はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年7月19日(木)更新

人工知能

人工知能(AI)とは、記憶や学習、推論、判断など高度な作業に必要不可欠となる人間の知能をコンピューター上で人工的に構築し、これまで人間が脳内で行ってきた作業を再現する仕組みや研究のことです。人工知能に対する正しい知識を身に付け、自組織での活用実現のために必要となる情報やノウハウを、人工知能の歴史や種類、メリットとデメリット、人工知能によってなくなる仕事となくならない仕事、人工知能が搭載されたビジネス用アプリケーションやビジネスツールなどの項目に分けて分かりやすく解説致します。

人工知能 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

人工知能とは何か?

人工知能とは、自然な会話や学習による知識の獲得、状況に応じた判断など高度な知能を必要とする作業を、コンピューター上に構築した人工的な知能を用いて再現する仕組みや研究のことです。

英語ではAI(artificial intelligence)と呼ばれています。

人工知能の定義

【出典】平成28年版 情報通信白書/総務省

人工知能について国際的な定義は存在しません。また、研究者によってもその定義は様々です。

しかし、研究者たちの定義を俯瞰的に見ることで、『人工知能=言語理解や論理的思考など、人間がこれまで脳内で行ってきたあらゆる作業を再現することができるコンピューター』であることが分かります。

人工知能とロボットの違い

人工知能とロボットの一番の違いは自律的成長の可否です。

人工知能は予め定められたルールや条件をもとに、自ら考え、決断することができます。また、それらの行動によって発生した結果を学習材料にしてより良い結果を手に入れられるように修正していくことができます。

それに対し、ロボットは与えられた作業を確実にこなすことを最大の目的としており、自ら考え、決断するということはできません。しかし、管理者にとって予想外の挙動を起こすことは少ないため、人工知能よりもコントロールしやすい存在であるといえます。

人工知能とRPA

これまで長きに渡り、ビジネス分野では製品の組み立てや加工などを得意とする産業用ロボットが多く活躍してきました。しかし、産業用ロボットの得意分野はいわゆるブルーカラー業務の代行であり、ホワイトカラーの仕事を代行するまでには至りませんでした。

その後、IT技術の進歩や高性能コンピューターの低価格化、ビジネスのデジタル化などの背景により、ホワイトカラー業務の代行者として注目されたのがRPA(Robotic Process Automation=ロボティック・プロセス・オートメーション)です。

このRPAを導入することにより、企業内部に点在する多くのホワイトカラー業務を自動化することが可能となりました。

高度な作業を行うことができるRPAには必ず高性能な人工知能が搭載されています。そのため、昨今では独自に人工知能の研究開発を進める企業も増えています。

【関連】RPAとは?意味や効果、導入方法、導入事例、RPAツールをご紹介 / BizHint HR

人工知能研究の歴史

【出典】ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究報告書 / 株式会社野村総合研究所|総務省

人工知能研究の歴史は古く、1950年代から幾度ものAIブームと冬の時代を繰り返しながら、多くのAI研究者たちによって少しずつ進められてきました。

現在のAIブームは第三次AIブームと呼ばれています。これまでのAIブームとともに、その歴史と人工知能の変化を振り返っていきましょう。

第一次AIブーム【ニューラルネットワーク研究の開始】

ニューラルネットワーク研究とは、人間の脳神経系のニューロンの働きや特性をコンピューター上で人工的に再現することを目的とした研究であり、人工知能の基礎部分を支える非常に大切なものです。

1950年代後半から1960年代にかけて起きた第一次AIブームでは、コンピューターの持つ多くの可能性に期待が寄せられ、ニューラルネットワークに対する研究が本格的に開始されました。この第一次AIブームによって、人工知能は推論や探索、自然言語の処理が可能なまでに成長しました。しかし、当時のコンピューターの処理能力では単純な計算しか行うことができず、複雑な問題を解くことができませんでした。

コンピューターの限界に直面し、人工知能の日常生活やビジネス分野での活用が非現実的であることが分かったAI研究者たちの熱が急速に冷めてしまったことにより、第一次AIブームは終わりを迎えてしまいました。

第二次AIブーム【エキスパートシステムへの期待】

エキスパートシステムとは、様々な分野における専門化(エキスパート)の意思決定能力をコンピューター上で再現するシステムです。機械学習分野の研究が急速に進み、人間の持つ『知識』というかけがえのない財産をエキスパートシステムという形で人工知能に活用することが可能となったことにより、1980年代に第二次AIブームが巻き起こりました。

世界中を巻き込んだ第二次AIブームの中、日本では1982年に政府主導による『第五世代コンピュータ』という国家プロジェクトが開始されました。しかし、570億円もの予算を費やした国家プロジェクト『第五世代コンピュータ』は、国内産業に大きな影響を与えることなく1992年に終結してしまいました。

第二次AIブームでは人間知能を越える人工知能の誕生に期待が寄せられていました。それに対し、当時の人工知能は人間から知識を与えてもらうという学習方法しか持ち合わせていませんでした。

この理想と現実の剥離により、第二次AIブームは終わりを迎えてしまったのです。

第三次AIブーム【ディープラーニングによる可能性の拡大】

手作業による知識の取得がネックとなり第二次AIブームの中で実用化が難しいとされた機械学習ですが、一般家庭へのIT機器の普及やビジネスのデジタル化などの影響によって生み出された数々のビッグデータと組み合わせることによって、その価値を一気に高めました。

また、人工知能が自ら学習し、新たな判断基準を設定するディープラーニング(深層学習)の登場により、人間の手を離れて自己成長を続けることが可能となりました。

第三次AIブームは2000年代から始まり、今もなお続いています。Webマーケティングやユーザーサポートなど、ビジネスシーンに欠かせない存在にまで成長した人工知能への注目は今後ますます高まることでしょう。

