はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2019年1月9日(水)更新

内定通知書

内定通知書とは、採用試験をクリアし入社相当だと認められた者に内定の旨を通知する書類です。今回は、内定通知書の概要や内定手続きの流れ、内定通知書に記載する具体項目について、順を追って説明をしていきます。また、内定通知書が持つ法的効力や内定取り消しの場合の要件、内定受諾後の内定者の辞退の可能性についてもあわせて記載します。

内定通知書 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

内定通知書とは

就職活動に勤しむ者にとって、「内定通知書」は非常に大きなものとなります。同時に、会社側にとっても内定通知書は重要な存在となりますが、取り扱いによっては労使トラブルを引き起こす可能性のある、注意が必要な存在であるともいえます。

今回は、内定通知書の内容や発行の目的、法律に沿った扱い方法などについて、順を追って見ていきましょう。

内定通知書の概要

まずは、内定通知書とはどのようなものかについて説明しましょう。内定通知書とは、採用活動を行う企業が応募してきた者に対する選考を行い、入社に値すると判断された応募者に対して社員として採用する旨を通知する書類のことです。

その他、社内で一定の役職に就任することが内々に決定した場合にも、内定通知書が使用されるケースもみられますが、今回は使用されるケースの多い採用活動における内定通知書について、解説をしていきます。

採用通知書との違い

内定通知書と混同しやすい書類の中に、「採用通知書」という書類があります。これは、企業側が行った採用試験の結果を知らせる書類のことで、採用試験をクリアした応募者に対して渡されるものです。

採用試験をクリアしたという事実と、内定が決定したという事実は、似て非なるものです。というのは、採用試験に合格した場合でも、正式に内定が決定したとはいえないためです。

選考する企業側が、「内定をする」という宣言をすることで、はじめて応募者の入社が内々に決まったといえる状態となります。内定通知書は、その内定宣言をするための書類であるといえます。

労働条件通知書との違い

内定通知書には、後に詳しく説明していきますが、さまざまな内容が記されます。その中には、応募者が正式に入社した後に受けることとなる待遇についての記載が含まれています。そのため、同じように働く社員に対して明示される「労働条件通知書」と間違えやすいというケースがみられる場合があります。

労働条件通知書と内定通知書は異なる書類です。まず、労働条件通知書とは、法律、具体的には労働基準法に沿った内容で発行しなければならないものであることを覚えておきましょう。通知書に明示しなければならない労働条件の項目は厳密に労働基準法で定められており、また、記された条件の内容について、労働者の同意を得る必要があります。

一方、内定通知書の場合、労働条件通知書と同じように労働条件を記すものの、その内容は労働者の意向は含まれず、法律の規制がかかるわけではないため、純粋に採用する側である会社の意向によるものとなります。

効率化を図るため、内定通知書をもって労働条件通知書にかえる、という方法を取ることも可能ではありますが、この2種類の書類が法的に異なる意味合いを持つことから考えても、別々に発行する策を取る方がトラブルを防ぐことになるでしょう。

【関連】労働条件通知書とは?雇用契約書との違い、記載事項や交付時期まで徹底解説/BizHint HR

新卒・転職時における内定通知書

採用活動には、新卒者を採用する場合と転職者を採用する場合があります。では、新卒者の場合と転職者の場合で、内定通知書を発行するかどうかやその内容が異なることはあるのでしょうか。

内定通知書は内定の旨を知らせる書類であるため、基本的には新卒者と転職者で内定通知書の内容が異なることはありません。ただし、転職者を雇う場合、新卒者に比べて採用から入社までのスパンが短いケースがあります。このようなケースでは、内定通知書を発行せずに入社の旨を伝えた上で、具体的な入社手続きに進む場合がみられます。

内定手続きの流れ

ここからの項目では、内定通知書が発行される具体的なタイミングについて、説明をしていきましょう。採用活動を行う上では欠かせない内容ばかりですので、社内の実例と照らし合わせながら、一つずつ確認していくことをお勧めします。

内定者への連絡

応募者に対する最終選考が終了し、入社してもらいたい「内定者」が決定したところで、まずはその者に対する内定の連絡を行います。連絡の方法は、電話などの対話形式が理想です。なぜなら、他の道に進むことをすでに決意しており、内定を辞退する意思を持つ内定者がいる可能性があるためです。

