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【働き方改革 成功事例集】8つのテーマ別に企業の取組内容をご紹介

Logo markBizHint 編集部 2017年8月22日(火)掲載
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労働者一人ひとりが望む形で働ける社会を作るための「働き方改革」は、これからの日本企業において非常に重要な課題として認知が高まっています。今回は、働き方改革で掲げられている8つのテーマ別に、これまでの企業風土が抱える問題点に着目した会社が実際に取り組みを実践し、成功をあげた事例についてあますことなく紹介していきます。

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働き方改革とは、働く人それぞれが抱える事情に応じて、 多用かつ柔軟性の高い働き方を選ぶことができる環境を作るための労働改革 です。

【関連】働き方改革とは?目的や背景、改正内容から企業の対策と事例まで徹底解説 / BizHint

ひと言で働き方改革といっても、その内容は多岐にわたります。

今回は、分かりやすくテーマごとに分類しました。

企業が実際に改革に取り組むにあたり、何から手をつければ良いのか・何をすれば良いのかを洗い出すため、ぜひお役立てください。

1. 長時間労働の是正、休暇取得の促進

働き方改革を推進するにあたり必要不可欠なテーマの一つとして、まずは「労働時間の適正化」が挙げられます。

国では、長時間労働の是正を目的に時間外労働や休日労働の上限が規制される「 時間外労働の上限規制 」と、休暇取得の促進を目的に年に10日以上の有給休暇のうち5日の取得を義務化する「 有給休暇の義務化 」という2つの観点の法改正により、労働時間の適正化を図っています。

企業規模関係なく、すべての企業は、この改正内容に沿った形での社内体制整備が急務です。

【関連】「時間外労働の上限規制」をわかりやすく解説!罰則や施行開始時期は? / BizHint
【関連】【有給休暇の取得義務化】企業が把握すべき内容と対応法を徹底解説 / BizHint

「カフェイン+昼寝」で残業削減/ダイドードリンコ

国内大手の清涼飲料を扱うメーカーであるダイドードリンコ株式会社は、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。」をモットーに、健康長寿社会を目指すための独自の取り組みを多数提供しています。

同社では働き方改革の一環として、社員が生き生きと元気な状態で、労働時間内に能力を発揮し、生産性を高めるための方法を検討する際に、 カフェイン摂取による覚醒効果 という清涼飲料メーカーならではの観点に目をつけ、「 カフェインナップ 」の実施が決定されました。

カフェインナップとは、以前より定評のあった短時間の休息睡眠によるリフレッシュ効果とカフェイン摂取を併用することで、生産性の向上を目指す取組です。

取組内容

カフェインナップは、 休憩時間15分前にコーヒーを飲み、15分間昼寝をする 、という形で行われます。休憩中であるため、カフェインナップを実施するかどうかは社員の判断に委ねられました。

社員が安心して休むことができるよう、仮眠中の姿を見られることに抵抗がある社員に配慮したカーテンなどを利用した半個室スペースを設置。また、会社ではカフェインナップに加えてストレッチ体操の実施も勧めており、専門のインストラクターを招いた講習会の実施も手掛けています。

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れました。

  • 時間外労働時間の平均値が42時間→31時間へ削減
  • 昼休憩後の集中力がアップし、会議時間が短縮
  • 社内でのカフェインナップ効果を営業活動に活かすことで、自社製品の導入に関して興味を持つ顧客が増加
  • 労働時間の短縮で生まれた時間を自己啓発に費やし、現社員のスキルの底上げに寄与

【関連】「カフェイン+昼寝」“カフェインナップ”でコストをかけずに働き方改革(生産性向上)!?【ダイドードリンコ・取締役執行役員人事総務本部長 濱中昭一さん】 / BizHint

有給の取得率UP/三洋化学工業株式会社

大阪でプラスチック容器の製造や販売を手掛ける三洋化学工業株式会社は、1976年設立と歴史のある会社ながら、独特のセンスが光るホームページなど、斬新なアイデアを取り入れるという画期的な風土を持つ企業です。

パート社員も含めたさまざまな雇用形態の社員がともに働いているものの、平成22年度の有給休暇取得率は半数を割り、特に 正社員の取得率や会社への満足度が高まらないという問題を抱えていました

