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生産性向上

2019年3月1日(金)更新

【働き方改革 成功事例18選】テーマ別に企業の取組内容をご紹介

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働き方改革とは、これまでの日本の企業風土を見直し、それぞれの労働者の望む形で働ける社会を作るための改革です。今回は、働き方改革の概要や必要性、実施する前に確認すべき内容を明らかにします。その上で、働き方改革として掲げられている9つのテーマ別に、実際に取り組んで成功をあげた企業の事例をあますことなく紹介していきます。

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働き方改革をとりまく背景

国を挙げての取り組みである「働き方改革」。この言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。勤勉な日本人を数多く生み出している我が国特有の労働環境には、さまざまな利点がある一方で、将来に向けて検討しなければならない問題点も多くみられます。

働き方改革とは

働き方改革とは、政府の掲げる「一億総活躍社会」を実現するための取り組みの一つです。これまでの企業風土や企業文化、日本人の生活スタイルや労働への考え方を見直し、一人ひとりが希望する働き方ができるような社会を作るための改革です。

【関連】 働き方改革とは?必要となった背景や実現会議と実行計画、事例まで徹底解説 / BizHint HR

働き方改革が必要な理由とは

日本が抱える労働環境における問題には、さまざまな内容が挙げられます。たとえば、少子高齢化に伴う労働力人口の減少問題は深刻で、定年年齢の引き上げ等の対策は行われているものの進行を続けているのが現状です。また、晩婚化の影響による出生率の低下も、労働力人口の減少の一端となっています。

その他、パートや派遣労働者などの非正規雇用者の待遇改善問題や、長時間労働による過労問題も取りざたされています。長時間労働については労働基準法により残業時間の制限はしているものの、高度成長期の企業最重視の名残が残っていることもあり、自身の体調や生活を犠牲にしながら働く者がみられる状況となっています。

各企業には、このようないわば「悪しき風習」を撤廃するため、労働環境を改善し、生産性を向上させることが求められています。

【関連】労働力人口とは?労働力人口の減少に企業はどう立ち向かうべきか? / BizHint HR

改革を行う前にやるべきこととは

働き方改革が必要なことは熟知しているものの、実際に取り組むにあたり何から始めたらよいか分からないケースがあることでしょう。これは、改革すべき点として挙げられている内容が多く、何から手をつけるべきかを見失ってしまうことが一因として挙げられます。

すべての改革を一度に行おうとしても、足並みが揃わず停滞しやすいものです。まずは順を追って、段階ごとのクリアを目指していく方法が有効です。

会社の現状把握

改革の第一歩として行うべき事としては、自分の会社の状態を把握することです。就業規則や雇用契約書などを用いてルール化している就業時間や休日の内容を調べ、実際に働いている社員がそのルールを守っているのか、実態はどうなっているのかを調査していきます。 なお、厚生労働省が提供する「働き方・休み方改善指標」を利用することで、企業の社員がどのように働いているか、どのように休みを取っているか、などの内容を調査することができます。社員向けに行うチェックリストも準備されているため、活用することで調査を効率良く進めることができるでしょう。

【参考】厚生労働省リーフレット:働き方・休み方改善指標活用事例集 Part2(Ⅰ.「働き方・休み方改善指標」について)
【参考】厚生労働省ホームページ:働き方・休み方改善ポータルサイト(「働き方・休み方改善指標」を用いた自己診断)

問題点の洗い出し・分析

現在の会社実態の情報を収集できたところで、次は内容の分析に取りかかります。

前述の「働き方・休み方改善指標」を用いて現状把握を行っている場合、まずは「ポジションマップ」を活用し、自社の労働状況や各種休暇取得の実態が適切なものかを調べます。その上で「レーダーチャート」を活用することで、改善すべき具体的な問題の内容を洗い出すことができます。

【参考】厚生労働省ホームページ:働き方・休み方改善ポータルサイト(「働き方・休み方改善指標」を用いた自己診断)

改善するための対策検討

企業が抱える課題が明らかになったところで、次はその課題をどのような手順でクリアしていくかを考え、取り組み内容を設定します。

取り組み内容を実践する際には、まずはその取り組みを進めるためのルール作りなど体制を整えることから開始します。次に、経営幹部や一般社員を相手に取り組みを周知する行動へと移ります。その際には、書類配布や研修など、社員全体が取り組みの内容をしっかりと理解し、労働環境を根本から見直すことができるような方法を取る必要があります。

テーマ別・働き方改革成功事例

働き方改革を実践するために必要な手順を説明したところで、ここからは、すでに働き方改革の取り組みを行っている企業の成功事例をあますことなく紹介します。

ひと言で働き方改革といっても、その内容は多岐にわたります。今回は、分かりやすくテーマごとに分類した上で紹介をしていきますので、企業が実際に改革に取り組むにあたり何から手をつければ良いのか、何をすれば良いのかを洗い出すため、ぜひ役立ててください。

1.非正規雇用者の処遇改善

国が働き方改革を掲げるにあたり、平成28年9月に行った「働き方改革実現推進室開所式における総理訓示」で、安倍総理大臣は「世の中から『非正規』という言葉を一掃していく。」と述べています。

これは、正社員と非正規社員の間に存在する待遇の格差をなくし、同じ仕事をする者に対しては、雇用形態にかかわらず同じ報酬を与えるべきだ、という意味から来た言葉です。この考え方を「同一労働同一賃金」といいます。同一労働同一賃金を実現させるため、国では平成28年に「同一労働同一賃金ガイドライン案」を示しています。このガイドラインに基づき、各企業が遵守するための法律整備が行われることとなります。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革実現推進室看板掛け及び訓示
【参考】厚生労働省ホームページ:同一労働同一賃金特集ページ(同一労働同一賃金ガイドライン案)

