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2018年11月10日(土)更新

アンコンシャス・バイアス

深刻な人手不足に陥る中、人材の有効活用のため、女性活躍社会の実現や高齢者の労働参加などが社会的に注目され、多くの企業がダイバーシティを推進しようとしています。一方で、「ダイバーシティがなかなか浸透しない」と悩みを抱える企業も増えているようです。今回はダイバーシティ推進の弊害となるアンコンシャス・バイアスの注目背景や具体例、解決方法をご紹介いたします。

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アンコンシャス・バイアスとは

ダイバーシティを推進する上での経営課題として、アンコンシャス・バイアスを掲げる企業が増えています。

アンコンシャス・バイアスの意味やダイバーシティとの関連性を知ることで、理解を深められます。

アンコンシャス・バイアスの意味

アンコンシャス・バイアスとは、人が無意識のうちに持つ偏見や固定観念であり、過去の経験や自身を取り巻く環境、性別、年齢、人種などを根拠として無意識の内に決めつけてしまう行為全般を指します。

終身雇用年功序列などの独自の雇用慣習がある日本社会においては、ダイバーシティ推進を妨げる要因であるアンコンシャス・バイアスが顕著に表れているといわれています。中でも、男性社員が持つ女性社員に対する無意識の偏見や固定観念は、女性の社会進出を妨げていると指摘されています。特に日本の女性管理職比率は13.0%と低水準で、米国の女性管理職比率43.4%に比べて遅れを取っています。

また、アンコンシャス・バイアスは、組織運営やタレントマネジメントの実施、インクルージョン(多種多様な価値観・考え方を尊重し、社員一人ひとりの能力・経験を活かす人材開発)においても弊害となっており、「働きやすさ」が従業員の定着や採用に大きく関わる現代において見過ごせない課題として認識されています。

一方で、最新の脳科学や心理学では、「ダイバーシティを推進できない理由は男性脳・女性脳の違いにはない」という研究結果も出ており、研修やトレーニングを通して、アンコンシャス・バイアスを解消できることもわかってきています。

【参考】経済産業省 女性活躍に向けた経済産業省の取組 各ポストに占める女性比率の国際比較

ダイバーシティとの関係性

ダイバーシティとは、価値観の多様性や、労働分野における雇用機会均等を指す人材マネジメント用語です。

日本社会において、女性活躍社会の実現や同一労働同一賃金ライフワークバランスとともに議論されています。経済のグローバル化に伴い、グローバル人材の獲得・育成を重視する企業が増え、優秀で多様な価値観を持つ人材を獲得するために、組織全体にダイバーシティを推進する動きが広がっています。

ダイバーシティ推進を阻害する要因として挙げられているのが、日本独自の雇用慣習やバブル崩壊以前の成功体験に縛られた思考や姿勢などの「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」です。

ダイバーシティを推進するためには、全従業員のアンコンシャス・バイアスを解消し、多様な価値観や新たな発想を受け入れる組織体制が不可欠です。そのため、企業はダイバーシティ推進の施策を進めるとともに、研修やトレーニングを通して、従業員の自己認知能力を高め、アンコンシャス・バイアスを解消しなければなりません。

【関連】ダイバーシティとは?意味や推進方法、企業の取組事例をご紹介/BizHint

アンコンシャス・バイアスに注目が集まる理由

アンコンシャス・バイアスに注目が集まる理由には「男女格差の社会問題化」や「ダイバーシティ推進の阻害要因」、「タレントマネジメントの浸透」などが挙げられます。

男女格差・賃金格差の社会問題化

世界経済フォーラム(通称ダボス会議)では、2006年から男女格差の現状をGGI(ジェンダーギャップ指数)というスコアとして算出し、グローバル全体および先進国の男女格差の数値、およびランキングを発表しています。

2014年に発表されたGGIランキングでは、先進国ほど男女格差が少ない傾向が見られますが、日本のGGIスコアランキングは107位となっており、先進国の中でもかなり低い水準となっています。また、欧米・西洋の女性管理職(役職者)の登用が30%以上となっている一方、日本はわずか13%と欧米・西洋のわずか3分の1程度に収まっています。さらに2014年の非正規社員比率は37.9%と、2004年の非正規社員比率から6.4%も増加しており、正規社員と非正規社員の賃金格差が拡大しています。

