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2018年1月16日(火)更新

裁量労働制

2016年から進められている働き方改革によって、労働者が自律的に働く選択肢を増やす観点から、企画業務型裁量労働制の対象業務拡大と高度プロフェッショナル制度の創設が議論され、2017年9月には、日本労働組合総連合会が反対の姿勢を示し、新聞のトップ紙面に取り上げられる大きな話題となりました。ここでは、企画業務型裁量労働制を含む「裁量労働制」のメリット・デメリット、導入方法についてご紹介します。

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裁量労働制とは

労働基準法では、労働時間について次のように定めています。

≪労働基準法32条(労働時間)≫
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕労働基準法32条

しかし、経済社会の構造の変化や労働者の就業意識の変化等が進む中で、労働時間の長短と成果が必ずしも一致しない業務も存在し、労働者の立場からも、自らの知識・技術や創造的な能力を活かし、仕事の進め方や時間配分に関し主体性をもって働きたいという意識が高まってきました。

そこで、新たな働き方として1987年の労働基準法改正の際に、ある一定の業務に限り、労働基準法32条に定める労働時間の規定の例外として、労働時間で報酬を支払うのではなく、仕事の成果と報酬を対応させる制度として『裁量労働制』が施行されました。

「みなし労働時間制」のひとつ

労働基準法では労働基準法38条「時間計算」の規定の例外として、以下の3の制度を定めています。

  1. 事業場外労働に関するみなし労働時間制
  2. 専門業務型裁量労働制
  3. 企画業務型裁量労働制

これらの制度では、労働時間を実労働時間によって把握するのではなく、「みなし労働時間制」を採用して使用者の労働時間把握義務を免除する点で共通しています。

ある一定の業務を行う労働者には仕事のやり方や時間配分を本人の裁量に任せ、実際の労働時間ではなく、あらかじめ設定した時間数を働いたとみなし、あらかじめ定めた時間を「みなし労働時間」と呼びます。「みなし労働時間」の導入にはやや煩雑な手続きが必要です。

【関連】みなし労働時間制とは?時間外・休日・深夜労働の取り扱いや、判例も合わせてご紹介/BizHint HR

「フレックスタイム制」との違い

フレックスタイム制と裁量労働制は、労働時間を労働者の裁量にゆだねる点から、同様の制度と混合されがちですが、趣旨も内容も大きく異なります。

フレックスタイム制は、対象とする業務に限定がなく幅広い企業で活用できますが、労働時間に対する自由度は限定的です。始業終業の時間を労働者にゆだねるのみで、清算期間ごとに法定労働時間と実際の労働時間の過不足を検証し、賃金を支払います。

一方、裁量労働制は、活用できる業務が限定されており、労働時間は「みなし労働時間」で管理するため、「みなし労働時間」が法定労働時間内である限り、時間外労働が行われたとしても賃金の支払いは発生しません。

【関連】フレックスタイム制とは?メリット・デメリット~導入方法・残業代まで徹底解説/BizHint HR

「みなし残業制度」との違い

みなし残業制度は、契約時点で月のみなし残業時間数をあらかじめ定め、毎月固定の残業手当を支給する制度です。固定残業代制度・定額残業代制度とも呼ばれます。

みなし残業制度の場合は、フレックスタイム制と同様に、給与計算期間ごとに実際の残業時間を集計し、実際の残業時間がみなし残業時間を上回っていた場合には、その時間分の時間外労働賃金を支払います。しかし、実際の残業時間がみなし残業時間よりも少なかった場合には、固定残業代はそのまま支給されます。つまり、実際の残業時間が少ない場合は会社側が損をする形にはなりますが、従業員側としては毎月の賃金の安定性が得られるため、導入している企業は少なくありません。

「みなし残業制」も「裁量労働制」も同じ「みなし」時間を使用する両制度ですが、過不足の計算をするかどうかが大きな違いです。

【関連】固定残業代(みなし残業)とは?企業メリットや導入方法、違法となるケースも紹介/BizHint HR

専門業務型裁量労働制について

裁量労働制の1つ、専門業務型裁量労働制は、労働基準法第38条の3に定められている法律に規定される制度で、専門業務型裁量労働制を導入できる業務は、法令で定める19業務に限定されています。