そこで、社内の職場意識を改善し、有給休暇を取得しやすい環境を作るための取り組みが行われることになりました。

取組内容

実際に導入されたのは、有給休暇の取得促進のための次の取り組みになります。

  • 計画的付与制度の導入: 社長みずからが会議で呼びかけを行い、労使による話し合いを重ねた上で実施されました。
  • 連続休暇の取得促進: 社員が家族と共にまとまった時間を過ごすことができるよう、夏季休暇前後の稼働日を有給休暇奨励日とし、10日間の連続休暇取得を促しました。

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れています。

  • 有給休暇取得率が前年度の47.7%から70.5%まで上昇
  • 有給休暇の取得が特別な状況ではなくなったことで、社員同士のコミュニケーションが密になり、業務計画の推進力アップへ
  • 有給休暇が取得しやすい環境になり、社員が心身ともにリフレッシュできた
  • 業務を稼働日に計画的に進めようと工夫をこらすなど、社員の意識改革にも貢献

【参考】 会社概要/三洋化学工業株式会社
【参考】 平成24年度 ワーク・ライフ・バランス推進に向けたワークショップ 大阪版7つの好事例集!/大阪労働局

2. 非正規雇用者の処遇改善

現在は、正社員に加え、 パート・アルバイトなどの非正規雇用も多様化 しています。その一方で、非正規雇用者の待遇は正社員と比較するとまだまだ格差があり、非正規雇用としての雇用をためらう者も少なくありません。

正社員と非正規社員の間に存在する待遇の格差をなくす「 同一労働同一賃金 」を実現させるため、国ではパートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法を改正し、会社側の不合理な待遇格差の禁止や待遇についての説明義務化などが定められました。

社員それぞれが自身の生活スタイルに合わせた働き方を選択できるよう、非正規雇用者の処遇改善に関する会社側の対応が求められています。

【関連】2020年から施行!「同一労働同一賃金」とは?企業の対応まで徹底解説 / BizHint

契約社員の社員化で採用力UP/オリエンタルランド

東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドは、2016年に 800人を超える契約社員を社員として雇う という大きな決断をしました。

これは、東京ディズニーランド、ディズニーシーをより多くのお客さまに満足してもらえるような方策を打ち出す際に、サービスを提供する側である労働者側の待遇を改善することも重要ではないかという考えに至ったためです。

取組内容

ディズニーリゾートの各種アトラクションやショップ、パレードキャストなど、契約社員として働いてもらっていたスーパーバイザーを“社員”として登用。契約期限は1年単位から無期限に。「 安心して働ける 」「 キャリアを描きやすい 」環境を提供しました。

効果

前述の取り組みにより、次のような効果が表れています。

  • 採用時のエントリー者数が取組前と比較して2倍以上に増加。優秀な人材を獲得するチャンスが広がった
  • 内定辞退者や退職者が著しく減少し、人材流出を防ぐ環境が整った
  • 優秀なスーパーバイザーの昇格手続きが短縮され、能力を発揮できるように

【関連】【オリエンタルランドが描く人事戦略】顧客満足度を追及するために行ったのは「従業員が安心して働ける環境づくり」 / BizHint

3. 業務効率化による生産性向上

業務内容を見直し改善をしていくことも、働き方改革において重要なプロセスの1つです。自社の仕事内容から、無駄な作業や不必要な工程を省くことで、社員一人ひとりの労働時間を、会社の売上を上げるための作業に集中させることができます。

業務を効率化させるための方法には、さまざまな内容が挙げられます。

<一例>

  • 社内のルーチンワークを全社統一でマニュアル化 →作業内容の確認や質問・回答の手間を省くことが可能に
  • 会議の回数や内容を見直し、オンラインシステムなどを活用 →複数の社員が一同に介する時間の短縮

