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2018年10月16日(火)更新

外国人雇用

外国人雇用は増加の一途を辿っており、留学生や在留資格者数も増え続けています。今回は外国人雇用の現状やメリット・デメリット、雇用する際に必要となる手続きや雇用管理の内容について、順を追って説明します。また、雇用保険加入別の雇用状況届け出方法の詳細や就労可能な外国人の見極め法、不法就労対策や助成金情報もあわせて紹介します。

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外国人雇用をとりまく現状

外国人雇用をとりまく現状は、経済情勢にあわせて日々変化を続けています。

厚生労働省が公表した平成29年10月末現在の「外国人雇用状況の届出状況」によれば、我が国の外国人労働者数は前年より20万人弱の増加を遂げ120万人を超え、過去最高記録を更新しました。国籍は中国人の37万人をはじめ、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパール人の順で構成されています。

外国人労働者は、2012年より連続で増加を続けています。その理由としては、留学生の受け入れ増や在留資格者の就労増、技能実習制度を取り入れる企業が増加している点などが挙げられます。

【参考】厚生労働省リーフレット:「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(平成29年10月末現在)

外国人雇用のメリット・デメリット

外国人労働者を受け入れることで、企業にとってさまざまなメリット・デメリットが生まれます。

メリット

まずは、外国人雇用におけるメリットの具体的な内容について、順を追って見ていきましょう。

海外進出への足掛かり

国同士の交流や連携が当たり前となった昨今では、今後の発展を考えるにあたってグローバル化を検討する企業も多いことでしょう。その一方で、舞台を世界に映すことで、さらなる競業先が現れることも考えておかなければなりません。

対策方法の一つとして、海外進出を検討している予定の国籍を持つ者、もしくは出身者を雇うことは非常に有効です。現地の風習や文化などの情報収集、マーケティング調査の足掛かりなど、企業と進出先の橋渡し役を担ってくれることでしょう。

【関連】グローバリゼーションとは?定義や課題、企業事例まで解説 / BizHint HR

労働力確保

少子高齢化の影響による若い労働者の減少に伴い、特に新卒採用の場では完全に労働者側が選ぶ立場に回る事態となっています。これにより企業が抱える労働者不足の問題を、外国人労働者の採用により解決することができます。

経費対策

外国人を雇用する場合、一般的に日本人の労働者を雇用する場合と比較して人件費を抑えることが可能となります。ただし、法外に安価な賃金で雇用することは禁止されているため、最低賃金法を初めとした法律の順守が原則となります。

職場環境の改善

国を渡ってやって来る外国人労働者は、家族のためにお金を稼ぎたい、日本の技術を取得したい等の理由から、非常に勤労意欲が高いケースが多く見られます。

このような外国人労働者が職場に加わることで、他の労働者のモチベーションが高まります。また、異なる国ならではの視点から生み出される新たな発想は、職場にさまざまな刺激を与え、企業の活性化につながることになります。

【関連】組織活性化とは?取り組みの方法・手法・施策および事例をご紹介 / BizHint HR

デメリット

外国人雇用には良い刺激となるメリットが多々ありますが、その一方で懸念点となる内容も同時に把握しておく必要があります。

文化・風習の違い

異なる国で育った者同士が関わりを持った場合、前述のように新たな良い刺激が生まれる場合もありますが、文化や風習の違いによる衝突の機会が増加するのも現状です。「日本人の常識」が通じず、相手の言動が理解できない場合もあることでしょう。

このような事態に備え、事前に相手の育った国の環境や風習、文化に対する理解を得ておくことが必要となります。

コミュニケーション不足

人間は、言葉を駆使して相手と意思の疎通を図る生き物です。したがって、コミュニケーションツールとなる言葉が異なる者同士が会話をする場合、当然ながら相手との会話がスムーズに進まないケースが生じます。

