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2018年11月2日(金)更新

労働者名簿

労働者名簿は、労働基準法107条により会社に作成が義務付けられているもので、賃金台帳、出勤簿と並び「法定三帳簿」の一つとされています。労働者名簿の必須記載事項や保存期間は法律で定められており、また調製義務に違反した場合の罰則もあります。ここでは労働者名簿について、記載事項、記載上の注意点、保存期間などを解説します。

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労働者名簿とは 

労働者名簿とは、会社が雇用している一人一人の労働者について、氏名、生年月日、履歴などを記載した名簿です。労働者を雇用する者(=会社や個人事業主)には、労働基準法107条により、労働者名簿を調製する義務が課されています。

まずはじめに、労働者名簿の内容をみていきましょう。次に掲げる9つが、労働者名簿に必ず記載しなければならない事項です。これらの事項は、労働基準法107条1項及び労働基準法施行規則53条に列挙されているものです。

  1. 氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の種類
  7. 雇入の年月日
  8. 退職の年月日及びその事由(解雇の場合はその理由を含む)
  9. 死亡の年月日及びその原因

どれも極めて基本的な情報であり、退職や死亡に関する事項を除けば、会社が従業員を雇う際、正確に把握しておかなければならない事項です。

こうした情報が記載される労働者名簿は人事管理上重要なもので、労働基準法の「法定三帳簿」の一つとされています。

法定三帳簿

「法定三帳簿」とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つを指します。では、労働者名簿以外の2つについて説明していきます。

賃金台帳

賃金台帳は、従業員一人一人に支払った賃金に関する記録簿で、労働基準法108条により会社に作成義務が課されているものです。賃金台帳には、労働日数、労働時間、基本給や諸手当の額、控除される所得税や社会保険料など一連の法定事項が記載されます。

【関連】賃金台帳とは?記載事項や様式、保存期間、記入例・ひな形もご紹介 / BizHint HR

出勤簿

出勤簿は、従業員の勤怠の記録簿です。出勤簿には毎日の始業時刻と終業時刻が記録され、これにより労働時間が集計されます。そして集計された労働時間は、給与計算や労働者の安全衛生管理などの資料となります。

出勤簿の調製義務については労働基準法に明文の規定はありませんが、賃金台帳の裏付けとなる帳簿であることから、賃金台帳と同様に労働基準法108条が調製義務の根拠とされています。

労働者名簿の重要性

労働者名簿の個々の記載事項は、どれも労務管理上必要とされる事項です。逆に言えば、労働者名簿の記載事項を正しく把握していなければ、人事管理が立ちいかなくなるはずなのです。

例えば、生年月日や性別は社会保険の手続きに、住所は住民税の手続きに、履歴は社内研修や配置転換の際に、また雇入の年月日は年次有給休暇日数の計算などに、それぞれ必要となるデータです。ですから労働者名簿を正確に作成しておくことは、人事管理のために重要なことなのです。

また労働者名簿は、労働基準監督署の調査時、社会保険関連の調査時、また雇用関係助成金の申請時など、様々な場面で、原本の提示や写しの提出が求められるものです。この点からも、労働者名簿を整備しておくことは重要であると言えます。

作成が義務付けられた会社

「労働者を雇用している会社」には、労働者名簿を作成する義務があります。労働者を一人でも雇ったら、労働者名簿は必要です。大企業でも小企業でも、また法人だけでなく個人事業であっても、この義務があることに変わりはありません。

尚、労働基準法107条では「”各事業場ごとに”労働者名簿を調製する」としているため、本社の他に工場などがある場合は、本社と工場それぞれにおいて、労働者名簿を整備しておくことが求められます。

労働者名簿の対象者

労働基準法107条は、労働者名簿の対象を“各労働者”としています。

労働基準法における「労働者」の定義は、「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者(労働基準法9条)」です。

パート、アルバイト

正社員に限らず、パートやアルバイトにも労働者名簿は必要です。労働日数や労働時間が少なくても、労働者名簿を作成する義務がなくなるわけではありません。また雇用期間の定めの有無も関係ありません。