このように業務を効率化するための工夫を凝らすことで、社員の労働力から生み出すことのできる成果が増え、 生産性向上 へとつながるのです。

RPA導入で約70%の時間削減!/マルコメ

味噌を初めとした食品を扱う大手企業であるマルコメ株式会社では、 RPA というツールを導入し、労働時間の削減に成功しています。

RPAとは、AI機能などの学習機能を取り入れたソフトウェアタイプのロボットのことで、これまで 人の手で行われていた業務を自動化 する効果があります。

取組内容

マルコメ株式会社では、以前より営業資料作成の一環として、商品販売データを社内システムに盛り込む作業が定期的に発生していました。しかし、これには少人数の社員が長時間にわたる作業を強いられており、負担が大きいという問題点が。

そこで、ダウンロードを自動化するためのRPAを共同開発し、導入することが決定されました。

効果

  • 作業時間が約20分→約5分に。約70%の労働時間削減に成功
  • カットされた労働時間は別の業務に充てられるようになった

【関連】RPA導入事例6選【企業や自治体の導入実例を導入効果別にご紹介】 約70%の時間削減、RPAで人的資源の有効活用 / マルコメ株式会社」 / BizHint

1万人を超える社員の人事労務効率化に成功!/遠鉄グループ

遠鉄グループは、遠州鉄道を初めとした鉄道やバス、百貨店、不動産業などの幅広い事業を手がけるグループ企業です。

社員はグループ全体で約11,000人と膨大な人数を誇るため、 人事労務業務に携わる社員の負担膨大な量となる紙媒体の書類 に悩まされていました。

取組内容

遠鉄グループでは、人事労務の業務内容を見直し、ペーパーレスを図るための対策として、SmartHRというペーパーレス化を実現するためのソフトを導入しました。

1万人を超える社員を雇用する企業の場合、毎月の給与明細や年末調整の書類などの管理も膨大なものとなります。SmartHRの導入により、これら書類の手続きがペーパーレスとなり効率化。役所への提出書類の電子化や、マイナンバーの管理体制を整えました。

効果

  • 社員の個人情報の収集が容易になり、来社日程の調整、書類の印刷や郵送業務といった入社手続きの効率化に成功
  • オンラインでの情報管理により、紛失リスクが軽減。金庫などで管理を行う手間の削減にも

【参考】遠鉄グループ 11,000人の人事労務業務の効率化を目指して SmartHRを導入/SmartHR

4.場所に捕らわれない柔軟な働き方の提案

時間や場所の制限なく働くことを可能とする「 テレワーク 」は、働き方改革の中でも注目されている業務形態です。

テレワークを導入することで、育児や介護と仕事を両立させる社員が増加し、優秀な人材の発掘や確保が可能となります。また、研究や開発、クリエイター職などに携わる者にとっても、作業に集中することができる環境で業務を行うことが容易になり、作業効率がアップするという効果も。

さらに、政府では副業・兼業も推進しており、ガイドラインの策定を進めています。

このように場所・時間に捕らわれない働き方は、今後より注目されていくでしょう。

【関連】テレワークとは?意味やデメリット、導入企業事例、助成金制度を紹介 / BizHint

在宅勤務導入で女性総合職の離職率が大幅減少/日本航空株式会社

日本航空株式会社は、日本で有数の航空会社で、グループ会社が134社、総従業員数が3万3千人を超える大手企業です。

女性の総合職がさまざまな理由で約10年前後を境に退職してしまうという問題を抱えていた同社では、2015年に在宅勤務制度を導入。人の命を預かる重大な任務を遂行するにあたり、顧客へ最大限のサービスを提供するため環境づくりを行っています。

取組内容

2015年の導入時点では在宅勤務のみを認めていましたが2017年以降は自宅以外の場所で就労する「テレワーク」として規定を改定しています。

実施された具体的な取組内容は次の通りです。

  • ワークスタイルの変革と総労働時間の減少を社長自らが呼びかけ
  • テレワークへの理解を深めるためのスキルアップワークショップを実施するなど、社員への周知・啓発を積極的に実施
  • テレワーク利用は自己申告制。実施前日までに上司の承認を得ることとしている
  • 自宅以外でテレワークをする場合は、実施場所を画像やツールで報告し、上司の承認を得るようにしている
  • テレワーク勤務者には、フレックス勤務制度を導入

効果

  • 制度導入半年で残業実績が2割程度改善
  • 翌年の総労働時間は一人当たり前年比で12時間減少

更に社員が働きやすくなるよう、「ワーケーション」という休暇先でテレワークを許可する制度も導入。急な仕事のために休暇を断念する者が減少するような取り計らいを行っています。

