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【製造業の働き方改革】課題解決のヒントや取組事例をご紹介

Logo markBizHint 編集部 2019年3月1日(金)掲載
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本格的に始まる「働き方改革」に対して、企業は社員に対して、どんな取り組みをしていったら良いのでしょうか?今回は日本の基幹産業である製造業を中心に、取り組みの推進状況・課題解決の方向性、取り組み事例を見ていきます。

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製造業で働き方改革が必要な理由

働き方改革は全企業に対応が必要な事項ですが、今回は特に製造業における取り組みの必要性について見ていきます。

働き方改革とは

働き方改革とは、労働者の意思や能力、介護や子育てなど個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を可能にすることで、国民のワークライフバランスの実現し、国全体の生産性の向上を図っていく事を目的にした、一億総活躍社会を実現するための重要施策です。

具体的には、有給休暇の取得促進、長時間労働の是正、同一労働同一賃金などの施策を行っていきます。

【参考】働き方改革とは?目的や背景、今後の施策や企業事例まで徹底解説/BizHint

製造業で働き方改革が求められる背景

我が国の産業の中でも、特に製造業の働き方改革は強く求められています。その背景について見ていきます。

基幹産業である製造業

経済のソフト化・サービス経済化に伴い、GDPに占めるサービス業の比率が高まっていますが、製造業も依然GDPの20%弱を占める重要な産業です。

GDP比率は微減していますが、モノづくりは日本のお家芸であり、他の産業に大きな波及効果を与えます。しかし、近年製造業に従事する就業者数が減少し、基幹産業自体を支える人材が不足しています。

【参考】経済産業省:製造基盤白書(ものづくり白書) 我が国の産業構造を支える製造業

製造業を巡る環境変化

製造業は、国内の人件費の上昇に伴い、海外進出を積極的に行っています。特に中国をはじめとする東南アジア諸国の低廉で、豊富な労働力を活用し普及品(比較低価格な製品)を製造、国内においては高付加価値製品を中心に製造するという棲み分けを図ってきました。

しかし近年、東南アジア諸国の技術力の向上は目覚ましく、国内で生産する高付加価値品にもライバルが多く出現するようになり、製造業のビジネスモデルの在り方が問われるように時代になっています。

【参考】株式会社富士通マーケティング:第19回 働き方改革は人手不足が深刻な工場・現場から

生産性向上の課題

日本の製造業は、従来高い技術力が評価されてきましたが、反面、投入する労働力に対する付加価値の比率である労働生産性の低さが課題になっています。

日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較 2018」によると、日本の時間当たり労働生産性は 47.5 ドル(4,733 円)となっており、OECD 加盟 36 カ国中 20 位という結果になっています。

日本人は勤勉であるがゆえに製品に対する品質に拘り、仕上げや検査工程に慎重になる余り、投入資源と成果とのバランスが取れていません。こういった面からも、製造業の働き方改革は必要であると言われています。

【参考】日本生産性本部:労働生産性の国際比較 2018

製造業の働き方改革の現状

リクルートマネジメントソリューションズ社が2017年に実施した、「働き方改革の推進に関する実態調査」を活用し、製造業の取り組み状況を見ていきます。

働き方改革の推進状況

働き方改革の推進状況を「推進体制を作っているか」「社内でのコミュニケーション状況」「成果に関する指標化」の項目で調査した結果、ほぼすべての項目で製造業が非製造業より下回っており、製造業での取り組みの遅れが明らかになっています。

【出典】リクルートマネジメントソリューションズ社:「働き方改革」の推進に関する実態調査2017

働き方改革の導入目的

製造業が働き方改革の導入目的として現在最も重視している項目は「業務の効率化」であり、非製造業では、「法改正や世論の変化への対応」を最も重視しています。

非製造業は最終消費者を直接対象にしたビジネスが多いため、世の中の反応に敏感になっていることがうかがえます。反対に、製造業では働き方改革を業務の効率上、実質的に必要な事であるとの認識が強いことが分かります。

