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イノベーションのジレンマ

2018年11月19日(月)更新

グローバル化する世界経済において、ビジネス課題はより高度化・複雑化しています。そのため、新たな消費者市場を開拓する上でも企業はイノベーションを興さなければいけません。しかし、そこには企業を悩ます大きなジレンマが存在します。今回はイノベーションのジレンマについて、ご紹介いたします。

イノベーションのジレンマとは?

日本の大手企業や優良企業は新たな収入源を確保のためにイノベーションを興しやすい組織へと改革しようとしています。しかし、そこには巨大企業ならではの「大きな落とし穴」があると指摘されています。それが「イノベーションのジレンマ」です。

イノベーションのジレンマの意味とは?

イノベーションのジレンマとは、米ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱したイノベーション分野における理論の一つです。顧客ニーズを取り入れた新機能の付与や新技術による性能向上に注力することで、シェアを確保しようとする経営判断が失敗を招くという現象を指します。

イノベーションにより登場した優れた製品(商品)やサービスは、低機能(低性能)・低価格ですが、小型化・利便性などが追求されている特徴があります。また、これらの製品(商品)やサービスが莫大な収益を上げるには、技術の向上と多くの時間が必要となります。

そのため、株主などのステークホルダー(利害関係者)に利益を還元する義務を担う大企業や優良企業は、経済合理性の観点から イノベーションよりも既存技術の向上や高機能化を優先する傾向にあります。また、「高機能・高価格を求める主要顧客を抱えている」という慢心から、新興企業やベンチャー企業の事業や技術を過小評価し、新興市場への参入が遅れるという点もイノベーションのジレンマとされます。その結果、新興企業やベンチャー企業によりもたらされた破壊的技術(市場を一変する破壊技術)により、シェアを失い、経営環境が一気に悪くなるという状況に陥ってしまいます。

既存技術の向上によるシェアの拡大と維持は、経済合理性に見合った経営判断ですが、その合理的な判断そのものがイノベーション創出の障害となっていると指摘されています。また、業界のトップシェアを誇る企業や最適化された優良企業に多い現象としても知られています。

持続的イノベーションと破壊的イノベーションの存在

イノベーションには、持続的イノベーションと破壊的イノベーションの2種類が存在し、この2種類のイノベーションにはそれぞれ特徴があります。

持続的イノベーションとは、顧客のニーズや既存市場で求められている価値を改善・改良を目的とした持続的技術(持続技術)によって、実現する イノベーションを指します。持続的イノベーションで生み出された製品(商品)やサービスは、高機能・高価格という特徴があり、シェアの拡大と維持に役立ちます。