終身雇用
「終身雇用制度」とは、正社員として企業に就職した場合、定年まで雇用され続けるという日本特有の雇用形態です。企業にとっては社員を定着させる事ができ、社員は安定した生活を得られるため多くの企業が採用していましたが、近年の変化の激しい経済環境や、ダイバーシティの推進、人件費の増大などを背景に衰退していくと言われています。今回はこの「終身雇用制度」について、その意味や生まれた背景。「崩壊」と言われるが、実態はどのような状況なのか。衰退すると言われる要因。制度を維持するメリット・デメリット、そして制度が崩壊するにあたり企業はどうすべきかまで、詳しくご紹介します。
終身雇用制度とは
終身雇用制度は、雇用した正社員を定年退職まで雇用し続ける日本独特の制度で、日本型雇用システムの一つであるとされています。ただ、制度と言っても法律や規則で定められているわけではなく、雇用慣行であると言えます。
「日本型雇用システム」では、基本的に新卒採用で学生を一括採用し、業務上および社会人として長期的に必要なスキルを身につけさせます。また、勤続年数によって賃金や評価が上がる「年功序列制度」や、手厚い福利厚生・手当などによって長期的な安定を目指し「終身雇用」を半ば保証するような仕組みとなっています。
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終身雇用制度が生まれた背景
終身雇用制度の始まりは、パナソニック(旧松下電器)の創業者である松下幸之助の政策にあると言われています。
1929年の世界大恐慌の影響を受け、稼働率の低下した同社の工場では「解雇されるのではないか」と社員が不安にさらされていました。しかし、松下幸之助は「生産は即日半減するが従業員は一人も減らさない」と、経営状態が苦しくても雇用を維持。これによって社員と世間からの信頼を獲得した松下電器は急成長することになります。
その後、第二次世界大戦後に三井三池争議を始めとする大規模な労働争議が日本全国に広がり、企業は労働者の信頼回復に躍起になります。そこで採用されたのが労働者の雇用を定年まで保証する「終身雇用制度」であり、高度経済成長と相まって全国的に広がりました。
終身雇用制度は崩壊したのか?
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