意思の疎通が取れないことによるトラブルの発生リスクや、そもそもコミュニケーションを取ること自体を敬遠してしまう傾向が生まれる可能性を考慮し、相手の言葉を理解することや結論をはっきりと伝えるなどの対策を取ることが求められます。

手続きの煩雑さ

外国人労働者を雇う場合、日本人労働者を雇う場合とは雇用手続きの方法が異なり、必要書類の入手やある程度の手間がかかることを考えておかなければなりません。また、入国管理法など、外国人に適用される法律に対する理解も求められることに特徴があります。

外国人を雇用する際の手続き

外国人労働者に関する我が国の現状や雇用時のメリット・デメリットについてお分かりいただいたところで、次は実際に外国人雇用にまつわる手続きやその流れ、ルールについて説明をしていきます。

外国人労働者を雇う場合に守らなければならない内容となるため、きちんと理解をしておくことが必要です。

採用の目的

新たに外国人労働者を雇う場合、まず初めに考えなければならないのが「なぜ外国人労働者を雇用するのか」という目的を明らかにすることです。ただ単に「外国人労働者を雇用する方が安く済むから」などの理由で漠然とした採用活動を行った場合、思うような人材を得ることができず、結局のところうまくいかない可能性が高まります。

このような状況に陥ることを防ぐため、まずは外国人労働者を雇用する理由を明らかにした上で、労働者の国籍や言語能力、具体的に任せる業務内容、雇用期間、賃金、雇用人数などの具体的条件を定めていく必要があります。

雇用までの流れと外国人労働者の見極め

外国人労働者を雇用するまでの流れとしては、前述のように外国人労働者の採用目的を明らかにし、雇用条件を明らかにすることから始まります。その上で、実際に労働者を雇用する段階に入ることになりますが、ここで覚えておかなければならないのが、候補となる外国人が日本で働くことができるかどうかを見極めなければならない点です。具体的には、入国に値するかどうかの要件確認、入国管理法に定められている在留資格・在留期間の確認などが挙げられます。

この手順を踏み、就労可能な外国人かどうかを確認した上で、実際に雇用する段階へと入ります。その際には日本人の労働者と同じく、雇用契約の締結や各種保険の加入手続きを実施し、雇用状況の届け出もあわせて行います。

雇用後は、外国人労働者が安心して働き続けることができるよう、雇用管理を維持していくための対策を取ることが必要とされます。

雇用状況の届け出

外国人を新たに雇う場合、雇用を管理する機関であるハローワークに状況を報告する必要があります。ハローワークは、企業から届け出がなされた内容をもとに、雇用環境をより良くするためのアドバイスや指導などを行うことになります。

なお、雇用していた外国人労働者が離職する場合にも届け出が必要となる点に、注意が必要です。

外国人労働者の雇用管理

外国人労働者は、異なる文化や言語風習を持ちながら日本で職に就くことになります。したがって、当然ながら就労後も安心して雇用関係が続けられるよう、企業側には外国人労働者のための雇用管理を実施することが求められています。

