最低賃金
最低賃金は毎年、改定が行われているのをご存じですか。最低賃金について定めた最低賃金法は、使用者に最低賃金以上の賃金を支払うことを義務づけ、罰則を設けています。そのため、最低賃金額の改定に気づかなかったり、最低賃金制度を誤って理解したりしていると知らぬ間に法令違反をしていることもあります。今回は、最低賃金の制度や種類、また、東京都を例に最低賃金額の推移などを見ていきましょう。
最低賃金とは
最低賃金とは、使用者が労働者に支給しなければならない賃金の最低額のことです。最低賃金は都道府県ごとに毎年、10月頃に改定され、ここ10年ほどは上昇傾向にあります。
最低賃金制度
最低賃金制度は、最低賃金法に基づき賃金の最低額(最低賃金額)を保障する制度です。たとえ労使双方の合意があっても、最低賃金に満たない賃金を定めた労働契約は、最低賃金法によって無効となり、最低賃金額と同額の賃金で契約したものとみなされます。
また、使用者の支払った賃金が最低賃金額より低かった場合には、使用者は支払った賃金と最低賃金額との差額を支払う義務が発生するので注意してください。
最低賃金法(最賃法)
使用者が労働者に支払う賃金は本来、労働組合による団体交渉などを含め、労使間で決定されるべきものです。しかし、弱い立場にある労働者の生活の安定を図るためには法律による保障の必要性が高まり、昭和34年に最低賃金法が制定されました。
最賃法は賃金が低い労働者の労働条件を改善し、生活の安定や労働力の質的向上などを図るために、使用者に最低賃金額以上の賃金を支払うように義務を課しています。平成19年には近年の働き方の多様化などを受け、最低賃金の決定基準や罰則の上限額引き上げなどの大幅な法改正が行われました(平成20年7月1日施行)。
主な改正点は以下の通りです。
- 都道府県ごとに定める地域別最低賃金は、生活施策との整合性も配慮したうえで決定する
- 地域別最低賃金については、罰則の上限を2万円から50万円へ引き上げ
- 最低賃金の適用除外規定は廃止され、減額特例許可規定を新設
- 派遣労働者は、派遣先の地域別、特定最低賃金額を適用
- 最低賃金の表示単位は「日額」や「週額」、「月額」をなくし、「時間額」のみ