専門業務型裁量労働制を導入するためには、労働者と使用者との間で締結する書面による協定「労使協定」を締結が必要です。

【参考】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕労働基準法第38条の3

法令で定める19業務

  1. 新商品・新技術の研究開発、人文科学・自然科学に関する研究業務
  2. 情報処理システムの分析・設計業務
  3. 新聞・出版事業における記事の取材・編集業務、放送制作の取材・編集業務
  4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案業務
  5. 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー・ディレクター業務
  6. コピーライター業務
  7. システムコンサルタント業務
  8. インテリアコーディネーター業務
  9. ゲーム用ソフトウェアの創作業務
  10. 証券アナリスト業務
  11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発業務
  12. 大学教授研究の業務
  13. 公認会計士業務
  14. 弁護士業務
  15. 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)業務
  16. 不動産鑑定士業務
  17. 弁理士業務
  18. 税理士業務
  19. 中小企業診断士業務

これらの業務は、業務の遂行の手段及び時間配分の決定などについて、使用者が具体的に指示をすることが困難な業務とされ、労働者を実際にその業務に就かせた場合に、労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなすことができます。

【関連】専門業務型裁量労働制とは?対象業務や導入手順、残業代などの注意点まで詳しく解説/BizHint HR

企画業務型裁量労働制について

企画業務型裁量労働制は、事業運営の重要な決定が行われる本社などにおいて、企画、立案、調査及び分析などの業務を行う労働者を対象とした制度です。

会社運営の中枢を担うような企画や立案、調査・分析業務を担当しており、かつ、業務の性質上、大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があり、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示を行わない業務であることが必要とされており、対象者はかなり限定されています。

対象業務が存在する事業場とは

具体的には、以下の事業場が該当するとされています。

  1. 本社・本店などである事業場
  2. 事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場
  3. 本社等の具体的な指示を受けず、独自に事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等である事業場

対象業務とは

企画業務型裁量労働制の対象となる業務の具体例としては、「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」において、一例として以下のような業務があげられています。

  • 人事・労務を担当する部署における業務のうち、業務の内容やその遂行のために必要とされる能力等について調査及び分析を行い、社員の教育・研修計画を策定する業務
  • 営業に関する企画を担当する部署における業務のうち、営業成績や営業活動上の問題点等について調査及び分析を行い、企業全体の営業方針や取り扱う商品ごとの全社的な営業に関する計画を策定する業務

一般的な営業職や、人事記録の作成・給与計算業務を行う総務担当者、予算・決算業務を行う経理担当者というだけでは対象業務と認められないため、注意しましょう。

【参考】労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針

労使委員会とは

企画業務型裁量労働制の導入には、上記の対象事業場であり、賃金、労働時間その他の労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする労使委員会が設置されていることが必要です。

労使委員会とは、使用者と労働者を代表する複数名で構成する委員会をいいます。人数に特別の決まりはありませんが、労働者側が半数を占めていることが必要であり、使用者と労働者の従属関係上、使用者のいいなりになるのを避けるため、使用者、労働者、それぞれ1名ずつの1対1の構成は労使委員会として認められません。

労使委員会では、委員会の委員の5分の4以上の多数による決議で、企画型裁量労働制の導入に必要な事項を決議していきます。

専門業務型裁量労働制との違い

専門業務型裁量労働制と企画型裁量労働制の大きな違いは、専門業務型裁量労働制は労使協定、企画型裁量労働制は労使委員会の決議で制度の導入を行うことです。

対象者の定めにも大きな違いがあり、専門業務型裁量労働制では、対象とする業務を定めるだけでもかまいませんが、企画業務型裁量労働制の場合は、対象業務の中でも労働者ごとに個別に対象者であるかどうかを判断します。このため、対象労働者になるために必要な職務経験年数、職能資格等の具体的な対象労働者の範囲まで定める必要があります。ただ対象業務に就業しているだけでは対象労働者となることができません。

また、派遣労働者には専門業務型裁量労働制を適用することはできますが、企画業務型裁量労働制は適用することができないため注意が必要です。

裁量労働制のメリット

多くの制限があり複雑な手続きが必要な裁量労働制ですが、導入することで多くのメリットが生じます。

企業にとってのメリット

昨年から時間外労働による事件の煽りをうけて、残業削減、時間外労働の適正把握が各所で訴えられており、企業によっては午後8時の一斉消灯、パソコンの強制シャットダウンなど、あらゆる手段で残業削減を目指しています。しかし、業務の繁忙時期による時間外労働や、労働時間が全てではない業務もあり、国の政策が過重労働削減に向いている現状であっても、一概に定時で帰るのがいつ何時でも良いとは言えません。

