述します。

【参考】労務ドットコムホームページ:報酬制度関連規程(賃金規程)

育児・介護休業規程

育児休業や介護休業については、国でも非常に注目している存在です。法改正が繰り返されることで、育児休業や介護休業にまつわる休暇や対象者への特例など、育児・介護休業法や雇用保険法などをはじめとしたさまざまな法律による取り決めが存在します。

これらすべてを盛り込み、制度化をした場合、就業規則のボリュームが膨大なものとなる可能性があります。そのため、育児・介護休業規程を活用し、整備を行う方法が効果的とされています。

【参考】厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)リーフレット:育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版]

退職金規程

退職金(退職手当)については、制度が存在する場合は就業規則に盛り込まなければならない「相対的必要記載事項」です。退職金にまつわる項目には、退職金の支給方法や計算方法のほか、退職の経緯に応じた対応や解雇者への支給など、労務トラブルを防ぐための対策を多々取らなければなりません。

このようなケースに備え、退職金規程を別途定める方法が有効です。退職金の規程を安易に定めてしまうと、労働者に支払う退職金の額が相当数となり、いわば「退職倒産」を招くリスクがあるため、慎重に検討を行う必要があります。

【参考】労務ドットコムホームページ:報酬制度関連規程(退職金規程)

就業規則の届出の方法

就業規則が完成したところで、次は届出を行う段階へと入ります。届出作業は、作成した就業規則一式と必要とされる添付書類を労働基準監督署長に対して実施することになります。

就業規則の届出が必要となるケース

労働基準監督署への届出が必要となるのは、以下2つのケースの場合です。

  • 就業規則を作成した場合
  • 就業規則や別規定の内容を、会社のルール変更や法改正、助成金対応に伴い変更した場合

届出は義務?

届出が義務かどうかは、 就業規則の作成義務があるかどうかで変わります

「常時10人以上」の要件に該当する会社の場合、就業規則を作成しただけでは法律違反となります。必ず、労働基準監督署へ手順に沿った届け出を行う必要があるのです。

届出に必要な書類

実際に労働基準監督署へ届け出る場合に必要となる書類には、主に以下の内容が挙げられます。必ず事前にチェックをしておきましょう。

就業規則一式

まず当然ながら、届け出には作成した就業規則本体が必要です。規則内の目次や前文、附則なども含めた内容となります。また、別規定を作成した場合は、別規定もあわせて提出します。

就業規則届・意見書

就業規則を新たに届け出る場合「就業規則届」と「意見書」が必要となります。

就業規則届には、公式に定められた書式はありません。各都道府県の労働局や社労士事務所などのホームページで無料フォーマットを提供している場合がありますので、参考にしながら作成することは可能です。

一から作成する場合、任意のA4用紙などに「就業規則届」というタイトルと就業規則を届け出る旨の内容、そして事業所所在地・事業所名・使用者名などを記載し、押印の上で提出します。

また、就業規則を届け出る場合は労働組合または労働者の代表による「意見書」を作成し、あわせて提出することが義務づけられています。「意見書」にも特定の書式はありませんが、各都道府県労働局や社労士事務所のホームページなどで、就業規則届とともにフォーマットが提供されている場合があります。


「意見書」についての詳細を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【関連】就業規則の届出に必要な意見書の書き方や記入例、注意点を徹底解説/BizHint


届出の期間

就業規則の作成後、実際に労働基準監督署へ届出るまでの期間には、特定の定めはありません。法律では「遅滞なく」とされています。「遅滞なく」の解釈については、「○○日以内」や「一週間以内」などの具体的日程設定はないものの、常識とされる範囲内で届け出を行うように指示をしている、と捉えることができます。

届出の単位

就業規則の作成は、一つの会社につき一つ、というイメージが広く浸透していますが、実際はそうではなく「 事業所(事業場)単位 」とされています。

したがって、ある程度の規模を擁する会社の場合、本社や支店、営業所、出張所など、各地に拠点を置き、それぞれの場所で事業が成り立っている場合には、一つの事業所としてカウントされることになります。この場合は、事業所ごとにそれぞれ就業規則を作成する必要があります。

