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2017年12月3日(日)更新

シニア活用

シニア人材をどう活用するか?少子高齢化が進み若い労働人口が減少する中、慢性的な人材難となっている現代の日本において、65歳以上の高齢者をどう人材源として活用していくかは、企業にとって重要な課題となっています。しかし、まだまだ障害も多く有効活用できていないのが現状です。そこで今回は、シニア活用を成功させるためのポイントをご紹介したいと思います。

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シニア活用の現状

まず初めに、現在のシニア世代の労働市場を取り巻く環境に関して、具体的な数字などを見ながら解説したいと思います。

少子高齢化による労働力人口の変化

現在の労働力人口は6,556万人で、最も多かった2000年頃と比較して約200万人減少しています。この傾向は今後も続き、2030年には6,180万人まで減少すると言われています。一方、日本は2010年の時点でドイツを抜き、世界一の高齢化大国となりました。2015年時点で65歳以上の「高齢者」の人口は全体の約27%に達し、2035年には3人に1人が高齢者になると予測されています。

このように、世界中で類を見ないほどの少子高齢化社会となっている日本において、労働力の確保を維持することは企業にとって最重要課題となっており、その人材源として女性や外国人とともに労働市場で注目されているのが、シニア世代です。

当のシニア世代も、65歳を超えて働きたいと考えている人の割合は約66%と、実に3人に2人が高い労働意欲を維持しているのです。その結果、労働力人口に占める65歳以上の割合は2015年の時点で11.3%、35年前の1980年に4.9%だった数字は、大幅に上昇することとなりました。

【参考】労働力人口の推移 / 厚生労働省
【参考】いま注目されるシニア人材 / テンプナレッジマガジン
【参考】シニア活用インフォグラフィックス / シニア活用.com

高年齢者雇用安定法によるシニア世代の雇用義務

そのような中、政府もより積極的なシニア世代の活用に向けて動き出します。「高年齢者雇用安定法」が2006年に施行に改訂され、企業は60歳以上の従業員に対し、定年を廃止するか、定年を65歳まで引き上げか、希望者には再雇用や勤務延長といった継続雇用措置を採るか、いずれかの実施を義務付けられました。

2013年には再び改正され、希望者に対する65歳までの雇用が義務化されました。現在では、99%以上の企業が様々な高年齢者雇用確保措置を講じており、希望者全員が65歳を過ぎても働ける企業の割合は74.1%に、その中でも70歳以上まで働ける企業は21.2%に達しています。

【参考】いま注目されるシニア人材 / テンプナレッジマガジン

シニア人材を活用するメリット

それでは、企業にとってシニア人材を活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

人件費や採用コストの削減できる

65歳以上の従業員を雇い続ける場合、新たに人材を雇い入れる必要がないので採用コストを低く抑えられます。また、高年齢者雇用に関する助成金の活用や、再雇用制度によって労働条件を変更して新たな雇用契約を結ぶなど、人件費を抑えることも可能です。

若手社員の育成に効果が期待できる

これまでに培ってきた知識や経験、スキルなどはスペシャリストとしての役割だけでなく、豊かな社会人経験を生かして若手社員の教育を任せることもできるでしょう。また、トラブル発生時にはリーダーシップを発揮して問題解決に導いたり、管理職に従事する中堅社員をサポートしたりと、組織のマネジメント面での効果も期待できます。

フレキシブルな勤務形態に対応できる

65歳を過ぎても就業したいと考えているシニア層は、フルタイムでの仕事へのこだわりが少ないというのも特徴です。空いた時間を有効活用することを目的としている場合も多く、勤務日や勤務時間といったイレギュラーな勤務形態も柔軟に受け入れてもらえるため、既存の従業員では難しい時間帯(早朝や休日など)での活用に有効です。

シニア層のお客さまからの信頼を得られる

企業にとって、急激な高齢化は従業員だけでなく、商品やサービスの対象となるお客さまにも高齢者が多くなることを意味します。特にエンドユーザーとの対面機会があるビジネスにおいては、高齢のお客さまに対して若いスタッフが対応するよりも、同世代の高齢者スタッフの方がコミュニケーションも円滑になり、スムーズな対応が可能となるケースも多くあります。

