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連載:第38回 経営危機からの復活

リーダーの唯一の役割は"やめる"を決めること。上場を止め3事業撤退。半減した社員と最高売上に辿り着いた軌跡

BizHint 編集部 2023年2月14日(火)掲載
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「2019年は経営者人生で最悪の一年だった」と振り返るのは、株式会社大都の山田岳人社長。大阪市生野区で長年続く工具問屋を継ぎ、経営危機に瀕した会社を再生させるため社員全員を解雇。新たに立ち上げたEC事業で急成長を遂げています。上場を目指すと公言していた同社でしたが、実は2019年には上場を諦め、さらに4事業あるうちの3事業を撤退。社員数も半分になってしまうなど、再び大きな危機に陥っていました。苦渋の決断を下した中で、そこから社長が得た教訓とは?そして、残された社員と共に、最高売上を達成するまでの道のりを伺いました。

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株式会社大都
代表取締役 山田岳人さん

学生時代からリクルートで働き、人材採用の営業を担当。結婚を機に1937年創業の金物工具の総合商社である株式会社大都に入社。2011年、代表取締役に就任。EC事業を立ち上げ楽天のDIY部門で販売日本一を達成。DIY体験ができるリアル店舗「DIY FACTORY OSAKA」をオープンするなど、DIYブームの牽引役となり、2015年、グロービス・キャピタル・パートナーズからの第三者割当増資を実現。


株式上場の準備、その舞台裏で起きていたこと

――2019年に公開した前回の記事はBizHintでも反響の大きかった記事でした。一方で「その後、どうなったのか」という声も多く寄せられています。2019年からコロナ禍以降の貴社の経営についてお聞かせください。

山田岳人さん(以下、山田): 実は前回インタビューを受けた2019年春には「株式上場を目指す」と明言していたのですが…。過ぎてみると2019年は僕の経営者人生で最も辛い1年でした。あのインタビューは僕にとって「地獄の入り口」とも呼べるタイミングだったのです。

――「地獄の入り口」…ですか。詳しく聞かせてください。

山田: 当時は主軸である「工具のEC事業」のほか、東京の二子玉川に実店舗を構える「体験型DIYショップ事業」、暮らしを楽しむための「スマホアプリ事業」、自社商品を開発する「プライベートブランド事業」の4つを展開していました。さまざまな事業でプラットフォームを作り、バリエーションを高めて上場することを目指していました。ですが、実はEC事業以外はすべて赤字だったのです。

全体で約2億円の赤字が4期連続で続いており、出資を受けた資本金の10億円も、ほとんど残っておらず…。余命1年といったところまで追い込まれていました。

このままでは上場どころではありません。上場準備は通常の業務以外の仕事も増えますし、コストもかかります。それよりも、まずは会社存続のため、流れ続けている血を止めなければならない。

取締役会で「上場をやめさせてほしい」そう伝えたのが、2019年の6月のことです。

振り返ると、「上場」という目標のためにいろいろなことを行っていました。事業の多角化を進めたのも上場のため。事業計画も上場するための計画でした。今考えると、それはおかしいんですよね。そして何より、不信感を抱いていた自分の気持ちに「上場のためには必要なことだから…」と蓋をしてしまっていました。

そして結果的に、4事業あるうちの3事業をクローズするという決断をすることになります。

中小企業は“人・金をどこに投資するのか”の見極めが何より大切

――事業の撤退は非常に苦しかった決断かと思います。一つ一つどのように決断したのか、お話頂けますでしょうか。

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