【関連】「同一労働同一賃金」とその背景は? / BizHint HR
【関連】「同一労働同一賃金ガイドライン」の詳細・解説 / BizHint HR

イケア・ジャパン株式会社

世界最大級の小売業を展開するイケアグループの傘下企業で、グループ全体の総売上高は287億ユーロ(2014年時点)を誇ります。製品のおよそ半数以上をヨーロッパで生産しており、北欧風のデザインやあえて組み立て前の製品を販売することでも知られています。

きっかけ

日本の労働環境において、性別で働き方が制限されることや、一人ひとりが持つスキルや経験が十分に生かされていない状況を打破するため、まずは「同一労働・同一賃金」の考え方を取り入れ、全ての労働者を同じ土俵に挙げることを決意しました。

これは、イケアグループの信念である「人を大切にする」という考え方に基づいて行われています。

取組内容

イケア・ジャパン株式会社では、2014年9月に人事制度を大幅に改革し、次のような取り組みを行いました。

  • 全社員を正社員へ転換:全社員の7割近くになるパートタイム労働者を「短時間勤務の正社員」へ転換。
  • 有期雇用制度の廃止:全社員を「期間の定めがない無期での雇用」扱いとする。
  • 同一労働・同一賃金制度の導入:職務記述書により、職種ごとに仕事の内容や責任を持つ範囲が明文化され、同じ職務に就く労働者には同水準の業務が任せられる。また、仕事の内容が同一の場合は、賃金は時給換算で算出される。
  • フルタイム正社員へのチャレンジ制度:短時間勤務の正社員がフルタイムで勤務する正社員へ転換することができる制度を導入。

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れています。

  • パートタイム労働者が、正社員になったことを受けて責任感とコスト意識を抱くようになった。
  • 社員の勤続意欲が向上し、パートタイム労働者の離職率がこれまでの3割から半減した。
  • 管理者側が、すべての社員に同じ指示やチャレンジ機会を与えられるようになった。

【参考】イケアホームページ:会社情報
【参考】BUSINESS NOMAD JOURNAL:【事例から学ぶ働き方改革】人件費はコストではなく投資 正社員化・同一労働同一賃金を同時にスタート 第4回:イケア・ジャパン株式会社

コストコホールセール・ジャパン株式会社

アメリカ創業の小売店で、1998年に日本法人が創立されました。「会員制倉庫型店」を提供するというオリジナルの戦略に基づき、会員数を伸ばし続けています。企業としては、2016年時点で8,500人もの従業員数を擁しています。

きっかけ

すべての社員が上の地位、つまり管理職を目標に努力を続けて欲しいという考えから取り組みが実施されることになりました。時給が同じケースでも、生産性が高い労働者ならば昇格の対象となる制度を設けることで、労働者が向上心を持って仕事を行う環境を作り出せると期待されました。

取組内容

コストコホールセール・ジャパン株式会社の労働者は、管理職と非管理職の2種類に分類されます。そして、賃金制度は、管理職の場合は年俸制、非管理職の場合は時給制を取っています。

その上で、次のような取り組みが行われています。

  • 時給テーブルの設置:非管理職である正社員、パートタイム、アルバイトはすべて時給制で、同じ基準の下で金額が算出されている。
  • サービス残業の防止:すべて時給制度を取っているため、賃金が支払われない残業時間は存在しない。
  • 社内公募制度:未経験者の場合でも、適正に応じて正社員、管理職への登用チャンスが与えられる。
  • 柔軟性のある転換制度:管理職の場合でも、家庭の事情に基づき責任が持てなくなった場合は、正社員へ戻ることが可能。

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れています。

  • 社員に多様な働き方の選択肢が与えられていることから、小売業の中でも低い離職率を誇っている。
  • 勤続年数が長い労働者が増えることで労働者一人ひとりが成長し、高い生産性へとつながる。
  • 従業員の男女比率は半分となり、女性管理職の比率は3割前後となっている。

【参考】コストコホールセール・ジャパンホームページ:コストコについて
【参考】日本の人事部:第74回 コストコ ホールセール ジャパン株式会社 正社員とパートタイムを同じ「時給制」の下で処遇 「社内公募制度」でキャリアアップを図り、管理職の早期育成を実現(前編)

【関連】社内公募制度とは?メリット・デメリットや注意点を一挙ご紹介 / BizHint HR

2.賃金引き上げや労働生産性の向上

労働者の地位を向上させ生活水準を引き上げるため、国では最低賃金を年率3%前後引き上げるように指示をしています。最低賃金は都道府県により金額にばらつきがあるものの、目標としては時給1,000円を目指すものとしています。また、それに伴い各中小企業の生産性を向上させるための支援を行うことを打ち出しています。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革の実現(働き方改革実行契約概要 3. 賃金引上げと労働生産性向上)

【関連】最低賃金とは?制度や種類、東京都の推移例、罰則までご紹介 / BizHint HR
【関連】「生産性向上」は日本経済の課題!知っておきたい法律や改善方法、導入事例をご紹介 / BizHint HR

アステラス製薬株式会社

2015年の時点で業界における売上第2位を誇る製薬会社で、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併したことで創立されました。

きっかけ

これまでに「WINDプロジェクト」という女性活躍を推進するための取り組みなどを進めてきた同社では、労働者一人ひとりの業務をより効率化させ、仕事の内容や難易度などを見直すための対策を行っています。