これら、労働者の格差問題が社会問題化し、男女間の格差是正や同一労働同一賃金の議論が活発化していると同時に、男女・正規・非正規が担う業務内容や役職を、無意識のうちに決め付けてしまうアンコンシャス・バイアスも注目されるようになったと考えられます。

【参考】経済産業省 第4回 日本の「稼ぐ力」創出研究会 雇用システム改革
【参考】経済産業省 3. 諸外国における女性の活躍推進に向けた諸制度等の調査
【参考】経済産業省 女性活躍に向けた経済産業省の取組 各ポストに占める女性比率の国際比較

ダイバーシティ推進の阻害要因

労働人口の減少を迎えている日本社会において、女性の社会進出や高齢者の雇用確保が急務となっており、同時にイノベーション創出のために革新的なアイディアを持つ多国籍人材の採用・登用が重視されています。そのため、全社的にダイバーシティを推進する企業が増えていますが、従業員のアンコンシャス・バイアスにより「想定した以上にダイバーシティが浸透していない」と考える企業も増えています。

アンコンシャス・バイアスは、従業員が「自分は偏見の意識を持っていない」という思い込みが先行し、無意識の内にダイバーシティ推進を阻害しているケースが多く見受けられます。そのため、従業員全員に「無意識の偏見を持っている」という自覚を持たせるための意識改革が必要とされ、アンコンシャス・バイアスの認知が広がったと考えられます。

【関連】ダイバーシティとは?意味や推進方法、企業の取組事例をご紹介/BizHint

タレントマネジメントの浸透

無意識の偏見であるアンコンシャス・バイアスが組織内で放置されることは、結果的に一人ひとりの社員が持つ可能性を狭め、適正な人材育成や活用の妨げにつながります。中でも、アンコンシャス・バイアスは、優秀な人材の採用や昇進、評価に関わるタレントマネジメントに多大な悪影響を与えます。

タレントマネジメントとは、自社の優秀な人材の能力・スキルを把握し、そのパフォーマンスを最大化するための戦略的な人材配置や教育を施す取り組みを指します。タレントマネジメントを実施するためには、自社の人材配置や評価の権限を持つ管理職(役職者)や人事決済者がアンコンシャス・バイアスを捨て去ることが大切です。

適切かつ公平性のある人事評価をすることで、組織全体の生産性向上につなげられます。しかし、管理権限を持つ人材がアンコンシャス・バイアスを持ったまま、恣意的な人事評価をさせ続ける行為は、企業の将来性そのものを限定してしまう危険性があります。そのため、人事決裁権をもつことが多い経営者や管理職(役職者)のアンコンシャス・バイアスが特に問題視されています。

【関連】タレントマネジメントの意味とは?定義や目的、事例をまとめてご紹介/BizHint

アンコンシャス・バイアスの具体例

適切にダイバーシティを推進するためには、アンコンシャス・バイアスへの正しい理解が欠かせません。今回は、アンコンシャス・バイアスへの理解を深めるためのアンコンシャス・バイアスの具体例をご紹介いたします。

女性活躍社会の阻害

アンコンシャス・バイアスの具体例のひとつに、女性活躍社会(女性社員の成長機会)の阻害が挙げられます。

「人口の半分を占める女性を十分に活用し切れていない」という課題は、世界各国が抱えるグローバルな課題として知られています。中でも日本の労働環境は、女性社員が出産や子育てを理由に労働市場からドロップアウトしやすく、キャリア形成がしにくい社会的環境が構築されています。また、女性社員を部下に持つ男性管理職の、アンコンシャス・バイアスによる慈善的性差別(出産を控えた女性社員の業務負担を減らす行為など)も女性たちの活躍の場を奪っているという指摘も存在します。ステレオタイプの男性管理職が行う「女性社員への気遣い」が、逆に女性活躍の機会を奪っており、男性管理職自身もその意識がないことが問題を深刻化させています。

これらの問題は、仕事と子育てを両立させようとする一方で、昇進・昇格から遠ざかるキャリアコースを意味する「マミートラック」と定義され、近年、問題視されています。アンコンシャス・バイアスの問題点は、「良かれと思って」という慈善的差別が顕在化せず、組織に蔓延する点にあり、特に気遣いの意識が向けられやすい女性に向けられやすいと考えられます。

