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2018年11月20日(火)更新

デジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーションとは、2004年、ウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が提唱した、「われわれ人間の生活に何らかの影響を与え、進化し続けるテクノロジーであり、その結果、人々の生活をより良い方向に変化させる」という概念です。最近注目を集めているこの言葉ですが、主体によって言葉の解釈が異なり、はっきりとした意味が分からない方も多いのではないでしょうか。今回はそんなデジタルトランスフォーメーションについて実際の事例を交えながら徹底的に解説しています。

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デジタルトランスフォーメーションの意味とは?

デジタルトランスフォーメーションの定義は冒頭で述べたとおりの内容ですが、概念の説明だけでは抽象的であり、実社会で応用されている姿が見えてきません

そのため今回は実際に行われているデジタルトランスフォーメーションはどのようなものなのかを具体的に解説していきます。

また多くの方の疑問であるDXという略称についても解説します。

なぜデジタルトランスフォーメーションはDX?

デジタルトランスフォーメーションという言葉は、しばしばDXという単語で表記されます。

Digital Transformationのイニシャルをとって省略した場合DTと表記されるのが自然ですが、なぜDXと省略するのでしょうか。

その理由は英語圏では「Trans」を省略する際にXと表記することが多いためです。
そのためデジタルトランスフォーメーションはDXと表記されています。

デジタルに置き換える=デジタルトランスフォーメーションではない

デジタルトランスフォーメーションは直訳すると、「デジタルに変換する」という意味になります。 言葉のニュアンスだけをとらえると、企業が様々なものをデジタルに置き換えていく行為だと認識できます。

しかしそれでは、1990年~2000年台の「IT革命」と代り映えしないものになってしまいます。ではIT革命とデジタルトランスフォーメーションは何が違うのでしょうか。

その違いとは 「IT革命はデジタルトランスフォーメーションにおけるステップの一部でしかない」 ということです。

デジタルトランスフォーメーションには大きく5つのステップがあり、IT革命によって起きた現象はデジタルトランスフォーメーションの一部にすぎません。

まずはその5つのステップがどのようなものなのかを解説していきます。

デジタルトランスフォーメーションの5つのステップ

電通アイソバーによると、デジタルトランスフォーメーションには以下の5つのステップが存在しているといわれています。

【出典】5つのステップで考えるデジタルトランスフォーメーション/Dentsu isobar

ステップ1:デジタル化

デジタルトランスフォーメーションにおける最初のステップは、デジタルテクノロジーを導入することです。様々なツールをデジタルに置き換えることでデータを蓄積していくことが可能になります。

ステップ2:効率化

ステップ1で蓄積したデータを部門ごとに活用し効率化していくステップになります。「IT革命」はこのステップに至るまでの変化をもたらしました。

ステップ3:共通化

ステップ1・2で蓄積したデータを他部門でも応用できるような基盤を作る作業になります。

Uberが配車サービスで蓄積したデータを応用してUber Eatsを展開しているケースが代表例に挙げられます。

ステップ4:組織化

ステップ3で構築した基盤をより効率的な運用を目指すステップになります。 このステップでは業務を明確化し、データに基づいた戦略意思決定が行われるようになります。

ステップ5:最適化

最後のステップになる最適化では、よりデータを中心にした経営戦略(データドリブンな戦略)が行われるようになります。

これまでに蓄積したデータなどのデジタル資産を活用し、事業全体に大きなイノベーションを起こしていくステップです。

【参考】5つのステップで考えるデジタルトランスフォーメーション/Dentsu isobar

デジタルトランスフォーメーションの意味のまとめ:

このように、業務効率改善のためにIT技術を導入してきたのがIT革命であるのに対し、デジタルトランスフォーメーションは事業全体に大きなイノベーションを起こすために様々なIT技術を導入し、デジタル資産を蓄積、その資産をもとにより効率的な意思決定や業務効率改善、最終的にはビジネスモデル全体の改革を行っていく行為全体を指しています。

ここまでの内容をまとめると、デジタルトランスフォーメーションとは

「事業に大きなイノベーションを起こすために、あらゆるものをデジタルに置き換えてデータを蓄積し、データに基づいた効率的な意思決定が可能になるように組織全体を変化させていくこと」

であるといえます。

なぜ今デジタルトランスフォーメーションが注目?

