連載:第18回 新規事業の作り方
勝てる営業組織の条件。BtoBマーケティングのパイオニアが「量と根性の営業」を否定する理由
「日本のBtoBマーケティングは遅れている」。そう語るのは株式会社エムエム総研の萩原さん。1990年代にアメリカで出会ったBtoBマーケティングの概念を日本で広めたパイオニアとして、BtoBマーケティング支援やコンサルティング事業を手掛けています。なぜ、日本企業はいまだに量を追う営業から脱していないのか、アメリカのトップシェア企業と比べ何が不足しているのか、経営者はどこからスタートすればよいのか、お話をうかがいました。
株式会社エムエム総研
代表取締役 萩原 張広さん
1959年生まれ、横浜市出身。横浜市立南高校卒業後、歯科技工士見習い、スナック勤務、営業職で2社働いたのちに、当時急成長中のリクルートに24歳でアルバイトとして入社、翌年正社員に、28歳でマネージャーに昇進して横浜営業所の所長。31歳でエムエム総研設立、代表に就任。
量と根性の営業に疲弊した自身の体験から始まった
――行動回数を重視する営業スタイルに疑問を感じたのは、いつ頃からですか?
萩原 張広さん(以下、萩原): とにかく数を追う営業スタイルに疑問を感じたのは、24歳の頃リクルートのアルバイトとして入社してからです。
最初にアルバイトとして入った会社で営業マンとしてのキャリアをスタートしました。当時の私は口下手で、寡黙な性格でしたが、とにかく真面目に取り組んでいたら営業成績トップになることができました。
ところが、次にアルバイトとして入ったリクルートでは「1日に名刺を100枚集めろ」と言われた。流石に、普通に営業活動をしていたら、100枚なんて数は絶対に集められないわけです。そこで夜の居酒屋に行ってサラリーマンと名刺交換して、課せられた名刺の枚数を稼いでいました。
ただ、名刺交換した相手が顧客になることはありませんから、それとは別に、これと決めた相手のもとに通い続けて契約を取って、社内でもトップの成績を維持していました。
その頃から、「名刺100枚集めることに意味がないのではないか」と、上から与えられた行動目標に対して疑問を持つようになりました。それよりも、これと決めたお客さんに向けて真摯にアプローチしたほうが長期的に見ても効果的なのではないか。と、自分にとって当たり前だった営業のやり方に疑問を感じるようになりました。
――いつ頃から現在のBtoB市場に特化したセールス/マーケティング支援に進出されたのでしょうか?
萩原: 営業コンサルを行うエムエム総研を立ち上げた頃。アメリカではマイクロソフトをはじめとしたIT企業が急成長を遂げていた時期でした。
そういった空気への憧れや「アメリカではどのような営業をしているのか」と疑問を抱いたこともあり、知人の経営者数名とニューヨークへ行ったことがきっかけです。
当時、ものすごい勢いで伸びていた給与計算代行のベンチャー企業があり、その会社が導入していたのが、長期的な関係を前提としたBtoBマーケティングのやり方、それから営業の分業化でした。
一番衝撃的だったのは、担当者の言葉です。
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バックナンバー (18)
新規事業の作り方
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