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2019年1月9日(水)更新

勤怠管理

働き方の多様化により、勤怠管理の方法は変化しています。昨今、企業への導入が顕著なクラウドやソフトを用いた勤怠管理システムは、あらゆる勤務形態に対応しつつ、生産性向上に役立つデータの提供をも可能にした画期的ツールです。働き方改革を見据え、企業が勤怠管理に求めるべきこと、その方法や特徴など、勤怠管理を見直すためのヒントをお届けします。

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勤怠管理とは

従業員の勤怠を管理することは、労働基準法上、使用者の責任であり義務として定められています。そのため、勤怠管理の本来の意味に目を向けることなく、とりあえず出勤や退勤の時刻を記録している会社も多いことでしょう。

ところが、今一度勤怠管理の意味や目的を振り返っておくことで、義務として行っていた勤怠管理に対し、より主体的に取り組めるようになります。

●「勤怠管理システム」の詳しい機能などを知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
【勤怠管理システムの主な機能と、選定時の比較ポイントをご紹介/BizHint HR

勤怠管理の意味

従業員の労働日や休日、日々の労働時間に休憩時間、欠勤・遅刻の状況など、勤怠管理として使用者が把握するべき項目は多岐に渡ります。そして、これらの情報を正確に記録・保管しておくことは、前述のとおり、法律上使用者の義務とされています。

労働基準法第109条には書類の3年保管義務が明記されており、通達によると「退職日が属する月の締め日から向こう3年間」の勤怠データを保管する必要があります。

【参考】電子政府の総合窓口e-Gov:労働基準法
【参考】厚生労働省通達(平成13年4月6日 基発339号):労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について

勤怠管理が必要な事業所

会社規模や業種の別を問わず、従業員を雇用する事業所であれば例外なく、使用者は勤怠管理に取り組まなければなりません。

たとえ、自宅やサテライトオフィスなど事業所以外の場所で就業するテレワーク制度を導入している会社であっても、使用者は従業員の健康管理の一環として、各人の労働時間の把握に努める必要があります。

【関連】テレワークとは?意味やデメリット、導入企業事例、助成金制度を紹介 / BizHint HR

勤怠管理の対象者

厚生労働省は、「労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除くすべての労働者」を勤怠管理の対象とすべき旨を、ガイドラインに明記しています。

つまり、一部の例外を除くすべての従業員について、使用者は勤怠を管理する必要があります。ここで、勤怠管理から除外される従業員について、簡単に触れておきましょう。

【参考】厚生労働省:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

労働基準法第41条に定める者

  1. 農業・水産業に従事する者
  2. 管理・監督の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
  3. 監視又は断続的労働に従事する者で、行政官庁の許可を受けたもの

一般の企業であれば、現状、「2」のいわゆる管理監督者に該当する方が勤怠管理の対象外とされる例がほとんどでしょう。管理監督者とは、実態として経営者同様、労働者の労務管理に責任を有する一定のポジションに就く従業員を指します。しかしながら、時間外労働の上限規制の導入に伴い、今後は「管理監督者を含むすべての労働者」が勤怠管理の対象となる見込みである点に注意が必要です。

【参考】電子政府の総合窓口e-Gov:労働基準法
【参考】労働条件分科会:時間労働の上限規制について(報告)

みなし労働時間制が適用される労働者

具体的には、事業場外労働のみなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制のいずれかを適用する例が想定されます。ただし、これらの労働制度に該当するためには、そもそも本当に使用者の指揮監督が及ばないのか、対象となる業務や従業員が適正であるかを十分に検討しなければなりません。

みなし労働時間制については、実態として、不適切な導入事例が後を絶ちません。

【関連】みなし労働時間制とは?時間外・休日・深夜労働の取り扱いや、判例も合わせてご紹介 / BizHint HR

勤怠管理の目的

勤怠管理の真の目的は、収集した情報を把握・保存しておくことではありません。勤怠データから従業員の就労実態を分析し、そこから浮き彫りとなる問題点に目を向け、前向きに解決策を見出していくことにあります。

勤怠管理の適正把握によって検討が可能となるのは、「労働時間」「賃金」「健康管理」における課題です。

労働時間の把握

労働日数や日々の出勤・退勤、休憩の状況から、従業員各人の働き方が数字で見えるようになります。例えば、長時間の残業が恒常化している、有給消化率が低い、休日出勤が目立つなどの問題が特定の人や部署に偏っているとすれば、問題解決に向けた施策をより具体的に検討できるようになり、職場環境の改善に効果を発揮してくれます。

