はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年11月20日(火)更新

グローバル経営

グローバル化が進み、海外進出を果たす企業が増加しているため、グローバルレベルでのマネジメントとして「グローバル経営」について注目が集まっています。「グローバル経営」とはどのように考えられているのか、概念や課題はどのようなものがあるかなど、「グローバル経営」についてご紹介いたします。

グローバル経営 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

グローバル経営とは?

インターネットなどのIT技術の進化・普及によって、距離も国も飛び越えて情報が行き交い、世界中とつながることができるようになりました。インターネットの世界に限れば、活動拠点は関係なく、インターネットやスマートフォンのアプリの中だけで完結し、もはや無国籍化してきています。

日本も、欧米などに遅れつつもグローバル化による海外進出が進んでいます。進出した先ではそれぞれの独自文化があるため、市場特性も様々であり全世界で共通化・標準化する部分と、市場特性に合わせたローカル部分を両立、つまりは多様性への対応が求められています。

「グローバル経営」とは、このような世界の多様性に対応した経営を行うことを指しています。

グローバル経営が必要とされる背景

「グローバル経営」が必要となってきた背景には、世界的なビジネス環境の変化があります。主だった理由についてピックアップしました。

加速するグローバル化

国内の市場が縮小している中、世界同時不況などの影響がありながらも新興国市場は拡大を続けています。先進国が圧倒的市場規模を誇っていた時代から逆転し、今や新興国の市場規模の方が上回るようになりました。

特にインドや中国などでは生産拠点としてだけではなく、車や家電製品などを購入する「中間所得層」の拡大が予想され、マーケットとして重要になってきました。新たなマーケットを狙い、欧米をはじめ各国が新興国市場へ参入するなど、世界経済が急速にグローバル化しています。

日本企業の海外進出

図1にあるように、近年、日本企業の海外進出は急激に増え続けています。特に中国やインドの2つの巨大市場に先進国の企業が多数進出し、平成18年以降、日本企業の進出も急激に増加しています。(図表2参照)

今後もグローバル化の加速によって、日本企業の海外進出の増加が考えられます。

【図表1】海外在留邦人数調査統計(平成28年要約版)

【出典】外務省:海外在留邦人数調査統計統計表一覧「平成28年(2016年)要約版(平成27年10月1日現在)」

【図表2】日系企業海外進出状況

【出典】中小企業庁:経済のグローバル化と 我が国中小企業

クロスボーダーM&Aの増加

海外進出方法の一つとして、他国企業との合併・買収である「クロスボーダーM&A」が考えられ、近年、増加傾向にあります。

2014年にサントリーホールディングスが1兆6000億円で米ビーム社を、ミツカンホールディングスが2150億円でユニリーバのパスタソース事業を買収し、日本企業実施の大型クロスボーダーM&A(In-out)が注目を浴びました。また、2015年には秋田の中小企業であるインスペック(株)がスイスの企業を買収するなど、企業規模にかかわらずクロスボーダーM&A(In-out)を行うケースが増え、M&Aの重要性が高まってきています。

少子高齢化と人口減少

少子高齢化によって消費人口が減少し、新たな市場に活路を見出そうと海外進出が増加する一方、人口減少による人材不足を補うため、女性や高齢者の雇用促進が進められています。また、それでも人材が足りないことが予想され、外国人労働者の受け入れが検討されています。海外に進出しなくとも、国内企業で外国人労働者が増える可能性があります。

グローバル経営の目的

国内外問わず、企業の根幹は持続的な競争優位の構築です。市場が小さくなった国内以外に海外へ進出し、活路を求めたことによって、グローバル経営が新たに必要となってきました。

そのため、グローバル経営の目的とは、各拠点の政治や文化など地域事情があることを踏まえつつ、全社をコントロールし、経営の安定を図ることができる組織の構築です。

グローバル経営管理の課題

グローバル経営を行うには、国内外の共通化を行うグローバリゼーションと地域化、現地化のローカリゼーションの確立と共存が必要であり、双方のバランスや対策方法によって、競争優位が確保できるかどうかが左右されます。

グローバリゼーションはしっかり認識できているものの、ローカリゼーションが進まない企業も多く、自社での対応方法を検討する必要があります。

管理会計

海外進出を果たした企業を「グローバル企業」と一括りで表すことが多いですが、その組織形態には様々なものがあります。

クリストファー・バートレットとスマントラ・ゴシャールの分類によれば、グローバル企業の組織モデルとして、1.グローバル型、2.インターナショナル型、3.マルチナショナル型、4.トランスナショナル型があるとされており、組織モデルによってグローバル本社と各拠点の役割が違ってきます。このような組織形態の違いで意思決定に必要な会計情報や利用の仕方も違うため、自社の組織モデルについて理解し、その企業にマッチした管理会計の仕組みを構築・運用が必要です。