【出典】リクルートマネジメントソリューションズ社:「働き方改革」の推進に関する実態調査2017

働き方改革の課題

働き方改革を推進するにあたって、課題になっている点として、製造・非製造業とも、「社外を含めた商習慣を変えることが難しい」と答えています。

また、製造業で最も大きな課題は「現場や他部署との連携が難しい」となっており、社内での調整に苦慮している様子がうかがえます。

【出典】リクルートマネジメントソリューションズ社:「働き方改革」の推進に関する実態調査2017

働き方改革の成果

働き方改革を行った上での成果については、製造・非製造業とも「長時間労働の減少、総労働時間の減少」「業務効率・労働生産性の向上」「育児・介護・傷病による離職の低下」を回答しており、業種によっての差はないことが分かります。

しかし、製造業は非製造業に比べて全てのアンケート結果が低く、成果を実感できていない企業が多いことが読み取れます。

【出典】リクルートマネジメントソリューションズ社:「働き方改革」の推進に関する実態調査2017

製造業の働き方改革推進のヒント

働き方改革に対する製造業の取り組み実態を把握した上で、今後の推進方向を探っていきます。

社内の啓蒙活動

リクルートマネジメントソリューションズ社の実態調査でも明らかになったように、製造業においては働き方改革の全社的な取り組みが進んでいません。そのため、「現場や他部署との連携が難しい」という声が上がっています。

まずは経営トップが社内外に向けて取り組みを宣言し、発信していく事が重要です。その上で幹部社員に浸透させ、全社的な活動にしていきましょう。

取引先の理解

製造業や建設業などの業種は、多段階の下請け分業構造や部品を供給するためのサプライチェーンを構成している企業群が多く存在します。

つまり、自社の活動が多くの取引先に影響を与える訳です。取引先にしても、働き方改革は必要な取り組みです。相互に取り組み内容を理解してもらう活動が大切です。

コア業務・ノンコア業務の分別

働き方改革をきっかけとして、自社の戦略も見直していく必要があります。SWOT分析などを活用し自社の能力や強みを分析した上で、将来の成長戦略上必須の業務(コア業務)と、代替可能な業務(ノンコア業務)を分け、必要な事項・労働力を算出していく事が重要です。

コアな業務はより深化させていくとともに、ノンコア業務はロボット化、AIの活用、アウトソーシング化を検討していきましょう。

【関連】SWOT分析とは?やり方や事例、役立つフレームワークもご紹介/BizHint

IoTの活用

製造業には早くからコンピュータ化が進んでいますが、更なる省力化を図るため、製造工程制御以外にも積極的に導入すべき分野はまだまだあります。例えば、製造現場で頻繁に使用される図面や伝票、取引先との受発注や在庫情報などは、かなりの部分がペーパーレス化出来ますし、インターネットを使って共有すれば、リアルタイムに最新情報が共有化でき、省力化とスピード化が図れます。

また、なかなか伝承しにくい職人の高度な技術は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を駆使して短期間で習得する試みが始まっています。OJTの時間短縮や、継続的な事業活動のためにも今後検討したいところです。

【参考】株式会社富士通マーケティング:第23回 生産現場こそ必要な働き方改革、その解のひとつがIoT

多様で柔軟な働き方の導入

大量生産大量消費の時代は、従業員全員が一斉に同じ仕事をこなしていく事が生産性の面からも有効でしたが、消費者ニーズが多様化し、多品種少量生産の時代になると、職種や働き方も多様性を持つ必要があります。同じ会社の中でも多様な職種と働き方が混在し、それらを適切にコーディネイトしていく事で、変化の激しい時代に対応できるのです。

例えば研究開発職に対するフレックスタイム制や製造現場での短時間労働者の採用、今後一気に規制が緩められる外国人労働者の活用等が考えられます。また、熟練した労働力を確保し、技術を伝承する観点から、定年の延長や定年後の再雇用も、重要な施策であると言えます。

【関連】働き方改革を推進して生産性向上に繋がる「働き方」とは?/BizHint
【関連】時短勤務制度/BizHint
【関連】グローバル人材とは?定義、必要性、採用や育成のコツをご紹介/BizHint
【関連】定年後再雇用とは?制度の概要や再雇用契約書の内容、助成金まで詳しく解説/BizHint

知的労働への深化

従来、日本の製造業は発明や工夫に長けていました。日本の特許出願数やQC(小集団活動)の普及にしても群を抜いていました。しかし、新興国も知的所有権の取得に積極的になっており、中国は特許出願数で日本を抜き、世界第2位に躍り出ています。