具体的には、厚生労働省による指針に沿った形で管理を行うことになります。内容については、後の項目で詳しく説明をしていきます。

雇用状況の届け出

外国人労働者を雇う事業主は、ハローワークへ雇用状況の届け出を行わなければなりません。これは、雇用対策法で次のように定められている義務となります。

《雇用対策法28条(外国人雇用状況の届出等)》
事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格(出入国管理及び難民認定法第二条の二第一項に規定する在留資格をいう。次項において同じ。)、在留期間(同条第三項に規定する在留期間をいう。)その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出があつたときは、国は、次に掲げる措置を講ずることにより、当該届出に係る外国人の雇用管理の改善の促進又は再就職の促進に努めるものとする。
一 職業安定機関において、事業主に対して、当該外国人の有する在留資格、知識経験等に応じた適正な雇用管理を行うことについて必要な指導及び助言を行うこと。
二 職業安定機関において、事業主に対して、その求めに応じて、当該外国人に対する再就職の援助を行うことについて必要な指導及び助言を行うこと。
三 職業安定機関において、当該外国人の有する能力、在留資格等に応じて、当該外国人に対する雇用情報の提供並びに求人の開拓及び職業紹介を行うこと。
四 公共職業能力開発施設において必要な職業訓練を行うこと。
3 国又は地方公共団体に係る外国人の雇入れ又は離職については、第一項の規定は、適用しない。この場合において、国又は地方公共団体の任命権者は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、政令で定めるところにより、厚生労働大臣に通知するものとする。
4 第二項(第一号及び第二号を除く。)の規定は、前項の規定による通知があつた場合について準用する。
【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)

届け出の対象者とは

届け出の対象となる外国人労働者は、まず当然ながら「日本ではない国籍を持つ者」になります。その上で、「外交」と「公用」以外の在留資格を持つ者です。

なお、在日韓国人や朝鮮人、台湾人などの特別永住者は、国内での就労活動に制限は設けられていないため、そもそも雇用状況を把握する対象にはならず、届け出の必要はありません。

雇用保険加入者を雇う場合の流れ

ここからは、実際に雇用状況の届け出を行う手順について説明をしていきます。届け出の流れは、対象となる外国人労働者が雇用保険に加入する者かしない者かで異なる点に特徴があります。

まず、雇用保険加入者、つまり被保険者となる外国人労働者の雇用状況届け出方法について述べていきましょう。

必要書類

雇用保険の加入対象となる外国人を新たに雇用する場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」という書類を活用します。これは、日本人の労働者を雇用保険に加入させる場合に使用する書類と同じものになります。書類は、各地のハローワークもしくはホームページから無料ダウンロードすることが可能です。

届出の内容

雇用保険被保険者資格取得届に記入する外国人労働者の情報は、次の通りです。

  1. 労働者の氏名(通称ではなく正式名称)
  2. 在留資格
  3. 在留期間
  4. 生年月日
  5. 性別
  6. 国籍や地域
  7. 資格外活動が許可されているか
  8. 就労する事業所名・所在地など

なお、外国人労働者の氏名はローマ字で記入することになります。必ず在留カードに記載された通りに記入しましょう。

届出先・提出期限

雇用保険被保険者資格取得届は、雇用保険に加入している事業所を管轄するハローワークへ提出します。電子申請を活用することも可能です。提出期限は、雇用保険加入日が属している月の翌月10日までです。

雇用保険加入者が退職する場合

次は、雇用保険の資格を喪失する者、つまり雇用保険に加入しない働き方に変わる、もしくは離職をする外国人労働者の雇用状況届け出方法について説明をしていきます。

必要書類

雇用保険に加入している外国人労働者がその資格を喪失する場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届」という書類を活用します。

これについても加入時と同様に、日本人労働者の雇用保険喪失手続きに使用する書類です。各地のハローワークもしくはホームページから無料ダウンロードすることができます。

届出の内容

雇用保険被保険者資格喪失届に記入する外国人労働者の情報は、次の通りです。

  1. 労働者の氏名(通称ではなく正式名称)
  2. 在留資格
  3. 在留期間
  4. 生年月日
  5. 性別
  6. 国籍や地域
  7. 資格を喪失する事業所名・所在地など

届出先・提出期限

雇用保険被保険者資格喪失届は、雇用保険に加入している事業所を管轄するハローワークへ提出します。電子申請を活用することも可能です。提出期限は、雇用保険の資格を喪失した翌日から10日以内です。

雇用保険未加入者の雇用・退職手続き

ここまでの項目では、雇用保険の加入対象となる外国人労働者の雇用状況届け出方法を説明してきました。

ここでは、雇用保険の加入対象とならない働き方をする外国人労働者の届け出方法について解説を行います。

必要書類

雇用保険の加入対象とならない外国人を新たに雇用する場合、または離職をする場合には、「外国人雇用状況届出書」という書類を提出します。この書類は、日本人労働者を雇用する場合は使わないものです。書類は、各地のハローワークもしくはホームページから無料ダウンロードすることが可能です。

