連載:第11回 新規事業の作り方
1週間で売上1億円の新商品をスピード開発。脱トップダウンを志し4代目が辿り着いた「全員が対等な」フラメンコ型組織
1939年創業の「T(とっても)S(すてきな)K(かいしゃ)株式会社」は、18年にわたり社員が仕事をより良くするための「KAIZEN活動」を自発的に行っている物流包装サービス会社です。先代からはじまったKAIZEN活動を引き継ぎながらTSKを率いるのは、4代目の高木亮太さん。コロナ禍では、従業員とともにコロナ対策用オリジナル商品を開発。ホームページやSNSを駆使して発信し、約1億円の売上を上げました。フラメンコを極めるためにスペインへ留学した異色の経歴の持ち主が、フラメンコを通じて見出した理想の組織の在り方と、社内イノベーションを生む風土の作り方について伺いました。
TSK株式会社
代表取締役 高木 亮太さん
大学時代にフラメンコに魅了され、卒業後は本場スペインへの留学を果たす。2011年に家業であるTSKに戻り、2013年にはベトナム支社を立ち上げるためベトナムに赴任。2018年に帰国し営業本部長に、2020年には営業本部長兼専務取締役に就任する。2022年5月より現職。
―― 御社の事業内容について教えてください。
高木 亮太さん(以下、高木): 当社は1939年にクラフト紙袋の製造会社として創業しました。時代の移り変わりとともに紙袋だけでは経営が難しくなり、3代目だった父が包装材事業をスタート。現在はさらに範囲を広げ、物流包装のトータルコーディネートを行っています。
当社の強みは、提案力と対応力です。お客様のお困りごとを伺い、いただいた課題に対して新しい包装方法や現場改善、マテハン機器の製造開発、物流オペレーションの支援など、さまざまな視点から解決策を提案し、お客様にとって最適な物流の実現をサポートしています。
本社は富山県にあり、宮城県から熊本県まで国内に8拠点を構えています。また、ベトナムにも子会社があり、グローバルに展開しています。
3代目の父が成功させたV字回復とKAIZEN文化のはじまり
―― 御社はKAIZEN(改善)の社風を大切にされていると伺いました。企業文化として根付いているKAIZEN活動がはじまったきっかけは何だったのでしょうか?
高木: KAIZEN活動をはじめたのは、父です。2001年にITバブルが崩壊しIT不況が続く中、当社は全員が協力して乗り切らなければならない状況にありました。しかし、当時は工場で作業帽をかぶらない人がいたり、靴のかかとを踏んでいる人がいても誰も注意しなかったりと、会社の規律が乱れていたそうです。
「このままではこの不況を乗り切れない」と考えた父は、「社長の命令は絶対」と強権を発動し、その結果、翌年に12名もの退職者を出してしまいました。
「自分のしてきたことは、少し違うのかもしれない」と考え直した父は、180度方針を転換します。「社長の言うことを聞かせるのではなく、社員がやりがいを持って働ける会社にしなければダメだ」と、自分たちの職場を自分たちで良くしていけるよう、社員が自発的に改善案を提案するKAIZEN活動を2004年にはじめました。
そこから18年の間、社員1人あたり月4件、全社で年間約2500件のKAIZENを生み出し続けています。提出者には全員に褒賞があり、月に2回の表彰式では毎回「社長賞」や「NO.1賞」などを決め、発案者を称賛しています。
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