はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2019年1月9日(水)更新

介護休業

少子高齢化の影響もあり、家族の介護が必要となる労働者が増加している一方で、介護休業の取得率は低く、離職している労働者も少なくありません。各企業においては、労働力の確保を図る意味でも、介護休業制度や短時間勤務制度などの労働者への周知徹底、利用の援助を行うとともに、これまで以上の多様な働き方を導入していくことが求められています。

介護休業 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

介護休業とは

介護休業とは、育児・介護休業法で認められている、労働者が家族を介護するための休業です。育児休業よりも義務化されたのが遅いことや、職場によって利用が難しい場合もあり、各企業においては完全に定着しているとは言えない状況です。

育児・介護休業法

育児・介護休業法(正しくは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)は、平成4年に育児休業法として施行され、その後、平成7年に介護休業部分が加わり(当初は努力義務で、義務化は平成11年)、育児・介護休業法になったものです。

少子高齢化が進む中、育児、介護については、国としても仕事との両立支援に力を入れており、重点的に法改正が行われています。

介護休業をとりまく背景

家族の介護が必要となる労働者は増えていますが、企業における仕事と介護の両立支援体制は現状において十分なものではなく、対象労働者の介護休業取得率は低く推移しています。また、介護を理由とした離職者も相当数にのぼっており、対象労働者にとっては厳しい状況であると言えます。

少子高齢化の加速

少子高齢化は、要介護者の増加と介護者の減少を意味しており、互いに反比例する関係であるため、労働力の破綻が懸念されています。

以下図表1は平成28年の総務省の資料で、人口と高齢化率の推移、推計をまとめたものです。調査時点最新の2015年の総人口が1億2,520万人、高齢化率が27%であることに対し、2060年の推計総人口は8,674万人にまで減少、推計高齢化率は40%にまで上昇しており、2.5人に1人が65歳以上の高齢者社会が到来すると推計されています。

【図表1】人口・高齢化率の推移と将来推計

【出典】【総務省】平成28年版情報通信白書「少子高齢化の進行と人口減少社会の到来」

壮年期・中年期での介護

家族の介護が必要になってくる年代については、親の出産年齢も考えると、子が40歳から60歳位のいわゆる壮年期、中年期になってきます。この年代の労働者は社内においては中核的役割を担っていることが多く、介護によって休業すること自体が簡単ではないものと考えられます。

以下図表2は平成24年の総務省の資料で、介護をしている雇用者の介護休業取得者割合、性別割合、年齢階級別割合をまとめたものです。介護をしている雇用者全体でみると、介護休業の取得者は3.2%(男女計)、女性2.9%、男性3.5%と、かなり低い率になっていますが、年齢階級別にみると、取得者の割合が一番高いのは「45~49歳」の4.5%(男女計)、女性4.1%、男性5.2%で、次いで「50~54歳」の3.9%(男女計)、女性3.5%、男性4.5%となっており、やはり、壮年期、中年期において、介護の必要性が高まっていることがわかります。

【図表2】介護をしている雇用者の介護休業取得者・性別・年齢階級別割合
(介護をしている雇用者数計:2,399.3千人)

【出典】【厚生労働省】改正育児・介護休業法 参考資料集(総務省「平成24年就業構造基本調査」)

介護離職問題

介護を理由として離職している労働者は毎年、相当数にのぼっています。労働者も可能であれば仕事と介護を両立していたと考えられますし、労働力人口が減少していく中、企業にとっても大きな損失と言わざるを得ません。

以下図表3は平成24年の総務省の資料で、調査時点過去5年の介護・看護を理由とする離職者数をまとめたものです。調査時点最新の「平成23年10月~平成24年9月」の1年間だけで、10万人以上が離職していることがわかります。男女別にみると、男性約2万人、女性約8万人で、女性の離職者数の方が多くなっていますが、夫婦間においては収入の少ない妻の方が家族の介護を担っていることが推測できます。

過去5年間については毎年増加傾向というわけではありませんが、少子高齢化を考えると、企業の支援体制が進まない限りは減少していくことはないものと考えられます。

【図表3】介護・看護を理由とする離職者数(15歳以上)