届出の内容

外国人雇用状況届出書に記入する外国人労働者の情報は、次の通りです。

  1. 労働者の氏名(通称ではなく正式名称)
  2. 在留資格
  3. 在留期間
  4. 生年月日
  5. 性別
  6. 国籍や地域
  7. 資格外活動が許可されているか
  8. 雇入れ日もしくは離職の年月日
  9. 就労する事業所名・所在地など

なお、資格外活動許可がなされているかどうかについては、新たに雇用する場合のみ記入します。

届出先・提出期限

外国人雇用状況届出書は、外国人労働者が就労する事業所を管轄するハローワークへ提出します。提出期限は、雇入れ日もしくは離職日が属している月の翌月末日までです。

外国人雇用状況届出システム

外国人雇用状況届出システムとは、雇用保険に加入していない外国人労働者の新規雇用または離職時に雇用状況の届け出を行うことができるインターネットサービスです。「外国人雇用状況届出書」を記入し届け出る行為を、ネット上で行うことが可能となります。

【参考】厚生労働省職業安定局:外国人雇用状況届出システム

届出に関する罰則

外国人労働者の雇用状況届け出を怠った場合、または嘘の届け出を行った場合には、雇用対策法違反に対する罰則として30万円以下の罰金刑に処せられることがあります。

なお、名前や言語能力などから外国人であると判断し難い場合については、届け出を行わなかったとしても法律違反として罰則が科せられることはありません。

雇用可能な外国人労働者の見極め方法

ここまでは、外国人労働者を雇う場合、または離職する場合に義務づけられている雇用状況届け出の内容について説明をしてきました。

ここでは、雇う対象としている外国人が本当に雇用可能かどうかを見極めるための方法について解説をします。

外国人労働者の確認

外国人を労働者として雇用する際には、必ず事前に必要となる書類の提出を依頼し、雇用状況届け出の対象となる事項の確認をしなければなりません。必要書類や確認事項は複数の項目が定められているため、リストアップなどの方法であらかじめ内容を整理しておくと、いざという時に安心です。

必要書類

まず、外国人労働者から入手しなければならない必要書類の内容について、順に説明をしていきましょう。

在留カード

在留カードとは、入国管理局が発行する証明書です。対象となる外国人の氏名、生年月日、性別、国籍や地域、住所、在留資格、在留期間、就労できるかどうかの項目が記されています。なお、16歳以上の者に対しては、顔写真が掲載されています。

在留カードは、原則として、3ヶ月以上の期間を日本に滞在することが許可された外国人に対して渡されるものです。その上で、次の要件すべてに当てはまる者に対して発行されることになります。

  • 「短期滞在」「外交」「公用」の在留資格を持っていない人
  • 特別永住者
  • 在留資格を持たない人

なお、外国人が日本に滞在する場合に市町村より発行されていた「外国人登録証明書」については、2012年以降に「特別永住者証明書」へと切り替わったため、現在は発行されていません。その役目を、在留カードが担うことになります。

旅券(パスポート)

旅券(パスポート)とは、各国の政府が発行する証明書で、外国においてその者の国籍または身分を提示することができる冊子です。

パスポートには有効期限が設けられていることに特徴があります。有効期限の残り期間に応じて出入国が認められない可能性があるため、必ずパスポートの有効期限は確認するようにしましょう。

資格外活動許可書

日本国内において外国人が滞在することのできる理由は限られており、これを「在留資格(ビザ)」といいます。入国管理局では、許可している資格の内容について、次のように定めています。