シニア活用が難しい3つの理由

このように、シニア人材を活用するには様々なメリットがありますが、いざシニア人材を採用しようとしても、実際には採用に至らない、または採用してもスムーズに仕事が回らないなど、障害があるのも事実です。

これら理由として代表的な3つのポイントをご紹介します。

個人によって状況が異なり、一律の対応が難しい

前述の「シニア人材を活用するメリット」ではフレキシブルな勤務形態に対応できるというポイントをご紹介しましたが、就労時間に対する希望も含め、65歳を過ぎても働きたいと考えているシニア層には様々な事情があります。

いわゆる経済上の理由で働く人が多いのはもちろんですが、他にも生きがいのため、社会とのつながりのため、健康のためなど、目的も様々です。ひとえに「労働意欲のあるシニア世代」と言っても、仕事に対するモチベーションはバラバラなのです。

シニア人材に対するマネジメント・ノウハウが乏しい

そのようなシニア人材を受け入れる側としても、これまでに経験のない場合が多く、当然ノウハウもありません。実際、つい昨日まで上司だった役員が今日から同僚になるというケースもあり、それこそ呼び方から気を遣うなど、現場の戸惑いは火を見るよりも明らかです。

年功序列の慣例が抜け切らない日本社会では、年下の上司や年上の部下といった歪んだ関係値はあまりうまく行かないことが多く、シニア人材に対する適正な評価も難しいのが現状です。

シニア人材が定年前と変わる環境に対応できない

このような戸惑いは現場だけに限らず、採用されるシニア世代でも同様です。役割も処遇も変わっているのに定年前の役職や立場から抜け出せず、周囲と馴染めないケースも多く見受けられます。

職場や仕事が変わっても、同僚に対して上から目線で接してしまう、上司に対して露骨に意見してしまう、口だけで自分では動かないなど、前職を引きずった勘違いの例は後を絶ちません。また急激に変わる報酬面でも、自身の価値を見失い、モチベーションを下げてしまうケースもあるようです。

シニア活用を成功させるためのポイント①~マネジメント~

それでは、シニア活用を成功に導くためにはどのようなことがポイントとなるのでしょうか。

大きく分けて、シニア人材の管理や受け入れ体制の整備といった「マネジメント」的な側面と、実際の現場での役割や職務領域といった「就業機会創出」としての側面がありますので、それぞれに分けて解説したいと思います。

まずはマネジメントの上で重要となるポイントをご紹介します。

シニア人材のモチベーションを理解する

前述のように、労働意欲のあるシニア世代と言っても、年金受給年齢に達するまでの生活費や孫にあげる小遣いを稼ぎたい人、社会とのつながりを維持したいと考えている人、自身の技術を埋もれさせたくないと考えている人など、モチベーションは様々です。

中途採用ならば、自社が希望する職種やスキルに合わせて応募者の経験や入社後にやりたいことなどをきちんと吟味した上で選考・採用するのが一般的ですが、シニア人材に関しては、まだまだ確たる方針を定めて採用活動を行っている現場は少なく、「シニア採用」と一くくりにしてしまっているのが現状です。

まずは、シニア人材のモチベーションを理解し、中途採用並みに個々に焦点を当てる考え方にシフトすることが大前提となります。

年齢による人事のあり方を見直す

シニア人材の労働に対するモチベーションの多様性を見る限り、「定年を65歳に引き上げその後希望者を再雇用する」といった一律的な対応は、企業人として全うすることをモチベーションとするシニア人材以外には、とてもマッチしているものとは言えません。企業としても、応募者との間にミスマッチを含むような採用活動は、本来、敬遠すべきことのはずです。

例えば、定年の年齢を選択制にし「定年→再雇用」の時期をフレキシブルに対応することで、社員は早い段階から定年後のキャリアプランを意識することが可能となります。今後、若年労働力が減りより一層の労働人口の高齢化が見込まれる中、現在のような年齢による一律的な退職を前提とした人事管理は、意味をなさなくなる可能性も考えられます。

シニア人材の管理体制を構築する

シニア人材を受け入れる現場にも、意識改革・体制強化が必要となります。年齢や過去の肩書に囚われないシニア人材への評価方法を現場での役割に応じて確立させるのはもちろん、実際にシニア人材とともに働く現場の従業員やスタッフに対しても研修や教育が必要となります。