人工知能の進化と2045年問題【シンギュラリティへの到達】

シンギュラリティ(Singularity)には『特異点』という意味があります。そのため、人工知能研究を行うAI研究者たちは『人工知能が人間の知能を超える瞬間』のことをシンギュラリティ(技術的特異点)と呼んでいます。

人工知能研究の権威レイ・カーツワイルは著書『The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology』の中で、2045年以降、人工知能が人工知能のプログラムを改良し続け、猛スピードで進化を遂げていくと予測しています。

シンギュラリティへの到達により、人工知能は完全に人間の手を離れていくことになります。また、人間に対して非常に強い影響力を持つ存在へと急変していきます。人工知能の暴走や人類滅亡をテーマにした映画やSF小説などの影響により、人工知能に対して『怖い』や『危険』といったイメージを持っている人は決して少なくありません。

AI開発競争の過熱や技術革新だけに目が行きがちな人工知能ですが、人工知能と人間が共存できる未来を実現させるためにも、誤解や不安を払拭するための人工知能ガイドブックや、人工知能の取り扱いに関するガイドラインの整備など、早期から人工知能に対する向き合い方を政府主導によって検討しておく必要性があるでしょう。

【関連】シンギュラリティ(技術的特異点)とは?意味や2045年問題、人類にもたらす可能性や影響をご紹介 / BizHint HR

人工知能の種類

かつて学術研究分野における専門用語として扱われていた人工知能ですが、日々のニュースで取り上げられるなど露出機会が増加したことによって多くの人に認知されるようになりました。しかし、人工知能に複数の種類が存在していることはあまり知られていません。

人工知能は保有している能力や使用する目的によって分類することができます。ここでは『特化型人工知能・汎用人工知能』と『弱いAI・強いAI』という2つの分類方法と、それぞれの人工知能が持つ特徴を紹介致します。

特化型人工知能・汎用人工知能

人口知能には個別領域に特化して能力を発揮する『特化型人工知能』と、領域にとらわれることなく多種多様な分野において問題を解決することのできる『汎用人工知能(AGI: artificial general intelligence)』があります。

特化型人工知能

特化型人工知能とは、特定の任務を遂行するためだけに作られた人工知能です。

仕事内容に特化した人工知能を作成することは比較的容易なため、すでに多くの企業が特化型人工知能を自社ビジネスに活用しています。また、ビジネス分野における人工知能の本格的普及に向け、今後更に多くの特化型人工知能が生み出されていくことが予測されています。

汎用人工知能

汎用人工知能とは、SF映画やアニメなどに登場する『人間と同じように考え、人間と同じように判断して行動に移すことのできる人工知能』のことです。人間の思考や行動を完全に再現できることから、汎用人工知能の知能は『人間同等もしくはそれ以上』であると考えられています。

現時点でまだ汎用人工知能は存在していません。汎用人工知能には、外部からの情報を意味のあるものとして認識する能力が不可欠であり、実現には時間がかかるといわれています。

しかしここ数年のディープラーニング技術の進化により、新たな次元での人工知能研究が進められるのではと期待が寄せられています。

弱いAI・強いAI

言語哲学や心の哲学を専門とするアメリカの哲学者ジョン・ロジャーズ・サール(John Rogers Searle)氏は、1980年に発表した論文『Minds, Brains, and Programs』の中で人工知能の区分の有用性を語る際、『弱いAI(Weak AI)』と『強いAI(Strong AI)』という2つの用語を用いました。

弱いAI

ジョン・ロジャーズ・サール氏は論文の中で、弱いAIについて『心の研究において、より厳密で正確な方法で仮説を定式化し、テストすることができる非常に強力なツールである』と述べています。

この文章から、弱いAIはあくまでも人間にとってのツールであり、特定の課題を達成するために生み出された人工知能であることが分かります。前述した特化型人工知能と弱いAIは同等な存在であると考えてよいでしょう。

強いAI

ジョン・ロジャーズ・サール氏は強いAIのことを『慎重なAI(Cautious AI)』とも表現しています。また、ジョン・ロジャーズ・サール氏は論文の中で、強いAIについて『単なる心の研究のツールではなく、正しくコンピューターにプログラミングすることによってAI自体が本当の心になる』と述べています。

認知状態を理解したコンピューターは本物の心に変わり、自分の意思で考え、行動するようになります。人間同様の活動を行えるということから、汎用人工知能と強いAIも同等な存在であると考えてよいでしょう。

人工知能にできること、できないこと

人工知能は多くのAI研究者たちの努力によって日々進化を遂げています。その結果、人工知能は研究開始当初に比べて数多くのことができるようになりました。

現在の人工知能にできることとできないことを、今一度正しく理解しておきましょう。

人工知能にできること

人工知能は、コンピューターの高性能化と長年の研究成果によって人間が行うほぼ全ての単純作業を代行することが可能となりました。

現在、人工知能は以下のことができるといわれています。

【現在の人工知能にできるといわれているもの】

  • 情報収集
  • 認識(文字認識、音声認識、画像認識、動画認識)
  • 記録(情報の解析、分類)
  • 予測(ニーズ予測、動向予測、早期における異常検知、検索意図の予測)
  • 選択(マッチング、提案)
  • 作業プロセスの最適化(効率化)
  • 作業の自動化
  • 自己学習

大量のデータの記録や過去のデータをもとに行うパターン研究、最適解の選択といった作業は、人工知能が最も得意とする分野です。

アルゴリズムにより度重なる自己学習を実施した人工知能が囲碁や将棋の現役トップ棋士に勝利したり、2000万件以上の膨大な医学論文を学習させた人工知能が現役医師に見抜けなかった難症例患者の正しい病名をわずか10分ほどで突き止めるなど、有資格者や専門家よりも優れた結果を残す例が次々と報告されています。