【総務省】平成24年就業構造基本調査の情報を元に作成

【関連】介護離職の問題点とは?親の介護を働きながら行うために/BizHint HR

介護休業の現状

介護休業の取得率の低さもなかなか改善されていません。介護休業のほかにも短時間勤務や介護休暇など、仕事と介護を両立させるための制度がありますが、一様に低い取得率となっています。

以下図表4は平成24年の総務省の資料で、介護をしている雇用者2,399.3千人のうち、介護休業などの制度の利用有無、また、それら各制度の利用割合をまとめたものです。雇用者2,399.3千人のうち、介護休業などの制度をどれかひとつでも利用している割合は、総数で15.7%、正規職員では16.8%、非正規職員では14.6%と、正規、非正規でみれば、やはり正規職員の方が多い結果となっています。

また、各制度別の利用でみると、介護休業を利用している割合は総数で3.2%(図表2の数字と同じ)と低い割合になっていますが、短時間勤務と介護休暇の利用も、ともに総数で2.3%と、介護休業よりも低い割合になっており、そもそも各制度全体として利用できない、あるいは利用しづらい職場環境であることが推測できます。

【図表4】介護雇用者の介護休業等各制度の利用有無、利用割合

【出典】【厚生労働省】改正育児・介護休業法 参考資料集(総務省「平成24年就業構造基本調査」)

育児・介護休業法の改正ポイント

育児・介護休業法は、直近では平成29年1月と10月に改正法が施行されています。 主な改正ポイントは次のとおりです。

平成29年1月の改正内容

要介護状態の認定の緩和

これまで、介護を必要とする家族の対象は、「要介護2~3相当」とやや曖昧な整理でしたが、新たな介護認定区分を導入して、「要介護2以上」とするとともに、要介護1でも一定の要件(認知症などで全面的な介護が必要な場合など)を満たせば、対象とされるようになりました。

介護対象家族の範囲の緩和

これまで、介護を必要とする家族の範囲として、祖父母や兄弟姉妹、孫については、同居かつ扶養要件がありましたが、この要件が撤廃され、同居かつ扶養していなくても介護対象家族に含まれるようになりました。

介護休業の取得における分割取得の追加

これまで、介護を必要とする家族1人につき通算93日まで、原則1回に限り取得が可能でしたが、通算93日まで、3回を上限として分割での取得も可能になりました。

介護休暇の取得における半日単位取得の追加

これまで、1日単位でのみ取得が可能でしたが、半日単位での取得も可能になりました。

所定労働時間短縮措置の利用期間の拡大

これまで、所定労働時間の短縮措置等は、介護休業と通算して93日の範囲内で取得が可能でしたが、介護休業とは別に、利用開始から3年以上の間で2回以上利用できるようになりました。(詳細は後述します。)

所定外労働時間の免除

新たに、介護を必要とする家族1人につき、介護の必要がなくなるまで、残業の免除を請求できるようになりました。

対象労働者となる有期契約労働者の要件の緩和

これまで、介護休業と取得できる有期契約労働者の範囲としては、「入社1年以上、休業開始予定日から93日を越えて継続雇用が見込まれる、休業開始予定日から93日を越えて1年以内に労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと」とされていましたが、要件が緩和され、「入社1年以上、介護休業間始予定日から93日を越えて6月以内に労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと」となりました。

介護休業を理由とする嫌がらせなどの防止措置の義務化

新たに、上司、同僚からの介護休業などを理由とする嫌がらせを防止する措置を講じることが事業主に義務付けられました。

平成29年10月の改正内容

介護休業制度の個別周知の努力義務化

これまでも事業主には、介護休業中の待遇や休業後の賃金、配置などの労働条件について、あらかじめ定めて労働者に周知する努力義務がありましたが、さらに、労働者が家族を介護していることを知ったときにも、その対象労働者に個別に休業制度などに関して知らせる努力義務が追加されました。

介護休業制度の概要

育児・介護休業法の改正内容も踏まえた、介護休業制度の概要は以下のとおりになります。

介護休業の定義

労働者が、要介護状態(常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。

要介護状態とは、「2週間以上、常時介護を必要とする状態」で、介護保険制度の要介護区分が「要介護2」以上であるか、一定の基準に該当する場合には要介護状態と認められます。

(「要介護1」でも、認知症などで全面的な介護が必要な場合は認められる場合があります。)