ただし、一つの支店などとして成立している場合でも、業務の指示を与える上役がおらず、常に本社の指示を仰ぐケースや、事務作業は別部署でまとめて行っているケースなどは、事業所としてのカウントはされず、就業規則を別途作成する必要はありません。

届出の方法

労働基準監督署へ前述の書類一式を届出る場合、就業規則届と意見書は原本、就業規則一式はコピーを準備する必要があります。届け出の方法としては、郵送による方法または監督署へ直接書類を持ち込む方法が可能です。

郵送を行う場合は、就業規則届・意見書・就業規則一式をすべてコピーし、2部ずつにした上で提出する方法が有効です。この方法を取ると、監督署ではそれぞれの書類に受理印を押印して返信してくれるため、「就業規則が確かに監督署による受理が行われた書類である」という証明書となります。なお、郵送の際には切手を貼った返信用封筒を忘れずに同封して下さい。

就業規則変更時の届出のポイント

変更における届出の場合も、当然ながら就業規則や別規定の準備が必要です。ただし、別規程の内容のみを変更した場合は、別規定のみの提出で足ります。また、変更箇所を一覧にし、規則のどの部分を変更したかを記載することも必要です。この変更箇所一覧には特定のフォーマットの定めはなく、ワードやエクセルなど、活用しやすい形式の書類で提出することができます。

また、就業規則を変更し届出る際には「就業規則届」のかわりに「就業規則変更届」が必要となります。

就業規則変更届にも公式に定められた書式はなく、各都道府県の労働局や社労士事務所などのホームページで提供している無料フォーマットを活用することができます。意見書については、就業規則届の場合と同様に、労働者の代表による意見を記載し、提出をする必要があります。


就業規則変更の詳細を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【関連】就業規則の変更が必要となるケースとは?ケース別対応法や必要な書類、手続きのポイントをご紹介/BizHint


届出を行わなかった場合

常時10人以上に該当する会社の場合は、監督署への届出義務違反として処理される可能性があります。

就業規則は、労働基準監督署へ届け出た時点で有効になるわけではありません。実際に作成し、会社に勤める労働者へ就業規則の中身を周知させた時点で、規則自体の内容は有効になります。

従業員への周知について

就業規則の届出を行い、受理をされたところで、次は社内の従業員に対して定めた規則の内容を広く周知します。なお、就業規則の労働者への周知については、労働基準法で義務化されています。

《労働基準法106条》
就業規則は、各作業所の見やすい場所への掲示、備え付け、書面の交付などによって労働者に周知しなければなりません。

【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法(昭和二十二年四月七日法律第四十九号)

周知の方法

実際に就業規則を労働者へ周知する方法としては、以下のように定められています。

1.常時各作業場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける
2.書面で労働者に交付する
3.磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する

【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法施行規則(昭和二十二年八月三十日厚生省令第二十三号)

なお、実際の周知方法としては、就業規則をデータ化してメールで送付する方法や、記録メディアや社内ネットワーク上で管理し、いつでも閲覧できる状態にしておく方法などでも対応可能です。

就業規則の作成方法

最後に、「何から手をつけたら良いか分からない」とお困りの方に向けて、就業規則の作成方法を3つご紹介します。

  • 雛形やテンプレートを活用
  • 専門家へ依頼
  • 自社で一から作成

自分の会社にとって効果的な方法を見つけ、活用をしてきましょう。

それでは、詳細の説明をしていきます。

①モデル就業規則などの雛形やテンプレートを活用する方法

就業規則には、さまざまな雛形・テンプレートが用意されています。労働基準監督署などの行政機関で入手する方法や、インターネット上でダウンロードする方法など、今や気軽に入手することが可能です。厚生労働省では、「モデル就業規則」という就業規則のテンプレートをホームページに掲載しています。

モデル就業規則とは?