人工知能にできないこと

以前に比べて多くのことができるようになった人工知能ですが、自分の行動やその行動によって発生した結果に対して興味を持つことができないなど、未だにできないことも存在します。

「人間が与えた作業を正しく行えるのであれば何の問題もないのではないか?」と思われるかもしれませんが、それは半分正解で半分間違いです。なぜなら、人工知能研究の最終目標は汎用人工知能(強いAI)の誕生だからです。心や感情を持っていない人工知能は、人間の心を激しく揺さぶることができません。また、本当の意味で人間の感情を理解し、寄り添うことができません。

現在の人工知能にできないことをまとめると以下のようになります。

【現在の人工知能にはできないといわれていること】

  • 憧れや尊敬の対象となるカリスマ性
  • 先頭に立って前に突き進んでいくリーダーシップ
  • 過去に全く存在しない事例への対処
  • 驚きやひらめきによる爆発的な発想
  • 0から1を生み出す

人工知能を活用するメリット、デメリット

人工知能にできることとできないことがあることが分かりました。では、人工知能をビジネスシーンで積極的に活用することによって、組織にはどのようなメリットやデメリットが発生するのでしょうか。

人工知能によるメリット

企業経営者や人事担当者が人工知能を正しく理解し、積極的に導入活用を進めてことによって、組織は数多くのメリットを享受することができます。人工知能をビジネスシーンで活用することで発生するメリットには次のようなものがあります。

  • 労働力不足を解消できる
  • 人件費を大幅に圧縮できる
  • 従業員を人財として最大限活用できる
  • 生産効率の大幅向上
  • 市場動向や顧客ニーズの変化に素早く気付くことができる
  • 顧客満足度の向上が期待できる

労働力不足を解消できる

人工知能の普及によって真っ先に表面化されるメリットが労働力不足の解消です。

農業や漁業の自動化をはじめ、汚れが溜まりやすい場所を学習しながら効率的に作業を行う清掃ロボットや、安全運転と時間遵守を両立させることのできる自動運転バス、認知症予防に効果的な運動やゲームを利用者に対して提供する介護サポートロボットなど、慢性的な人材不足が発生している各業種に対して有効なロボットを導入することで、長きに渡り企業経営者や人事担当者の頭を悩ませていた安定的な人材確保という課題をあっという間に解決することができてしまいます。

人件費を大幅に圧縮できる

多量のデータを高速かつ高精度に処理してくれる人工知能は、人材不足に陥っていない業種にも多くのメリットをもたらします。人工知能を有効に活用し、作業担当者の人数や残業時間の削減を実現することによって、人件費を大幅に圧縮することが可能となるでしょう。

従業員を人財として最大限活用できる

ヒトは経営資源の中でも最も貴重な存在です。そのヒトを人財として大切に扱うことは、全ての組織に課せられた至上命令であるといっても過言ではありません。組織内の人材を単純作業やルーティンワークから解放し、一人ひとりの従業員が思い描く理想の姿の実現に向けて全面的にサポートすることによって、人材は人財へと成長していきます。

全従業員が自発的かつポジティブな姿勢で働く力を手に入れることにより、イノベーションを生み出しやすい組織風土の構築や更なる組織成長を実現させることができるでしょう。

生産効率の大幅向上

疲労やモチベーションといった概念が存在しない人工知能は体調や気分が作業ペースに影響することがありません。また、一度マスターした作業は高速かつ高精度に処理することができます。

職場からヒューマンエラーを排除し、安定した労働力を提供してくれる人工知能は、生産効率の向上に大きく貢献することでしょう。

市場動向や顧客ニーズの変化に素早く気付くことができる

人工知能はまだ人間と同様の心や感情を持っていません。しかし、ビッグデータの解析と予測機能を最大限に活用することによって、相手の思考を高い精度で予測することは可能です。相手の思考を予測できるということは、相手が何を望み、何を欲しているかを正しく理解できるということです。

AIテクノロジーの加速度的進化によって、人工知能の活動範囲は人間の感情が大きく関わるマーケティング分野にまで広がりました。ビッグデータ解析や予測を得意とする人工知能を組織内に導入することで、市場動向や顧客ニーズの変化に素早く気付くことが可能となるでしょう。

顧客満足度の向上が期待できる

導入組織に多くのメリットを享受してくれる人工知能ですが、『サービスの質の均一化』や『製品の高品質化と低価格化』、『深夜や早朝など営業時間外における迅速かつ的確なユーザーサポート環境の構築』など、消費者やユーザーに対しても多くの好影響をもたらしてくれます。それによって、顧客満足度の向上を期待できるというのも、人工知能導入メリットの一つといってよいでしょう。

人工知能によるデメリット

全ての事象に裏表が存在するように、人工知能にもデメリットというネガティブな一面が存在します。しかし、それらは人工知能を導入した全ての組織で必ず発生するわけではありません。

人工知能の導入によるデメリットの多くは、導入することで本来発生していたはずのメリットが、組織内活用の失敗や事前対策の不備などによって悪影響として表面化してしまったものです。だからこそ、企業経営者や人事担当者は人工知能のメリットだけではなくデメリットについても把握し、自社における正しい活用方法やリスク対策を予め検討した上で、人工知能の導入を本格的に進めていかなければならないのです。

人工知能をビジネスシーンで活用することで発生するデメリットには次のようなものがあります。

  • 人間の仕事が奪われてしまう可能性がある
  • 従業員エンゲージメントが低下する危険性がある
  • 情報セキュリティ面でのリスクが高まる
  • 人工知能に関する高い知識を持つ管理者が必要となる
  • 顧客満足度を低下させる危険性がある

人間の仕事が奪われてしまう可能性がある

人工知能の進化と普及によるデメリットの中でも一番深刻な問題であるとされているのが『AI失業時代の到来』です。この問題は一部の業種において、パートやアルバイトなどの非正規雇用者の労働時間削減や新卒者採用枠の削減、人的コミュニケーションを扱う新規部署への再配置といった形で、すでに現実のものとなっています。