【参考】常時介護を必要とする状態に関する判断基準/厚生労働省

介護休業の対象者

上記の要介護状態にある家族を介護する労働者です。有期契約労働者などは契約期間によって対象とされない場合があります。

労使協定締結による除外者

労使協定を締結することにより、以下の労働者は対象外にすることができます。

  • 入社1年未満の労働者
  • 介護休業の申し出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

有期契約労働者の対象要件

有期契約労働者については、休業の申し出時点において、以下の要件を満たすことが必要です。

  • 入社1年以上であること。
  • 介護休業取得予定日から93日を越えて6か月以内に労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

介護休業制度の対象除外者

日々雇用される労働者については、対象外になります。例えば、建設業の日雇労働者などが挙げられますが、日々雇用契約、日雇契約など、日毎に雇用契約を締結している労働者は、育児・介護休業法において共通して対象外になります。

対象となる家族の範囲

介護の対象となる家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫になります。

介護休業の期間と回数

介護を必要とする家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して取得できます。

介護休業中の給与取扱い

育児休業などその他の休業も含めてですが、事業主には休業期間中に給与を支払う義務はありませんので、原則として無給です。なお、一定の要件を満たしていれば、介護休業中に雇用保険から介護休業給付を受けられる場合があります。これについては後述します。

介護休業の手続き

介護休業を希望する場合は、休業開始予定日の2週間前までに、以下の事項を記載した「介護休業申出書」(社内において就業規則などで定められている様式)を事業主に提出します。事業主が適用と認める場合には、ファックスまたは電子メールなど(「など」とは、イントラネット(企業内LAN)を利用した申し出などが想定されています。)による申し出も可能です。

なお、この申し出は介護休業開始予定日の前日までであれば、撤回できます。

  1. 申出の年月日
  2. 労働者の氏名
  3. 対象家族の氏名及び労働者との続柄
  4. 対象家族の要介護状態について
  5. 介護休業開始予定日および介護休業終了予定日
  6. 対象家族についてのこれまでの介護休業日数(これまで介護休業を取得している場合)

また、介護休業の申し出を受けた事業主は、速やかに(おおむね1週間以内とされています。)、以下の事項を記載した書面を対象労働者に通知しなければならないことになっています。対象労働者が希望する場合には、ファックスまたは電子メールなどによる通知も可能です。

  1. 介護休業の申し出を受けた旨
  2. 介護休業開始予定日および介護休業終了予定日
  3. 介護休業の申し出を拒む場合には、その旨およびその理由

このほか、対象労働者からの申し出が2週間前までに行われなかった場合には、事業主は一定の範囲で介護休業開始予定日を指定することができたり、介護休業を開始した対象労働者は介護休業終了予定日の2週間前までに申し出ることにより、1回に限り介護休業終了予定日を繰り下げることもできます。

手続きの詳細については、厚生労働省やハローワークのホームページでご確認ください。

【参考】介護休業制度(手続き解説)/厚生労働省
【参考】社内様式例/厚生労働省

介護休暇制度との違い

育児・介護休業法の制度として、介護休業とは別に介護休暇というものがあります。

対象となる労働者や介護が必要な家族の考え方は同じですが、制度の趣旨としては、育児における子の看護休暇と同様に、対象家族の通院の付き添いなど、突発的に発生するものに対応するためのものですので、取得できる期間は短いものになります。

介護休暇制度の対象者

介護休業を取得できる労働者と同様です。

労使協定締結による除外者

労使協定を締結することにより、以下の労働者は対象外にすることができます。

  • 入社6か月未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

介護休業では、「入社1年未満の労働者」は対象外とすることができましたが、介護休暇では、入社6か月を超えていれば、対象外にすることはできません。

有期契約労働者について

有期契約労働者については、介護休業のように、入社1年以上でなければならない制限は設けられていません。上記の労使協定も同様ですが、介護休暇については介護休業よりも取得日数が少ないこともあり、入社間もない社員でも利用できるようになっています。

介護休暇制度の対象除外者

介護休暇においても、日々雇用される労働者については、対象外になります。

介護休暇の日数と単位

介護その他の世話を行うために、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)までの休暇を、1日または半日(所定労働時間の2分の1)単位で取得できます。

なお事業主は、以下の労働者については1日単位でのみの取得に限定できます。

  • 1日の所定労働時間が4時間以下の労働者
  • 半日単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者(労使協定が必要)