今後、育児や介護などを理由に勤務時間に制限を持たせた労働者が増加することを鑑み「Pay for Job,Pay for Performance」という考え方をもとに、労働者の評価は働いた時間ではなく担う役割や算出された成果を基準とすべきだとし、取り組みの実施に至りました。

取組内容

アステラス製薬株式会社では、賃金引き上げと労働生産性を向上させるための手段として、主に次のような取り組みを行いました。

  • 裁量労働制の導入:専門知識や経験を擁するおよそ600名の研究職や開発職を対象に専門業務型裁量労働制を、およそ500名のスタッフ職には企画業務型裁量労働制度を取り入れる。
  • 職務給制度の導入:年齢や勤続年数に関わらず、行う仕事から生じる付加価値や難易度に応じて決められる給与制度の導入。

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れています。

  • 裁量労働制の導入により、働いた時間に応じた評価がなくなったため、ダラダラ残業が減少し、労働者が集中して業務に取り組むようになった。
  • 職務給制度の導入により、純粋に働いた成果が認められる環境となり、労働者の意識向上や目標管理制度のスムーズな運営につながった。

【参考】アステラス製薬株式会社ホームページ:経営理念
【参考】株式会社あしたのチームホームページ:コラム(日本の大企業に広がる「働き方改革」特集(前編))
【参考】厚生労働省ホームページ:働き方・休み方改善ポータルサイト 働き方改革取組事例(アステラス製薬株式会社)

【関連】裁量労働制とは?専門業務型・企画業務型それぞれの対象、導入手続きについて解説 / BizHint HR
【関連】職務給とは?職能給との違い、メリット・デメリットをご紹介 / BizHint HR

東レ株式会社

東レ株式会社は、東京都と大阪府にそれぞれ本社を構える大手の化学企業です。合成繊維や合成樹脂を用いた化学製品や情報関連の素材を扱っています。

自社で働く労働者に対しては、「働きがいと公正な機会を」という経営理念を掲げていることが特徴です。また、性別を問わず社員の多種多様な生活スタイルに沿った働き方ができるよう、ワーク・ライフ・バランスを実現するための取り組みも行っています。

きっかけ

東レ株式会社が掲げる「企業行動指針」は、人材重視を前面に押し出す内容となっています。社員に働きがいのある職場環境を提供し、活気のある人や組織風土を作るために取り組みを実施しました。なお、同社では1991年に労働組合より時短要求を受けていたことで、より効率よく労働生産性を上げていくかを目標に労働環境を見直すことを進めています。

取組内容

東レ株式会社では、労働生産性を向上させるための取り組みとして、次のような制度を導入しています。

  • 労働時間の短縮:業務を進めるためのプロセスを根本から見直し、時間外労働が増加した場合は原因分析と解決を現場ごとに徹底して行う。
  • トータルコスト削減:コスト競争力の維持や強化を行うため、無駄な仕事をなくすなど、業務の効率化に取り組む。
  • 社内公募制度:未経験者の場合でも、適正に応じて正社員、管理職への登用チャンスが与えられる。
  • 個別面談の実施:上司と部下が個別に面談を行い、仕事の進め方や労働時間についての話し合いを行う。

効果

前述の取り組みで労働時間が削減され、2014年度には総労働時間が1,914時間となりました。また、その翌年には、有給休暇の取得率が92.9%へと引き上げられました。更なる取り組みとしては、労働時間の更なる削減や早帰り促進の取り組みを徹底させ、規格型裁量労働制の導入の検討を行っています。

【参考】東レ株式会社ホームページ:経営理念
【参考】東レ株式会社ホームページ:新しい価値を創造する人材の確保と育成
【参考】東レ株式会社ホームページ:社員が働きやすい企業風土づくり
【参考】厚生労働省ホームページ:働き方・休み方改善ポータルサイト 働き方改革取組事例(東レ株式会社)

【関連】社内公募制度とは?メリット・デメリットや注意点を一挙ご紹介 / BizHint HR
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3.時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正

育児や介護と両立させながら働く労働者の増加傾向からすると、現状のフルタイムで勤務する労働者の労働時間では難しく、一刻も早い改善が必要とされています。

そのための対策として、労使合意による上限のない時間外労働を取り締まり、規制を加えることとなりました。また、長時間労働の規制とあわせて行う労働者の健康対策として、パワハラやセクハラへの対策や、うつ病などのメンタルヘルス対策もあわせて行うものとしています。

さらに、勤務間インターバル制度を設け、労働者が退社してから翌日に出社するまでに一定時間を設け、休息を取らせる取り組みを努力義務としました。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革の実現(働き方改革実行契約概要 4.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正)

【関連】長時間労働の原因とは?削減に向けた対策・厚生労働省の取組をご紹介 / BizHint HR
【関連】「パワハラモラハラ」の違いは?ハラスメントの対処法・防止法を交えてご紹介 / BizHint HR
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味の素株式会社

商標登録されたうま味調味料を初めとした食品を扱う大手企業です。「味の素グループ行動規範」では、従業員の人材育成と安全確保を掲げ、多様な労働者の個性や人柄などを大切にした能力開発を目指す姿勢を取っています。

きっかけ

社長が、日本と比較すると短い総労働時間内で高い生産性をあげている海外の経営幹部の働き方を見たことで、日本の労働者が残業を重ねて働く姿に懸念を感じ、日本企業に根付く労働環境や価値観を変革しなければならないと考えたことです。