評価同様、年齢や過去の肩書に囚われないコミュニケーションを行い、後述するシニア人材に期待する役割や働き方を共有できるようにすることも、重要ポイントとなってくるでしょう。

シニア活用を成功させるためのポイント②~就業機会の創出~

最後に、シニア人材をどのような現場や職務領域で活用すればよいか、効果的な就業機会の創出に関するポイントをご紹介します。

シニア人材への役割を明確化する

まずは、個々にモチベーションやバックボーンが異なるシニア人材に対して、企業として何を望んでいるのか、役割を明確にすることが重要です。

一般的に、技術的・知識的なスペシャリティを発揮してもらう、若手社員の育成や中堅社員のサポートを期待する、組織やグループでリーダーシップを発揮してもらうといった役割が挙げられますが、採用の現場に即してより具体的に設定することで、企業として欲しいシニア人材像もより鮮明に浮かび上がってきます。そしてそれらをシニア人材と現場とが共有することで、有効なシニア人材の活用につながります。

個人に合わせた採用方法を用意する

同様に、個々にモチベーションやバックボーンが異なるシニア人材に対して、様々な働き方を用意するのも、有効なシニア活用に必要なポイントとなります。

常勤・非常勤、シフト(交代)制・フレックス制といった勤務形態や、時間給や能力給、出来高給といった賃金形態、契約や嘱託、アルバイト、パートタイムといった雇用形態など、シニア人材の個々のケースに対して、どれだけ採用方法を柔軟に対応できるかが鍵となります。

シニア人材ならではの仕事を用意する

現在、シニア人材の主な職務領域は、共通事務や庶務などを代表とする単純作業が大半を占めています。定年前に従事していた業務でその一部(担当クライアントや担当業務)を引き続き担当する、専門的な知識や経験を生かした業務を行う、といったケースもありますが、量的にはごく限られたものに過ぎません。今後は、シニア人材ならではの職務領域の開発が不可欠となります。

増加するシニア層ユーザーへのサービス

前述の「シニア人材を活用するメリット」でもご紹介した通り、企業にとって社会の高齢化はエンドユーザーの高齢化も意味しています。営業職や接客の現場などでは、シニア世代ユーザーへの対応はもちろん、同世代の視点での商品開発やサービスの向上、サポートなどが期待できます。

知識や経験を生かした品質管理

研究・開発といった現場では、長年の従事で培った知識を活用することで既存製品の保守や品質管理といった分野での活躍も期待できます。また、個々が持つ暗黙知を形式化するようなナレッジマネジメントの分野も、シニア人材に適した業務と言えるでしょう。

セカンドキャリアを意識したUターン・Iターン

若者の仕事に対する価値観が変化し、転勤が好まれなくなってきていることから、新卒・中途採用の現場でも積極的に実施されている地方採用・現地採用ですが、生まれ育った地元や企業が事業展開している地域への「Uターン・Iターン」といった地方勤務も、シニア人材の職務領域として挙げられます。定年退職後は田舎でゆったり仕事をしながら暮らしたいと考えているシニア世代も多く、セカンドキャリア・サポートの観点からも有効だと考えられます。

特に近年では「地方創生」がキーワードに挙げられる機会も多く、助成金を受けることができたり積極的に支援する自治体も出てきたりするなど、企業としても取り組みやすくなっていると言えます。

まとめ

  • 少子高齢化による労働力人口の変化に伴い、65歳以上の高齢者(シニア世代)は重要な人材源として注目されている。
  • シニア人材の活用にはコスト面だけでなく、若手社員の育成効果や既存社員では難しい勤務形態の融通性といったメリットもある。
  • シニア世代は個々に労働へのモチベーションが異なることから、それらにフレキシブルに対応することが重要となる。
  • シニア世代を人材として受け入れる企業や現場でも、人事の在り方や既存社員の意識改革が必要となる。
  • 一方、シニア世代自身も、役割や処遇など定年前と変わる環境に対応しなければならない。
  • シニア人材の新たな職務領域の開発が急務。特に、社会の高齢化は消費者の高齢化も意味することから、それらへの対応などにシニア人材の活用の道がある。

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