  1. 外交
  2. 公用
  3. 教授
  4. 芸術
  5. 宗教
  6. 報道
  7. 高度専門職
  8. 経営・管理
  9. 法律・会計業務
  10. 医療
  11. 研究
  12. 教育
  13. 技術・人文知識・国際業務
  14. 企業内転勤
  15. 興行
  16. 技能
  17. 技能実習
  18. 文化活動
  19. 短期滞在
  20. 留学
  21. 研修
  22. 家族滞在
  23. 特定活動
  24. 在留資格
  25. 永住者
  26. 日本人の配偶者等
  27. 永住者の配偶者等
  28. 定住者

【参考】法務省入国管理局ホームページ:在留資格一覧表

上記28種類の在留資格に該当しない理由で、基本的に外国人は日本に滞在することができません。

もしもこの資格に加えて別の業務(就労)を行いたいと希望する外国人がいる場合は、その者は資格外活動許可申請を行う必要があります。この申請に使う書類が「資格外活動許可申請書」です。

なお、就労に該当しない活動、たとえば夜間学校に通う行為は資格外活動には該当しません。臨時報酬を受け取る業務に就く場合も同様です。また、上記25~28に該当する永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者には就労制限が設けられていないため、資格外活動許可の申請は必要ありません。

確認内容と注意点

外国人労働者が就労可能かどうかを確認する書類の内容を理解いただけたところで、次は実際に確認する項目や注意点について述べていきましょう。

個人情報

書類を入手した段階でまず確認しなければならないのが、外国人労働者の個人情報です。その外国人の名前や生年月日、性別、国籍などの基本的情報がこれに該当します。上記のうちの名前については、必ず本名を確認しましょう。本名は在留カードや旅券から確認することができます。

在留資格の内容

在留資格を持たない者を雇うことはできません。そのために、対象となる外国人がどのような在留資格を所持しているかを確認します。具体的な内容については、在留カードの「在留資格」部分や、旅券の「上陸許可証印」に記されています。

在留期間

在留期間については、在留カードの「在留期間」部分や、旅券の「上陸許可証印」に記されています。在留期間を過ぎていないかどうか、必ず確認をする必要があります。

資格外活動の許可状況

対象となる外国人を在留資格に該当しない業務に就労させる場合は、資格外活動の許可を受けているかを確認しなければなりません。

資格外活動の許可がなされているかどうかは、在留カードの「資格外活動許可欄」や資格外活動許可書、パスポートに書かれた「資格外活動許可証印」から見ていくことができます。確認ポイントは、資格外活動許可がされているか、許可の期限、許可された活動内容の3点を把握することです。

不法就労

不法就労とは、法律に違反する形で外国人労働者が就労を行うことで、禁止されている行為です。

注意しなければならないのが、不法就労が発覚した場合は、就労をした労働者に加えて働かせていた事業主も罰せられることです。

不法就労の内容とは

不法就労のケースは、主に次の3種類に分類されます。

  1. 密入国者など不法に滞在する外国人が働く場合
  2. 観光客や留学生などが、入国管理局の許可を受けずに働く場合
  3. 入国管理局の許可外の業務に就く場合

不法就労による罰則

不法就労をさせた事業主には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という重い罪が科さられます。なお、不法就労をあっせんした場合や、不法就労者であることを知らずに働かせており、事前に必要書類確認を行っていなかった場合についても、罰則の対象となります。

また、不法就労またはあっせんを実施した外国人の事業主については、強制退去が命じられる場合があります。

不法就労を防ぐための対策

不法就労を防ぐためには、事前の在留カードの確認が必要不可欠です。まず、在留カードを所持していない外国人については、就労をさせることはできません。また、所持している場合でも、次の内容について確認を行う必要があります。

  • 就労制限があるかどうか
  • 資格外活動許可欄の内容
  • 在留カード番号の有効性

なお、上記の「在留カード番号の有効性」については、ホームページを活用して確認することが可能です。具体的には、ホームページ上で在留カード番号とカードの有効期限を入力することで、その在留カード番号が有効か無効かを知ることができるのです。