経営陣が率先して改革を進めることで、労働生産性を上げるための取り組みによる成果が出ると判断し、導入に踏み切りました。

取組内容

味の素株式会社では、主に次のような取り組みを行いました。

  • 一日の所定労働時間を短縮:これまでの労働時間より20分短縮し、7時間15分へと変更。
  • 基本給の引き上げ:管理職を含む社員全体の基本給を1万円引き上げ、残業時間の短縮につなげる。
  • ペーパーレス化:経営会議の資料をデータ化し、タブレット端末で見る形に変更。資料の作成時間や議論に入る時間を短縮し、会議時間の削減を目標とする。

効果

前述の取り組みにより、これまで2時間かけていた会議時間が1時間15分ほどで終了するなど、労働時間を短縮し、効率の良い働き方を目指すにあたり一定の成果が生み出されています。平成30年には、一日の所定労働時間をより短縮し、7時間勤務にする報告で進めています。

【参考】味の素株式会社ホームページ:味の素グループ行動規範(5.従業員の人材育成と安全確保)
【参考】日経ビジネス電子版:味の素「水曜は午後5時に“強制”退社」の理由

日本電産株式会社

日本電産株式会社は、京都府に本社を構える電気機器を製造する会社です。モーターを始めとした数多くの精密機器や大型機器を取り扱っています。基本的な研究から次世代の技術の取り入れ、生産や営業、そしてM&Aの戦略を積極的に行うことで成長を続けている企業です。

きっかけ

日本の労働者は長時間労働に勤しむものの、生産性は2015年において世界35か国中22番目という位置づけでした。上位に占めるのは、定時帰社の風習が浸透している欧米企業であり、生産性トップランクの国の場合は日本の2倍近くの結果を出しています。

この状況を受け、ホワイトカラーの生産性を上げるための方策として残業ゼロを打ち出すに至りました。

取組内容

日本電産株式会社では、労働者の働き方を根本から見直すため、2017年2月に社内設置の「働き方改革委員会」内に7種類の分科会を創設しました。分科会ごとに委員長である役員と5人前後の労働者が名を連ねています。

  1. 英語能力向上分科会
  2. マネジメント力向上分科会
  3. 人材育成分科会
  4. 人事制度分科会
  5. システム・IT分科会
  6. 効率向上分科会
  7. 業務革新分科会

これらの取り組みを、2020年までに残業時間をゼロにする目標を掲げた上で段階を経て実施しています。

効果

働き方改革委員会のもとで2015年より実施をしたところ、2015年の下半期には全社における平均残業時間が月当り29時間から16時間へと減少しました。削減された残業手当の代わりに、賞与や教育費で労働者に還元を行う取り組みを続け、労働者の収入減にまつわる対策を行っています。

【参考】日本電産株式会社ホームページ:経営方針・ビジョン
【参考】公益財団法人 日本生産性本部:労働生産性の国際比較 2016年版(OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性(2015年/35カ国比較))
【参考】日経ビジネスONLINE:日本電産、残業ゼロに向け1000億円投資の背景

4.転職・再就職支援、人材育成、教育問題

労働者が自身の意思に応じた職業生活が送れるよう、学卒者以外の転職や再就職をしやすい環境づくりを行うことで、これまでの働き方に加え「再チャレンジ」が可能な社会づくりができるとされています。

たとえば、企業に対して転職者の受け入れや教育体制、賃金規程の整備を求めるほか、中小企業団体と連携した労使のマッチング機会の増加、助成が働きやすい企業の明瞭な情報化、奨学金制度や若者の受検料を減額する方策などが挙げられます。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革の実現(働き方改革実行契約概要 9.雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援)

エヌビーエス株式会社

エヌビーエス株式会社は、福岡県でエンジニアリング事業を行う中小企業です。技術職が事業の中核を担うことから、比較的男性社員の割合が高い会社であるものの、女性社員の子育て支援にも力を入れています。また、ワーキングホリデー研修を初めとした研修制度にも積極的に取り組んでいます。

きっかけ

大企業と比較すると社員数が少ない中小企業では、一人ひとりの社員の存在が大きく、各社員の抱える環境に沿った働き方を提示することが重要とされています。エヌビーエス株式会社も例外ではなく、積極的にダイバーシティの推進や環境問題に取り組んでいます。

これは「優秀な人材を手放したくない」という社長の考えから成り立っています。その中の一環として、仕事と子育てを両立する社員の支援対策や、充実した研修制度の導入につながっています。

取組内容

エヌビーエス株式会社では、主に次のような取り組みを行っています。

  • 退職者の再雇用制度の導入:育児などを理由に退職した社員や、定年を迎えた社員を積極的に再雇用する制度を導入。
  • ジョブローテーション:育児休業や急な休みで労働者数が減少する事態への対策として、すべての社員がすべての業務に精通するよう、2年ごとに業務内容をローテーションする。
  • 研修制度の充実:ワーキングホリデー研修、英語研修、技術研修の導入

効果

前述の取り組みにより、社員が会社全体の業務を理解することとなり、仕事の効率化が加速しました。そして、高い能力を持つ社員を再雇用することで、生産性につながる効果もみられます。また、研修に参加した社員からは、語学力が伸びたという声も聞こえています。

【参考】エヌビーエス株式会社ホームページ:研修制度
【参考】福岡県子育て応援宣言:子育て応援宣言企業 優良事例集(エヌビーエス株式会社)

【関連】ダイバーシティとは?意味や経営を推進するためのポイント / BizHint HR
【関連】ジョブローテーションの意味とメリット・デメリット、目的や制度、事例 / BizHint HR

増木工業株式会社

埼玉県で建設事業や不動産、リフォーム事業や不動産関連のセミナーやコンサルティングを行うなど、総合的な不動産業を営んでいます。東京都信用金庫協会などが実施する優良企業表彰制度での受賞や、多様な働き方実践企業認定においてゴールド受賞を果たすなど、対外的な評価も高い会社です。