『早期退職者募集制度による希望退職やリストラによる失業』だけではなく、『一定期間における総労働時間の上限設定』や『若者の就職先の減少』、『希望していない部署への再配置』などの変化も『人工知能に仕事が奪われている』と考えることで、この問題の深刻さが理解しやすくなるでしょう。

従業員エンゲージメントが低下する危険性がある

従業員エンゲージメントとは、企業と従業員が互いに信頼し、貢献し合うことによって構築される愛着心であり、従業員たちのパフォーマンスやモチベーションに大きな影響を及ぼす重要な要素です。この従業員エンゲージメントが低下することで、売上減少やヒューマンエラーの増加、退職率の増加など数々の問題が発生することになります。

従業員たちの心の中に「人工知能が自分たちの仕事や職場を奪うかもしれない」といった疑念や不安が残っている状態で人工知能の導入を進めることは非常に危険です。また、現場の声を無視した業務内容の大幅変更や人員再配置が原因で「組織は自分たちのことを単なる労働力としてしかみていない」という想いが生まれ、それまで時間をかけて構築してきた信頼関係を崩壊させてしまうこともあるでしょう。

人材に対する向き合い方や企業経営者のあり方を示す言葉に『企業は人なり』というものがありますが、この考え方はAI技術が更に進化し、AIシステムが大半の業務を代行できる世の中になったとしても決して変わるものではありません。

従業員一人ひとりの想いや考えに真剣に耳を傾け、組織と労働者が共に満足できる職場環境の構築を目指すことによって、従業員エンゲージメントの低下を防止しながら人工知能の組織内導入を進めていくことができるでしょう。

【関連】従業員エンゲージメントの意味とは?影響する要素、高めるポイントをご紹介 / BizHint HR

情報セキュリティ面でのリスクが高まる

人工知能に業務を任せるということは、社内ネットワークを通じて機密情報や顧客情報などの重要データに人工知能がアクセスできる環境を構築するということです。

個人情報の保護や情報セキュリティマネジメントの重要性が叫ばれている現代において、これらのデータが外部へ流出することはもちろん、誤った情報に書き換えられるようなことがあってはなりません。しかし、人工知能にほぼ全ての業務を任せている現場では、人間が干渉する機会が極端に減少するため、何らかのトラブルが発生した場合に被害範囲が拡大するまで気付きにくいなどの問題が生じてしまいます。

外部からのハッキングや組織内の人間による人工知能の悪用など、人工知能の導入によって新たに発生すると考えられる情報セキュリティリスクは多岐に渡ります。これらのリスクを未然に防ぐためにも、高度な情報管理スキルを持つセキュリティエンジニアを配置するなど万全な情報セキュリティ体制を構築しておく必要があるでしょう。

人工知能に関する高い知識を持つ管理者が必要となる

人間と同じように思考を巡らし、行動へと移すことのできる汎用人工知能は人間の手を離れ、自らの意思を持って組織方針や経営戦略、企業経営者の考えに従いながら活動を行うことができます。しかし、特化型人工知能の場合はそうはいきません。

特化型人工知能に業務を任せる場合、業務に関連する知識やデータ、業務プロセスなどの情報を、プログラミング言語を通じて教え込まなければなりません。そして、その作業は現場環境や作業条件に大きな変更がかかる度に必要となります。

人工知能の暴走とは人間の指示に背き、反逆的態度を示す人工知能だけを指す言葉ではありません。人間側の設定ミスや人工知能側の解釈ミスによって、人間のイメージと大きく異なる挙動をすることもまた、人工知能の暴走といえるのです。

組織内で専門的な作業を人工知能に任せる際には、その分野における専門的知識とプログラミングスキルを兼ね備え、人工知能の暴走リスク最小化と暴走時の早期対応を実施できる管理者を配置する必要があるでしょう。

顧客満足度を低下させる危険性がある

人工知能の組織内活用は顧客満足度の向上に効果的である一方、低下させるリスクも伴っています。なぜなら、消費者やサービス利用者は正確な情報や回答だけを求めてユーザーサポート窓口にアクセスしているわけではないからです。

消費者やサービス利用者の心に寄り添い、精神的不安を取り除きながら前向きな提案を行うことを特化型人工知能は苦手としています。また、音声合成システムの進化によって自然な抑揚を表現することが可能となったとはいえ、機械音声独特の無機質感が残る人工音声サポートに不快感や違和感を覚えるユーザーは未だに多く存在します。

人工知能による顧客満足度の向上を実現させるためには、自社ユーザーが何を求め、何に期待しているのかをしっかりと見極めた上で、人工知能に任せるべき業務と人間が行うべき業務の整理を行う必要があります。人工知能と人間が高度なレベルで連携することにより、最高のサポート環境を構築することが可能となるでしょう。

人工知能によってなくなる仕事、なくならない仕事

【出典】日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に / 野村総合研究所(NRI)

2015年12月、各種ITソリューション事業を展開する株式会社野村総合研究所(NRI)は、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン(Michael A. Osborne)準教授とカール・ベネディクト・フレイ(Carl Benedikt Frey)博士との共同研究の成果として、日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能等へ置き換えることが可能であるという驚きの研究結果を発表しました。

それに合わせ、『人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業』と『人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業』についても公表しました。

人工知能は特定の分野においてすでに人間よりも優れた成果を残しています。そして、脳研究の専門家や人工知能科学者、AI開発に携わる技術者たちは口を揃えるように「人工知能が人間を超えるパフォーマンスを発揮できる分野は今後爆発的に広がっていく」と予測しています。

では、具体的にどのような仕事や職業が将来的に人間から人工知能へシフトしていくと考えられているのでしょうか。人間と人工知能が共存できる未来を作り上げるため、人工知能の台頭によってなくなる仕事となくならない仕事、それぞれの仕事に共通する特徴について学んでいきましょう。

