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2017年9月30日(土)更新

終身雇用

「終身雇用」とは、正社員として企業に就職した場合、定年まで雇用され続けるという雇用形態です。企業にとっては労働者を定着させるため、労働者は安定した生活のために明治期に確立されました。法令に基づいているわけではありませんが、日本では古くから多くの企業で慣行となっています。しかし、近年欧米の能力主義の影響を受けるとともに、企業の規模や個人の能力が重視され、正社員であれば誰でも終身雇用が保証されるということは難しくなっています。

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高度経済成長を支えた企業の多くが終身雇用制度を採用していました。21世紀に入り廃れ始めているものの、未だに多くの企業に根強く残っている制度です。そんな終身雇用制度が生まれた経緯やメリット・デメリットについて解説していきましょう。

終身雇用制度とは

定年まで働き続ける日本独自の慣習

終身雇用制度は、正社員として雇用した社員を定年退職まで雇用し続ける日本独特の制度です。これは基本的に正社員に適用され、新卒・中途を問わず雇用され続けることが多いです。ただ、制度と言っても法律や規則で定められているわけではなく、慣習に近いでしょう。社内規則や雇用契約の中に「終身雇用」が含まれることもあまりなく、その企業が終身雇用を採用しているかを判断する明確な方法はありません。

解雇権の濫用と終身雇用

終身雇用を定める法律はありませんが、結果的に終身雇用を後押ししているのが「解雇権濫用の法理」です。これは社員を解雇した理由が「客観的に合理的ではない」「社会通念上妥当ではない」と判断された場合に、解雇の取り消しができるというものです。これにより企業は安易に社員を解雇できず、多少経営が苦しくとも雇用し続けなければなりません。これは日本に限ったものではありませんが、終身雇用制度に大きな影響を与えている法律です。

終身雇用制度の崩壊

バブルが崩壊し、国際化の波の中で経営が苦しくなった企業の多くがリストラによって正社員を減らし、派遣雇用者を増やすようになりました。結果として、終身雇用制度を維持している企業は激減しています。平成18年に発表された厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、終身雇用を維持できている企業のほとんどは大企業であり、これは日本全体の1割前後の労働者にしか当てはまりません。昔に比べると、終身雇用制度が残っている企業は少なくなったと言えます。

終身雇用制度ができてきた背景

始まりは世界大恐慌時の松下幸之助

終身雇用の始まりはパナソニック(旧松下電器)の創業者である松下幸之助にあると言われています。1929年の世界大恐慌の影響を受け、稼働率の低くなった工場の社員は解雇されるのではないかと不安になっていました。しかし、松下幸之助は「生産は即日半減するが従業員は一人も減らさない」と言って経営状態が苦しくても雇用を維持しました。これによって社員と世間からの信頼を得た松下電器は急成長することになります。

世界大戦後の大規模な労働争議と高度経済成長

この時の試みはまだ「苦しくても雇用を維持する」程度のものであり、日本全体に広がるようなことはありませんでした。それが一変するのは第二次世界大戦後に発生した大規模な労働争議です。三井三池争議を始めとする労働争議が日本全国に広がり、企業は労働者の信頼回復に躍起になります。そこで採用されたのが労働者の雇用を定年まで保証する終身雇用制度であり、高度経済成長と相まって全国的に広がりました。

終身雇用制度のメリット・デメリット

労働者の雇用安定を図るために日本全国に広がった終身雇用ですが、そこにはメリットだけではなくデメリットもあります。終身雇用を考える際にはその双方を正しく理解する必要があるでしょう。

メリットその1:雇用主と労働者の信頼関係の構築

終身雇用のメリットとして一番に挙げられるのは、雇用主と労働者の間に確かな信頼関係を構築できるということです。終身雇用によって労働者は生活の安定を得ることができ、安心して会社で働くことができるようになります。安心して働ける環境を作ることによって労働者の信頼を得られれば、経験豊富な人材を長期に亘って確保することができるようになるでしょう。

メリットその2:労働者の長期的な育成が可能

社員の教育には相応のコストがかかるものです。しかし、せっかく教育を施した社員がすぐに会社から出ていってしまっては意味がありません。仕事を覚えてスキルを得た社員に少しでも長くいてもらうことが会社にとっての利益になります。また、一人の社員がずっと同じ会社で働く前提であれば、教育に十年の時間とコストをかけたとしても、残りの三十年で取り返せます。長期的な視点で社員の育成を考え、教育を施せるという点も終身雇用制度のメリットでしょう。

デメリットその1:雇用の流動性が失われる

同じがずっと一つの会社に留まってしまうと、雇用に流動性が生まれません。人が出ていかないので中途社員を頻繁に雇用する必要もなく、育成しやすい新卒の登用だけで事足ります。また、労働者側としても会社を辞めても新しい転職先が見つかりにくくなるため、辞めにくい環境が生まれます。すると雇用に流動性が生まれず、社員がより才能を活かせる会社に移動できないような状態に陥るのです。こうなると業界全体の成長が阻害され、企業自身も変化を生みにくい環境ができてしまいます。

デメリットその2:社員のモチベーションが低下する

終身雇用制度によって雇用が維持されるということは、真面目に働かなくてもクビにならないということを意味しています。自分よりも優れた中途採用の人材が入ってこないため、社員も成長しません。こうした環境では社員のモチベーションは維持されにくく、やる気のない社員が増えてしまう可能性があります。必然的に生産性が下がり、企業の利益に繋がりません。

まとめ

終身雇用制度は雇用者と労働者の間に強い信頼関係を築く画期的な方法でしたが、社会の変化と共に廃れてきています。それでも、業種や企業によって終身雇用制度との相性が良いところもあります。

■メリット

①雇用主と労働者の信頼関係の構築に役立つ

②労働者の長期的な育成が可能になる

■デメリット

①雇用の流動性が損なわれる

②社員のモチベーション低下に繋がるリスクがある

上記メリット・デメリット両面を考慮した上で、時代と社風を見比べながら注意深く運用していきましょう。

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