連載:第37回 経営危機からの復活
「人が辞めない組織」の絶対条件。経営危機から復活を遂げた老舗旅館から学ぶ、組織づくりの神髄
従業員が定着しない、社内の雰囲気が悪い、ミスやクレームの報告が上がってこない……。このような課題を抱える経営者の方は多いのではないでしょうか?10億円の借金を抱えた老舗旅館を事業承継した、株式会社陣屋代表取締役女将の宮﨑知子さんも、就任当時は同じ悩みを抱えていました。当時の離職率は、33%もあったそう。そんななか決死の覚悟で組織改革を進め、離職率は3%に改善。現在は業界では異例の「週休3日制」も取り入れ、人が辞めない組織に生まれ変わっています。その秘訣とは?詳しくお話を伺いました。
株式会社陣屋
代表取締役女将 宮﨑 知子さん
大学卒業後、メーカー系リース会社にて営業職に7年間従事。結婚を機に退職し、主婦に。第二子出産2ヶ月後の2009年10月、夫・宮﨑富夫氏の家業であった鶴巻温泉元湯陣屋の女将に就任。クラウド型ホテル管理システムの開発・販売を手がける株式会社陣屋コネクト代表取締役CEOも務める。
陣屋グループについて
1918年(大正7年)に創業した老舗旅館「元湯陣屋」。2009年、当時のオーナーの息子であった宮﨑富夫氏と妻の知子氏が経営を引き継ぐ。現在は基本的に金・土・日の営業で、月曜はランチやディナーなど日帰りのみというスタイル。旅館経営以外にも、クラウド型ホテル管理システム「陣屋コネクト」の開発・販売・導入支援、地域共有DXシステム「里山コネクト」など、さまざまな分野に事業を展開している。
「人が辞めない組織」の絶対条件とは?
――宿泊業や飲食サービス業の離職率は、全産業で最も高水準と言われています。そんななか、貴社は2018年には離職率「3%」を実現。その後も同水準の離職率を保っているそうですね。ズバリ「人が辞めない組織」にするための秘訣はありますか?
1918年(大正7年)創業、神奈川県鶴巻温泉の老舗旅館「元湯陣屋」。数々の将棋・囲碁の名勝負の地としても知られている
宮﨑知子さん(以下、宮﨑): 1つは、旅館業では珍しい「休館日」を採用し、働き方を改善したという点です。私が女将に就任した2009年当時は年間365日営業だったのですが、2014年からは週休2日制に、2019年からは週休3日制を導入しています。
ただ、最も影響しているのは、「情報共有」の部分だと考えています。
私が女将に就任した2009年から、様々な改革を進めてきました。中でもこだわったのが 「組織の透明度」 です。
当社の情報開示のレベルは、パートさんだろうが、社員だろうが、役職者だろうが、一律です。その理由は、 開示レベルに優劣をつけると、多くの情報を持っている人がどうしても優位に立ってしまうから。 例えば、情報が集まりやすいフロントと、そこから指示を受ける他の役割の間に優劣がついてしまったりします。すると、従業員同士のコミュニケーションに小さな亀裂が入り、やがてそれが広がっていきます。
逆に、みんなが同じ情報を共有していれば、その優劣はなくなり、組織はフラットになります。それだけでなく、「情報がないから、自分の仕事しかできない」がなくなり、全員マルチタスクをこなせる状態が生まれました。そこからですね。だんだんと、組織が変わってきたのは。
――どのように変化したのでしょうか?
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