連載:第39回 経営危機からの復活
リーダーは「やりがい」を口にするな。稲盛和夫らの言葉でV字成長へ
「社員のやりがい」は最も大切なことかもしれないが、それを経営側が口にするとおかしくなる。経営危機からの組織改革を進める中で、大阪ミナミの王宮/道頓堀ホテルグループが辿り着いた一つの結論です。大手ビジネスチェーンの攻勢により宿泊事業が苦境に陥った同社は、Ⅴ字回復するものの組織は一枚岩になれない。そんな中で稲盛和夫さんの教え「社会的使命を定めていない」ことに気づき、また「社員のやりがい」を追求する中で、社員との向き合い方を改めていきます。その経緯について橋本正権社長と橋本明元専務に伺いました。
勝ち目がなかった大手との競争
――まずは王宮/道頓堀ホテルグループの歩みについて教えてください。
橋本正権さん(以下、社長): 王宮/道頓堀ホテルグループ(以下、王宮)は、宿泊事業、宴会事業、遊技場事業を手掛けています。中国から日本に渡ってきた祖父が創業した会社で、二代目が父です。小さいながらも無借金経営でやってきました。2012年から私が経営を引継ぎ、弟で専務の橋本明元と二人三脚で運営しています。
宿泊事業は、創業時からあるビジネスホテル道頓堀ホテルのほか、全4ホテルを運営。宴会事業は道頓堀ホテル内にある宴会フロアで、5000円程度の価格でやっています。遊技場事業は神戸のパチンコ店が2店です。
昨今のコロナ禍で、当社は史上最大の危機を迎えることになりましたが、それ以前にも大きな経営危機がありました。特に、2000年代初頭の大手ビジネスホテルチェーンとの競争は、まさに死ぬか生きるかでした。
――死ぬか生きるかの競争というのは?
社長: 2000年代になって、資本力のあるビジネスホテルチェーンが大阪ミナミ(道頓堀や難波)地区に続々と進出してきました。道頓堀ホテルは1991年に玄関4本柱を立てる大改装をしていますが、開業は1970年と施設が古く、部屋数は120程度の規模。
どんなに料金を下げても、お客様は大手のビジネスホテルチェーンへと流れていきました。 そのまま競争を続けても、潰れるのは時間の問題でした。
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