きっかけ

経営者と社員の関係を大切にすることを心がける中、社員がより仕事をしやすい環境となるような「多様な働き方」対策をより一層進めるために職場環境の改善を行うこととなりました。

取組内容

増木工業株式会社では、多様な働き方の推進策として次の取り組みを実施しています。

  • 親子出勤制度:育児休暇明けの社員が無理なく復帰することができるよう、親子で出勤する制度を実施。
  • シェーンカムバック制度:結婚や育児のために退職した女性社員が復帰できる制度導入。退職後3年以内に復帰した場合は退職する際の給与額が支給され、有給休暇が与えられる。
  • 短時間勤務制度:育児や介護を抱える社員の他、60歳以上の者や通学者も利用可能。
  • 半社半学制度:大学や専門学校の学費の融資や半額免除制度の導入。
  • 年次有給休暇取得促進対策:インターバル制度や自主企画研修旅行の実施。
  • 資格取得支援制度:近くの高校生、大学生向けの「宅建士」「2 級建築施工管理技士」の資格取得を支援。

効果

親子出勤制度はこれまで5名の社員が利用し、スムーズな職場復帰の一端を担っています。また、社員の職場環境の整備対策が評価され、多様な働き方実践企業認定や優良企業表彰など、さまざまな表彰や認定を受けています。

今後は、所定外労働時間の削減や更なる年次有給休暇取得率のアップ、ワーク・ライフ・バランス支援制度の充実に努め、くるみん認定の申請を予定しています。

【参考】増木工業株式会社ホームページ:事業内容
【参考】増木工業株式会社ホームページ:企業情報(認定・表彰)
【参考】厚生労働省ホームページ:働き方・休み方改善ポータルサイト 働き方改革取組事例(増木工業株式会社)

【関連】ワーク・ライフ・バランスとは?企業の取り組み事例と実現のポイント / BizHint HR

5.テレワーク、副業・兼業などの柔軟な働き方

時間や場所の制限なく働くことを可能とする「テレワーク」は、働き方改革の中でも注目されている業務形態です。テレワークを導入することで、育児や介護と仕事を両立させる社員が増加し、優秀な人材の発掘や確保が可能になります。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革の実現(働き方改革実行契約概要 5.柔軟な働き方がしやすい環境整備)

【関連】テレワークとは?意味やデメリット、導入企業事例、助成金制度を紹介 / BizHint HR
【関連】副業解禁のメリットとは?準備のポイントや企業事例もご紹介 / BizHint HR
【関連】兼業とは?副業との違いや、兼業に対応する際の法的観点を徹底解説 / BizHint HR

カルビー株式会社

カルビー株式会社は、東京都でお菓子や食品の製造や販売に携わる企業です。ダイバーシティの推進やワーク・ライフ・バランスの実現にも積極的に取り組み、女性社員や外国人、障害者、中高年世代の就労支援を行っています。

きっかけ

本社部門にフリーアドレスを導入したことでIT化が進み、インターネット環境を利用した社員同士のコミュニケーションが通常となり、対面で仕事をする機会が減少しました。それに伴い営業職が直行・直帰をするケースが増加したため段階的に在宅勤務を導入し、一定の成果が見られたため本格的な導入に至りました。

取組内容

カルビー株式会社では、在宅勤務を全社へ本格的に導入するにあたり、主に次のような取り組みを行いました。

  1. 労働者への周知を徹底:在宅勤務を分かりやすい形でマニュアル化し、上司から部下への働きかけを実施
  2. 人事・労務体制の整備:在宅勤務時のルールを徹底
  3. 業務プロセスの見直し・社内雰囲気の改善:スケジュールのオープン化や上司が率先して在宅勤務を行う環境を作り出す

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れています。

  • 3名の男性労働者が育児勤務を取得
  • 育児休業からの職場復帰の時期が早まった者が現れる
  • 通勤によるストレスから解放され、集中力の増加や業務の効率がアップしたという意見がみられる
  • 在宅勤務申請者の残業時間が、申請していない者と比較すると2時間近く削減
  • 自社が行う通信教育などの自己啓発に関する取り組みに対し、在宅勤務申請者の受講数が増加

【参考】カルビー株式会社ホームページ:ダイバーシティの推進(~多様性なくしてカルビーの成長なし~)
【参考】厚生労働省ホームページ:働き方・休み方改善ポータルサイト 働き方改革取組事例(カルビー株式会社)

【関連】在宅勤務とは?適した会社や人、メリット・デメリットや実際の導入事例をご紹介 / BizHint HR

ジョブサポートパワー株式会社

東京都に本社を構える、障害者の雇用を支援する企業です。雇用支援や職業紹介、職業訓練など業務の内容は多岐に渡ります。また、障害を抱えながら仕事を行うことに懸念を感じるケースに備え、在宅勤務制度の運用支援を実施しています。

きっかけ

障害者を雇用することを最重要視している同社において、在宅勤務は欠かすことのできない雇用形態です。今後もさらに在宅勤務制度が定着し、広がるような取り組みを行うための努力を続けていく方針を取っています。

取組内容

ジョブサポートパワー株式会社では、在宅勤務制度の普及を目指し、次の取り組みを実施しています。

  • テレワークにおけるルール設定:始業・終業時における取り決めや仕事の成果を把握し、評価するための体制づくりやヘルプデスクの設置などに着手。
  • IT環境の整備:作業場所の限定やパソコンエラー時のタイムリーなサポート体制などを整備。
  • 業務プロセスの改善:書類のPDF化の徹底やルーチンワークの自動か、人員配置の見直しを実施。