【参考】法務省入国管理局:在留カード等番号失効情報照会

外国人労働者の雇用管理

外国人労働者が安心して働くことができるよう、事業主はさまざまな雇用管理を行う必要があります。ここからは、事業主に課せられている雇用管理の具体的内容について、順を追って見ていきましょう。

厚生労働省による指針

厚生労働省は、外国人労働者に対する雇用管理の内容について、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」を公表しています。

次の項目から、指針の主な概要を説明していきます。

【参考】厚生労働省ホームページ:外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針

募集・採用時の対応

雇用管理を実施するためには、採用活動の段階から適切に実施されていることが求められます。

新たな人材を募集する際には、国籍によって差別することは禁止されています。外国人労働者であることを理由とした応募拒否の行為も不適切です。

労働条件の確保

採用後の労働条件についても、適切な対応が求められます。たとえば、外国人であることを理由に賃金や労働時間、休日などの条件を差別してはいけません。

また、事前に労働条件を相手が理解できるような形で提示することや適切な労働時間管理の実施、適用される法律の内容を相手が理解できるよう説明を行う方法なども挙げられます。

安全性の確保

事業主には、日本人労働者と同様に外国人労働者に対しても安全配慮義務が求められています。具体的には、安全衛生教育の実施や労働災害を防ぐための日本語教育、外国人が理解できる形での労働災害防止標識や掲示の実施、健康診断の受診、安全衛生にまつわる法令の説明などがあります。

外国人労働者への法律適用

外国人労働者であっても、日本で働く以上は雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険が適用されることになります。被保険者の資格取得時や喪失時などは、日本人労働者と同じように必要となる手続きを行わなければなりません。また、保険給付や請求手続きについても同様です。

それに加えて、前述の「外国人雇用状況届出書」の手続きや、厚生年金保険法の加入期間が6ヶ月以上の外国人労働者が帰国後に受けることのできる「脱退一時金」の請求権利など、外国人労働者に向けて定められた制度の内容を熟知する必要があります。

人事管理・教育訓練等

業務にまつわる教育訓練や人事労務管理、福利厚生の適用も外国人労働者への雇用管理には必要な行為です。

具体的には、適切な人事考課や能力発揮が可能な環境整備、日本文化を理解するための生活指導、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、帰国時や在留資格変更時のサポートなどが挙げられます。また、労働者派遣や請負業で外国人労働者を活用する場合は、法律を遵守した上での雇用管理が求められています。

解雇予防・再就職支援

経営難による事業縮小などを行う場合、外国人労働者は真っ先に矢面に立つことが多くなりがちな存在です。しかし、安易に外国人労働者を解雇することはせず、やむを得ない場合には再就職希望者への職業あっせんや教育訓練受講のあっせん、在留資格に沿った形での再就職援助を実施することが努力義務として定められています。

雇用労務責任者の選任

外国人労働者を常時10名以上雇う事業主は、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」で定められた雇用管理が適切に実施されているかを管理する者として、人事課長などの者を雇用労務責任者へ選任しなければなりません。

専門的・技術的分野における外国人雇用

外国人労働者の中でも、特に「専門的・技術的分野」に該当する在留資格を所持する者は、企業にとって非常に心強い存在となります。

したがって、外国人留学生に向けた積極的な採用活動を実施した上で、人事面や報酬面の対応を整え、安心した継続雇用を可能とする職場環境を整えることが非常に有効な手段となります。

外国人雇用の支援体制

外国人労働者を雇用する場合、前述のような雇用状況届け出や労働者本人状況の確認、雇用管理の指針の順守など、さまざまな手続きやルールに伴って実施をする必要があります。

日本人の労働者を雇う場合とは異なる内容があるため、不安や戸惑いを感じるケースも多々見られることでしょう。このような場合に備え、国では外国人雇用を行う事業主向けのサポート体制を敷いています。ここでは、その内容について見ていきましょう。