厚生労働省が掲載しているモデル就業規則は、国が作成する雛形であることから、労働基準法を初めとした法律を遵守した、信頼性の高い内容が展開されています。

目次から各項目の条文が順に紹介されており、一つの条文ごとに守るべき法律の内容や定める目的、解釈が記載されているため、各条文の内容を確実に理解しながら就業規則を作成することができます。

英語、中国語、ポルトガル語、ベトナム語による内容も同時掲載されていることから、外国人を雇う会社も安心です。

【参考】厚生労働省ホームページ:モデル就業規則について

メリット

上記の「モデル就業規則」をはじめとした雛形やテンプレートには、就業規則の作成に必要とされる内容が項目ごとに網羅されています。特に、厚生労働省など国が作成するテンプレートの場合、不定期に行われる法改正の内容も随時対応した内容に更新されていきます。

そのため、重要な条文の記載もれを防ぐことが可能となり、手順に沿って簡単に作成することができるため、特に就業規則の作成を急いでいる場合などは有効な活用ツールとなります。

デメリット

就業規則の雛形やテンプレートは、大多数の企業向けに一般的な内容で作成されています。したがって、会社の業種や規模によっては定める必要のない不必要な条文が含まれている可能性があり、見極めに注意をしなければなりません。

また、国が作成する雛形やテンプレートは、基本的には労働者の権利を守る「労働基準法」に沿って作成されていることから、労働者に有利な内容が記されているケースがあります。そのため、チェックをしないまま提出してしまうと、本来の社内ルールとは異なる内容が公の場で規定化されることになります。このような場合には、後にトラブルになる可能性があるため、気を付けましょう。

②専門家へ依頼する方法

専門家に依頼することで、確実に質の高い就業規則を入手することが可能となるため、方法の一つとして検討する価値はあるでしょう。

また、自社内ですでに就業規則を作成済みの場合でも、行政へ届け出る前に専門家にチェックを依頼することで、重大な見落としやミスに気付くことができます。

依頼すべき専門家

就業規則の作成に必要な専門知識を持つ有資格者には、まず 社会保険労務士(社労士) が挙げられます。社会保険労務士は、人事労務にまつわる法律に熟知しており、顧問先の給与計算の支援を行うケースも多いことから、就業規則の作成に関する相談相手としては有効です。

また、 労働問題に明るい弁護士 を頼るのも一つの方法です。労使間のトラブルを解決してきた弁護士ならば、トラブルを未然に防止するための対策法を熟知しています。社内体制を整備する際に頼ることで、効果的なアドバイスを受けることができるでしょう。

報酬の目安

実際に社会保険労務士、弁護士などの専門家へ依頼するかどうかを検討する場合、判断材料となる要素の一つに「報酬額」が挙げられます。報酬額の内容については、法律などで相場が決められているわけではないため、金額は事務所に応じて多種多様です。重要な点としては、依頼の内容に応じて金額に幅があることを覚えておきましょう。

たとえば、既存の就業規則をチェックしてもらう場合や何らかのアドバイスを求める場合などは、報酬額は 5万円前後 となります。一方、就業規則を一から作成してもらう場合は、 10万円~50万円前後 と幅があります。

【報酬に幅がある理由とは?】

専門家によって価格帯が異なる理由としては、専門家の抱える経済情勢や知識、実績などさまざまですが、価格に比例して完成した就業規則の質は上がるといえます。これは、社会保険労務士や弁護士は、自身の持つ知識を売りに仕事を行っていることが挙げられます。したがって、知識を駆使する必要のある仕事や、完了までに時間を要する仕事を受ける場合は、それなりの報酬を要求します。

低価格で引き受ける専門家の場合、一般的な就業規則の雛形に沿った内容で質問をし、回答を雛形に埋め込んでいく方法を取り、完成までの時間を最小限に抑える傾向があります。一方、会社と何度もヒアリングを重ね、オーダーメイドで規則を作り込む専門家の場合は、100万円の報酬がかかるケースもあります。

メリット

専門知識を持つ社会保険労務士や弁護士に依頼することで、正確な内容の就業規則を作成することができます。特に昨今は、国を挙げて労働者の待遇改善や社内環境の整備がうたわれていることから、さまざまな法改正が繰り返されています。