【参考】 企業理念/日本航空株式会社
【参考】 導入事例一覧(日本航空株式会社)/テレワーク情報サイト

専業禁止の大胆施策/エンファクトリー

東京都でオンラインショッピングや専門家のマッチング事業、ウエブサイトなどのインターネットサービス事業に携わる株式会社エンファクトリーでは、ネットワークを通じて数多くの人材との繋がりを大切にしながらさまざまな事業に携わっています。

同社は、創業時より「 専業禁止 」というルールを謳っています。

社員がオフィス外にいる時間をより充実したものにすることで、各々のスキルをアップさせ、より仕事の質を高めていって欲しいという狙いから実施されました。

取組内容

具体的には、半年に一度開催される「enTerminal(エンターミナル)」内で、各自が携わっている副業の内容を発表し合うというルールが設けられている他は、自由に他の仕事をしても良いというものです。

副業を開始するにあたり会社へ申請をする必要もなく、また副業の内容にも制限はありません。

社内では副業の話を完全に解禁にしており、各自が得られた経験や新たな人との出会い、学んだ内容を社内で共有することで、新たな発想が生まれる手助けとなっています。

効果

  • 会社の売上は年々アップ
  • 社外の別の仕事に携わる人ほど高いパフォーマンスが期待でき、モチベーションを保ちながら仕事に取り組んでもらえている

今後は、所定外労働時間の削減や更なる年次有給休暇取得率のアップ、ワーク・ライフ・バランス支援制度の充実に努め、くるみん認定の申請を予定しています。

【関連】「社員に副業を勧めて8年間、マイナスだったことはない」VUCA時代の組織と個人の関係性とは? / BizHint

「協働タイム制度」で柔軟な働き方を実現/富士ゼロックス東京株式会社

富士フイルムグループ企業である富士ゼロックス東京株式会社は、プリンターやファックス複合機などを取り扱う大手企業です。富士ゼロックスでは1988年にサテライトオフィスの実験運営を開始するなど、以前より働き方改革に対する意識の高さで知られていました。

社員が新たな挑戦に取り組みやすい環境づくりのため、社員が職種ごとに異なる就労時間で働く環境に着目。「 協調タイム制度 」というテレワーク制度を立ち上げました。

取組内容

協調タイム制度は、社員自身が自身の生活スタイルに合わせて働き方を決定する制度です。

具体的には、社員が任意でコアタイムを変更することができる「 協働タイム変更制度 」や、コアタイムを設定せず、在宅勤務をすることのできる「 オープンワーク制度 」などを自由に選択できます。

途中で離席することや、早朝出勤、早い時間の帰社なども可能で、一般的なフレックスタイム制と比較しても、非常に自由性の高い制度になっています。

効果

  • 終業時間でより早い時間帯に帰社する社員が全体の65%と半数以上に。社員の労働時間が短縮
  • テレワークを利用する社員も半数を超える割合に
  • モバイルワークを利用している営業職の社員などは、サテライトオフィスを併用するなどの方法で直行直帰がスムーズに実践できている

【参考】 企業情報/富士ゼロックス東京株式会社
【参考】 導入事例一覧(富士ゼロックス東京株式会社)/テレワーク情報サイト

5. 育児・介護の両立支援

さまざまな事情により、育児や介護と両立させながら働きたいと望む者が増加しています。また、育児・介護との両立者が求める理想的な働き方の内容についても、それぞれの家庭環境に応じて異なり、多様化していることが現状です。

育児や介護と両立しながら安心して働くことのできる環境を提供することも、働き方改革が掲げる重要な指針の一つです。労働力不足が懸念される中、会社側では優秀な人材流出を防ぐためにも、このような労働者の希望に応じた柔軟な働き方を実現できるような制度づくりが急務とされています。