また、業績管理・原価管理などの企業のデータは、社内向けの「管理連結」と、株主など外部への説明のための「制度連結」に分類されます。会計情報は「制度連結」に使用されるため、各子会社の会計情報を収集し、グループとしての数値と、事業別や地域別といった単位での数値を用意する必要があるため、連結処理(連結会計)が必須となります。

グローバル本社の設立

グローバル経営管理では、国内以上に様々な側面からの分析を行い、意思決定をしていかなければならないため、「制度連結」のような会計情報だけでは足りず、「管理連結」が必要となります。 「管理連結」はグローバル経営管理には必須であるにもかかわらず、これまで十分に取り組んでいない企業が多く、グローバル経営の必要性が高まると同時に、「管理連結」も注目されています。

「管理連結」や「制度連結」としてとデータを作成するには、海外拠点のデータをいち早く情報を集め、統計や分析といった情報の加工を施していく必要があります。国内と違い、各データは拠点ごとに粒度が違うなど、一律に扱えるものではないため、データを収集し、分析する仕組みとして「連結経営管理基盤」(情報を体系的に管理する情報インフラ)が不可欠です。

「連結経営管理基盤」機能などを構築・管理し、分析結果として上がってきたデータを判断材料として各拠点全てをコントロールするためには、本社機能の多国籍化が重要であり、海外を専門とする「グローバル本社」が重要となります。海外でのシェアやベストプラティスがどこにあるかなどを分析し、日本本社との役割をどう分けるのか、場所はどこにするべきかなど、グローバル本社の設立は重要な課題のひとつと言えます。

経営理念の共有

グローバル経営の第一歩として「経営理念やビジョンの共有」があります。日本と海外では「当たり前」と思うことにも違いがあり、国内と同じ方法では企業理念は浸透せず、海外拠点のコントロールが難しくなります。

逆にどの国の人材にも経営理念が浸透することで、グループ全体に一体感が高まり、意思決定がしやすくなるなど、円滑な事業展開が可能になります。また、経営理念の共有によって行動指針や判断軸も共有し、海外拠点での早期ローカリゼーションの確立が期待できます。

【関連】経営理念とは?その目的や策定方法、企業事例までご紹介/ BizHint HR

人材育成

人材育成はグローバル経営の根幹といってもいいほど重要な課題です。グローバリゼーションを進めるには海外の事情にも詳しくなければならず、ローカリゼーションを進めるには現地の文化や言語を理解している必要があります。世界の情報や知識などを兼ね備え、グローバル経営を牽引していくグローバル人材やグローバルリーダー育成が成功のポイントと言えます。

【関連】グローバル人材とは?定義、必要性、採用や育成のコツをご紹介 / BizHint HR
【関連】グローバルリーダーとは?言葉の意味や能力、育成に関して解説 / BizHint HR

人事制度

人材育成と人事制度を含む人材マネジメントは、グローバル経営の成功を左右するものです。日系企業よりも欧米系企業の方がグローバル人材マネジメントの構築が進んでいることもあり、双方で人事制度に違いがあります。

例えば、日系企業ではチームで働くことが多いため責任の範囲が曖昧ですが、欧米系企業では目標管理制度(MBO)で個人を評価する仕組みとなっており、個人の役割、責任の範囲や目標がはっきりしているなど、日本の人事制度が海外では通じない点が多々あります。

グローバル経営において人事制度を構築する主なポイントは2つあり、1つは人事制度の「対象者の限定」、もう1つは「シンプルな仕組み」です。

・point1 対象者の限定

図表3の子会社人材育成と管理にあるように、日系企業は全ての人材を育成し、徐々にボトムアップする方法を取っていますので、人事評価には莫大なコストと労力がかかります。一方欧米系企業の人材マネジメントは「次世代経営者」「若手のハイポテンシャル」に集中させ、対象者を絞っています。

【図表3】欧米・日系企業のグローバル人事の傾向比較

【出典】NTTデータ経営研究所:欧米・日系企業のグローバル人事の傾向比較

・point2 シンプルな仕組み

図表3の共通した人事制度にあるように、欧米はグローバルグレードの設定(等級制度)を導入しており、図表4のようにグレードを分け、どこの拠点にいようとも共通した人事評価となる、シンプルでわかりやすい仕組みとなっています。日系企業の人事評価は、グローバルグレードよりも精緻(せいち)なため、日本の人事評価を海外拠点に導入して失敗した事例が多く見られます。