正しい賃金の支払い

勤怠管理を正しく行うことは、給与計算でミスをしないためにも重要です。多くの従業員が特に敏感になる給与については、万が一誤りがあった際、労使トラブルに発展しやすい項目といえます。とりわけ時間外・休日労働を正しく把握することが、ここ数年特に問題視される「未払い残業代発生」のリスク抑制につながります。

従業員の健康管理

日々の勤怠が従業員の健康に影響を与える例は、決して珍しくありません。最近では、過重労働によりメンタルヘルス不調を発症する、最悪の場合には過労死に追いやられるなどの事例を報道で見聞きする機会が、以前にも増して多くなりました。

健康経営の重要性が叫ばれる中、勤怠管理を通じて従業員の健康管理に努めることは、使用者が果たすべき責任のひとつといえます。

【関連】健康経営とは?企業の取り組み事例を交えご紹介 / BizHint HR

勤怠管理の必要性

企業が従業員の勤怠管理に努めるべき理由として、第一に「法令遵守」の観点から必須であることは言うまでもありません。

ですがその他にも、勤怠の適正把握が直接的に労働時間の見直しに寄与すること、さらに「時間外労働の上限規制」などの働き方改革への取組みの土台となることが挙げられます。

企業コンプライアンスの遵守

長時間労働やそれに付随する過労死、未払い賃金といった企業の不祥事がたびたび報じられるようになった昨今、労務コンプライアンスを遵守しない会社に対する世間の目は一層厳しくなっています。こうした風潮を受けて、厚生労働省では平成29年5月より、労働基準法関連法令違反の事例を、企業名と併せて公表する取り組みを開始したことが話題になりました。

労務コンプライアンスの遵守を怠れば、企業イメージの失墜を招くことはもちろん、労使トラブルの末に訴訟に発展する、最悪の場合には企業経営の存続が困難になるケースもあります。労働関連法令に定められる事項、とりわけ基本となる勤怠管理を着実に行っていくことが、あらゆるリスク回避につながります。

【参考】厚生労働省:労働基準関係法令違反に係る公表事案のホームページ掲載について

【関連】企業コンプライアンスとは?その意味や重要性、違反事例と対策方法まで徹底解説 / BizHint HR

長時間労働の是正

例えば、経営陣のみが寄り集まってただ漠然と「従業員の残業を減らしたい」と施策を練ったとしても、たいていの場合、それらは机上の空論に終わることがほとんどです。それはなぜかというと、実態を把握していないからです。

残業の多さが問題視される場合、まずは誰(どこの部署)に、どの程度の残業が発生しているかを的確に把握することが先決です。施策を講じる対象が絞り込まれることで、より現場に則した、具体的な改善案を検討できるようになります。

勤怠管理のデータは、従業員の就業時間や休暇取得の状況が数字によって“見える化”されます。そのため、現場を知らない人間でも残業対策を講じるべき対象を正しく把握できるようになるでしょう。長時間労働の是正を図る上で、勤怠管理から得られるデータは、まず注目すべき必要不可欠な情報源として位置づけられるのです。

【関連】長時間労働の原因とは?削減に向けた対策・厚生労働省の取組をご紹介 / BizHint HR

働き方改革の推進

「時間外労働の上限規制」や「テレワークの推進」など、政府主導の働き方改革を実践する上では、まさしく勤怠管理の徹底が不可欠でしょう。すでにご紹介した通り、長時間労働を是正するためには、現状の勤怠の把握が不可欠です。

また、在宅勤務やモバイルワーク、フレックス制度や変形労働時間制などを導入する際、多様な勤務形態に対応できる勤怠管理方法の検討は避けて通れない関門となるでしょう。

働き方改革と適切な勤怠管理は、もはや切っても切り離せない相互関係にあることは言うまでもありません。

【関連】働き方改革とは?必要となった背景や実現会議と実行計画、事例まで徹底解説 / BizHint HR

勤怠管理で把握すべき内容

適切な勤怠管理の方法として、企業はどんな情報を収集すべきなのでしょうか。勤怠を管理する上での必須項目を復習しておきましょう。

労働時間

勤怠管理の基本は、労働時間の集計です。出勤と退勤の時刻と、その間に取得した休憩時間を正確に記録します。

なお、出勤や退勤の時刻は1分単位で管理し、賃金算定の基礎としなければなりません。詳細は、「残業時間(時間外・深夜・休日労働)」の項目にて後述します。

休憩時間の定義

労働基準法第34条で、使用者は従業員に対し、労働時間の途中に、労働から完全に離れられる時間を「休憩時間」として確保すべき旨を明記しています。従業員本人から「休憩はいらないからその分早く帰りたい」という要望が出ても、これを認めれば労働基準法違反となります。また、昼食をとりながらの来客当番、強制参加のランチミーティングに要する時間を休憩時間として扱うことはできません。