出向労働者

在籍出向の場合は、出向元と出向先の両方で、労働者名簿を整備しておく必要があります。

【関連】「在籍出向」とは?転籍出向・派遣との違い、契約内容について解説 / BizHint HR

派遣労働者

派遣労働者については、派遣元が労働者名簿を作成しておかなければなりません。

尚、派遣労働者については、労働者名簿、賃金台帳及び派遣元管理台帳をあわせて一つの台帳とすることができるとされています。ただし、法令上記載すべき事項が具備されていることが条件です。(昭和61.6.6基発333)

派遣先においては、労働者名簿の作成は不要です。

【関連】労働者派遣とは?改正派遣法のポイントや注意点も解説 / BizHint HR

日々雇入れられる労働者

労働基準法107条では、労働者名簿の対象者について“日日雇入れられる者を除く”としています。そのため、日雇労働者については労働者名簿を作成する必要はありません。

労働者名簿の管理方法

労働者名簿は、紙媒体による調製が一般的でした。紙に記入または出力したものをファイルし必要に応じて修正を入れるやり方で、現在でもこの方法で労働者名簿を整備している会社が数多くあります。しかし近年は、電子媒体によって労働者名簿の保存を行う会社も増加しており、こちらが主流になりつつあります。

ただし電子媒体(磁気ディスク、光ディスク等)による調製が法的に有効なものと認められるためには、次の条件を全て満たしている必要があります。(平成7.3.10基収94)

  • 法定の必要記載事項を具備していること
  • 各事業場ごとにそれぞれ画面に表示し印字するための装置があること
  • 閲覧や提出が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ写しを提出しうること

つまり、各事業場に労働者名簿を管理する媒体があり、かつすぐに画面に労働者名簿を表示・印刷できる状態であれば、電子データによる保存が認められ、この場合は紙に印字してファイルしておかなくてもよいということです。

労働者名簿の書き方

次に、実際の労働者名簿の書き方をご紹介していきます。

記入例

まず、神奈川労働局が出している記載例をご覧ください。  

【出典】労働基準法関係(記載例) / 神奈川労働局

厚生労働省テンプレート

この労働者名簿のテンプレートは、厚生労働省が「様式第19号」として出しているものです。この様式は、厚生労働省のサイトからダウンロードすることができます。

【参考】労働者名簿(厚生労働省)

また、こちらからは、ワード形式の労働者名簿テンプレートもダウンロードできます。

【参考】様式集(東京労働局)

自作の労働者名簿

しかし労働者名簿を作成する際に、厚生労働省のテンプレートを使用しなければならないという決まりはなく、必要記載事項が書かれていれば、自社でエクセルなどを用いて管理を行っても何ら問題はありません。

またテンプレートは縦書きになっていますが、横書きにしても構いません。

記載事項

次に、労働者名簿の記載事項の書き方について、一つ一つみていきましょう。法律で定められている事項ですから、正確に記載しなければいけません。

1.氏名

労働者の氏名を記載します。戸籍上の氏名を書いてください。外国籍の従業員の場合も、正式な氏名を記載してください。

厚生労働省が出しているテンプレートには、フリガナを記入する欄が設けられています。氏名のフリガナは各種手続きにおいて重要なものですから、自社で様式を作成する場合もフリガナ欄を設けた方がよいでしょう。

2.生年月日

労働者の生年月日を記載します。

3.履歴

労働者名簿の”履歴”の内容は特に法定されていません。しかし複数の都道府県労働局が出している記載例を見ると、「最終学歴」や「その会社内での配置部署」が書かれているため、”履歴”の記載内容は、「最終学歴」「職歴」「社内での部署異動歴」等になることがわかります。

補足として、最終学歴と職歴については履歴欄に「別紙に記載」と書き、履歴書のコピーを一緒にファイルしている会社も多くみられます。

4.性別

男女の別を記載します。

5.住所

住所を記載します。住民票上の住所と実際の住所が異なる場合は、実際の住所を書きます。

6.従事する業務の種類

「営業」「経理」など、その労働者が従事する業務の種類を記載します。

7.雇入の年月日

雇入れの年月日を記載します。短時間勤務のパートとして入社し、途中で正社員に登用されたような場合は、最初のパートとしての入社日を書きます。

8.退職の年月日及びその事由

退職の年月日と、退職の事由を記載します。

退職の事由は、「自己都合退職」「労働契約期間の満了」等、実態に応じて書きます。尚、”自己都合退職”の理由まで記載する必要はありません。

ただし退職事由が解雇の場合は、その理由も記載しなければなりません。

9.死亡の年月日及びその原因

労働者が在職中に死亡した場合に、死亡の年月日と死因を記載します。

労働者が30人未満の事業の場合

労働者数が30人未満の事業では、記載事項の一部を省略することができます。

省略ができるのは「従事する業務の種類」の事項だけです。労働者数30人未満の小規模な事業の場合は、ひとりの従業員が複数の業務を受け持つケースが多いためとされています。