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れています。

  • 視覚障害者に対する音声読み上げソフトやSkype体制を敷くことによる雇用機会の増大
  • テレワーク利用者の月平均残業時間が通常勤務の社員と比較して約2割に減少
  • 家族とのコミュニケーション機会や自己啓発の時間が増加

【参考】マンパワーグループホームページ:特例子会社「ジョブサポートパワー株式会社」
【参考】厚生労働省ホームページ:働き方・休み方改善ポータルサイト 働き方改革取組事例(ジョブサポートパワー株式会社)

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6.女性・若者が活躍しやすい環境整備

少子高齢化による人口減少が進み、労働力の不足が懸念されています。そのため、働き方改革には特に女性や若者がより働きやすい環境を作り出すための対策が含まれています。

具体的には、義務教育を修了した者に対する学び直しの機会づくりや、女性活躍を促進するための強化案、非正規雇用の若者労働者の正社員化推進などが挙げられます。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革の実現(働き方改革実行契約概要 6.女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備)

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株式会社ふくや

株式会社ふくやは、福岡県博多区に居を構える、「味の明太子」の製造や販売を初めとした食品会社です。昭和23年創業と歴史ある企業で、関連会社数は9社にのぼります。

会社を支えるのは人、つまり「社員」である思いから、福利厚生面の強化を図っており、福岡県男女共同参画企業賞を受賞するなど、高い評価を受けています。

きっかけ

平成6年に「網の目コミュニケーション室」という、人と人とのつながりを重視し、情報の伝達を行うための部署を立ち上げた同社では、子育てを行いながら働く社員や地域貢献活動に積極的に取り組んでいました。たとえば、結婚や出産を期に退職するのを防ぐため、社員ごとに勤務時間等の融通を効かせた対応を行うなどの対応が挙げられます。

この対応を制度化し、社内体制の整備を行うことを目的に、働き方改革にまつわる取り組みに着手しました。

取組内容

株式会社ふくやでは、主に次のような取り組みを行っています。

  1. 育児休業明けの雇用形態の自由選択:育児休業から復帰した後の勤務形態を本人が希望できる制度の導入
  2. 育児休業中のフォローアップ体制を整備:育児休業中の社内報や近況報告の手紙の送付、復帰前の子連れヒアリングの実施
  3. 学校行事への積極参加促進:学校行事がある日の勤務調整や一時離脱の体制やPTA役員などを引き受けた際の手当支給などを実施

効果

前述の取り組みが普及することで、女性社員の育児休業取得率や復帰率が上昇しています。女性社員が妊娠すると、復帰するのが当然という流れがすでにできているため、出産や育児を理由に仕事を諦める、という状況にはならず、安心して育児休業を取得できるような環境が出来上がっています。

また、本来ならば会社側に歓迎されにくいPTA役員や地域役員の行事、学校行事への積極的な支援体制を整えることで、男性社員もさまざまな行事へ参加できる環境が作られ、家族のコミュニケーションづくりの一端を担っています。

【参考】株式会社ふくやホームページ:会社概要
【参考】福岡県子育て応援宣言:子育て応援宣言企業 優良事例集(株式会社ふくや)

株式会社資生堂

化粧品の製造や販売に携わる大手企業で、販売する化粧品数において国内トップレベルの成績を上げています。商品の性質上、女性社員の割合が非常に高いことから、女性が働きやすい環境作りに関してはこれまでより非常に力を入れていました。

きっかけ

結婚や出産、育児を理由として離職する女性社員の数をこれまで以上に減らし、会社全体で女性社員の育児を支援するために「事業所内保育所」の設置に着手し、より一層の活躍を目指しました。

取組内容

株式会社資生堂では、事業所内保育所に関して次の取り組みを実施しています。

  • 事業所内保育所の運営:事業所内保育所「カンガルーム汐留」を設置
  • 合弁会社KODOMOLOGY株式会社を設立:2017年に株式会社JPホールディングスと合弁会社を設置し、他企業の事業所内保育所運営を受託

効果

前述の取り組みにより、女性社員が安心して復職をすることが可能となり、子どもが会社の近くにいるという安心感から仕事に集中して取り組めるようになりました。 また、事業所内保育所により短縮できた送迎時間を業務時間に充てることができるという効果も表れています。

【参考】資生堂グループホームページ:サステナビリティ(女性活躍推進)

【関連】企業内保育所導入のメリットとは?注意点や企業事例も併せてご紹介 / BizHint HR

7.高齢者の就業促進

平均寿命の延びや年金受給開始年齢の繰り下げの流れを受け、各企業には定年年齢の引き上げや延長、継続雇用の促進等の対策が求められます。これに伴い、高齢者に安心して働いてもらうための環境づくりや、高齢者が一つの企業にこだわらず幅広く活躍できるような社会づくりは、働き方改革の一つとして提言されています。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革の実現(働き方改革実行契約概要 11.高齢者の就業促進)

【関連】シニア活用を成功させるコツとは?課題と今後の展望を徹底分析 / BizHint HR
【関連】定年後再雇用とは?制度の概要や再雇用契約書の内容、助成金まで詳しく解説 / BizHint HR

株式会社みずほフィナンシャルグループ

株式会社みずほフィナンシャルグループは、東京の大手銀行持株会社です。企業ブランドとして「<みずほ>ハートフルアクション」を掲げ、社会を支える存在であるためにさまざまな活動をしています。具体的には、店舗を子ども110番に設置する方法や外国人向けの通訳サービス、タブレット記入サービスなどを行っています。

