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2018年10月4日(木)更新

法定休日

法定休日とは、労働基準法で定められている、週に1回あるいは4週を通じて4日の最低基準の休日ことを言います。この日の労働には、通常の時間外とは異なる割増賃金が適用されますが、週休2日制などの場合は、法定休日の特定が必要です。経営者、担当者には、誤りのない休日の運用、賃金計算のためにも、法定休日の仕組みについて十分な理解が求められます。

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法定休日とは

法定休日とは、労働基準法で定められている週に1回などの最低基準の休日のことを言います。現在では、多くの会社において、週休2日制などが採用されていますが、法定休日に労働があると、それに対応する割増賃金の支払いが必要になるため、どの休日が法定休日に当たるのかを、就業規則で明確にしておくことが求められています。

法定休日の定義

法定休日とは、労働基準法第35条により定められている、以下1または2のことを言います。1が原則的な休日制であり、2は変形休日制と言われています。

  1. 週に1回の休日
  2. 4週間を通じて4日の休日

労働基準法第35条の条文においては、1については、「毎週少なくとも1回」、2については、「4日以上」とされていますが、労働者に必ず付与しなければならない最低基準の休日としては、上記の整理になるということです。

なお、法定休日やこのあと説明する法定外休日は、使用者と労働者との間の労働契約に基づき、労働義務がない日とされるものですので、全労働者に共通する日に与える必要はなく、勤務表などを作成のうえ、事前に通知するなどにより個別に設定することでも構いません。

有給休暇などは、労働義務がない「休日」ではなく、労働義務がある日について、労働者からの申請と使用者の承認によって、その労働義務を免除するものですので、有給休暇を付与したことで、休日を付与したことにはなりません。

【参考】労働基準法第35条/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

【関連】有給休暇とは?付与日数や義務化への改正情報、買取りについてなど詳しく解説 / BizHint HR

法定外休日との違い

法定外休日とは、会社が任意で定めた、法定休日を上回る日数の休日のことを言います。

つまり、週休2日制の会社であれば、2日の休日のうち、いずれかが法定外休日となり、4週8休制の会社であれば、8日の休日うち、4日が法定休日になります。(法定休日、法定外休日の特定方法は後述します。)

所定休日とは

「所定休日」という用語は、一般的には、法定外休日と同義のものとして使われています。

しかしながら、「所定労働時間」などと同様に、会社が定めた休日として、法定休日と法定外休日をあわせて指す場合もあります。(例えば、後述する36(サブロク)協定届の様式における「所定休日」もその整理です。)

法定休日を特定する必要性

法定休日の労働には、通常賃金の35%以上の割増賃金の支払いが必要になりますが、労働法上、付与が求められていない法定外休日の労働には割増賃金の支払いは不要です。このため、週休2日制の会社であれば、2日の休日のうち、どちらが法定休日なのかを特定しておかなければなりません。

一番わかりやすい方法は、就業規則に法定休日がいつであるのかを明記しておくことですが、法的な義務はないため、特定していない会社も多いと言えます。

就業規則の規定

上記のとおり、労働基準法上は、法定休日を特定することまでを求めていません。しかし、厚生労働省はいくつかの通達(昭和23年5月5日基発第682号、昭和63年3月14日基発第150号ほか)において、労働条件の明示の必要性や、割増賃金の計算を簡便にするためにも、就業規則などで明確にしておくことが望ましいとしています。

【参考】法定休日、所定休日(代休・振替休日含む)と休日労働/大阪府
【参考】労働基準法の一部を改正する法律の施行について/厚生労働省

法定休日の特定方法

就業規則で法定休日を特定しておけば明確になりますが、そうでない場合には、労働基準法の趣旨や厚生労働省が示している見解などにより、次のように整理することになります。

原則休日制の場合

労働基準法第35条における原則としての、週1回の休日制を採用し(実際には週休2日制で運用することが多い)、土曜日、日曜日を休みとしている場合の法定休日の考え方は以下のとおりです。

  • 土曜日:出勤/日曜日:休み
    この場合には、労働基準法が求める週1回の休みとして、日曜日を与えたことになりますので、日曜日が法定休日になります。
  • 土曜日:休み/日曜日:出勤
    この場合にも、週1回の休みとして土曜日を与えたことになりますので、土曜日が法定休日になります。ただし、労働者にとっては日曜日が法定休日という認識があることも考えられますので、十分な説明が必要です。
  • 土曜日:出勤/日曜日:出勤
    この場合の整理については、厚生労働省が見解を示しています。厚生労働省は、平成22年4月の改正労働基準法(年次有給休暇の時間単位取得制度などを導入)施行前に、改正労働基準法に関する質疑応答を公開していますが、その中で、「暦週(日~土)の日曜日および土曜日の両方に労働した場合には、その暦週における後順に位置する土曜日の労働が法定休日労働になる。」としています。