2004年に提唱された概念が、なぜ10年以上の時を経た今注目されているのでしょうか。その背景には近年急速に進んだIT技術の発展が影響していました。

①これからの時代に必ず直面する経営課題であるから

経営者であれば誰もが考える課題の一つであるITによる業務効率化。技術革新の影響を受け、これまでは一部の大企業を中心に行われてきた業務効率化の流れは企業の規模を問わないものへ変化しています。

一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会が2018年に行った調査によると、ビジネスのデジタル化に向けた取り組みをしている、もしくは検討をしていると回答した企業は全体の過半数を超えています。

中でも売上高が1兆円以上の企業では7割近くが実際に取り組んでいるほか、 一兆円未満の企業に注目した場合でもデジタル化に向けた取り組みをしている企業の割合は2016年度から2017年度にかけて増加しています。

また同協会の「デジタル化の取り組みに対する意識調査」ではビジネスのデジタル化がもたらす影響の質問調査に対し、「すでに影響が出ている」「破壊的な影響をもたらす可能性がある」という回答の合計が 2016年度は約1/4だったものが2017年度では約半数に 迫り、経営課題としてのビジネスのデジタル化の重要度が急速に上昇したことがわかります。

技術革新が急速に進む昨今のデジタル時代にビジネスを適応させたいと考える経営者が多くなったためデジタルトランスフォーメーションという言葉が注目を集めるようになりました。

【参考】「デジタル化の取り組みに関する調査」の速報値発表
【参考】「~企業の過半数が「ビジネスのデジタル化」を実施~ JUAS「企業 IT 動向調査 2018」の速報値を発表

②政府が主導するSociety5.0の影響があるから

Society5.0とは、内閣府が発表している科学技術政策の一つです。この政策の目標は「IoTを用いることで全ての人とモノがつながり、情報・知識の共有が行われることで、革新的な価値を生み出すことで多様な課題を解決しより良い社会を実現していく」ことです。

実現のためには国単位でのデジタルトランスフォーメーションによる産業構造の変化が必須となります。そのため今後、政府主導でIT人材の育成やジタルトランスフォーメーションの支援が予想されるため注目される一要因になっています。

【参考】Society 5.0/内閣府

デジタルトランスフォーメーションの事例

IT企業の主導のもと、様々な業界でデジタルトランスフォーメーションが進んでいます。事例を分析すると、大きく分けて3つのデジタルトランスフォーメーションのパターンが見えてきました。そのパターンとともに、実際の事例を紹介していきます。

①モノがデジタルに置き換わる

Fintechなどが代表例に挙げられ、現金がサイバー空間で取引できるデジタルな貨幣に置換されました。またSpotifyやNETFLIXなどのストリーミングサービスも、それまでCDやDVDといった形に保存されていたコンテンツをデジタルなコンテンツに置換した例です。

三菱東京UFJ銀行は、業務全体のデジタル化を目指し、その一環としてMUFGコインという仮想通貨を開発しています。

現金をデジタル化することで、利便性の高い決済実現や、コスト削減はもちろん、そこから集積できるデータを応用した新規ビジネスの開拓など様々な方向へ応用させる戦略を立てています。

将来的には現金では決済の困難だった小数点以下での決済や、独自ポイントサービスの展開などを目標に掲げています。

【参考】デジタルトランスフォーメーション戦略/株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ

②コトがデジタルに置き換わる

「モノ」がデジタルに置き換わるのと同時に、我々の周りの「コト」もデジタルに置換されています。ローソンは店舗での購買行動をデジタル化するために、電子タグとスマートフォンによる無人決済の実験を進めています。

このシステムが実現すれば、ランチタイムにレジの行列を見て購入をやめていた客の離脱防止や、夜間の人手不足などを解消することが可能になります。

またECサイト大手のアマゾンは、場所や時間にとらわれず買い物をするために、購買プロセスすべてをデジタル化してしまいました。このように、身の回りの「モノ」だけでなく「コト」もデジタル化が進んでいます。

【参考】ローソンが示す”次世代コンビニ”の未来像コンビニの生産性は上げられる/PRESIDENT Online

③知識がデジタルに置き換わる

知識がデジタルに置き換わると聞いてもイメージが難しいかもしれません。しかし近年注目されているAIや機械学習などは、人間の「知」をデジタルなものに置換し、だれもが使えるように最適化したものだといえます。

JR東日本では、顧客から寄せられる様々な問い合わせに対し、オペレーターの経験やスキルによって対応の品質に差が生まれないよう、AIを活用したシステムを導入しました。

また、みずほ銀行はデジタルトランスフォーメーションによって、データを活用したマーケティングを推進しています。 みずほ銀行では、様々なATM、窓口、webなど様々な媒体を通して、月間2億~3億もの顧客とのコミュニケーションが生まれていました。

しかし旧来システムは合併などの影響でそれぞれのデータ管理方法に差異があり、共通化して使うことが困難なものでした。

そのためデータを整理し、一元化することで社内の全部門がデータにアクセスし活用することが可能になりました 顧客ベースでデータを管理するようにしたことで、行動分析が可能になり、より最適化されたマーケティングを可能にしました。

新たに何かをデジタル化したわけではありませんが、蓄積されていたデータをまとめ、会社全体で共有できる知識と経験に共通化したことで新たなソリューションを生み出しています。

【参考】東日本旅客鉄道株式会社/日本IBM
【参考】データを活用したマーケティングの変革、みずほ銀行10年間の挑戦/マイナビニュース

これらのように、紹介した企業以外でも様々な業界でデジタルトランスフォーメーションが進んでいます。現在は大企業中心の動きが目立っていますが、デジタル世界を生き抜くため今後この流れは中小企業にも波及していくことが予想されます。