人工知能によってなくなる仕事

分類 具体的な職業
事務系 一般事務員、医療事務員、行政事務員(国・県市町村)、郵便事務員、通信販売受付事務員
接客系 受付係、銀行窓口係、スーパー店員、レジ係、宝くじ販売人、ホテル客室係
生産加工系 鋳物工、金属プレス工、建設作業員、自動車組立工、惣菜製造工、倉庫作業員、包装作業員
保守・管理系 寄宿舎・寮・マンション管理人、ビル清掃員、警備員
配送・物流系 新聞配達員、宅配便配達員、バイク便配達員、タクシー運転者、路線バス、電車運転士
IT系 CADオペレーター、電子計算機保守員(IT保守員)、データ入力係

【出典】日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に / 野村総合研究所(NRI)

上記は、野村総合研究所が公表した『人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業』から一部を抜粋したものです。これらの仕事は今後10~20年の間に人工知能やロボットによって奪われる可能性が高いと考えられています。

なくなる仕事の特徴や共通点

人工知能やロボットに奪われる可能性が高い仕事の一覧を眺めていると、いくつかの特徴や共通点がみえてきます。この特徴や共通点を正しく理解しておくことで、人間と人工知能が協力し合い、高め合うことのできる組織を構築することが容易となるでしょう。

人工知能やロボットに奪われる可能性が高い仕事の特徴や共通点には以下のようなものがあります。

  • 専門的なスキルが求められない仕事
  • 作業内容のマニュアル化や外注化が容易な定型業務
  • ビッグデータの活用によって効率化や最適化を図ることができる仕事
  • アナログ情報をデジタル情報に変換して保存する仕事
  • アナログ情報とデジタル情報の連携によって新たな価値を創造することができる仕事

専門的なスキルが求められない仕事

卓越した技術や長年の経験による勘など、職人技と呼ばれる専門的スキルを必要としない仕事の多くは人工知能への代替が容易であると考えられます。人間よりも高速かつ高精度に処理することができる人工知能は一般的スキルでカバーできる仕事の多くを奪っていくことになるでしょう。

作業内容のマニュアル化や外注化が容易な定型業務

決められた作業を淡々と繰り返すルーティンワークは人工知能が最も得意とする分野です。作業内容のマニュアル化や外注化が容易な定型業務に関しては、将来的にほぼ全てが人工知能に置き換えられていくと考えて間違いないでしょう。

ビッグデータの活用によって効率化や最適化を図ることができる仕事

大量のデータを瞬時に処理することができる人工知能は、ビッグデータを活用した仕事においても人間より優れたパフォーマンスを発揮することができます。

SNSの普及やオンラインショップの一般化した現代社会では、膨大な量のパーソナルデータが日々ネット上で生まれ続けています。また、ポイントカードのスマホアプリ化などにより、これまでポイントカードを保有していなかった消費者のパーソナルデータも収集しやすい環境が構築されました。

パーソナルデータはそれだけでも十分に価値のある情報ですが、年齢や性別、職種など同じような個人特性を持つ別のパーソナルデータと比較したり統計を取ることで、更なる価値を発揮してくれます。しかし、様々な場所で際限なく増え続けるこれらのデータを人間が収集して適切に処理することは現実的に不可能です。

そのため、ビッグデータを活用した仕事も人工知能に奪われることになってしまいます。

【ビックデータとAI機能を活用したサービスの一例】

  • GoogleAdsense(Google社)
    GoogleAdsenseはコンテンツ連動型の広告配信サービスです。Webサイトのコンテンツや訪問者の個人特性にマッチした広告を自動で選択、表示してくれます。
    オンライン ビジネス - ウェブサイトの収益化 / Google AdSense - Google
  • デクワス.POD(サイジニア株式会社)
    デクワス.PODは個々の顧客に対して最適化されたチラシを作成することができるパーソナルチラシ作成ソリューションです。購入履歴やサイト閲覧履歴を分析することで相性の良い商品をピックアップし、紙に印刷したものを購入商品と同梱してお客様の元へお届けすることができます。
    パーソナライズレコメンドカタログ デクワス.POD/デクワス
  • レジ・クーポン®(カタリナマーケティングジャパン株式会社)
    レジ・クーポン®はPOS連動型の店頭メディアサービスです。ポイントカードなどにより顧客個人を識別し、過去の購入商品や購入頻度などの情報から最も購買意欲をそそると考えられる商品のクーポンを自動発行してくれます。
    レジ・クーポン / カタリナ マーケティング ジャパン株式会社
  • mitsucari適性検査(株式会社ミライセルフ)
    mitsucari適性検査は雇用のミスマッチを未然に防ぐことができるクラウド適性検査サービスです。求人を行う企業の従業員と求人応募者それぞれが同じ検査を受け、双方の価値観を比較することによって最適なマッチングを図ることができます。
    mitsucari適性検査 - 採用前にミスマッチが見えるクラウド適性検査

アナログ情報をデジタル情報に変換して保存する仕事

OCR(Optical Character Recognition/Reader、光学的文字認識)技術の進化により、人工知能の文字認識精度は日々高まり続けています。開発当初は書籍や雑誌、新聞などの活字を用いた紙媒体でさえ認識率が低かったOCR技術ですが、昨今では癖のある手書き文字であっても高い認識率を叩きだすことができるまでに成長しました。

また、OCR技術と同様に認識率を高めた音声認識技術は、オペレーションセンターへの音声による問い合わせ内容をテキスト形式に変換して保存するなどの形ですでに実用的に活用されています。