育休社員へのサポートを強化/ふくや

株式会社ふくやは、福岡県博多区に居を構える、「味の明太子」の製造や販売を初めとした食品会社です。昭和23年創業と歴史ある企業で、関連会社数は9社にのぼります。

平成6年に「 網の目コミュニケーション室 」という、人と人とのつながりを重視し、情報の伝達を行うための部署を立ち上げた同社では、子育てを行いながら働く社員や地域貢献活動に積極的に取り組んでいました。たとえば、結婚や出産を期に退職するのを防ぐため、社員ごとに勤務時間等の融通を効かせた対応を行うなどの対応が挙げられます。

この対応を制度化し、社内体制の整備を行うことを目的に、働き方改革にまつわる取り組みに着手しました。

取組内容

株式会社ふくやでは、主に次のような取り組みを行っています。

  1. 育児休業明けの雇用形態の自由選択:育児休業から復帰した後の勤務形態を本人が希望できる制度の導入
  2. 育児休業中のフォローアップ体制を整備:育児休業中の社内報や近況報告の手紙の送付、復帰前の子連れヒアリングの実施
  3. 学校行事への積極参加促進:学校行事がある日の勤務調整や一時離脱の体制やPTA役員などを引き受けた際の手当支給などを実施

効果

  • 女性社員の育児休業取得率や復帰率が上昇

女性社員が妊娠すると、復帰するのが当然という流れがすでにできているため、出産や育児を理由に仕事を諦める、という状況にはならず、安心して育児休業を取得できるような環境が出来上がりました。

また、本来ならば会社側に歓迎されにくいPTA役員や地域役員の行事、学校行事への積極的な支援体制を整えることで、男性社員もさまざまな行事へ参加できる環境が作られ、家族のコミュニケーションづくりの一端も担っています。

【参考】会社概要/株式会社ふくや
【参考】子育て応援宣言企業 優良事例集(株式会社ふくや)/福岡県子育て応援宣言

離職率が7分の1に低下!/サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、「サイボウズ Office」などのソフトウェアで知られる企業です。さまざまな会社の社員が安心して活用できるソフト開発に手がけていることもあり、社員一人ひとりの存在を非常に重宝し、働き方改革に対する積極的な取組を実践していることでも知られています。

同社は、かねてより介護による離職のリスクについて懸念を抱いていました。働き盛りの社員が親の介護のために離職危機に陥った例もあり、育児や介護のために思うように出社ができない社員のための環境づくりに注力することとなりました。

取組内容

具体的には、次のような取り組みを実施しています。

  • 新・働き方宣言制度
    社員一人ひとりが時差出勤や短時間・短日数勤務などを含めてどのような働き方を行うかを宣言し、社内で情報共有している
  • 論理出社
    物理的には出社していない状態でも、デジタル上では出社扱いとされることから、さまざまな場所での就労が可能。また、社員にノートパソコンを渡し、どこでも業務に携われるような環境を整えている
  • デジタルデータの活用
    社労士などの専門家と連携し、給与を初めとした人事・労務関係の書類をデジタルで発行するなど、ペーパーレス・出社の手間を省く体制づくりに取り組む

効果

  • 離職率が4%まで減少。取り組み前と比較すると7分の1に

今後は、労働人口の減少が懸念されていることから、これまで以上に個々の社員の働き方の多様化を受け入れ、事業を維持・拡大していくための取り組みを続けていくそうです。

【参考】サイボウズ株式会社/みらいワークス
【参考】 離職率を7分の1に低減、サイボウズが先進的な働き方改革を実現できた理由/働き方改革ラボ
【参考】 退職考える介護社員に「落ち着け、ここはサイボウズ」 サイボウズ・青野慶久社長インタビュー(上)介護との両立支援を語る/日経BP

6. 高齢者の就業促進

平均寿命の延びや年金受給開始年齢の繰り下げの流れを受け、各企業には定年年齢の引き上げや延長、継続雇用の促進等の対策が求められています。

高齢者に安心して働いてもらうための環境づくりや、高齢者が一つの企業にこだわらず幅広く活躍できるような社会づくりは、働き方改革の一つとしても提言されています。

【関連】シニア活用を成功させるコツとは?課題と今後の展望を徹底分析 / BizHint

定年延長制度の導入/みずほフィナンシャルグループ

株式会社みずほフィナンシャルグループは、東京の大手銀行持株会社です。企業ブランドとして「<みずほ>ハートフルアクション」を掲げ、社会を支える存在であるためにさまざまな活動をしています。