【関連】女性の活躍を推進するには?「女性活躍推進法」の概要や企業事例もご紹介/BizHint

グローバル化に対する遅れ

国内市場の縮小や経済のグローバル化により、活路を海外に目を向ける企業が増えています。事業のグローカリゼーションを実施するためには、現地人の採用だけでなく、企業内に文化・宗教の違いを理解し、受け入れられるグローバル人材の登用が必要です。

しかし、アンコンシャス・バイアスが指す人種や地域の文化に対する固定概念や思い込みが、本来、受け入れるべき多様な人材の確保に悪影響を与えます。また、現地法人を確立し、本社の人材を派遣したとしても本社側の意向により、適切なマネジメントを実施できない事例も少なくありません。アンコンシャス・バイアスは無意識のうちに、慈善的差別を助長する傾向があり、グローバル人材が持つ国際感覚や俯瞰的な視点の良さを潰すことにもつながってしまいます。

ハラスメントの常態化

ハラスメントとは、行為者が意識的に行う敵対的性差別のケースだけでなく、無意識のうちに行っているケースも存在します。近年では、男性が育児に参加する機会や理解が広まりつつありますが、アンコンシャス・バイアスにより、男性の育児休暇取得を認めない企業文化や職場の風土が生み出すパタニティハラスメントが問題視されています。

また、集団行動や同調を求めやすい古い体質の企業では、多様な考えや価値観を持つ人材を認めず、ハラスメントの対象にしてしまうケースも少なくありません。そのため、アンコンシャス・バイアスは組織の風土や風潮を基に無意識の内に浸透していき、さまざまなトラブルを起こしてしまう厄介な経営課題といえます。

【関連】【社労士監修】ハラスメントの意味とは?定義や防止策も交えてご紹介/BizHint

アンコンシャス・バイアスをなくす方法とは

アンコンシャス・バイアスの解消の第一歩は、経営者、管理職、従業員全てが無意識の偏見を持っていることに気づくことが大切です。アンコンシャス・バイアスへの気付きを促進する上では、バイアス研修(バイアストレーニング)が効果的といわれています。

アンコンシャス・バイアステストの実施

アンコンシャス・バイアスの解消は、経営者・管理職を含む全従業員を対象にアンコンシャス・バイアステストを実施し、社員たち自らが「無意識の偏見」を持っていることを自覚させることが重要です。アンコンシャス・バイアステストは回答内容と回答時間から当事者の潜在的意識を導き出せ、自分自身のアンコンシャス・バイアスの度合いを測れます。

また、アンコンシャス・バイアスの具体例を示すことで、普段の業務姿勢や部下とのコミュニケーションを振り返れます。中でも管理職(役職者)は過去の成功体験に縛られやすく、また、長年の企業文化や職場の風土に身を置いているため、アンコンシャス・バイアステストなしでは自らの「無意識の偏見」に気付きにくいといわれています。

近年ではアンコンシャス・バイアステストを提供する人事コンサルティング会社も増えているので、他社が提供する教材を利用することもおすすめです。

社員の自己認知の徹底

アンコンシャス・バイアステストや具体例の提示を通して、アンコンシャス・バイアスへの正しい理解を得た次の段階では、「自分自身を客観的に捉え、アンコンシャス・バイアスにかかっていないか」を振り返る、自己認知の作業を実施します。この自己認知は「定期的な自分を評価する」姿勢であり、この認知的訓練を繰り返すことで、アンコンシャス・バイアスの解消につながります。

また、偏見に対して「どのような行動をとるべきか」をチームメンバーで共有する 「バイアス・バスティング」もアンコンシャス・バイアスの自己認知に効果的です。チームメンバーの意見を聞きながら、第三者として事例を認識することで、固定観念にとらわれた考えを是正していくことができます。

さらに、現場での瞬間的な判断はアンコンシャス・バイアスを招きやすいといわれています。解決すべきビジネス課題に対して、一旦時間をおき、熟考を重ねてから行動することが大切です。このように社員たちのアンコンシャス・バイアスに対する自己認知を徹底していくことが、ダイバーシティを推進する上での重要な作業として知られています。