休憩時間の長さは労働時間に応じて定められており、6時間超~8時間未満で少なくとも45分、8時間以上で少なくとも60分とされています。

残業時間(時間外・深夜・休日労働)

労働時間の管理に伴い、時間外労働、深夜労働、休日労働についても、それぞれについて正しく記録を残しておく必要があります。

なお、各日の労働時間は、1分単位で厳密に管理しなければなりません。日々の労働時間について、15分ないし30分単位で端数の切り捨てを行う例は、最近では減少傾向にあるものの、中小企業の勤怠管理ではしばしば見かけることがあります。

しかしながら、こうした取扱いは違法ですのでご注意ください。行政通達(昭和63.3.14基発150号)では、「1ヵ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」とされていますが、これはあくまで「1ヵ月単位」の場合に許容される端数処理です。

時間外や休日の労働については、それが法定内にあたるのか、それとも法定外に該当するのかを区別をすべき点に注意が必要です。それぞれ異なる割増賃金率が適用されるため、給与計算を正しく行う上では細かく管理しなければなりません。

【参考】情報公開推進局:19880314 基発第150号 労働基準法関係解釈例規について

【関連】 残業時間の上限は?36協定や変形労働時間の概要、計算法や削減対策まで解説/ BizHint HR

休日

ひと口に「休日」といっても、実際には様々な種類があります。それぞれの休日について、正しく取得できているか、申請・取得漏れがないかを確認することも、勤怠管理の重要な役割です。

また、振替休日や代休を取得した場合、給与計算上ミスをしないためには、適切に勤怠管理されていることが大前提となります。

法定休日

労働基準法で定められている週1日、もしくは4週間につき4日の休日のことを指します。

所定休日

会社が独自に定める、法定休日を上回る休日を指します。

休暇

従業員が申請して取得できる休暇です。有給休暇や育児休業、介護休業など「法定休暇」の他、会社が独自に定める慶弔休暇や夏季休暇などの「法定外休暇」があります。

振替休日

業務の都合などに応じ、元々の労働日と休日をあらかじめ入れ替えておくことで、本来の労働日に取得可能な休日のことを指します。振替によって当初の休日は労働日に変更されているので、休日労働分に関わる割増賃金は発生しません。

ただし、週や月をまたぐ場合、本来の休日が労働日に振り替えられたことで週の法定労働時間(原則週40時間)を超えると、時間外労働に関わる割増賃金の支払いが必要になります。

代休

本来の休日に労働させ、事後にその代替として元々の労働日に取得できる休日です。振替休日と異なり、あらかじめ代わりの休日を設定することなく休日労働をさせたことになるため、労働させた日に対して休日労働分の割増賃金が発生します。

【関連】 法定休日とは?法定外休日との区別、振替休日と代休の関係、規定例まで解説/BizHint HR

有給休暇

従業員に有給休暇を取得させることは、使用者の義務です。勤怠管理の一環として、有給休暇を毎年正しく付与し、取得日数や残日数を把握しておく必要があります。

【関連】 有給休暇とは?付与日数や義務化への改正情報、買取りについてなど詳しく解説/BizHint HR

勤怠管理を行う方法

厚生労働省のガイドラインでは、勤怠管理の方法として「使用者が、自ら現認することによる確認」もしくは「客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」を明記しています。

ただし、複数名の従業員を管理する上では、実態として前者の徹底は困難であり、現実的には後者のやり方で検討することになります。

【参考】厚生労働省:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)

タイムカード

タイムカードを用いた勤怠管理は、誰にでも簡単に行える方法であることから、従来多くの企業に採用されていました。タイムレコーダーに個人のタイムカードを挿し込むと打刻され、各人の一ヵ月の出退勤の時刻が一枚のカードに記録されます。

タイムカードによる勤怠管理の場合、当然のことながら、タイムレコーダーの配置場所での打刻が必須となります。そのため、昨今推奨されるテレワークなどの多様な勤務形態への対応が困難です。また、タイムカード単体でいえば機能としては時刻の記録をするのみのため、残業時間や休日といった詳細な勤怠管理や、勤怠データの分析には不向きといえます。