介護休暇中の給与取扱い

介護休業と同様に、事業主には休暇期間中に給与を支払う義務はありませんので、原則として無給です。

介護休暇の手続き

介護休業と違い特に書面に記入する必要はなく、当日に電話で申し出ることでも取得できます。ただし、社内規定により様式が定められている場合にはその様式によります。

所定外・時間外等労働時間の制限

介護を行う労働者から、所定外労働(会社で決められている所定労働時間を超える労働)や時間外労働(労働基準法で定められている法定労働時間を超える労働)、また深夜業などの制限について請求があった場合には、事業主は、原則としてそれらの制限に応じなければなりません。

以下図表5は各労働時間の制限をまとめたものですが、要約すると次のようになります。

  • 各労働時間の制限とも、日々雇用される労働者、入社1年未満の労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者は、そもそも対象外、あるいは労使協定の締結により対象外になる。
  • 対象労働者が請求できる各労働時間の制限期間は、1回の請求につき1月以上1年以内、あるいは1月以上6か月以内で、請求できる回数に制限はない。
  • 対象労働者の請求は、各労働時間の制限開始1ヶ月前までに行わなければならない。
  • 事業主は、事業の正常な運営を妨げると判断した場合は、対象労働者からの請求を拒むことができる。

【図表5】所定外労働・時間外労働・深夜業の制限

【厚生労働省】育児・介護休業法における制度の概要の情報を元に作成

事業主に求められる措置

事業主には、所定外労働の制限などのように、労働者からの請求に応じるだけではなく、対象労働者が安心して介護ができるように積極的に職場環境を整備していくことが求められています。

不利益取扱いの禁止

事業主には、介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等について、労働者が申し出たこと、または、その取得などを理由とする解雇やその他の不利益な取扱いが禁止されています。

介護休業に関する定めの周知等の措置

事業主は、下記の事項について、就業規則などにあらかじめ定め、周知するよう努めなければなりません。

  • 介護休業中の待遇に関する事項
  • 介護休業後の賃金、配置その他の労働条件に関する事項
  • その他の事項

また、労働者が介護していることを知った場合にも、当該労働者に対して個別に関連制度を周知するように努めなければならなりません。

所定労働時間短縮等の措置

事業主は、対象労働者が介護する対象家族1人について、次の措置のいずれかを利用開始から3年以上の間で、2回以上の利用を可能にする措置を講じなければなりません。

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 始業・終業時刻の繰り上げまたは繰り下げる制度(時差出勤の制度)
  • 労働者が利用する介護サービスの費用の助成、その他これに準ずる制度

ただし、労使協定を締結することにより、以下の労働者は対象外にすることができます。

  • 勤続1年未満の労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者

家族の介護を行う労働者に関する措置

事業主は、対象労働者について、介護休業制度又は所定労働時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置(法律で定められた最低基準を上回る措置)を講じるよう努めなければなりません。

ハラスメントの防止措置

事業主は、介護休業制度や各措置の申出、利用に関する言動により、労働者の就業環境が害されることがないよう、労働者からの相談に応じて、必要な体制の整備や措置を講じなければなりません。

労働者の配置に関する配慮

事業主は、就業場所の変更を伴う配置転換において、就業場所の変更により、家族の介護が困難となる労働者がいるときは、その家族の介護の状況に配慮しなければなりません。

紛争解決援助制度

平成22年4月1日から、育児・介護休業法に基づく、紛争解決援助制度が始まっています。

これは、労働者と事業主の間で、介護休業などに関するトラブルが生じた場合には、どちらか一方または双方が都道府県労働局に申し出ることにより、調停や、助言、指導、勧告などの措置を取ってもらえます。裁判よりも簡便な手続きで、無料で利用することができます。

なお、この紛争解決援助制度は、育児・介護休業法のほか、男女雇用機会均等法やパートタイム労働法に関係する紛争が対象とされています。

【参考】紛争解決援助制度について/厚生労働省

介護休業給付金について

介護休業を取得した場合には、一定の条件を満たせば、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。これは休業期間中に賃金が支払われない時のための所得補償の意味合いを持つものになります。

介護休業給付金の受給資格者

受給資格者は以下のとおりです。

  • 介護休業(事業主に申し出を行って取得したもの)を取得した雇用保険の被保険者であること。
  • 介護休業を開始した日前2年間に、被保険者期間が12か月(賃金支払日数が11日以上ある月)以上あること。