他社のバイアス研修・トレーニングの活用

アンコンシャス・バイアスの研修・トレーニングは、ディスカッションやロールプレイングを通して、社内で実施することができます。一方で、アンコンシャス・バイアス解消に適したバイアス研修・トレーニングを提供している人事コンサルティング会社も増えています。

外部のアンコンシャス・バイアス研修やトレーニングの活用は、アンコンシャス・バイアスへの正しい理解や組織・個人への影響、そして適切な対応方法を知ることができます。経済のグローバル化の影響を受ける日本企業の多くが、ダイバーシティ推進の動きが加速させており、今後もアンコンシャス・バイアス解決に向けた研修・トレーニングを提供する人事コンサルティング会社も増えていくと考えられます。

アンコンシャス・バイアス解決向けた研修・トレーニング3選をご紹介

ダイバーシティ推進に注目が集まる中、アンコンシャス・バイアスへの解消を重視する企業も増えています。本章では、アンコンシャス・バイアス解決に向けた研修・トレーニングを提供する企業をご紹介いたします。

株式会社ザ・アカデミージャパンの無料体験会

階層別、課題別、部門別にさまざまな人事研修プログラムを提供する株式会社ザ・アカデミージャパンは、アンコンシャス・バイアスに関する無料体験会を実施しています。人事部門担当者を対象とした無料体験会で、アンコンシャス・バイアスの概要やアンコンシャス・バイアスに対するリーダーの役割、組織的な本質的な課題、またアンコンシャス・バイアス解消に向けた行動規則や心の姿勢を学ぶことができます。組織・個人単位でアンコンシャス・バイアスへの課題を抱えている人事担当者や経営者向きの研修・トレーニングです。

体験会は参加費が無料、研修時間は3時間となっているため、本格的にアンコンシャス・バイアス研修やトレーニングを導入する前に参加したいセミナーといえます。

【参考】アンコンシャス・バイアス トレーニング無料体験会

実績・成果の高い株式会社クオリアのアンコンシャス・バイアストレーニング

長年、ダイバーシティの推進やアンコンシャス・バイアス解消のためのバイアス研修・トレーニングを行っている株式会社クオリア。講演や研修・トレーニングのほか、DVD教材を使ったeトレーニングによる研修プログラムが高い評価を得ています。数々の人事関連の研修・トレーニングの提供で培った、組織の中でみられるアンコンシャス・バイアスの具体例や、クライアント企業の課題に合わせた研修・トレーニングの実施が可能です。

また、経営者や管理職(役職者)、一般社員といった対象社員別の研修・トレーニングの実施、さらに社内にアンコンシャス・バイアスのトレーナーの育成プログラムも提供しており、自社の人事担当者の育成にもつなげられます。

【参考】株式会社クオリア アンコンシャス・バイアス

株式会社パーソナル研究所の人材開発・社員研修のセミナー

人事関連の調査・研究、ソリューションを提供する株式会社パーソナル研究所は、企業の人事・人材開発部門の担当者を対象にした、アンコンシャス・バイアスの研修・トレーニングを提供しています。アンコンシャス・バイアスの概要やアンコンシャス・バイアス防止に必要なスキルや知識、柔軟な思考の必要性を学ぶことができます。

株式会社パーソナル研究所が提供するアンコンシャス・バイアスの研修・トレーニングを導入するかどうかを判断するためのセミナーでもあるため、研修・トレーニングの導入を考えている経営者や人事担当者におすすめです。

【参考】株式会社パーソナル研究所 人材開発・社員研修のセミナー

まとめ

  • アンコンシャス・バイアスは、「無意識の偏見」を指し、個人・組織に潜在する意識でもある、顕在化しにくい経営課題である。
  • アンコンシャス・バイアスは、組織のダイバーシティ推進に悪影響を与え、中でも女性活躍機会の阻害やグローバル化への遅れ、ハラスメントの常態化などに深刻な影響を与える。
  • アンコンシャス・バイアスを解消するには、アンコンシャス・バイアステストや研修・トレーニングを通して、アンコンシャス・バイアスの具体例を知り、社員全員にアンコンシャス・バイアスに対する自己認知を徹底しなければならない。

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