入社意思の確認

全項目の続きとなりますが、内定者へ連絡を取る時点で、明確な入社意思確認を実施しておく必要があります。直接口頭で内定する旨を伝え、内定者の意思を確認することで、内定辞退者の把握や今後の対応を効率良く進めることができるのです。

内定通知書の作成

内定者の意思確認を終えメンバーが確定したところで、内定通知書の作成にかかります。内定通知書で相手に知らせる内容については、後に具体的な内容を記していきますので、参考にしてみて下さい。

書面で作成する場合、確かに採用側である会社から発行したものであることを証明するため、会社印の押印を忘れないようにしましょう。

内定通知書の送付

内定通知書が完成したら、次は実際に送付する段階へと入ります。送付の時期については、経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)に加入している企業の場合は、新卒者に対する内定の通知時期が定められていることに注意をしなければなりません。

具体的には、学生が卒業(修了)する年度内の10月1日以降となります。内定通知書の発行は、10月以降に行うことが必要です。

【参考】一般社団法人 日本経済団体連合会:採用選考に関する指針(2018年入社対象の「採用選考に関する指針」について)

内定受諾書の返信

内定通知書が内定者のもとへ到着したところで、内定者は内定通知書の内容を熟知します。内定通知書の内容が問題ないと判断されたところで、応募者は実際に入社することを希望するための「内定受諾書」を送付します。

内定受諾書が会社側へ返送された時点で、内定通知書にまつわる手順は終了することになります。

内定受諾書とは

内定受諾書は、企業から示された内定を正式に受けることを表明するための書類で、内定誓約書、内定承諾書などと呼ばれる場合もあります。

昨今では、複数の企業に対して就職活動を行うケースが主流となっているため、内定を決定した旨を通知した場合でも、相手側となる内定者が100%の確率で正式に入社するとはいえない状況が続いています。このような中、正式に入社を希望する内定者を選別するため、内定受諾書を取る方法が取られているのです。

内定通知書の内容・フォーマット

では、ここからは、内定通知書を書面で発行する場合に記載する具体的な内容について見ていきましょう。

人事労務管理に携わる社労士、人事コンサルタント、管理ソフト運営会社などのホームページでは、内定通知書のワードやエクセルファイル、PDFデータなどのテンプレートやフォーマットが無料で提供されていることがあるため、ダウンロードする方法も一つの手段となります。

ただし、内定にまつわる状況は会社ごとに異なるため、フォーマットなどを利用する場合は必ず事前に内容を確認することが重要です。

冒頭の挨拶

内定通知書は、会社が発行する正式な書類です。したがって、他のビジネス文書のケースと同様に、時事の挨拶などの冒頭文を盛り込みましょう。その上で、採用試験に応募してくれた旨のお礼を伝えます。

内定の通知

内定通知書のメイン項目となる、内定の事実を伝えます。選考試験の末、内定が決定したことを明確に伝えましょう。

労働条件の詳細

入社後の内定者に対する労働条件を記載します。必ず記載しなければならないわけではありませんが、実際にどのような形で働いてもらうのかを明示することで、内定者が入社後のイメージをしやすいよう、分かりやすく記載することがポイントとなります。

入社日

実際に入社する日を明示します。入社式がある場合などは、その時間帯や行われる場所についてもはっきりと記しましょう。

契約期間

契約期間の詳細を記載します。まずは契約の内容が無期であるか有期であるか、有期の場合はその期間、契約更新をする旨があるかどうかも明示します。試用期間が設けられている場合は、実施状況もあわせて記しましょう。

賃金支払方法・控除の内容

月給や時給、日給などの賃金支払形態や賃金支払日、残業代などの取扱い、社会保険料などの控除がある場合はその旨を記載します。具体的な金額が定まっている場合は、その金額も記します。

就業場所

内定者が入社後に働く場所を記します。会社説明会や採用試験が行われた場所と実際の就業場所が異なる場合などは、就業場所の住所や地図も同封すると良いでしょう。

休日・休暇

入社後の休日や休暇の詳細を記載します。内定者にとっても、いつ休むことができるのかを把握することは、実際に入社する企業を決定する際に重視するポイントとなります。はっきりと明示する方法が重要となります。

研修の内容

入社前に研修を実施する場合は、その期間や時間帯、研修項目について明示します。特に新卒者の場合は秋冬以降に卒業前の追い込みや卒業旅行の計画を立てているケースが多くみられるため、あらかじめ研修の詳細を伝えておく方法が親切な対応となるでしょう。