文字や音声の認識率が100%でない以上、認識ミスは少なからず発生します。そのため、現時点ではまだ人間による確認や修正を欠かすことができません。しかし、いずれ複数の人工知能による二重三重のチェックや異なる複数の思考回路や判断基準を持つ1台の人工知能によってデジタル情報の確認と修正を行えるようになった時、アナログ情報をデジタル情報に変換して保存する仕事も全て人工知能に任せるようになるでしょう。

アナログ情報とデジタル情報の連携によって新たな価値を創造することができる仕事

コンピューターが世の中に登場した当初、アナログ情報とデジタル情報は完全な別物として扱われていました。しかし、OCRや音声認識、画像認識、動画認識などの各種認識技術の向上と異常検知やニーズ予測の高精度化により、アナログ情報とデジタル情報の連携による新たな価値の創造が可能となりました。

認識精度が向上することで目の前にいる人物や物体の特定が可能となり、解析精度や判定精度が向上することで実用レベルを高めることができた人工知能は、その活動範囲をスーパーや銀行などの日常的な生活範囲にまで拡大することに成功しました。

今や、アナログ情報は人工知能にとって生きた情報源となっています。無数の人間とコミュニケーションをはかり、その反応をデータとして蓄積することによって、人工知能は際限なく精度を高めていくことができるでしょう。

【アナログ情報とデジタル情報を連携させたサービスの一例】

  • Siri(Apple社)
    Siriは『iOS』などに搭載されている秘書機能アプリケーションソフトウェアです。高精度な自然言語処理により、問題解決方法の提案やアプリケーションの代理起動など様々な形でユーザーをサポートしてくれます。
    iOS - Siri - Apple(日本)
  • Face ID(Apple社)
    Face IDは顔の輪郭やパーツの位置、顔の凹凸などの情報からマッチング率を評価することで本人確認を行う3D顔認証センサーです。Face ID機能が搭載された端末は、簡単な設定を行うだけで顔認証によるロック解除を行うことが可能となります。
    先進の Face ID テクノロジーについて - Apple サポート
  • Pepper for Biz(ソフトバンクロボティクス株式会社)
    Pepperは人間の声や表情から感情を読み取り、映像と音声、動きを駆使してコミュニケーションを図る感情認識ヒューマノイドロボットです。AIプログラムやディスプレイ表示のカスタマイズが手軽に行えることから様々な業種で活用されています。
    法人向けモデルPepper for Biz Pepperがあなたのビジネスをサポート / 特集 / ロボット / ソフトバンク
  • ロボットコンシェルジュカート(大日本印刷株式会社)
    ロボットコンシェルジュカートはAutomagi株式会社が開発した人工知能/AIソリューション『AMY』を搭載した買い物サポートソリューションです。『リテールテックJAPAN 2017』と『JAPAN SHOP 2017』の両イベントにて大日本印刷株式会社のブース内で展示、紹介されました。ショッピングカートに設置されたロボットに商品を見せるだけで形状や色から食材や飲料品の種類を特定し、相性の良い商品やおすすめの調理方法を音声案内してくれます。
    リテールテックJAPAN 2017/JAPAN SHOP 2017出展レポート
    人工知能/AIソリューション「AMY」- Automagi株式会社
  • LIQUID Regi(株式会社Liquid)
    LIQUID Regiは指紋認証決済システムを搭載したWindowsタブレット対応POSレジアプリケーションです。同社が独自に開発した指紋認証センサーにより、現金やクレジットカードを一切使用しない指紋決済を実現しました。
    LIQUIDレジ / 株式会社Liquid

人工知能によってなくならない仕事

分類 具体的な職業
クリエイティブ系 映画監督、グラフィックデザイナー、コピーライター、作詞家、作曲家、ミュージシャン、マンガ家
美容系 スタイリスト、ネイル・アーティスト、ファッションデザイナー、美容師、メイクアップアーティスト
医療・福祉系 ケアマネージャー、外科医、作業療法士、産婦人科医、歯科医師、小児科医、内科医、理学療法士
カウンセリング系 教育カウンセラー、産業カウンセラー、心理学研究者、精神科医
教育系 児童厚生員、小学校教員、大学・短期大学教員、中学校教員、盲・ろう・養護学校教員、幼稚園教員、保育士
日常系 観光バスガイド、アロマセラピスト、スポーツインストラクター、バーテンダー、料理研究家

【出典】日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に / 野村総合研究所(NRI)

上記は、野村総合研究所が公表した『人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業』から一部を抜粋したものです。これらの仕事は今後も変わることなく人間の手によって提供されると考えられています。

なくならない仕事の特徴や共通点

人工知能やロボットに奪われる可能性が低い仕事にもいくつかの特徴や共通点が存在します。この特徴や共通点を正しく理解しておくことで、組織内業務の見直し精度を最大限に高め、組織が保有する人材力を最大化することが可能となります。

人工知能やロボットに奪われる可能性が低い仕事の特徴や共通点には以下のようなものがあります。

  • 創造性や独創性を求められる仕事
  • 顧客ニーズの幅が広く、明確な正解が存在しない仕事
  • 人の想いや人的コミュニケーションが高い付加価値を生み出す仕事
  • 他者理解や精神的援助を必要とする仕事
  • 知識や技術を教える仕事

創造性や独創性を求められる仕事

人工知能は評判の良い商品やサービスに共通する要素を分析し、再現する能力を持っています。しかし、既存のアイディアやデザイン、手法を組み合わせただけの商品やサービスでは、顧客に一定の満足感を与えることはできても新たな刺激や大きな感動を与えることはできません。

前例が存在しないモノを生み出す力は人間ならではの特別な能力です。そのため、創造性や独創性を求められるクリエイティブな分野においては、生命や心、感情を持ち合わせていない人工知能よりも人間が優れた結果を出すことができます。