なお、法定労働時間などの整理に関する「一週間」を日曜日から土曜日までの暦週とすることは、別の厚生労働省の通達(昭和63年1月1日基発第1号、婦発第1号)でも示されていますが、就業規則などで、1週の始期を別に定めることも可能とされています。

【参考】改正労働基準法に係る質疑応答/厚生労働省
【参考】改正労働基準法の施行について/独立行政法人労働政策研究・研修機構

判例の動向

上記の厚生労働省の見解では、法定休日が特定されていない場合に、日曜日と土曜日の両方に労働があった場合には、日曜日から土曜日までの暦週の最後となる土曜日を法定休日とすることが示されていますが、判例ではどうかについてご紹介します。

  • 日本マクドナルド事件(東京地方裁判所・平成20年1月28日)
    管理監督者としての地位などについて争われた裁判ですが、判決では、就業規則に法定休日が特定されていない場合は、「暦週の最終日である土曜日を、休日労働として認めるのが相当」としており、こちらは、厚生労働省の見解のとおりでした。
  • HSBCサービシーズ・ジャパン・リミテッド事件(東京地方裁判所・平成23年12月27日)
    こちらも、管理監督者の地位などについて争われた裁判ですが、判決では、就業規則に法定休日が特定されていない場合は、「旧来からの休日である日曜日が法定休日であると解するのが一般的な社会通念に合致する。」としており、こちらは、厚生労働省の見解とは異なったものでした。

以上のとおり、個別具体の諸事情はありつつも、異なる判断がなされる場合もありますので、法定休日は、可能な限り特定しておくことが無難であると言えます。

【参考】労働事件裁判例・日本マクドナルド事件/裁判所
【参考】HSBCサービシーズ・ジャパン・リミテッド(賃金等請求)事件/公益社団法人全国労働基準関係団体連合会

変形休日制の場合

労働基準法第35条における例外としての、4週間を通じて4日の変形休日制を採用(実際には4週8休制などで運用することが多い)している場合の考え方についても厚生労働省が見解を示しています。

それによると、「4週4日の休日制を採用する事業場においては、ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働となる。」としています。

つまり、4週4日の休日が確保できる限りにおいては、法定休日としての割増賃金の支払いは発生しないということです。

なお、この変形休日制を採用する場合には、就業規則などに起算日を定め、その起算日から4週間の休日を数えていくことになります。(労働基準法施行規則第12条の2第2項)

【参考】労働基準法施行規則第12条の2第2項/電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕

法定休日労働のための要件

労働者を法定休日に労働させるためには、時間外労働とともに休日労働を可能にする、36(サブロク)協定を労働基準監督署に届け出ることと、法定休日労働に対する割増賃金を支払うことが必要になります。

36(サブロク)協定の締結

労働者を法定休日に労働させるためには、使用者と労働組合(または、労働者の過半数を代表する者)との間の時間外労働協定、かつ、休日労働協定である36協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。

この届け出なく、法定休日に労働させることは違法になりますので注意が必要です。(時間外労働についても同様です。)

【関連】36協定とは?残業時間のしくみや特別条項・届出・違反まで徹底解説/BizHint HR

割増賃金の支払い

これまでのとおりですが、法定休日の労働には、割増賃金の支払いが必要です。割増賃金には、以下の表のとおり、時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金がありますが、その種類に応じて、通常賃金に対して一定割合以上の賃金の支払いが求められます。

平日の残業については、時間外割増賃金として、通常賃金の25%以上の賃金の支払いが必要になりますが、法定休日の労働については、本来、労働義務のない日の労働でもあるため、通常賃金の35%以上もの賃金の支払いが必要になります。

【割増賃金率】

【出典】【東京労働局】しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編

月60時間超の時間外労働

上記の表にあるとおりですが、時間外労働が1か月60時間を超えた場合には、その超えた労働時間については、割増賃金率を50%以上で計算しなければなりません。(現状、中小企業については、この適用は猶予されています。)

法定休日の労働は、経費削減のためには避けるべきですが、法定休日の労働時間は、時間外労働としての1か月60時間の計算には含まれません。日々の残業時間は多いものの、休日出勤は少ないような会社では、あえて、法定休日労働としておいた方がよい場合も考えられますので、社内の労働状況を十分に分析する必要があります。

振替休日・代休との関係

法定休日労働が予定されていたものであれば、事前にその日を労働日として別の日に休日を振り替えたり、突然の法定休日労働については、事後にその代わりとなる休日を与えるなどが考えられます。前者を振替休日、後者を代休と言いますが、その場合の割増賃金については異なる整理になりますので注意が必要です。

振替休日処理

休日の振り替えとは、あらかじめ休日と定められていた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることです。このため、もとの休日とされていた日の労働は、通常の労働日扱いになるため、割増賃金の支払い義務は発生しません。