専門家はこれらの改正情報をいち早く入手し、将来を見据えた就業規則の内容を提案することが可能となるため、安心して任せることができます。

デメリット

専門家に依頼するということは、それなりにコストがかかります。支払金額を渋ることで結果的に満足のいく就業規則が完成しない、というリスクも考慮した上で、慎重に依頼先を選ぶ必要があります。

最近では、インターネットで「就業規則作成」と検索するだけで、就業規則の作成を引き受ける専門家のホームページが多く出現します。星の数ほどある専門家の中から自社に沿った依頼先を選択するには時間や手間がかかるものですが、専門家や事務所の信念や実績などを総合的に勘案し、検討をしなければなりません。

③自社で一から作成する方法

就業規則は、雛形やテンプレート、専門家に頼らずとも、自社内で一から作成することができます。この場合、重要となるのが事前準備の内容や手順です。手順を間違えてしまうとかなりの時間を要してしまうため、気をつけなければなりません。

作成までの流れ

就業規則を作成し、完成するまでの流れとしては、主に次のような形になります。

  1. 社内ルールの洗い出し
    まずは、現段階で運用されているルールを見直します。箇条書き・図式など形式にこだわらず、全て洗い出します。
  2. 洗い出した内容の順序づけ
    洗い出しの作業が終了したところで、次は順序づけを行います。業務に直接影響するものとそうではないもの、必然的なものや恩恵的なものなど、優先しなければならない順位に応じて項目を並べ替えます。
  3. 内容のグループ化
    順序づけを実施した後は、内容をグループ分けしていきます。このグループが、就業規則における章に該当することになります。
  4. 整理内容の文書化・整備
    グループ分けが終了したら、いよいよ条文作りに着手します。グループごとに章を立て、順に条文を作成していきます。
  5. 就業規則の完成
    作成が完了したら、就業規則の完成です。記入漏れやミスがないか、繰り返しチェックを行いましょう。

注意点

自社で作成した就業規則に関して注意すべき点としては、完成後の客観的な視点によるチェックの重要性が挙げられます。作成者の独りよがりな文章になっていないか、内容に間違いはないか、法違反はないかなど、確認しなければならない点は多々あります。

経営幹部や社内の労務管理担当者などに確認してもらう方法や、内容確認のみ専門家に依頼する方法など、第三者の視点から客観的に内容をチェックしてもらう必要があるでしょう。

メリット

自社で作成する場合のメリットは、何よりコストがかからないことです。専門家へ依頼する際にかかる報酬や、有料の雛形・テンプレートを利用する際にかかる費用を削減することができます。

デメリット

一方、自社作成のデメリットとしては、作成までに時間がかかることです。日々こなさなければならない業務に加え、社内の制度を見直し、一から規則の条文を作成する時間を取ることになるため、負担が増加します。

また、ある程度の法律知識が必要である点も、作成を検討する際に考えなければならない要素の一つとなります。

形式にこだわりすぎないことがポイント

厚生労働省などの公の機関で雛形が用意されていることから、就業規則は形式通りに作成しなければならない、と考えている人も多いことでしょう。しかし、実のところ、就業規則の形式は定められていません。法律に沿っていれば、どのような書き方でも受理されるのです。

岩手県に居を構えるマナベ事務所では、国内で初の漫画を活用した就業規則を作成し、労働基準監督署で受理されるという実績をあげています。どのような方法であれ、社員に対して社内ルールを知らしめる方式であれば、就業規則として認められるのです。

【参考】岩手・盛岡の社会保険労務士事務所 マナベ事務所ホームページ:写真で分かる実績

まとめ

  • 就業規則は会社で働く社員が守るべき社内ルールを明示化した会社のルールブックであり、従業員が会社へ入社し、退社するまでの間に必要となる取り決め内容が記されている。
  • 就業規則を作成し、実際に運用をしていくまでの流れとしては、まず就業規則を作成した上で労働基準監督署へ届け出を行い、その後従業員へ内容を周知させる方法を取る。
  • 就業規則の作成には、雛形の活用・専門家への依頼・自社作成などの方法がある。形式は自由だが定める内容には規定があり、内容が膨大になる場合は別規定を活用する。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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