きっかけ

銀行業界では、資産運用や活用方法に関する相談業務の存在が重要視される傾向にあります。同社では、相談業務に携わる行員に経験が豊富なベテランの社員を登用することで業務の拡大を目指し、雇用延長を図ろうと試みました。

取組内容

株式会社みずほフィナンシャルグループでは、主に次のような取り組みを行いました。

  • 定年延長制度の導入:定年年齢を60歳から65歳へ延長する制度の導入
  • 幹部候補育成の強化:働き盛りの30~40代社員の支店長へ登用

効果

前述の取り組みを実施することで、相談業務の充実化という効果が期待されます。また、資産運用以外でも高齢者向けの財産活用や遺産相続等、ベテラン行員の出番が増加する機会が多くみられることから、企業側のニーズが雇用延長制度の普及と見事に一致した例といえるでしょう。

一方で、メガバンク初の定年年齢延長化は、他の銀行業界にも大きな衝撃を与えています。資産運用などに関する相談業務は他の銀行でも実施していることから、定年年齢延長の流れは広がる可能性があります。また、大手銀行の延長制度導入は、他の業界にも影響を与えることが予想されています。

【参考】みずほフィナンシャルグループホームページ:企業理念・ブランド(ハートフルアクション)
【参考】Ta!k Genius:みずほフィナンシャルグループ、定年を65歳に延長

本田技研工業株式会社

国内における輸送機器や機械工業に携わる、グループ会社を含め20万人以上の従業員を擁する大手企業です。「世のため人のため、自分たちが何かできることはないか」をモットーに、成長を続けています。

ダイバーシティの推進にも力を入れており、人事部内の組織「多様性推進室」では、人種や国籍、性別、年齢、障害状態にかかわらず、すべての社員のチャンスを与えるポリシーのもと活動が行われています。

きっかけ

リーマンショック以降に大きく変化した自動車産業の構造を受け、国内における新車の販売台数が伸び悩む中で新たな体制を作る必要性が生じていました。また、社員をとりまく環境が変化する中、さまざまな状況下におかれた社員が活躍するための環境づくりを行わなければならないと決意し、制度の導入に踏み切りました。

取組内容

本田技研工業株式会社では、高齢者の就業促進に関し、次の取り組みを実施しています。

  • 定年延長制度の導入:定年年齢を60歳から65歳へ延長する制度を実施
  • 役職定年制度の導入:スムーズな世代交代を推し進めるために、若手社員の採用増加とともに実施
  • 高齢者の給料水準維持: 再雇用と比較して高めの給与水準を維持する

効果

高年齢者の雇用延長対策として一般的な再雇用制度の場合、リスク対策として給与水準などの労働条件が変わるケースが多くみられます。しかし、同社の定年延長制度の場合は給料の減少率が低く、経験やスキルをこれまで通り活かせる一方、高年齢者の仕事に対するモチベーション維持にも役に立っています。今後は若手社員も含めた企業全体の向上心を高め、競争に打ち勝っていくことが期待されています。

【参考】本田技研工業株式会社ホームページ:会社概要(企業情報)
【参考】本田技研工業株式会社ホームページ:message(ダイバーシティ)
【参考】日本経済新聞:日経産業新聞セレクション(ホンダ、65歳定年でやる気引き出す)

【関連】役職定年制とは?給与、年齢、メリット・デメリット、事例までご紹介 / BizHint HR

8.病気の治療と仕事の両立

病気と向き合いながら仕事をする労働者は、日本の労働人口においておよそ3分の1とされています。このような労働者が意欲を持って仕事をするための環境づくりは急務とされており、サポート体制を整えることが働き方改革の一つとして定められています。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革の実現(働き方改革実行契約概要 7.病気の治療と仕事の両立)

【関連】健康経営とは?企業の取り組み事例を交えご紹介 / BizHint HR

東京ラインプリンタ印刷株式会社

東京で印刷業を営む企業で、従業員数はおよそ250名ほどです。「社員は会社にとって最大の財産である」というポリシーのもと、福利厚生面に充実を図る取り組みをしています。また、繁忙期には健康増進月間を掲げ、社員すべてが元気に業務をすることができるよう心がけています。

きっかけ

同社の営業担当者が病気になり、長期にわたって入院治療を受けたことです。協会けんぽによる傷病手当金制度は1年6ヶ月で補償期間が終了してしまうため、それを超える長期の休職をサポートできる方法がないか模索しました。

取組内容

東京ラインプリンタ印刷株式会社では、主に次のような取り組みを行いました。

  • 新たな保険制度の導入: GLTD(Group Long Term Disability)と呼ばれる団体長期障害所得補償保険制度を導入し、最長3年間の補償を可能とする
  • 休暇制度の拡充:治療などで休暇取得を要する場合に短時間勤務制度・時差出勤制度を利用できる仕組みづくり
  • 健康情報管理システムの導入:健康診断の結果などをサイトへアップし、健康管理を促進するシステムの導入

効果

前述の取り組みを実施することで、休職して治療を行う社員の精神的・経済的負担が軽減しました。GLTDの保険料が安価に抑えられていることもその一因となっています。また、健康管理システムの導入により、栄養士による食事内容のチェックや産業員の保健指導サービスを受けることが可能となり、社員の健康意識が高まっています。

【参考】東京ラインプリンタ印刷株式会社ホームページ:会社方針
【参考】厚生労働省リーフレット:治療と職業生活の両立について(職場づくり事例集 平成29年3月)

株式会社サイバーエージェント

東京のIT関連サービス業であり、さまざまな施策によりすべての社員にチャンスを与える職場づくりを行っています。また、福利厚生にまつわる制度にも力を入れており、面談や親睦会など、社内でのコミュニケーン機会づくりにも取り組んでいます。