銀行業界では、資産運用や活用方法に関する相談業務の存在が重要視される傾向にあります。同社では、相談業務に携わる行員に経験が豊富なベテランの社員を登用することで業務の拡大を目指し、雇用延長を図ろうと試みました。

取組内容

株式会社みずほフィナンシャルグループでは、主に次のような取り組みを行いました。

  • 定年延長制度の導入: 定年年齢を60歳から65歳へ延長
  • 幹部候補育成の強化: 働き盛りの30~40代社員の支店長へ登用

効果

前述の取り組みを実施することで、相談業務の充実化という効果が期待されます。また、資産運用以外でも高齢者向けの財産活用や遺産相続等、ベテラン行員の出番が増加する機会が多くみられることから、企業側のニーズが雇用延長制度の普及と見事に一致した例といえるでしょう。

一方で、メガバンク初の定年年齢延長化は、他の銀行業界にも大きな衝撃を与えています。資産運用などに関する相談業務は他の銀行でも実施していることから、定年年齢延長の流れは広がる可能性があります。また、大手銀行の延長制度導入は、他の業界にも影響を与えることが予想されています。

【参考】 企業理念・ブランド(ハートフルアクション)/みずほフィナンシャルグループ
【参考】 みずほフィナンシャルグループ、定年を65歳に延長/Ta!k Genius

7. 従業員の健康促進

企業が発展を続けるためには、元気な社員の存在は欠かせないものです。そのためには、従業員の健康管理にまつわる制度の構築が非常に重要となります。特に長時間労働は、従業員を疲弊させメンタルにも悪影響を及ぼすため、見直しが必須となるでしょう。

また、病気と向き合いながら仕事をする労働者は、日本の労働人口においておよそ3分の1と言われています。このような労働者が意欲を持って仕事をするための環境づくりも重要となり、サポート体制を整えることが働き方改革の1つとして定められています。

【関連】健康経営とは?企業の取り組み事例を交えご紹介 / BizHint

長期休職のサポート/株式会社TLP(旧:東京ラインプリンタ印刷)

東京で印刷業を営む企業で、従業員数はおよそ260名ほどです。「社員は会社にとって最大の財産である」というポリシーのもと、福利厚生面に充実を図る取り組みをしています。さらに、繁忙期には健康増進月間を掲げ、社員すべてが元気に業務をすることができるよう心がけているのだとか。

働き方改革の重要性を痛感するきっかけとなった出来事は、同社の営業担当者が病気になり、長期にわたって入院治療を受けたことです。協会けんぽによる傷病手当金制度は1年6ヶ月で補償期間が終了してしまうため、それを超える長期の休職をサポートできる方法がないか模索しました。

取組内容

同社では、主に次のような取り組みを行いました。

  • 新たな保険制度の導入
    GLTD(Group Long Term Disability)と呼ばれる団体長期障害所得補償保険制度を導入し、最長3年間の補償を可能とする
  • 休暇制度の拡充
    治療などで休暇取得を要する場合に短時間勤務制度・時差出勤制度を利用できる仕組みづくり
  • 健康情報管理システムの導入
    健康診断の結果などをサイトへアップし、健康管理を促進するシステムの導入

効果

  • 休職して治療を行う社員の精神的・経済的負担が軽減。GLTDの保険料が安価に抑えられていることもその一因に
  • 栄養士による食事内容のチェックや産業員の保健指導サービスを受けることが可能となり、社員の健康意識が高まっている

【参考】企業情報/株式会社TLP
【参考】治療と職業生活の両立について(職場づくり事例集 平成29年3月)/厚生労働省

健康経営によるヘルスリテラシー向上/花王株式会社

花王株式会社は、トイレタリー用品や化粧品を扱う上場企業です。生活における清潔さや美を追究する企業だけあって、普段より社員の健康に非常に気を遣っています。これは、健康で活気のある社員の存在が事業の発展に不可欠だという考えに起因しているものです。

そのための一環として、同社はすでに2008年に「花王グループ健康宣言」を会社内そして対外的に公にした上で、健康づくりを推進するいわゆる「 健康経営 」に取り組んでいます。