デジタルトランスフォーメーションの今後の展望と課題

現在は企業ごとの足並みに差がある状態ですが、今後デジタルトランスフォーメーションはどのように社会に浸透し発展していくのでしょうか。その実現に至るまでの課題と解決に向けた企業の取り組みまでご紹介します。

経済効果

マイクロソフトと IDC が行った、アジア15ヵ国・地域の1,560 人のビジネス意思決定者を対象とした調査では、デジタルトランスフォーメーションが2021年までに 日本のGDPに対して約11兆円貢献する 見通しであることを発表しました。

また同時に2021年までに日本のGDPの約50%をデジタルサービスやデジタル製品が占めるとの予測も同時に発表され、今後デジタルトランスフォーメーションの市場規模拡大に伴い、経済に与える影響は大きいものであることがうかがえます。

【参考】2021 年までに、デジタルトランスフォーメーションが日本の GDP に約 11 兆円貢献する見通し/Microsoft Japan News Center

実現までの課題

経済効果においてはポジティブな予測が立っていますが、その実現のためにはいくつかの課題が存在します。 IDC Japan株式会社が行った、「国内デジタルトランスフォーメーション(DX)成熟度に関するユーザー調査」では、

  • 国内ユーザー企業のDXに向けた取り組みは、足踏み状態となっている
  • 依然として個別の取り組みが多く、市場と顧客に変革をもたらすレベルの取り組みは限られている
  • 組織の壁を越え、社内外のステークホルダーを巻き込み、新たな価値創出をリードするDX人材が不足している

と発表しました。

この調査結果から国内企業の多くが「デジタルトランスフォーメーションにおける5つのステップ」のステップ3に該当していることがわかり、業務効率化が中心にデジタルトランスフォーメーションが進んでいます。

同時にステップ4以上に進めている企業はごく一部に限られ、今後次のステップに進める企業が現れるかが国内企業のデジタルトランスフォーメーションを進展させる上で重要な要素になるといえます。

ステップ4に進めない企業が多い原因の一つに、デジタルトランスフォーメーションをリードするためのIT人材不足が挙げられ、各企業は実現のための人材獲得が必要であり、今後より一層人材獲得競争が進むことも予想されます。

また、同企業が発表した「国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)取り組みに関する調査結果」では、デジタルトランスフォーメーションを進める際の優先事項として、世界の企業の回答は「業務の卓越性や顧客体験」への回答の割合が「データの資本化/収益化」と同等か上回ったのに対し、国内企業の回答は「データの資本化/収益化」が最も高い割合を占めました。

この調査で、国内企業は取り組みに対する意欲はあるものの、世界の企業に比べ取り組みの優先事項に偏りがあることや日常業務と連携していないといった課題が発見されました。

これらの課題はデジタルトランスフォーメーションが一時的な流行で終わってしまい、国内企業の変革に結びつかなくなる可能性を孕んでいると指摘されています。

【参考】国内デジタルトランスフォーメーション(DX)成熟度に関するユーザー調査結果を発表/IDC Japan株式会社
【参考】国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX) 取り組みに関する調査結果を発表/IDC Japan株式会社

課題解決に向けた各社の取り組み

これらの課題解決のために、企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。

KDDIではまず社内組織を見直すことで課題解決を図っています。

顧客ベースでの価値を中心にプラットフォームを作り上げるために組織運営のありかたそのものを変化させ、小さなトライ&エラーを繰り返せるような仕組みや、クラウドパートナーとしてIT企業、ビジネスパートナーとしてコンサルティング企業を置くことで自社だけではできない顧客への価値提供を行っています。

また野村総合研究所では、一つの方法論としてDXラボの設立を推奨しています。 各部門に分散しているデジタルトランスフォーメーションに関わる人材を一つのチームにまとめ、顧客と共同でラボを運営するスキームが必要だと提案しています。

どちらの企業も、まず組織体制を見直してデジタルトランスフォーメーションに注力する必要性を認識して推進しています。

今後国内企業がデジタルトランスフォーメーションを成功させるにはこれらのような取り組みが必要であるといえるのではないでしょうか。 今後も企業のIT部門の動向が注目されます。

【参考】日本流デジタルトランスフォーメーション成功のカギ—ビジネス現場のトライ&エラーを支える仕組みとは/KDDI
【参考】DX2.0への挑戦/NRIジャーナル 未来へのヒントが見つかるイノベーションマガジン

まとめ

  • デジタルトランスフォーメーションとは 「 事業に大きなイノベーションを起こすために、あらゆるものをデジタルに置き換えてデータを蓄積し、データに基づいた効率的な意思決定が可能になるように組織全体を変化させていくこと 」である。
  • 現在大企業を中心に、 業界を問わずデジタルトランスフォーメーションが進んでいる。
  • デジタルトランスフォーメーション市場は今後拡大していく予想だが、 国内企業がデジタルトランスフォーメーションを成功させるためには様々な障壁を乗り越える必要がある。

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