外国人雇用サービスセンター

外国人雇用サービスセンターは、東京、名古屋、大阪、福岡といった各拠点に設けられた外国人留学生向けの支援センターです。

具体的なサポート内容としては、留学生向けの就職ガイダンスや大学訪問ガイダンス、留学生対象のインターンシップ、就職説明会の実施、職業相談や職業紹介などの実施が挙げられます。

【参考】厚生労働省ホームページ:外国人雇用サービスセンター等一覧(Employment Service for foreigners)

ハローワーク

ハローワークでは、外国人労働者の雇用状況届け出に関する業務を行っていることから、届け出書類の取り寄せや記入例などのアドバイスを実施しています。

また、主要都道府県に新卒応援ハローワークを設けており、その中にある「留学生コーナー」では専門的・技術的分野に該当する外国人や留学生の就職支援活動も行っています。

【参考】厚生労働省リーフレット:外国人雇用はルールを守って適正に 留学生の採用に関するご相談(新卒応援ハローワーク(留学生コーナー))

外国人雇用管理アドバイザー

外国人雇用管理アドバイザーは、外国人労働者を雇うにあたっての雇用管理にまつわるさまざまな相談を受けつける機関です。事業所ごとに雇用管理に関する問題点を洗い出し、改善案の提示を受けることができます。

アドバイザーの支援を希望する場合は、近隣のハローワークに依頼することで派遣を受けることが可能となります。

【参考】厚生労働省ホームページ:外国人雇用管理アドバイザー

外国人雇用を対象とした助成金

ここからは、外国人労働者を雇用するにあたって活用することができる助成金の制度を紹介していきます。外国人労働者の雇用を安定させるためのさまざまな措置を取るにあたり、助成制度の活用は非常に有効な手段の一つとなります。

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、経済情勢によりやむを得ず事業縮小を強いられた事業主が一時的に休業や教育訓練、出向の措置を取り、従業員を雇用し続けた場合に助成を受けることができる制度です。

雇用し続ける対象となる労働者には外国人労働者も含まれるため、安易に解雇の対象とはせず、継続雇用をベースに検討を行うことが重要となります。

【参考】厚生労働省ホームページ:雇用調整助成金

中小企業緊急雇用安定助成金

中小企業緊急雇用安定助成金は、いわば「中小企業向けの雇用調整助成金」です。事業縮小などの理由で一時的な休業や出向措置を取り、従業員の雇用を維持した場合に助成を受けることができます。

こちらの助成制度についても雇用調整助成金と同様に、雇用維持の対象には外国人労働者も含まれます。

【参考】厚生労働省リーフレット:中小企業緊急雇用安定助成金について

特定求職者雇用開発助成金

就職が困難な状況に置かれた、いわゆる「就職困難者」を、ハローワークを介して継続雇用した事業主が受けることのできる助成制度です。

就職困難者には、外国人労働者も含まれていることに特徴があります。

【参考】厚生労働省ホームページ:事業主の方のための雇用関係助成金

トライアル雇用奨励金

職業経験が浅いことで就職が困難な状況に置かれている求職者を3ヶ月の間トライアル雇用を行った際に受けることのできる助成制度です。数か月の見極め期間を設けることで、確実な継続雇用への足がかりとすることができます。

外国人労働者に対するトライアル雇用も助成の対象となります。

【参考】厚生労働省ホームページ:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

まとめ

  • 外国人雇用には海外進出の足掛かりや労働力確保、経費対策、職場環境改善のメリットや、文化・風習の違いやコミュニケーション不足、煩雑な手続き等のデメリットがある。
  • 外国人を雇用・離職時には雇用状況の届け出が義務づけられており、雇用保険加入者と未加入者で届け出の方法が異なる。厚生労働省の指針による雇用管理の義務もある。
  • 就労可能な外国人労働者かを見極めるための書類には、在留カード、パスポート、資格外活動許可書などがあり、不法就労を防止するためには在留カードの確認が不可欠となる。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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