連載:第6回 組織改革 その根幹
老舗洋菓子店「コロンバン」のV字回復。“負け犬根性”が染みついた組織を蘇らせた社長の信念


1924年創業の老舗洋菓子店コロンバン。日本の洋菓子文化の礎を築きましたが、創業者の逝去後、売上はピーク時の140億円から30億円まで転落。廃業の危機に陥っていました。2004年に大手都市銀行から監査役として出向してきた小澤俊文さんは、「人の心が完全に崩れている」状況を目の当たりにします。社長就任後、様々な改革を推進したことで、「どうせ売れない」と諦めていた負け犬根性は一掃され、V字回復。利益率も大きく改善し、強い組織に生まれ変わりました。小澤社長は自身の経験から「人の心は変えられない。ただ、経営者にできることが1つだけある」と語ります。それは一体何なのか?同社の改革の軌跡とともに伺います。

負け犬根性から脱却し、ヒットメーカーに。社員の心を変えた唯一の方法
――貴社は1924年に創業し、日本の洋菓子業界を牽引されてきた老舗企業ですが、一時期は廃業の危機に陥っていたそうですね。
小澤俊文さん(以下、小澤): はい。私は2004年に大手都市銀行から監査役として出向してきたのですが、当時はひどい状況でした。創業者の逝去とバブル崩壊を機に、売上はピーク時の140億円から30億円まで転落。表面的には黒字を維持していたものの、実態は本業で赤字が続き、工場や土地といった資産を切り売りして見かけの利益を確保しているような状態でした。
私がこの会社に来た目的は「再建の余地があるかを見極めるため」ですが、最初は 「再建は難しい」 と思いました。財務状況が悪かっただけでなく、何より深刻だったのは“働く人の心”が完全に崩れていたこと。
経営状況が良くないとわかれば人は辞めていきます。特に優秀な人ほど辞めていくものです。残された社員たちの中には、「どうせうちの商品は売れない」「新しいことをしても無駄だ」といった”負け犬根性”が染み付いていました。
――そんな状況からV字回復を果たしていますが、どのように再建していったのでしょうか?
小澤: 「ヒット商品の開発」と「販路拡大」という2つを軸に改革を推進しました。その結果、次々と新商品を生み出し、本業でしっかりと利益を出せる企業に生まれ変わりました。売上は過去のピーク時には及びませんが、優秀な人材が集まり、長く働き続けてくれる会社になっています。
改革の中で一番難しかったのは、人の心を変えること。諦め癖がついてしまった社員たちに、もう一度「やればできるんだ」という気持ちをもってもらう必要がありました。
私の経験上 「人の心を変えることはできない」 と断言します。できるのは本人だけです。しかし、 経営者にできることが1つだけあります。 これが組織の”負け犬根性”を抜け出す起点となり、当社の再生の礎になったと言っても過言ではありません。
――それは何ですか?
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