【図表4】グローバル等級イメージ

【出典】DIAMOND online:人事・組織のグローバル化対応(前編)「職能型」から「職務型」への道

【関連】グローバル人事とは?求められるグローバル人事制度と人事戦略 / BizHint HR

リスクマネジメント

活動拠点が海外に拡大した場合、国内とは異なるリスクマネジメントが必要となります。海外進出候補地のビジネス上、あるいは関連したリスクやグループ企業内での情報共有体制など、その他、図表5にあるようなリスクが存在しつつ、激しい競争に勝つためには適切にリスクをとる必要があり、精度の高いリスクマネジメントが欠かせません。

【図表5】グローバル企業上級経営者のリスク認識

【出典】経済産業省:第3節 グローバル経営力の強化のために

【関連】「リスクマネジメント(リスク管理)」とは?手法・事例もご紹介 / BizHint HR

ガバナンス

グローバル経営において、海外法人が増え、海外子会社へのガバナンスが必要となります。ガバナンスは図表6にあるように、本社としてのガバナンスと海外子会社に対するガバナンスがあります。海外子会社のガバナンスは、子会社だけでなく、さらにその子会社(孫会社)について説明責任が果たせるようにしなくてはなりません。

当たり前のように思うガバナンスも、油断を生じると大変厳しい状況になることかあり、事実、LIXILは海外企業を買収し子会社化しましたが、子会社で粉飾決算が発覚し、巨額の損失を被りました。まさに海外子会社へのガバナンスが機能していなかったためで、このような事態を避けるためにも、カントリーリスクへの考慮も含め、ガバナンス強化は必須となります。

【図表6】広義のコーポレート・ガバナンスの概念図

【出典】日本監査役協会:日本企業のグローバル化と海外子会社 に対するガバナンスのあり方について

グローバル経営大学校とは?

「グローバル経営大学校」とは日本電産が2016年5月に開校したグローバル人材育成のプログラムです。「100年後も成長し続けるグローバル企業」を目指し、およそ1年間にわたり、経営観、経営理念の理解、知識や物の考え方などを磨きあげるため、断続的なカリキュラムによってグループ内経営幹部候補の育成を行いうとしています。

先に述べたとおり、グローバルな人的資源が必要です。「100年後」とあるように長期的視野で人材育成を捉え、 自社内でグローバル人材を育成し確保し続ける体制として「グローバル経営大学校」を開校しています。

【参考】日本電産株式会社:真のグローバル人材の育成を目指して

グローバル経営学会とは?

グローバル化が急速に進展し、世界的な経済環境は急変と、ビジネス環境が著しく変化するため、グローバル化への対応は企業個別の課題だけ収まりきれません。そのため、グローバル社会で起こる様々な課題解決のために実践的な研究を行い、その研究成果を社会に普及させると共に、グローバル人材の育成ができることを目的に、グローバル経営学会が設立されました。グローバル経営に関する国内・海外視察の企画も行なっており、過去3回ほど実施しています。

【参考】グローバル経営学会

参考書籍

グローバル経営についてさらに情報を得るための書籍をご紹介します。

グローバル経営史

グローバリゼーションが広がりつつも産業クラスター形成が進むメカニズムや、12の産業からグローバル化の実態を捉えるなど、国際競争の歴史について描いた1冊です。

【参考】出版社:名古屋大学出版会 発行年:2016年 著者:橘川 武郎 (編集), 黒澤 隆文 (編集), 西村 成弘 (編集)

グローバル経営入門

グローバル経営の課題を体系的に解説した初の国際標準テキスト。まだなじみの少ない「メタナショナル経営」ついても触れられており、グローバル経営の入門書としても活用できます。

【参考】出版社:日本経済新聞社 発行年:2003年 著者:浅川 和宏

グローバル経営戦略

インドや中国といった新興国に進出した場合のグローバル経営についてまとめられた書籍。事例研究によって現場の声も取り上げつつ、研究としてまとめられています。

【参考】出版社:東京大学出版会 発行年:2013年 著者:元橋 一之

月刊グローバル経営

グローバル経営の課題についての特集やCSRレポートの連載などが掲載されている国際経営情報誌です。月刊誌のため毎月タイムリーな情報を得ることができます。

【参考】出版社:日本在外企業協会 発行年:毎月1回

まとめ

  • 国内市場に限界が訪れ、新興国市場は拡大していることから世界的にグローバル化が加速している。
  • 日本企業の海外進出も増え、クロスボーダーM&Aも増加している。
  • グローバル経営はグローバル本社の設立や、人材育成など、グローバル化に対応できる組織づくりが必要

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計180,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 事業運営のキーワードが把握できる
  • 課題解決の事例や資料が読める
  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

グローバル経営の関連キーワードをフォロー

をクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードフォローの使い方

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次