さらに、従業員数の多い会社では、保管場所の確保が問題となる例を散見します。

エクセル

タイムカードによる勤怠データは、エクセルに入力し、集計するのが一般的です。収集したデータをもとにエクセルの関数を利用すれば、一日あたりの勤務時間の算出、一ヵ月の労働時間の合計、残業時間の算出を行えます。

ただし、そもそもの計算式を正しく設定しなければならないこと、なおかつ法改正による計算式の変更に対応しなければならないことから、労務管理に精通した人材でないと正確な運用が困難である点に問題があります。

出勤簿

労働基準法では、事業所に備えるべき法定三帳簿として、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の整備・保管を定めています。そのため、従業員の勤怠を出勤簿で管理する会社は少なくありません。

通常、出勤簿は紙媒体で作成され、カレンダー仕様のフォーマットに日々の出勤・退勤時刻や時間外労働時間数、遅刻・早退の有無などを従業員自身が記入し、上長に承認印をもらう形式が一般的です。この場合、従業員による自己申告が基本となるため、不正申告が疑われることがあります。

こうした問題への対応として、タイムカードとの併用により、客観的な記録を残す方法で運用されている例も少なくありません。

ICカード

近年増加傾向にあるクラウド型やソフト型の勤怠管理システムでは、ICカードによる出勤・退勤の打刻が可能なサービスがほとんどです。具体的には、社員証やPASMO、SUICA、nanaco、waonなど、社員がすでに所有するICカードを読み取り機にかざすことで労働時間の管理ができます。

大半のクラウドサービスでは新たに専用のICカードを準備する必要がないため、導入に伴う初期費用を抑えることが可能です。

パソコン

ICカード同様、クラウドやソフトを用いた勤怠管理システムでは、WEB打刻が可能なサービスが大半を占めます。方法としては、打刻専用のパソコンを一台用意する他、従業員それぞれにログインIDやパスワードを付与して各人のパソコンから打刻できるものもあります。

スマホアプリ

テレワークに代表される多様な働き方が認められつつある昨今、従業員全員に出社を義務づけない企業は増えつつあります。こうした会社では、事業所の外でも可能な勤怠管理の導入が急務であり、これに応える形で登場したのがスマホアプリを用いたサービスといえます。

スマホアプリによる勤怠管理では、管理者は打刻の時間と位置情報を確認できるため、ちゃんと業務に従事しているか、仕事とは関係のない場所にいるのではないかを把握しやすいのが特徴です。ただし、スマホから取得できる位置情報にはズレが生じる場合もあり、万能ではない点に注意する必要があります。

勤怠管理システムとは

働き方の多様化に伴い、企業の勤怠管理の方法は着実に変化しています。IT化がますます進展する中、クラウド型やソフト型の勤怠管理システムの台頭は特に顕著であるといえます。

システムの種類・特徴

ITを活用する勤怠管理システムには、大きく分けて「クラウド型」と「ソフト型」があります。

ソフトのインストールが不要なクラウド型は、月額利用料を想定しても安価に導入できて手軽に扱える反面、IDやパスワードの流出による情報漏洩が問題になることがあります。一方、ソフト購入に伴う初期費用がネックとなるソフト型は、クラウド型と比較すると大きな母体がサービス提供会社であることが多く、手厚い保守サポートを受けられる点に良さがあります。

この他、クラウド型とソフト型それぞれの勤怠管理システムの特徴をご紹介しましょう。

クラウド型

クラウド型のシステムの魅力は、営業担当者などが、外出先から出勤・退勤の打刻をすることができる点です。従来のように、タイムカードを打刻するために出勤をする必要がなくなります。また、在宅ワークを導入していても、就業場所にとらわれることなく勤怠管理を行うことができるのも魅力のひとつです。

サービスによっては多言語や時差にも対応しているものもあり、グローバル企業でも利用しやすい点も大きな特徴です。また、クラウド型のシステムはソフト型よりも導入費用が安いこともメリットといえます。好きなところで気軽にインプットやアウトプットを行うことができるクラウド型は、全国展開をしていたりグローバル展開をしていたりする企業の心強い味方といえます。

ソフト型

クラウド型と比較して、データをサーバー上にアップロードすることがないので、情報漏えいのリスクを軽減することができるというメリットがあります。社内ネットワークを整備しており、厳格なコンプライアンスの元で勤怠管理システムの運用を考えている企業にピッタリです。