取組内容

同社では、社員の健康に関する情報をデータ化し、健康相談に提供した上で社内分析をしています。

また、健康保険組合と密に連携を取ることで、社内の健康経営に役立てている他、社員にジェネリック医薬品への切り替えを勧奨するなどの医療費コストカットなどの対策も併用しています。

さらに、社員自身が健康の維持促進のため、自発的に行動できるような環境を整備しています。たとえば、社長も含めた全社員が各々で健康目標を立て、意識づけを心がけています。

また、5つの取り組み(生活習慣病・メンタルヘルス・禁煙・ガン・女性の健康)にまつわるキャンペーンやセミナーなどの活動を提供しています。

効果

  • 2016年の社員の定期健診受診率は99.6%、再検査受診率は90.7%
  • 運動を週一回以上する社員が43.5%、睡眠で満足のいく休息が取れていると感じる社員が63.3%、たばこを吸わない社員が73.8%といった数値も **

これらの結果から、社員自身の健康に対する意識の高さがうかがえます。

【参考】ニュースリリース 4年連続で「健康経営銘柄」に選定/花王株式会社
【参考】 健やかで心豊かな生活のために】/花王株式会社

【関連】【健康経営に取り組む企業事例5選】健康経営支援ツールもご紹介/ BizHint

8. ダイバーシティの推進

IT環境が浸透したことでグローバル化が進み、高い技術や経験を擁する外国人の存在が重要視されています。そのため、各企業には、日本人の雇用状況に影響を与えない形で積極的に外国人を受け入れるための体制の整備が求められます。

また、何らかの障害を抱えており、サポートが必要な者を雇用することも、すべての者が安心して働くことのできる社会づくりには欠かせないものです。

しかし、国内での障害者雇用率はいまだ高いとはいえず、法定雇用率をクリアする企業が少ないことが現状です。企業では、このような障害者を一つの戦力として雇用するための環境づくりに取り組む必要もあります。

【関連】ダイバーシティとは?意味や推進方法、企業の取組事例をご紹介 / BizHint

外国人インターン生の受け入れ/リンク・ソリューション

東京都で各種コンサルティングサービスや医療材料にまつわる共同購買事業に携わるリンク・ソリューションは、変化する経済情勢に応じて競争力をつけるための努力を続けています。また、海外展開を積極的に行っており、自社がこれまでに培ったノウハウを各国に沿った内容で形にし、現地の雇用拡大のサポートを行っています。

外国人受け入れの一因となったのは、この 海外展開に対して本社社員が興味を持てず、実感がわかない という意見があることに懸念を抱いていた同社が、海外事業をより強固なものにするための方法を模索したことでした。

国内で業務に携わる社員が海外の事業や外国人を身近に感じる機会がないかを考え、実行に踏み切りました。

取組内容

同社は今後進出する予定のベトナムに照準を当て、ベトナム人をインターンとして受け入れることに。複数人のベトナム人の留学生や学生などを受け入れ、現地への進出に向けたマーケットリサーチを依頼しました。

効果

  • 日本人社員が外国人と接する機会が増えたことで、社内の事業に関する興味や関心を引くことに成功
  • 実際に現地にゆかりのある人材を活用したことで、マーケット調査が非常にスムーズな形で進行
  • 日本を訪れて経験した内容に関する記事を、SNSを用いて外部発信してもらった

【参考】 事業紹介(海外事業)/株式会社リンク・ソリューション
【参考】 事例紹介(株式会社リンク・ソリューション)経済産業省国際化促進インターンシップ事業/外国人受入インターンシップ

「生産性の向上×障害者雇用」をモットーに離職率0%/株式会社ビズリーチ

株式会社ビズリーチは、インターネットを活用した転職サイトや求人検索、人材活用クラウドなど、会社や人のマッチングに特化した企業です。

同社では障害者雇用の重要性に着目し、「生産性の向上×障害者雇用」をモットーに2018年より障害者雇用を開始。同時に、障害を持つ社員が生き生きと活躍できるような環境づくりのための専門チームを立ち上げ、体制を整える運びとなりました。