有期契約労働者の対象要件

有期契約労働者の場合は、介護休業の開始時に、以下のいずれにも該当していることが必要です。

  • 入社1年以上であること。
  • 介護休業開始予定日から93日を越えて6か月以内に労働契約が満了することが明らかでないこと。

介護休業給付金の支給要件

支給要件は以下のとおりです。

  • 支給単位期間(休業開始日から起算して1か月毎の期間)の初日から末日まで雇用保険の被保険者であること
  • 各支給単位期間において就労日数が10日以下であること
  • 各支給単位期間において支払われた賃金がある場合は、休業開始日前に受けていた平均賃金と比べて80%未満の賃金であること

介護休業給付金は、上記、「支給単位期間」毎に計算されます。

介護休業給付金の支給額

支給額は、原則として以下により計算されます。

「休業開始時賃金日額」×「支給日数」×67%

  • 「休業開始時賃金日額」とは、介護休業開始前6か月間の賃金を180で除した額です。
  • 「支給日数」とは、支給対象期間の終了時期を除いて、30日です。
  • 「休業開始時賃金日額」×「支給日数(30)」を「賃金月額」と言います。

上記の67%という率は、平成28年8月の法改正で40%から引上げられています。

介護休業期間中に賃金が支払われた場合

介護休業期間中に賃金の支払いがあった場合には、その賃金額によって、減額もしくは不支給になる場合があります。

まずは、以下の2つの額を比較することになります。

  1. 支払われた賃金額と、支給額の計算式である「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」の合計額
  2. 賃金月額(「休業開始時賃金日額」×「支給日数(30日)」)

上記1の、2に占める割合により、以下のとおり支給額が調整されます。

  • 13%以下の場合 → 原則の計算式のとおり、賃金月額の67%相当額が支給されます。
  • 13%を超えて80%未満の場合 → 賃金月額の80%相当額と、賃金の差額が支給されます。
  • 80%以上の場合 → 支給されません。

介護休業給付金の支給期間

介護休業開始日から起算して3か月までが支給対象になりますが、介護休業を分割して取得している場合には、通算して93日に達するまでが支給対象になります。

介護休業給付金の手続き

介護休業給付金の申請は、原則として事業主を経由して行うことになっていますので、対象労働者は、社内担当課に申し出(場合によっては支給申請書を記載して提出)を行い、担当課がハローワークに届け出ることになります。

担当課においては、支給申請書に加え、対象労働者の住民票や出勤簿、賃金台帳などを添付して、介護休業終了日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までに届け出ることになります。

なお、これまでは、原則として1回しか申請しかできませんでしたが、介護休業が育児・介護休業法の改正により3回まで分割取得が可能になったことに合わせ、雇用保険法も改正され、介護休業給付金の方でも3回まで分割申請できるようになりました。

申請方法の詳細については、厚生労働省やハローワークのホームページでご確認ください。

【参考】介護休業給付の内容及び支給申請手続きについて/厚生労働省
【参考】雇用継続給付/ハローワークインターネットサービス

介護休業にまつわる助成金

事業主が従業員の職業生活と家庭生活を支援するための取り組みを実施した場合には、国から助成金の支給を受けられる場合があります。介護関係のものについては、次のようなものがあります。

両立支援等助成金

厚生労働省が職業生活と家庭生活の両立支援や女性の活躍推進に取り組む事業主に支給している助成金です。助成金の種類はいくつかありますが、介護支援に関するものとしては次のものがあります。

介護離職防止支援コース

仕事と介護の両立に関する職場環境を整備し、労働者に介護休業を取得、復帰させた場合、また、労働者に介護のための所定外労働の制限制度などを利用させた場合に支給されます。

支給額は以下のとおりです。

  1. 介護休業を1か月以上取得、復帰させた場合
    →社員1名につき57万円(大企業は38万円)
  2. 介護のための勤務制度(所定外労働の制限制度など)を3か月以上利用させた場合
    →社員1名につき28万5千円(大企業は19万円)

なお、上記1、2とも1企業あたり2人分までの支給となっていて、生産性要件(3年前と比較した場合の生産性の伸び率)を満たしている場合には、さらに増額される可能性があります。