勤怠管理システムのメリット

従来型の勤怠管理から、あえてクラウド型やソフト型といわれる勤怠管理システムを導入するメリットは、どのような点にあるのでしょうか?ここでは、タイムカードや手書きの出勤簿など従来の方法との比較から、勤怠管理システムを用いるべき理由を検討します。

業務効率の向上

従来の勤怠管理は、多くの場合タイムカードを使用して行う企業が多く、人事担当者が月末・月初めに集計を行って入力をする手間がかかっていました。

システムを導入することで、全社員の勤怠を自動で管理することができるので、入力ミスを防ぐことができることは大きなメリットのひとつです。特に社員数が多い大企業や、パートタイム・アルバイトを多く抱える企業では、従来の勤怠管理方法だと、人事担当者や経理担当者の負担も多く、業務効率が悪いといえます。

勤怠管理の改ざん防止

タイムカードは「第三者が容易に改ざんすることができてしまう」という問題点があります。例えば、同僚に遅刻しそうだからとタイムカードの打刻を依頼したり、残業をしているのに上司がコストカットのために部下のタイムカートを勝手に退勤で打刻したりすることも可能です。このように従来の勤務管理には、問題点が多数あり、コンプライアンスの観点からも、抜本的な見直しが必要といえます。

コスト削減

タイムカードや出勤簿を用いる勤怠管理では、必ず「回収」「集計」「確認」「翌月の準備」の手間が生じ、必ずこれに従事する人の人件費を見積もらなければなりません。その点、紙の回収や準備の必要がなく、データの集計が自動で行われる勤怠システムを活用することで、従来かかっていた人件費を大幅にカットすることができます。

また、勤怠管理をペーパーレスにすることで、紙やその保管場所に費用をかけなくとも済むようになります。勤怠管理システムの導入は、これまで当たり前とされてきたコストの大幅削減を図ることが可能です。

データの活用

繰り返しになりますが、勤怠管理の目的は単なる法令遵守だけでなく、職場における働き方の分析と課題の抽出、改善に役立てることにあります。しかし、「紙媒体に打刻、手書き」といった従来の勤怠管理では、勤怠データの記録はできてもその活用を視野に入れることは困難でした。

その点、勤怠システムを導入すると、集計データを様々なレポート形式で出力できるようになります。従業員各人や部署ごとの時間外・休日労働、休暇取得の実績が表やグラフで一目瞭然になるため、就労環境における課題や業務改善の糸口の発見につながります。

導入を成功させるためのポイント

システムの導入により、勤怠管理は格段に取り組みやすくなることに加え、しかも勤怠データを業務改善に役立てられるようになります。とはいえ、ただやみくもに勤怠管理システムさえ導入すれば良いかといえば、そうではありません。むしろ、事前の下準備が不十分であったために、導入に失敗するケースを散見します。

勤怠管理システムの導入に先立ち、まず取り組むべきことを把握しておきましょう。

導入前に社内制度の整備を

どんなに高性能な勤怠システムを導入したとしても、土台となる社内ルールが整備されていなければ、適正なデータを収集することはできません。どのサービス提供会社の勤怠管理システムでも、初期設定として、所定労働時間や労働時間制、割増賃金の算出方法、休暇の適用条件や付与日数などを一つひとつ、正しく入力する必要があります。

つまり、まず法や実態に合った就業ルールを定めてからでないと、勤怠管理システムを活用することは困難といえます。

経営層の理解を深める

企業の経営層には未だ年配者が多いケースもあり、勤怠管理の方法に限らず、従来のやり方を変えることに抵抗を感じる方は少なくありません。また、担当者レベルでは良いと判断できるシステムでも、経営者が同様の判断を下すかといえば、必ずしもそうとは言えません。

経営層の理解を得るためには、現状と比べてどれだけのメリットが発生するのかを、できるだけ具体的に提示できるよう努めるのが得策です。

勤怠管理システムに求めるものを明確に

ひと口に「勤怠管理システム」といっても、その種類は実に多様であり、それぞれに特徴、メリット・デメリットがあります。漠然としたイメージでシステムを検討すれば、つい一般的に評判の良いものに目が行きがちですが、そのシステムが会社に相応しいかどうかはまた別の問題です。

