連載:第2回 人材育成 各社の取り組みを追う
「グローバル人材」はどうしたら育つのか!? APUのグローバル教育
グローバル化が加速するビジネスシーンにおいて海外市場特有の様々な事情や文化的背景を全面的に受け入れて、自社と取引相手の両方にとってベストな条件を見極め、Win-Winな関係を築き上げることができる「グローバル人材」の重要性が高まっています。その「グローバル人材」を育てる立命館アジア太平洋大学(以下、APU)の取り組みと、「グローバル人材」を活かしきれない企業の課題について、横山研治APU副学長が語ります。
企業は人事戦略の転換をしなければいけない
有効求人倍率が高まるなか、企業の人材獲得競争も厳しさを増しています。グローバル化が加速するなかで、「グローバル人材」をいかに採用し、活用していくかが、人事戦略や経営戦略の鍵となるケースも多いはず。しかしながら、 「企業の『グローバル人材』に対する意識は物足りない……」 とAPU副学長の横山研治さんはこぼします。
「APUでは約90か国からの留学生が学んでいます。が、彼らは英語で経営学の授業を受け、日本のことをよく知っている人材です。
例えば、日本企業がタイやインドネシアなど東南アジアに進出するとき、APU出身者をプロジェクトにアサインするとよいと思います。彼らは英語も日本語も出来て、現地の事情にも通じた上でビジネスを分かっている人材ですから。海外進出の成功確率を上げたいのならば、戦略の一つに入るでしょう。『グローバル人材が必要』との言説にはみなさん納得はしつつも、『では、どんな人材なのか?』という要件については固まっていません。なので、 単純にグローバル人材の定義は『英語ができる人』、留学生であれば『日本語が上手な人』とだけになっている。非常にもったいない話 だと思います。
一方で、APU出身者の側に立ってみると、また違う景色が見えてきます。『せっかくAPUで4年間日本語を学んだのだから、日本で日本語を使って就職したい』と考えている方も少なくありません。留学生と言ってもやはり人。人のモチベーションを大切にしながら、事業戦略、人材戦略を考えていくべきでしょう」
グローバル人材を巡るミスマッチは少なくないと言います。とある企業ではインド出身者のエンジニアが多く採用でき、プロジェクトも回っていたものの……インド出身者の退職が相次いだとか。彼らに理由を聞いてみると、「このまま在籍していても、出世できるかわからず自分のキャリアパスが見えない。だから、転職する」という答えが返ってきたとか。
「実際、APU卒業生は大手企業に就職が決まっていくことも多いですが……。卒業生の状況を聞くとみなさん一度は退職して転職活動をしたり、改めて学び直しのために大学院に進んだりしています。その理由は、『自分の将来』を見据えてのことです。 企業側が平等を謳っていても意外と彼らには『ガラスの天井』を感じる ときがあると言います。そのためにも、企業はダブルトラックを用意することが重要になっていくでしょう。
現在、人手不足であり企業にとっては売り手市場で採用難が続いています。『人手が足りないから、外国人留学生を採用しよう』という流れもあるのも存じていますが……。私はその戦略では難しいと思います。
福岡にある本多機工というポンプの会社があるのですが、出戻りOKにしたり、『のれん分け』制度をつくり、外国人社員の独立も積極的にサポートしています。その結果売上が1.5倍になったそう。グローバル人材を採用してどう活かすか。経営トップ層のマインドセットがいかに変わっていくかも重視されます」
これからの人材マネジメントは、一律な人事制度で管理するのではなく、人のモチベーションに即して考えていく必要がありそうです。
留学生と日本人学生の比率は50対50、混ぜる教育がなぜよいのか
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