労働者名簿についての注意点

さて、これまで労働者名簿の作成の仕方について説明してきました。しかし労働者名簿は「作成したらそれでおしまい」ではありません。記載事項に変更が生じた場合は、その都度、更新していく必要があるのです。

では、記載事項に変更があったときは、どのタイミングで更新をしていけばよいのでしょうか?

労働者名簿更新のタイミング

労働基準法107条2項は、労働者名簿の記載事項に変更があった場合は「遅滞なく訂正しなければならない」としています。

ですから、転居して住所が変わったときや婚姻により姓が変わったとき、社内の異動により業務の種類が変更されたときなどは、遅滞なく、労働者名簿の内容も変更しなければなりません。また、従業員の退職や死亡などの際にも、遅滞なく労働者名簿にその旨の記載をする必要があります。

労働者名簿は、いつも最新かつ正確な情報が記載されている状態でなければならないのです。

変更履歴について

労働者名簿の記載事項を変更する場合、古い情報を残すかどうか、迷う方もいらっしゃるでしょう。法律的には、現在事項が記載されていれば問題はありません。新しい情報の記載があれば、古い情報は消去してしまってもよいのです。

しかし実務的には、古い情報の記載も残っていた方が便利なこともあります。

住民税の手続きを例に取ってみましょう。住民税は、年の途中で転居しても1月1日時点の住所地で徴収されます。そしてこの従業員がその年度中に退職したときは、住民税の異動届に1月1日の住所(=旧住所)を書く必要があります。

このとき、労働者名簿に転居前の住所が残っていればスムーズに異動届の作成ができますが、古い住所を消去してしまっていると、あれこれ探した挙句、結局退職した労働者に問い合わせるような事態になり、無駄な時間を使うことになるかもしれません。

こうしたことを考えると、旧情報はすぐには消去せず、その変更日とともに備考欄などに残しておいた方が能率的だと考えられます。こうした旧情報の扱いについては、会社が任意に決めてよいでしょう。

法定記載事項以外の記載

労働者名簿は、法定の記載事項以外の事柄を書いてはならないという決まりはありません。ですから、多くの会社で法定記載事項以外の欄を設けています。例えば「扶養家族」「緊急連絡先」「所持免許」などです。

こうした項目は必要に応じて追加し、自社が使いやすい労働者名簿にしていくとよいでしょう。ただし、繰り返しになりますが、法定の必要記載事項をしっかりと網羅した上で、補足的な事項を追加するようにしてください。

労働者名簿の保存期間・起算日

労働者名簿の保存期間は3年、保存期間の起算日は「退職日(死亡による退職日を含む)」です。在籍労働者の労働者名簿は在籍中に破棄されることはなく、退職後も3年間は会社に保管されることになります。

労働者名簿における罰則

これまで説明してきたように、会社は従業員全て(日日雇用される者以外)について、法定の必要事項を具備した労働者名簿を作成しなければなりません。そして変更が生じた場合は、遅滞なく労働者名簿も更新する必要があります。これは労働基準法により会社に課せられた義務なのです。

そのため、「パートには労働者名簿を作っていない」「労働者名簿は入社時に作成したが、その後は全く更新していない」「労働者名簿に雇入年月日を記入していない」等のことがあれば、法令違反となってしまいます。

こうした労働者名簿の調製違反には、「30万円以下の罰金」という罰則が労働基準法に定められています。

まとめ

  • 労働者名簿は、労働基準法107条で定められた労務管理に必須の帳簿です。
  • 労働者を一人でも雇用したら、労働者名簿を作成しなければなりません。
  • 労働者名簿は、事業場ごとに整備する必要があります。
  • 労働者名簿に必ず記載しなければならない事項は労働基準法及び同施行規則に定められています。
  • 労働者名簿の法定保存期間は3年、労働者名簿の調製義務違反には罰則(30万円以下の罰金)定められています。

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