きっかけ

全体の3割を占める女性社員が長期にわたり働き続けるために何が必要かを考えた際、子育て支援に加え、妊活を行う女性社員の支援も必要という判断から、「女性活躍促進制度 macalon」が立ち上がりました。

取組内容

株式会社サイバーエージェントでは、「女性活躍促進制度 macalon」の導入にあたり、妊娠などで通院する女性社員を支援するために次の取り組みを実施しています。

  • エフ休:女性が取得できる月に一度の特別休暇制度を導入し、利用用途を明らかにせず取得できる制度を導入
  • 妊活休暇:不妊治療で通院するための特別休暇で、当日取得が可能。「エフ休」扱いとすることができる
  • 妊活コンシェル: 妊娠に関する専門家による個別カウンセリング制度

効果

不妊治療のことを外部に知られたくない女性社員が名を伏せた休暇を取ることが可能となったことで、安心して行動に移せるようになりました。

また、制度の導入時に、休暇やコンシェルの申請対象者、申請される側の社員など、立場に応じた説明を行ったことで、さまざまな考えを持つ社員がそれぞれの立場から制度への理解を示し、スムーズに導入に踏み切れたことからも良い結果が産まれています。

【参考】株式会社サイバーエージェントホームページ:企業情報(企業文化を支える仕組み)
【参考】厚生労働省リーフレット:治療と職業生活の両立について(職場づくり事例集 平成29年3月)

9.外国人材の受入れの問題

IT環境が浸透したことでグローバル化が進み、高い技術や経験を擁する外国人の存在が重要視されています。そのため、各企業には、日本人の雇用状況に影響を与えない形で積極的に外国人を受け入れるための体制づくりが求められています。なお、経済産業省の国際化促進インターンシップ事業では、グローバル化を目論む日本企業の支援をするため、外国人受入インターンシップを実施しています。

【参考】首相官邸ホームページ:働き方改革の実現(働き方改革実行契約概要 12.外国人材の受入れ)
【参考】経済産業省国際化促進インターンシップ事業[外国人受入インターンシップ]:事業の目的

【関連】グローバル経営とは?グローバル経営管理の課題も合わせてご紹介 / BizHint HR
【関連】外国人雇用のメリットは?手続きや必要書類、注意点や助成金をご紹介 / BizHint HR

株式会社リンク・ソリューション

東京都で各種コンサルティングサービスや医療材料にまつわる共同購買事業に携わる会社で、変化する経済情勢に応じて競争力をつけるための努力を続けています。海外展開を積極的に行っており、自社がこれまでに培ったノウハウを各国に沿った内容で形にし、現地の雇用拡大のサポートを行っています。

きっかけ

本社社員が海外展開に関する興味を持てず、実感がわかないことに懸念を抱いていた同社が、海外事業をより強固なものにするための方法を模索したことが外国人受け入れの一因となりました。国内で業務に携わる社員が海外の事業や外国人を身近に感じる機会がないかを考え、実行に踏み切りました。

取組内容

株式会社リンク・ソリューションでは、今後進出する予定のベトナムに照準を当て、ベトナム人をインターンとして受け入れることになりました。複数人のベトナム人の留学生や学生などを受け入れ、現地への進出に向けたマーケットリサーチを依頼しました。

効果

実際に現地にゆかりのある人材を活用したことで、調査が非常にスムーズな形で進行し、社員向けのプレゼンの実施も依頼することができました。その上、日本を訪れて経験した内容に関する記事を、SNSを用いて外部発信することも可能になりました。

また、日本人社員が外国人と接する機会が増え、社内の事業に関する興味や関心を引くことができました。

【参考】株式会社リンク・ソリューション:事業紹介(海外事業)
【参考】経済産業省国際化促進インターンシップ事業[外国人受入インターンシップ]:事例紹介(株式会社リンク・ソリューション)

有限会社長沼製作所

有限会社長沼製作所は、秋田県で乾燥機などの溶接・板金加工部門や機械加工に携わっており、2つの事業所を抱える中小企業です。「人と人をつなぐものづくり」を掲げ、企業努力を重ねています。

きっかけ

同社では海外展開を視野に入れており、これまで以上に現地の視察や商業にまつわる情報を入手する必要性から、実際に外国人を受け入れる必要があると考えました。

取組内容

有限会社長沼製作所では、海外ビジネスの展開先として検討しているマレーシア人をインターンとして受け入れることになりました。まずはこれまでの経験や今後について入念に対話を重ね、帰国後にノウハウを生かすことができるよう装置の製作にも携わってもらいました。

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れました。

  • マレーシアとのネットワーク強化:インターンシップ生の繋がりから現地の地元大学との連携を図るきっかけが生まれた
  • 日本とは異なる文化に触れることで、良い刺激を受けることが可能となった

【参考】有限会社長沼製作所ホームページ:会社概要
【参考】経済産業省国際化促進インターンシップ事業[外国人受入インターンシップ]:事例紹介(有限会社長沼製作所)

まとめ

  • 働き方改革とは、一億総活躍社会を実現するための取り組みで、既存の日本の企業文化や考え方を見直し、労働者それぞれが望む形で働けるような社会を目指すための改革。
  • 働き方改革が必要な理由には、少子高齢化に伴う人口減少や晩婚化による出生率の低下、非正規雇用者の待遇改善、長時間労働による過労問題がある。
  • 働き方改革を実際に行う場合、まずは会社内の現状を把握した上で問題点の洗い出し・分析を行い、改善を実施するための対策を検討する必要がある。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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