裁量労働制はみなし労働時間で管理するため、仕事の繁忙に合わせて労働時間を調整することができ、業務がひっ迫し、多忙を極める時期に無理やり仕事を中断させるなどの残業管理ストレスから解放されることができます。

企業価値の向上

裁量労働制では、実際に働いた時間ではなく、仕事の成果やその質によって給与が変わるため、結果として従業員のモチベーションアップにつながることもメリットの一つです。このことは、企業の業績を伸ばすことにもつながり、最終的には質の高い製品やサービス、技術を生み出し、企業価値の向上にもつながるでしょう。

【関連】「企業価値」とは?企業価値の意味や評価方法、メリット、向上施策までご紹介/BizHint HR

優秀な人材の確保

採用活動のブランディングという観点でも裁量労働制が優位に働く場合もあります。たとえば、クリエイティブな仕事を志す人の多くは、時間的な拘束を嫌う傾向がみられます。そのため、裁量労働制とフレックスタイム制等を組み合わせることでクリエイティブ志向の求職者にとって魅力的な働き方になり、企業にとっても優秀な人材の確保が期待できます。

【関連】優秀な人材とは?特徴と見分け方、採用方法、辞めていく会社の特徴/BizHint HR

従業員にとってのメリット

独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成26年に行った「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果」によると、裁量労働制導入の効果としては、「効率よく仕事を進めるように従業員の意識が変わった」が最も割合が高く57.6%、次に、「従業員のモチベーションが向上した」が27.8%、「労働時間短縮につながった」が 19.5%となり、従業員にとっても多くのメリットが挙げられています。

【出典】裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果/独立行政法人 労働政策研究・研修機構

仕事のコントロールが可能

アンケートで裁量労働制導入の効果として1番に挙げられている「効率よく仕事を進めるように従業員の意識が変わった」という点は大きなメリットといえます。

裁量労働制の対象とされる業務は、毎日ルーチン業務をこなしてゆく内容とは異なるものが多く、時間に左右されないクリエイティブな内容のものが多いため、仕事がないのにダラダラと労働時間を消費し、繁忙期には残業時間の規制を気にしながら慌てて仕事をするという状況が改善され、仕事の繁忙に合わせて効率よく労働時間をコントロールすることができ、従業員の能力を最大限発揮することにつながります。

自由度が高まる

裁量労働制を利用することで、仕事の繁忙が調整できるだけでなく、私生活の充実にも効果があります。特に、育児・介護を行っている労働者にとっては、自身のライフスタイルに合わせて出勤することができるようになり仕事に対する自由度が高まります。

裁量労働制は、活用方法を間違えると長時間労働を助長することにもなりかねない制度でもありますが、アンケートにもあるように、「労働時間短縮につながった」という声があるのも事実です。体調不良、家事・育児・介護などの理由で労働時間が減ったとしても、結果が全ての制度のため、別の日に巻き返すことも可能であり、少ない時間で成果を上げることもできるのです。

自己の裁量によって仕事の強弱を付けることもでき、従業員の仕事に対するモチベーションもアップします。

裁量労働制のデメリット

ここでは企業にとってのデメリットと、従業員にとってのデメリットについてご紹介します。

企業にとってのデメリット

企業にとってのデメリットは、主に以下の2点が挙げられます。

導入に手間がかかる

裁量労働制の導入には多くの手間がかかります。

実際に導入する際には、それぞれの裁量労働制に定められた労働基準法通りの手続きに加え、労働契約上の根拠も必要とされます。就業規則等において制度を実施することの根拠を明確に定め、関係する条項の整備も行わなくてはなりません。裁量労働制の実施に必要な労使委員会の設置には、運営規程も定める必要があります。

間違った運用をしている場合には法違反とされてしまうため、難しいと感じる場合には、労働基準監督署や、社会保険労務士などの専門家に相談しながら行いましょう。

出退勤管理ができない

裁量労働制では出退勤時間を企業側で定めることができないため、出退勤管理を行うことが難しくなります。完全に従業員の裁量に任せておくと、法定休日の労働や深夜労働が増える恐れもあります。

裁量労働制であっても法定休日労働や深夜労働については割増賃金を支払う必要があり、法定休日や深夜の労働が増えると割増賃金の支払いがかさむ可能性があります。

裁量労働制の導入には、「対象労働者の勤務状況に応じて実施する健康及び福祉を確保するための措置の具体的内容」を定める必要もあります。裁量労働制だからと出退勤も労働者任せにするのではなく、対象労働者の勤務状況及びその健康状態を適切に把握し、都度必要な見直しを行い、裁量労働制であっても労働時間の適性把握を行いましょう。