【参考】平成29年度 両立支援等助成金のご案内/厚生労働省
【参考】平成29年度 介護離職防止支援コース(パンフレット)/厚生労働省

職場定着支援助成金

厚生労働省が雇用管理制度の導入などを通じて従業員の離職率の低下に取り組む事業主に支給している助成金です。助成金の種類はいくつかありますが、介護支援に関するものとしては次のものがあります。

介護労働者雇用管理制度助成

保育事業主または介護事業主が、保育労働者または介護労働者の職場定着の促進に資する賃金制度の整備(職務、職責、資格、勤続年数などに応じて階層的に定めるものの整備)を行った場合に支給されます。支給額は以下のとおりです。

  1. 制度の整備を行った場合(制度整備助成)
    → 50万円
  2. 制度導入後1年間の離職率が一定割合下がった場合(目標達成助成(第1回))
    → 60万円
  3. 上記2の後2年間の離職率が一定割合下がった場合(目標達成助成(第2回))
    → 90万円

【参考】職場定着支援助成金(個別企業助成コース)のご案内/厚生労働省

企業が取り組むべき課題

先で述べているとおりですが、現状においては、企業における仕事と介護の両立支援体制は十分なものではありません。高齢化が進む中、企業は積極的にその整備を進めていく必要があります。

介護休業取得者への支援

平成28年に厚生労働省が作成している「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル」というものがありますが、その中では、企業に求められる従業員の仕事と介護の両立支援への取り組みとして、以下の5つが挙げられています。

  1. 従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握
  2. 制度設計・見直し
  3. 介護に直面する前の従業員への支援
  4. 介護に直面した従業員への支援
  5. 働き方改革

要約すると、1は現状の問題点の把握、2はそれを受けた各制度の見直し、3は各制度の情報提供、4は各制度の利用支援、5は仕事と介護が両立できる多様な働き方の導入を意味していますが、これらの中でも3について、従業員が介護に直面する前に、直面した時に離職しなくても済むような情報提供を行うことが極めて重要としています。

根本的な働き方改革も重要ですが、まずは、介護に直面する前の従業員、直面した従業員に対しての介護休業制度や勤務時間短縮制度などの周知徹底や利用支援を行うことが必要と言えます。

【参考】企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル/厚生労働省

多様な働き方に対応できる環境づくり

介護を行う労働者にとって、対象家族の状況や親族も含めた介護体制などは常に安定しているものではないため、仕事ができる時間、できない時間も不規則になりがちです。仕事と介護を両立させるためには、企業は多様な働き方に対応していかなければなりません。

このためには、法律で定められた最低基準の制度から、より労働者の選択の幅が広がる制度に変えていく必要があります。例えば、さらなる短時間勤務制度や柔軟なフレックスタイム制度、また、働く場所もテレワークなどを導入して、週に何回かは自宅あるいは移動先で仕事ができるようにすることなどが考えられますが、各企業での状況にあわせて、適切なものを検討していかなければなりません。

以下の参考サイトは、厚生労働省が開設しているものですが、各企業が導入している働き方改革の取り組み事例などを紹介しています。

【参考】働き方・休み方改善ポータルサイト/厚生労働省

【関連】「短時間正社員」とは?制度の概要やメリット、導入手順まで徹底解説 / BizHint HR
【関連】フレックスタイム制とは?メリット・デメリット~導入方法・残業代まで徹底解説 / BizHint HR
【関連】テレワークとは?意味やデメリット、導入企業事例、助成金制度を紹介 / BizHint HR

まとめ

  • 家族などの介護が必要となる年代は、労働者が働き盛りの壮年期、中年期が多くなっており、その年代の労働者を離職させることは企業にとって大きな損失である。
  • 少子高齢化が加速する中で、介護離職は今後も増加していくことが予想され、企業においては早期に仕事と介護の両立支援対策を講じることが求められる。
  • 企業は、法定内の制度だけではなく、介護を行う労働者の不規則な生活にも対応できる、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、テレワークなどを検討していく必要がある。
  • 各企業の人事部、総務部などの担当者は、社内において介護休業制度などの周知徹底を図るとともに、対象労働者の休業取得など各制度の利用を支援していく必要がある。

<執筆者>
本田 勝志 社会保険労務士

関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。退職後、2010年に社会保険労務士試験に合格。社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業における労務管理等を担当。


注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計60,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 厳選されたビジネス事例が毎日届く
  • BizHint 限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次