人工知能はITの発展とともに進化してきた存在であるため、IT業界の仕事の多くは将来的に人工知能へ置き換えられていくことが予想されています。しかし、Webデザインを専門とするWebデザイナーやWebコンテンツ制作全般を扱うWebクリエイター、人工知能のベース部分であるAIプログラムを作成するプログラマーなどの仕事はいつまでも人間の仕事として残り続けるでしょう。

顧客ニーズの幅が広く、明確な正解が存在しない仕事

人工知能は美容や趣味など、顧客一人ひとりの好みが大きく分かれる分野の仕事を苦手としています。なぜなら、Web上で頻回に検索されているワードやSNSで多くの人が発言している言葉を収集して分析することで、最新トレンドの把握をすることはできても、それが必ずしも全ての顧客ニーズに対する正解であるとは限らないからです。

しかし、だからといってこれらの業種で人工知能の力が全く活用できないわけではありません。美容系の仕事であれば、顧客個人の持つ雰囲気やスタイル、髪色などの情報から、相性の良い髪型やメイク、ファッションなどいくつかの選択肢を人工知能が提案し、人間同士のコミュニケーションの中で微調整を行うといった連携を取ることで、顧客満足度やサービスの質の向上を図ることができるでしょう。

人の想いや人的コミュニケーションが高い付加価値を生み出す仕事

商品やサービスに対する提供者の想いや人的コミュニケーションが高い付加価値を生み出す仕事も人工知能に奪われにくい仕事です。

ただ単純に商品が必要なのであれば人工知能が製造したもので構いません。しかし、『昔ながら』や『先祖代々』といった多くの人間と長い時間が作り上げたストーリーを人工知能が演出することはできません。同じように、『このサービスを通じてお客様に何を伝えたいか』といった想いや、サービスを提供しながら交わす会話や表情といった人的コミュニケーションも人工知能にはマネすることのできない人間独自の強みです。

このように、人の想いや人的コミュニケーションが商品やサービスの価値を高める仕事に関しては、今後も人間が提供し続けていくことになるでしょう。

他者理解や精神的援助を必要とする仕事

他者理解や精神的援助を必要とする仕事を表面上行うことは、現在の人工知能であっても十分に可能です。しかし、相手の想いをありのままに受け入れる『受容』や自分のことのように向き合う『共感』を行うことが難しい人工知能は、本質的な部分においてまだまだ未成熟であるといえます。

人型ロボットの登場や不自然さを限界まで排除した合成音声技術の確立、表情や声のトーンから相手の感情を読み取る技術の向上など、技術の進歩によって他者理解や精神的援助そのものは可能となりました。しかし、人工知能やロボットに対する強い先入観や固定概念を持っている人間にとっては、優しい声掛けや受け入れてくれる姿勢でさえも『プログラムされた内容を実行した結果』にすぎません。

『受容』や『共感』は相手が「自分のことを受け入れてくれている」や「自分のことのように向き合ってくれている」と感じた時に始めて成立するものです。このことから、優秀なサポート役として現場で活躍することはあっても、カウンセリングや医療、福祉に関する仕事が完全に人工知能に奪われてしまう可能性は限りなく低いといえるでしょう。

知識や技術を教える仕事

eラーニングをはじめとするIT技術活用型教育サービス『EdTech』の市場拡大や、脳科学を応用したアダプティブラーニング(適応学習)の登場により、子供たちの学習環境や従業員の人材育成環境は大きな変化を遂げました。しかし、だからといって学校や人材育成の現場に人間の教育者や指導者が必要なくなったわけではありません。

教育者や指導者には、育成対象者が自分自身の成長過程をイメージするためのロールモデルという大切な役割があります。目指すべき姿を態度と行動で示し、言語化しにくい技術や感情を感覚的に後世へと伝え、時には肩書きを外して語り合うことで精神的にサポートするといった行為は人間にしかできず、人間同士でしか分かり合えない感覚だといえるでしょう。

【関連】アダプティブラーニングとは?定義や効果、企業向けサービスをご紹介 / BizHint HR(人事の悩みにヒントを届けるニュースサイト)

ビジネスマン向け人工知能搭載アプリケーションやビジネスツール

人間がこれまで長年に渡って営んできた仕事の一部を奪われてしまうという点において、人工知能は恐ろしい存在であるといえるかもしれません。しかし、人工知能の強みや特徴を正しく理解し、前向きな姿勢で関わりを持つことで人工知能は素晴らしいビジネスパートナーへと姿を変えてくれます。

今や人工知能は多種多様なアプリケーションやツールに搭載されています。その中から社会人やビジネスマンが手軽に導入し、活用することのできるアプリケーションやビジネスツールを5つ厳選してご紹介致します。

Terra Talk / ジョイズ株式会社

【出典】TerraTalk / 英会話学習アプリ

ジョイズ株式会社が開発、運営している『Terra Talk』は、会社や上司からの指示ではなく、個人的に英語力を高めたいと思っている方に最適な英会話学習用アプリケーションです。法人利用プランや研修会社・代理店プランとは別に個人利用プラン(月額1,950円)が設けられているため、誰でも気軽に英会話学習を始めることができます。

小学生〜社会人の方向けと銘打っている『Terra Talk』は英語が苦手な人でも取り組みやすく、生身の人間ではなく人工知能と対話形式で学習することができるため、周りの目を意識することなく英会話スキルを磨くことができます。

また、個人向けプランでも100以上の職業や試験に対応しており、設定画面からは人工知能のアクセント(アメリカ、イギリス、オーストラリアから選択可能)や話す速度を調整することが可能なため、実際のビジネスシーンを想定したシミュレーションを実施することも可能です。

最初の30日間は無料で試すことができるというのも、有料アプリケーション導入に対する心理的ハードルを下げてくれる一因といえるでしょう。

【参考】TerraTalk / 英会話学習アプリ

Wantedly People / ウォンテッドリー株式会社

【出典】Wantedly People / 名刺管理が驚くほど簡単な無料アプリ、ウォンテッドリーピープル

ウォンテッドリー株式会社が開発、運営している『Wantedly People』は、名刺を撮影するだけで人工知能による解析が開始し、その場ですぐにデータ化まで済ませてくれる名刺管理アプリケーションです。