従業員にとってのデメリット

裁量労働制は、企業よりも従業員の方にデメリットが発生しやすいと言われています。主なデメリットは、長時間労働の常態化によるもので、世間やマスコミに注目される理由の一つにもなっています。ここではデメリットとして、特に大きなものをご紹介しましょう。

みなし時間と実労働時間の乖離

裁量労働制では、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定められた「みなし労働時間」をもとに給与を算出します。そのため、企業側が故意に「みなし労働時間」を少なく制定し、実際の労働実態から乖離した給与を支払う可能性があります。

厚生労働省が行った「労働時間等総合実態調査結果」によると、1日のみなし労働時間の平均は8時間程度であるのに対し、平均的な実労働時間は9時間を上回っていることが分かりました。

【出典】平成25年度労働時間等総合実態調査結果/厚生労働省

実際の労働時間に応じて、見直しをすることは可能ですが、企業から見えない圧力がかかっていたり、企業にとって都合の良い人物が労働者の代表を務めていたりすると、適切な見直しができないこともあります。

長時間労働の常態化

長時間労働の常態化によって、従業員の心身の健康が損なわれる恐れもあります。一般的に、1カ月の時間外労働が80時間に達すると、脳梗塞や心筋梗塞などの健康障害が起こりやすいと言われています(過労死ライン)。裁量労働制の場合、実際の労働時間は従業員の裁量に任されるため、過労死ラインを超えて業務を行ってしまう可能性があります。

また、職場に長時間労働を当然とする雰囲気があると、仕事が早く終わっても帰りにくく、結果として長時間労働が常態化してしまうことも考えられます。

裁量労働制の残業・休日出勤について

裁量労働制を導入すると「割増賃金が発生しない」と誤解されることがありますが、それは大きな間違いです。裁量労働制でも時間外労働の賃金が発生する場合があります。

裁量労働制と36協定

裁量労働制の「みなし労働時間」は、自由に決められるわけではありません。これまでの労働状況を元に、労使で定めますが、その時間が法定労働時間を超える場合には、時間外労働協定(36協定)を締結しなくてはなりません。

【関連】36協定とは?残業時間のしくみや特別条項・届出・違反まで徹底解説/BizHint HR

残業代が発生するケース

例えば、みなし労働時間を8時間にした場合は、実際の労働時間が10時間だったとしても割増賃金を支払う必要はありません。

ところが、みなし労働時間を10時間にした場合は、労働基準法に基づく法定労働時間(8時間)を超える2時間分については時間外労働とみなされ、割増賃金の支払いが必要となります。

休日出勤・深夜出勤が行われた場合

裁量労働制は、いつでも自由に働けるというイメージがありますが、労働基準法の休憩・休日・深夜労働の規定に関しては、裁量労働制であっても適用されます。

法定休日に勤務した場合には法定休日出勤に該当する割増賃金率の休日出勤手当を、深夜10時~翌朝5時までの間に労働した場合には深夜割増賃金率の深夜手当を支払う必要があります。

裁量労働制を導入するには

ここからは、裁量労働制の具体的な導入方法についてご紹介します。

定めるべき内容

裁量労働制の導入には、以下の項目を定めることが必要です。

対象業務

裁量労働制の対象とする業務を定めます。専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制では、それぞれ対象とできる業務が異なるため注意しましょう。

対象労働者の具体的な範囲(企画業務型裁量労働制のみ)

企画業務型裁量労働制の場合は、先述したとおり、対象業務の中でも個別の対象となる労働者の範囲を定める必要があります。「大学の学部を卒業して5年以上の職務経験、主任(職能資格○級)以上の労働者」など、対象業務の中でも必要な職務経験年数、職能資格等の具体的な基準を明確に定める必要があります。

実態に適した「みなし時間」の規定

対象労働者が労働する時間として算定される、1日あたりのみなし労働時間を具体的に定めます。1週間単位・1ヵ月単位の総労働時間を定めるだけでは認められません。

対象労働者の健康・福祉の確保措置や苦情の処理のため実施する措置の制定

健康・福祉を確保するための措置については、使用者が対象労働者の労働時間の状況等の勤務状況を把握する方法を定めます。そして把握した勤務状況に基づいて、対象労働者の勤務状況に応じて、使用者がどのように健康・福祉確保措置を講ずるかを明確にします。