必要書類の連絡

入社当日までに内定者が揃えるべき書類や事前に返送が必要な書類の内容を伝えます。特に、返送が必要な場合は、ある程度の準備日数を考慮した日付で期限日も伝えましょう。

具体的には、年金手帳や扶養控除申告書、身元保証書や住民票、健康診断書などの書類が挙げられます。

他書類の送付

内定通知書とは別に書類を同封する場合は、その書類内容や対応方法を列挙します。たとえば、会社の所在地を表す地図や内定受諾書などが該当します。

返送を要する書類を同封する場合は、切手を貼付した返信用封筒を準備することで、会社側のイメージアップや作業の効率化を図ることが可能となります。

内定通知書の法的効力

ここまでは、内定通知書の内容について説明をしてきました。なお、前述までの内容は法律によって義務づけられたものではなく、あくまでも一般的なものです。

では、内定通知書自体が法律の制約を受けることはあるのでしょうか。ここからは、内定通知書の法的効力について、解説をしましょう。

内定の通知方法

まず、内定の通知方法です。この方法については、具体的な法的制約はありません。主に、次の3種類の方法が挙げられます。

口頭による方法

口頭による方法というのは、直接呼び出して行う方法や電話などの対話方法が該当します。前述のように、内定通知書の発行をせずとも、口頭のみで内定通知を済ませてしまう方法が認められています。

ただし、口頭の方法を取る場合、後に「言った・言わない」などのトラブルが発生する可能性があることも念頭に置いた上で、実施をしましょう。

書面による方法

内定通知書などの書面を郵送することで、内定の決定を知らせる方法のことです。ただし、この方法を取る場合でも、あらかじめ口頭で内定通知書を送付する旨を伝える方法を取ることで、内定者側に企業の存在を印象づけることが可能となります。

メールによる方法

メールやline、SNSなどを使って内定を通知することもできます。同時に内定通知書を添付することもできます。ただし、この方法を取った場合、相手側の内定者がいつそのメールを開封するかが分からないことが懸念点として挙げられるでしょう。

法的効力はあるのか

内定通知書に記す内容は自由、通知方法も自由であるとすれば、実際に内定通知書が法的効力を受けることがあるのかを疑問に思う方がいるかもしれません。

しかし、内定通知書が法的効力を持つケースも確かに存在します。それは、内定通知書が「労働契約の成立」と認められるかどうかの判断をする場合に考慮しなければならない点となるのです。

発生時期

実は、内定通知書を作成し発送した時点で、労働契約が存在するものとみなされます。これを「始期付解約権留保付労働契約」といい、判例でも証明されている契約となります。

【参考】独立行政法人 労働政策研究・研修機構:労働判例(大日本印刷事件)

始期付解約権留保付労働契約

始期付解約権留保付労働契約とは、主に学生を新卒者として採用内定し、内定通知書などの手続きを取る場合に発生する労働契約のことです。

新卒採用の場合内定を通知する時期の多くが、内定者が学生の状態の際に実施されます。この場合、実際に入社をして働き始めるのは、基本的には卒業後の4月です。そのため、この契約には「始期付」という、契約を開始する時期を指定する旨の名称がつけられています。

また、この契約の名称に「解約権留保付」という内容が含まれているのには、企業側が持つ内定者を取り消すための権利「解約権」が「留保」されていることが理由です。つまり、企業側が内定者の内定を取り消す場合には、ある一定の条件がつけられていることを意味しています。内定を取り消すことができる条件については、この後の項目で詳しく述べていきましょう。

内定を取り消す場合

ここからは、企業側が内定者に対する内定取り消しを実際に行えるかどうかについて、説明をしていきます。

内定取り消しとは

内定取り消しとは、その名の通り応募者に対して出した内定を取り下げることです。口頭、内定通知書などの書面、メールなどの方法を問わず、いったん内定の決定通知を出した後に取り消す行為がこれに該当します。

解雇権濫用法理

解雇権濫用法理とは、企業は正当な理由なしに、労働契約を解除してはならないことです。

具体的には、労働契約法16条により「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は労働契約の解除が認められていない、と定められています。これは、通常の解雇の場合に加え、内定取り消しの場合にも該当します。

《労働契約法16条(解雇)》
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
【参考】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)