労働者にとって休日は労働義務のない日であるため、休日を振り替えるためには、以下の措置が必要になります。

  1. 就業規則に振替休日の規定があること
  2. 振替休日を特定すること
  3. 振替休日は、4週4休の休日が確保される範囲のできるだけ近接した日にすること
  4. 振り替えることについて、前日までに労働者に通知すること

【参考】労働基準法のあらまし/東京労働局

代休処理

代休とは、急な休日労働があった場合などに、事後にその代償として特定の労働日を休み(休日ではない)にすることです。

これについては、振替休日のような細かな要件はありませんが、法定休日労働の後に代休を与えても法定休日労働があった事実は変わりませんので、その日の労働は法定休日労働としての割増率が適用されます。

就業規則の規定例

繰り返しになりますが、法定休日については、就業規則などで特定することが望ましいとされています。会社によっては、週休2日制を採用しているところもあれば、変形休日制である4週8休制などを採用している場合もあり、それぞれで法定休日の定め方は異なります。

週休2日制の規定例

まずは、週休2日制の場合の規定例です。

会社によっては、週2日の休日を土曜日、日曜日としていたり、シフト表による勤務のように曜日を固定できない場合もあり(併用の場合もあり)、それぞれで法定休日の定め方を変える必要があります。

日曜日を法定休日とする場合

以下、週休2日制で、土曜日、日曜日を休日としている場合の最も一般的な例です。

【週休2日制/日曜日を法定休日とする場合の規定例】

なお、上記の例では、法定休日を日曜日とする第2項の前に、いくつかの休日を挙げていますが、ここに挙げることで、労働義務のない休日として統一的に付与することになります。例えば、④の夏季休日について、労働者の申請に基づく、何日かの休暇を与える場合には、「夏季休暇」として、別に定める必要があります。「休日」を増やすと、割増賃金計算の基となる時給単価が上がる可能性もあります。

【参考】しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編/東京労働局

法定休日の曜日を特定しない場合

週休2日制でありながら、シフト表による勤務であるような場合(この場合には、シフト表の作成、労働者への通知などについて別に規定が必要です。)には、以下のような規定が考えられます。

【週休2日制/法定休日の曜日を特定しない場合の規定例】

上記の例の最初の第2項のように記載することで、週の最後の休日が法定休日になります。(先に説明のとおり、週の起算曜日を規定しなければ、暦週としての最終日は土曜日になります。)

上記の例の2番目の第2項については、割増賃金額を抑制することを目的としたものですが、このように記載することで、週2日の休日のうちどちらかに出勤した場合には、出勤しなかった休日が法定休日になり、2日とも出勤した場合には、週の最後の休日が法定休日になります。(法定休日を特定していない場合の解釈と同じような取扱いになります。)

【参考】休日とは?/労働問題.com

4週8休制など規定例

変形労働時間制の導入のため、4週8休制などの変形休日制を採用している場合には、さらに異なる規定が必要になります。この場合には、休日の設定だけでなく、変形労働時間制の運用も係わってきますので、弁護士や社会保険労務士などの専門家に助言を求めることが望まれます。

以下は、1か月の変形労働時間制の場合の記載内容になります。

【4週8休制/1か月の変形労働時間制の場合の規定例】

上記の例では、第3項において、法定休日を「4週間における最後の4日の休日とする。」としていますが、業務の閑散状況によっては、「4週間における最初の4日の休日とする。」とすることもできます。

しかしながら、前述のとおり法定休日を特定していない場合には、厚生労働省は「ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働となる。」としています。上記のように規定することで、割増賃金の支払いが増える可能性がありますし、1か月60時間を超える時間外労働時間との兼ね合いも考慮しながらの検討が必要と言えます。

まとめ

  • 法定休日について、厚生労働省は、労働者に対する労働条件の明示の必要性や、割増賃金の計算を簡便にする観点からも、就業規則などで明確にしておくことが望ましいこととしている。
  • 法定休日を就業規則などで特定することは、割増賃金の支払いに直結することになるため、人事部や給与計算担当部署において、社員の労働状況を分析するなど、十分な検討が必要である。
  • 法定休日の労働は、時間外労働には含まれないため、法定休日としての割増賃金率(35%以上)と、時間外労働としての月60時間超の割増賃金率(50%以上)を比較検討することも必要である。
  • 就業規則における法定休日の規定については、トラブルを避けるためにも弁護士、社会保険労務士などの専門家に助言を求めることが望まれる。

<執筆者>
本田 勝志 社会保険労務士

関西大学 経済学部 経済学科 卒業。1996年10月 文部省(現文部科学省)入省。退職後、2010年に社会保険労務士試験に合格。社会保険労務士事務所などでの勤務経験を経て、現在は特定企業における労務管理等を担当。


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