名刺管理アプリケーションの多くは文字情報の認識ミスを避けるため、撮影したデータを一度サーバーへ送信し、人間が名刺を確認しながら手作業でデータ化を行っています。しかし、この方法にはデータ化までのタイムラグや情報漏洩リスクの上昇などいくつかの問題点が存在します。

この問題に対し、『Wantedly People』は人工知能と機械学習を用いて画像情報や文字情報の解析を行うことで解決を図りました。複数の名刺を同時かつリアルタイムに取り込むことができ、名刺を読み込むほどに認識精度とマッチング率を高めていくことができる『Wantedly People』は、名刺交換を頻回に行うビジネスマンにピッタリの名刺管理アプリケーションといえるでしょう。

【参考】Wantedly People / 名刺管理が驚くほど簡単な無料アプリ、ウォンテッドリーピープル

AI Travel / 株式会社AIトラベル

【出典】AI Travel:世界一シンプルな国内出張・海外出張の予約手配サービス

株式会社AIトラベルが開発、運営している『AI Travel』は、出張手配や出張後の報告、申請処理などこれまで煩雑な手続きが必要とされてきた出張関連処理を人工知能とクラウドシステムの活用によりシンプル化することで、ユーザーをストレスから解放してくれる優れたクラウド出張手配管理サービスです。

出張者の詳細や各種コストなどを管理者画面で一元的に管理することのできるクラウドシステムは数多く存在しますが、人工知能の活用による更なる環境改善に踏み込んだシステムはそう多くありません。

『AI Travel』に搭載された人工知能の力を借りることで、出張対象者は出張の要件を入力するだけで最適な宿泊先や移動手段を知ることができます。また、管理者に対してはコスト改善施策の立案など利益体質の強化に向けて積極的にサポートしてくれます。

『AI Travel』を導入することによって、無駄な時間とコストを削減し、人材の有効活用と利益体質の強化を同時に図ることができるでしょう。

【参考】AI Travel:世界一シンプルな国内出張・海外出張の予約手配サービス

yenta / 株式会社アトラエ

【出典】完全審査制 AIビジネスマッチングアプリ - yenta

株式会社アトラエが開発、運営している『yenta』は90万人を超える登録者の中から自分と相性の良いビジネスパートナーを人工知能が探してくれる完全審査制のAIビジネスマッチングアプリです。

より多くの人物がマッチングできるようにするために完全審査制という形式を選択し、登録時に入力した情報と既存登録者との相性を測定した上でマッチングが生まれやすい人物を優先的に登録者として迎えている『yenta』は、90%以上という脅威のマッチング率を誇っています。

『yenta』の登録者は毎日昼12時に人工知能からレコメンドされた10名の人物に対し、『興味あり』か『興味なし』のいずれかの評価を行います。この評価作業は相手側でも同様に行われており、お互いが『興味あり』を示すことでマッチングが成立し、夜8時の配信にて双方に報告されます。

『yenta』のシンプルな仕組みと人工知能による高いマッチング精度によって、登録者は評価作業に負担を感じることなく多くの刺激と可能性を与えてくれるビジネスパートナーを探すことができるでしょう。

【参考】完全審査制 AIビジネスマッチングアプリ - yenta

キャリアトレック / 株式会社ビズリーチ

【出典】キャリアトレック(careertrek)/1日5分の転職活動

株式会社ビズリーチが開発、運営している『キャリアトレック』は組織の採用活動と自身のキャリア形成を真剣に考える20代の転職活動をサポートするレコメンド型転職サイトです。『キャリアトレック』に登録し、活用することによって、組織は次世代を担う若き人材の獲得を、転職希望者は理想の未来像の実現を目指すことができます。

転職希望者は『キャリアトレック』に掲載されている求人情報に対し、『興味ある』と『非表示』いずれかのアクションを取ります。すると、そのアクション結果をもとに人工知能が転職希望者個人の好みや希望を分析し、マッチした求人情報をレコメンドします。これを繰り返すことで求人情報のマッチング精度が高まってゆき、自分のキャリア形成を後押ししてくれる仕事に出会えるというのが『キャリアトレック』の仕組みです。

組織側は自社の求人情報に対して『興味ある』を選択した転職希望者の経歴情報を確認し、必要に応じてプラチナスカウトを送ることができます。このように双方の負担を最小限に抑えながら最高の結果を導いてくれる『キャリアトレック』は、人事担当者にとっても転職者にとっても頼れるパートナーとなるでしょう。

【参考】キャリアトレック(careertrek)/1日5分の転職活動

まとめ

  • 人工知能(AI)とは、自然な会話や学習による知識の獲得、状況に応じた判断など高度な知能を必要とする作業を、コンピューター上に構築した人工的な知能を用いて再現する仕組みや研究のことである
  • 人工知能研究の歴史は古く、1950年代から幾度ものAIブームと冬の時代を繰り返しながら人工知能は少しずつ進化し続けてきた
  • 人工知能は保有する能力や使用する目的によって『特化型人工知能(弱いAI)』と『汎用人工知能(強いAI)』に分類することができる
  • 人工知能と人間が共存できる未来を作り上げるためには、全ての人間が人工知能に対して興味を持ち、人工知能にできることとできないことを正しく理解する必要がある
  • 人工知能導入による効果を最大化させるためには、人工知能を活用するメリットとデメリットを踏まえた上で、人工知能に任せるべき仕事と人間が継続して行う仕事、人工知能のサポートを受けながら人間が実施する仕事の見極めを行う必要がある

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計60,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 厳選されたビジネス事例が毎日届く
  • BizHint 限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次