取組内容

まずは、障害者を受け入れることのできる業務内容を洗い出し、マニュアルを作成。また、障害を持つスタッフ自身が、それぞれの抱えている障害に沿った形でマニュアルを改善し、内容を固めました。

さらに、障害者向けの採用基準がなかったため、一から検討をしました。

具体的には、会社説明会を設けた上で職場実習の機会を設け、面談を通して希望者を募ります。その上で希望者に対しては面接を行い、入社後にも配属前に業務を体験する期間を1,2ヶ月程度設けるという、慎重な手順を取っています。

就業後は社員が職場の悩みや気づいたことを随時発信できるよう、上司との面談は月に一度、サポート担当者との面談は週に一度実施し、問題点を記載するための連絡帳も活用しています。

さらに、毎日の体調や気分を把握し、トラブルを防ぐためにセルフケアシートを活用。1時間ごとの休憩時間や帰宅前の振り返りの時間など、社員が無理なく勤務を続けられるような環境を構築しました。

効果

  • 10名を超える障害者が社員として勤務するように
  • 採用開始時より採用した全員が現在も働き続けており、離職率はゼロ

【参考】 会社概要/株式会社ビズリーチ
【参考】 就職事例ストーリー 障害者雇用の企業事例 全員が気遣う組織風土は、発信しやすい環境から 株式会社ビズリーチ/LITALICOワークス

改革を行う前にやるべきこととは

働き方改革が必要なことは熟知しているものの、実際に取り組むにあたり何から始めたらよいか分からないケースがあることでしょう。これは、改革すべき点として挙げられている内容が多く、何から手をつけるべきかを見失ってしまうことが一因として挙げられます。

すべての改革を一度に行おうとしても、足並みが揃わず停滞しやすいものです。まずは順を追って、段階ごとのクリアを目指していく方法が有効です。

会社の現状把握

改革の第一歩として行うべき事としては、 自分の会社の状態を把握すること です。

就業規則や雇用契約書などを用いてルール化している就業時間や休日の内容を調べ、実際に働いている社員がそのルールを守っているのか、実態はどうなっているのかを調査していきます。

なお、厚生労働省が提供する「働き方・休み方改善指標」を利用することで、企業の社員がどのように働いているか、どのように休みを取っているか、などの内容を調査することができます。社員向けに行うチェックリストも準備されているため、活用することで調査を効率良く進めることができるでしょう。

【参考】働き方・休み方改善指標活用事例集 Part2(Ⅰ.「働き方・休み方改善指標」について)/厚生労働省
【参考】働き方・休み方改善ポータルサイト(「働き方・休み方改善指標」を用いた自己診断)/厚生労働省

問題点の洗い出し・分析

現在の会社実態の情報を収集できたところで、次は内容の分析に取りかかります。

前述の「働き方・休み方改善指標」を用いて現状把握を行っている場合、まずは「ポジションマップ」を活用し、自社の労働状況や各種休暇取得の実態が適切なものかを調べます。その上で「レーダーチャート」を活用することで、改善すべき具体的な問題の内容を洗い出すことができます。

【参考】働き方・休み方改善ポータルサイト(「働き方・休み方改善指標」を用いた自己診断)/厚生労働省

改善するための対策検討

企業が抱える課題が明らかになったところで、次はその課題をどのような手順でクリアしていくかを考え、取り組み内容を設定します。

取り組み内容を実践する際には、まずはその取り組みを進めるためのルール作りなど体制を整えることから開始します。次に、経営幹部や一般社員を相手に取り組みを周知する行動へと移ります。その際には、書類配布や研修など、社員全体が取り組みの内容をしっかりと理解し、労働環境を根本から見直すことができるような方法を取る必要があります。

まとめ

  • 働き方改革とは、一億総活躍社会を実現するための取り組みで、既存の日本の企業文化や考え方を見直し、労働者それぞれが望む形で働けるような社会を目指すための改革。
  • 働き方改革が必要な理由には、長時間労働による過労などの健康問題や非正規雇用者の待遇差、育児や介護との両立、外国人や障害者などの雇用率問題などがある。
  • 働き方改革を実際に行う場合、まずは会社内の現状を把握した上で問題点の洗い出し・分析を行い、改善を実施するための対策を検討する必要がある。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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