客観的合理性・社会的相当性とは

では、内定取り消しが認められる「客観的合理性・社会的相当性」とは、どのような内容が該当するのでしょうか。

具体的には、内定通知出す際に知り得なかった事実が後に判明した場合などが挙げられます。たとえば、新卒者の大学での成績が芳しくなく卒業ができなかった場合、健康に著しい支障をきたした場合、履歴書などに嘘の内容を記載していた場合、社会的に重大と判断される事件を起こした場合、逮捕された場合などが挙げられます。ただし、内定者が前述の状況に陥った場合は即座に内定を取り消して良いかというとそうではなく、各々の状況を確認した上で、公平な目線で判断を行う必要性が生じます。

内定取り消しにまつわる行政指導

実際に内定取り消しが行われた場合、内定者が受けるダメージは図りしれないものがあります。新卒者の場合、ほとんどの企業の就職活動の期間が一定時期に集約されているため、内定取り消し後に新たな職場を見つけることが難しい状況となります。

また、中途採用者の場合も、内定通知後に現職場を退職しているケースや他への就職活動を終了しているケースが多くみられるため、路頭に迷う状況に陥る可能性があります。このような状況への対策として、厚生労働省では内定取り消しを取り締まるための行政指導を行っています。

採用取り消し内容の公表

採用内定の取り消しを行った企業のうち、厚生労働大臣が定める次の事由に該当する場合は、応募者の今後の就職活動に配慮するため、取り消し内容の公表が行われます。

  1. 二年度以上連続して行われたもの
  2. 同一年度内において十名以上の者に対して行われたもの(内定取消者に対する速やかな雇用確保措置を取らなかった場合)
  3. 生産量その他事業活動を示す最近の指標、雇用者数その他雇用量を示す最近の指標等にかんがみ、事業活動の縮小を余儀なくされているものとは明らかに認められないときに、行われたもの
  4. 次のいずれかに該当する事実が確認されたもの
    ・内定取消の対象となった新規学卒者に対して,内定取消を行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかったとき
    ・内定取消の対象となった新規学卒者の就職先の確保に向けた支援を行わなかったとき

なお、上記に該当した場合でも、会社の倒産により翌年度の採用活動が行われないことが確実になっているケースは除かれます。

【参考】厚生労働省ホームページ:新規学校卒業者の採用内定取消しの防止について(職業安定法施行規則の改正等の概要)

厚生労働省による指針

内定取り消しにまつわる問題に対応するため、厚生労働省では、内定取り消しの際に企業取るべき行動の内容を定めています。

【参考】厚生労働省リーフレット:事業主の皆様へ ~新規学校卒業者の採用内定取消し、入職時期繰下げ等の防止に向けて~

内定受諾書後の辞退

ここまでは、内定通知書によって企業に課される法的義務の内容について述べて来ました。ここからは、応募者となる内定者が内定を辞退した場合、いわゆる内定辞退の際に生じる法的効力について説明をしていきます。

なお、内定を辞退した場合というのは、「入社する」旨を表明する書類となる内定受諾書を内定者が送付した後に生じる辞退のことです。

法的効力はあるのか

結論としては、内定受諾書送付後に内定者が辞退を申し出ることに対する法的効力はありません。

前述の通り、内定通知書が内定者に発送された時点で労働契約自体は成立しています。しかし、内定承諾書の存在自体は法律の制限が設けられていないため、内定受諾書の送付後は内定者が必ずその会社で働かなければならない、という制約はありません。

なお、内定辞退を行う場合、民法の定めに沿った内容で内定者が会社に対して申し出を行う必要があります。申し出の期間は、入社2週間前までです。

《民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)》
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
【参考】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:民法(明治二十九年法律第八十九号)

まとめ

  • 内定通知書は、採用活動を行う企業が応募者に対する選考を行い、入社に値すると判断された応募者に対して社員として採用する旨を通知する書類で、採用通知書とは異なる。
  • 内定の通知は、口頭・書面・メールなどの方法が認められているが、書面で発送する場合はあらかじめ内定者に連絡を行い、入社の意思確認を行った上で実施。
  • 内定通知書送付後に内定の取り消しを行う場合は、解雇権濫用法理に沿った内容で実施する。客観的合理性や社会的相当性がない状態で取り消しを行うことは不可能。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計180,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 事業運営のキーワードが把握できる
  • 課題解決の事例や資料が読める
  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

内定通知書の関連キーワードをフォロー

をクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードフォローの使い方

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次