勤怠管理に何を求めるのかを明らかにしておくことで、導入システムの検討に主体性を持たせることができ、システム導入におけるミスマッチを回避しやすくなります。

【関連】 【厳選!勤怠管理システム5選】選定ポイント、主な機能もまとめて解説/BizHint HR

勤怠管理における注意点

従業員の勤怠管理をする上では、いくつか注意すべき点があります。使用者として留意すべき、基本的な観点を確認しておきましょう。

「扶養控除内勤務」に注意

パートやアルバイトで、「扶養控除内で勤務したい」と希望している従業員も珍しくありません。毎月定額の賃金を受け取る方は良いですが、労働時間を調整して働いている方は、年末が近づくにつれて労働時間や給与金額の管理に気を配る必要があります。

いくら計画的に進めていたとしても、急な残業に対応することもあるでしょう。従業員の個人管理に任せきりにしてしまうのではなく、管理者がきちんと正確な労働時間を把握するとともに、照会があったら迅速な回答ができるように心がけましょう。

働き方の多様性に対応する重要性

企業の競争力を高める為に、多様な働き方を認める企業が増えてきています。フレックスタイム制を導入したり、裁量労働制を導入したりしている企業では、タイムカードなどの従来の勤怠管理が役に立ちません。フレックスタイム制の場合、労使協定により労働時間を定めたり、清算期間と呼ばれる区切りを設け、場合によってはコアタイムやフレキシブルタイムも定めたりする必要があります。

例えばコアタイムを設定した場合、労務管理においてはコアタイムの勤怠だけではなく、始業と就業の時間をそれぞれきちんと記録する必要があります。また、在宅ワークを導入した場合、勤怠システムを利用しないと時間外労働が正確に計算することができないケースもあります。このように勤怠管理では、時代にあった勤怠管理の仕組みを取り入れる必要性があるのです。

【関連】 裁量労働制とは?専門業務型・企画業務型それぞれの対象、導入手続きについて解説/BizHint HR
【関連】 フレックスタイム制とは?メリット・デメリットから残業代と労働時間の算出まで徹底解説/BizHint HR

社内制度が労働基準法などの法令に則っているかを確認

勤怠管理システムを運用する上で、土台となるのは「社内制度」です。システムが正常に稼働していても、そもそもの制度設計に誤りがあれば、そこで管理する勤怠データは無意味なものになります。社内制度の不備のために従業員が不利益を被れば、たちまち労使トラブルに発展するリスクを負うことになり、最悪の場合には訴訟にも発展しかねません。

勤怠管理を正しく行うためには、変形労働時間制やフレックスタイム制などの労働時間制の解釈に誤りがないか、裁量労働制の対象となる範囲が適切かどうかなど、労働関連法令と照らし合わせ、社内制度の整備を徹底しておかなければなりません。

【関連】 変形労働時間制とは?残業や休日の取り扱い、届出について詳しく解説/BizHint HR

「集計データと勤務実態の合致」が基本

表向きは勤怠管理の徹底を謳っていても、賃金の高騰を恐れて、月末になると出勤や退勤の実績を修正していたり、恒常的に時間外・休日労働をカウントしなかったりなどの調整が入っていたとすれば、データと実際の勤務がかけ離れたものになってしまいます。たとえ会社が虚偽の勤怠データを残していても、業務用パソコンへのログイン・ログアウト履歴やメールの送信日時、従業員による証言などから実態は容易に明らかになります。

労使トラブルを引き起こさないためにも、そして労働基準法違反によって罰則を受けないためにも、勤怠管理のデータと勤務の実態は整合性をとらなければなりません。

まとめ

  • 勤怠管理から得られるデータは、単なる「労働時間の把握」のみならず、「働き方の見直し」に役立てることができます。
  • 勤怠管理の方法は、これまで主流だったタイムカードやエクセルから、「クラウド型」「ソフト型」といわれるシステムを用いたやり方へと変化しています。
  • 勤怠システムの導入により、勤怠管理に伴うコスト削減や担当者の負荷軽減につながる他、収集データを活用しやすくなることで働き方改革の推進を図ることができます。
  • 勤怠管理システムの導入に先立ち、まずは「社内制度の整備」に取り組むことが肝心です。
  • 勤怠管理システムはサービスによって特徴があるので、十分に比較検討した上で、自社にあったものを選ぶのが得策です。

<執筆者>
丸山博美 社会保険労務士(HM人事労務コンサルティング代表)

津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。一般企業(教育系)勤務時代、職場の労働環境、待遇に疑問を持ち、社会保険労務士を志す。2014年1月に社労士事務所「HM人事労務コンサルティング」を設立 。起業したての小さな会社サポートを得意とする。社労士業の傍ら、cotoba-design(屋号)名義でフリーライターとしても活動中。


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