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連載:第14回 IT・インターネット

AI利活用が進む日本企業は約5割、予算・人材不足が障壁に【AIガバナンスサーベイ】

BizHint 編集部 2020年1月30日(木)掲載
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デロイトトーマツグループは、企業におけるAIの利活用状況やリスク管理・ガバナンス構築の実態調査を目的とした、日本企業の「AIガバナンス サーベイ」の2019年版を発表しました。本調査によると、AIの利活用を開始している(取り組みを始めている含む)企業は半数を超えています。また、AI活用が進まない理由としては、企画者や運用者などの不足を上げる企業が多く、人材不足がAI導入の障壁になっていることがわかります。AIに対し、十分は投資金額と専門家人材を確保している企業の目的達成率は5割以上となっていることから、AI利活用のためには予算・人材の確保が必要であると考えられます。

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AI活用に向けてPoCを実施する企業は約5割、そのうち7割が本番運用実施へ

AIを「利活用している」、もしくは「利活用に向けた取り組みを始めている」と答えた回答者は56%でした。このうち、本格運用前の技術検証であるPoC(Proof of Concept)を実施している企業は47%となりました。

また、PoC実施後の本番運用(73%)および、目的達成(62%)について共に高い回答割合となりました。本番運用から目的達成への達成割合が1割しか減少していないことから、PoCでの実現可能性の評価が機能していることも示唆されます。

一方で、5割の企業はPoCを実施できておらず、「PoCどまり」以前にPoCを実施することができない回答者が多数存在することがわかりました。

2. AI利活用の障壁として、AIを理解しビジネスで活用可能にする企画者人材と運用人材の不足がある

AIを利活用できていない理由については「PoCを企画する人材がいない」が42%、「活用すべきシーンが思いつかない」が39%、「AIについて理解していない」が37%、「予算が確保できない」が29%となました。AI活用の大きな壁として、企画者人材の不足が挙げられます。

また、PoCから本番運用に達することができなかった理由に関しては「システム化や本番運用する体制・人材が準備できない」が51%、「PoCで目標としていた予測精度が達成できない」が47%、「ROIが期待していた基準に達しない」が40%となり、PoCの目的である品質やROI等に関する障壁だけではなく、運用人材についても不足していることがわかりました。

AI利活用による目的達成のためには、十分な投資金額や人材確保が必要

AIに関する投資金額が約5,500万円未満、または社内のAI専門家の人数が9人を下回る組織の目的達成の割合が約3割でした。一方、投資金額が約5,500万円以上、または社内のAI専門家の人数が10人以上の組織では、目的達成の割合が5割以上となっています。

投資金額やAI専門家の十分な確保ができずにAI開発を始めた場合、ビジネス目的を達成できない可能性が高いと言えるでしょう。

AI固有のリスクは認識も、適切な対応方法がない

AIの利活用が進んだ先、待ちうけている可能性があるAI固有リスクの対応状況について、全てのリスク項目において「リスク未認識」の回答は17%を下回りました。AIの利活用にあたり、AIのリスク識別は行われている傾向であると言えます。

一方で、「リスクがあるAIを未使用である」と答えた回答者が多く、該当リスクのAIを活用するケースがない、またはリスクの小さいAIから活用を進めていることからAIの利用範囲が限定的になっている可能性が考えられます。

特に、偏見を含んだ判断を行ってしまうリスクを含むAIは「利用していない」との回答が多い結果となりました。例えば、採用や人事評価、与信などの領域でのAI利用には慎重になっているようです。

AI利用範囲を広げるためには、固有リスクへの適切な対処が必要

AI固有のリスクへ適切に対処できれば、これまでリスクが大きいことを理由に断念していた領域でもAIを活用できるようになるため、AIの利用範囲は広がると考えられます。

具体的には、以下のような対処方法が考えられます。

  • AIが特定の性別や国籍等のグループに、不公平な判断を行うことにより、社会的非難を受けるリスク→予め考慮しなければならないルール等から基準を整備し、予測結果に対するバイアスを軽減するモデルを開発する
  • AIがユーザーを高度にプロファイリングすることにより、ユーザーの機微情報が推定され、プライバシーを侵害してしまうリスク→データ提供者と合意する利用目的を汎用的な内容から具体的な内容に変更し、継続的に利用への同意を確認するスタイルへ変革する

調査概要

  • 調査目的:企業におけるAIの利活用状況やリスク管理・ガバナンス構築の実態調査
  • 調査期間:2019年9月18日~2019年11月15日
  • 調査対象:日本に拠点を置く全業種の全部門
  • 調査方法:オンラインによるアンケート
  • 有効回答件数:172件

プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000264.000000202.html

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