苦情の処理に関する措置についても、苦情の申出の窓口及び担当者、取り扱う苦情の範囲、処理の手順・方法等を具体的に定めることが必要です。

有効期間の制定

決議の運用期間を定めます。不適切に制度が運用されないよう、有効期間は3年以内にすることが望ましいとされています。

専門業務型裁量労働制/労使協定の締結

専門業務型裁量労働制を導入するためには、上記内容を労働者と使用者との間で締結する書面による協定「労使協定」を締結が必要です。

労使協定は、使用者と従業員代表が締結するものですが、従業員代表を管理監督者など、経営者に近い人物から選出することはできません。企業側が都合のよい人物を指名することも禁じられているため、それらの人物と締結した場合には法令違反とされ、無効とされます。

所轄労働基準監督署長への届け出

裁量労働制を導入する際には、労使協定の決議について、対象となる労働者だけではなく、全労働者に周知し、その内容を所轄労働基準監督署長に届け出ます。「みなし労働時間制」を採用する場合には、法定労働時間を超えている場合にのみ届け出を行いますが、専門業務型裁量労働制を採用する際は、法定労働時間内で制定していても届け出が必要です。

ただし、労使委員会の決議・労働時間等設定改善委員会の決議によって代替えすることができ、その決議がある場合には所轄労働基準監督署長への届け出が免除されます。

【関連】専門業務型裁量労働制とは?対象業務や導入手順、残業代などの注意点まで詳しく解説/BizHint HR

企画業務型裁量労働制/労使委員会による決議

一方、企画業務型裁量労働制では、上記事項について労使委員会において決議を行います。

労使委員会では、上記事項のほか、企画業務型裁量労働制の適用を受けることに同意した場合に適用される評価制度及び、賃金制度の内容や、制度の適用に同意しなかった場合の配置及び処遇について、使用者が労働者に対して明示し、労働者の同意を得ることとすることなども決議することが望ましいとされています。

所轄労働基準監督署長への届出

制度の適用をうける対象労働者1人1人の同意を得た上で、その決議を所轄労働基準監督署長に届け出ます。使用者が決議を届出なければ、制度の効果は生じないため注意が必要です。

企画業務型裁量労働制を導入する際には、最初の届出のほか、定期的に「対象労働者の労働時間の状況」「対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況」について決議が行われた日から6ヵ月以内ごとに1回、所轄労働基準監督署長に報告をしなければなりません。

裁量労働制を導入する際の注意点

細かな手順をご紹介してきましたが、実際の導入の際には以下の内容にも注意して導入しましょう。

実態に見合った「みなし労働時間」の設定

みなし労働時間の決め方については、法令で定められていませんが、対象業務の内容を十分に理解した上で、みなし労働時間が実態に見合った適正な水準となるように設定する必要があります。

裁量労働制はみなし労働時間数を労働したとみなす制度ですが、労働時間を単純に計ることができない従業員の功績を認める制度ともいえます。正しく導入、運用することで、企業の業績を伸ばしていきましょう。

長時間労働への配慮

近年、 労働者の健康障害を防止するために、長時間労働などに対する労働基準監督署の取り締まりも強化されています。ブラック企業が社会問題となり、長時間労働による過労死事件など、訴訟に発展することも多く、未払い残業代の問題も含め裁判に持ち込まれると企業のイメージダウンは避けられません。さらに、他の従業員のモチベーションを下げることにもつながるため、企業にとっては大きなダメージとなります。

できる限り長時間労働や休日出勤、深夜労働を避けるような取り組みを設け、労働者の安全配慮義務も含め法律を遵守して導入、運用しましょう。

【関連】長時間労働の原因とは?削減に向けた対策・厚生労働省の取組をご紹介/BizHint HR

裁量労働制が違法になるケース

裁量労働制の対象業務は、法令で定められるものに限られており、それ以外の業務を任意に定めることはできません。直近でも、ゲーム用ソフトウェアの開発会社が裁量労働制の対象外業務に制度を運用させており違法とみなされ、是正勧告された事例もあります。

また、裁量労働制の規定は、年少者や妊産婦等には適用することができないので注意が必要です。

【関連】裁量労働制の適用「無効」ゲーム会社に是正勧告・渋谷労基署/東京新聞2017年9月6日朝刊

まとめ

  • 裁量労働制には、「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の2つがある。
  • 裁量労働制は、「みなし労働時間」を設定し、その時間を労働時間とみなす制度。
  • 導入には対象業務に該当する業務であり、細かな取り決めや届出が必要。

<執筆者>高橋永里 社会保険労務士(和泉中央社会保険労務士事務所)

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