資源のない日本は知恵と工夫で製造業を成長させてきましたが、働き方改革を機に単純労働を思い切って機械化し、高付加価値競争に活路を見出すことも出来るでしょう。

【参考】日本経済新聞:中国、日本抜き2位に 国際特許の出願件数

製造業の働き方改革事例

ここでは、厚生労働省働き方・休み方改善ポータルサイトに掲載された製造業の取り組み事例をご紹介します。

日精樹脂工業株式会社

長野県に本社を持つ同社は、射出成形機・金型・成形自動システム・計測機器等の開発、製造、販売を行っている企業です。2001年のITバブル崩壊の時や2009年のリーマン・ショックの際にリストラを行った経験があることから、景気の動向に左右されない労働環境づくりを開始。「ひとりひとりのしあわせと安心のために」というコンセプトのもと、社員とその家族が安心してライフデザインを実現できることを目指しています。

同社の特徴は、まずトップ自らが働き方改革の重要性を宣言し、全社的な取り組みを推進していることです。人事部のような特定の部署の責任にせず、「会社としての取り組み」というイメージを植えつけています。さらに、労働基準法上の残業が出来る限度時間である「36協定の特別条項限度時間」について、敢えて限度時間を引き下げる申請を行っています。同社の働き方改革に込める覚悟がうかがえます。

【参考】厚生労働省働き方・休み方改善ポータルサイト:日精樹脂工業株式会社 

株式会社 九州タブチ

給水システム関連製品の開発・製造を行っている鹿児島県の企業です。「従業員の皆さんの子供達が働いてみたいと思える魅力的な会社」「従業員の皆さん自身がわが子を働かせたいと思える働きやすい職場環境」をスローガンに掲げ、中小企業らしいユニークな働き方改革を実践しています。

具体的には、まず仕事と家庭生活が両立しやすいように、「家族参観日」や「芋の苗植え&収穫祭」「読書感想文」などユニークな会社行事をつくり、子育てに関する休暇の申請をしやすくしています。また、機械加工作業や製品の組立作業に関して新たな加工方法の確立や手順の改善によって生産性を向上させた結果、年間月平均残業時間を24.2h/月(2016年)から9.7h/月(2017年)へと激減させています。中小企業の良さと実務改善を労働時間改善につなげている好例です。

【参考】厚生労働省働き方・休み方改善ポータルサイト株式会社:九州タブチ

愛三工業株式会社

自動車の内燃機関(エンジン)関連部品を製造している愛知県の企業です。「イキイキとした職場風土への改革」を目標に、心身の健康維持、ワークライフバランスの実現、意欲を持って仕事に打ち込める労働環境づくりを進めている企業です。

同社の取り組みの中で特徴的な施策は、定年後の働き方にあります。60歳以上の社員に対して、①役職継続コース(役職者としての待遇を変更しない制度)、②一般フルタイムコース、③一般ハーフタイムコース(週20時間勤務の中で、1日4時間と8時間の組み合わせで勤務スケジュールを設定できる)といった、定年後も社員の希望に応じて働ける多彩なバリエーションの制度を用意しています。安定した労働力の確保にもつながる制度です。

【参考】厚生労働省働き方・休み方改善ポータルサイト:愛三工業株式会社

まとめ

  • 働き方改革とは、労働者の意思や能力・個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を可能にすることで、ワークライフバランスの実現、生産性の向上を図る事です。
  • 製造業で働き方改革が求められる背景には、基幹産業であり他産業に強い波及効果を持つ製造業の人材が不足している事、東南アジア諸国の技術力の向上等製造業を巡る環境変化、世界の中での日本の労働生産性の低さなどの要因があります。
  • 製造業の働き方改革の現状は、非製造業に比べて取り組みが遅れていますが導入の目的は実質的であり、社外の商習慣や社内の体制整備などに課題はあるものの、一定の効果を出しています。
  • 製造業の働き方改革推進のヒントとしては、「社内の啓蒙活動」「取引先の理解」「IoTの活用」「多様で柔軟な働き方の導入」「知的労働への深化」などの方向性があります。

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