連載:第15回 新規事業の作り方
「つぼ八」創業者に諭された「ウサギとカメ」の勝敗を分けたもの。
「ウサギとカメで、カメが勝てた理由がわかるか?」。1995年に創業し順調に成長していた運送会社・株式会社ハーツはある日突然、ほぼすべての仕事を失います。社長の山口裕詮さんが廃業の瀬戸際、死を覚悟する中で、経営・人生の師と仰ぐ「つぼ八」創業者から投げかけられたのが冒頭の質問でした。そこでのやり取りを胸に、同社はBtoBの下請けからBtoCサービスへと業態を転換。起死回生に成功します。これまでに2度、周囲から「山口、終わったな」と言われた同社の軌跡。1回目の経営危機と業態転換について伺います。
株式会社ハーツ
代表取締役 山口 裕詮 さん
1969年、函館生まれ。大手運送会社で経験を積み独立。1995年(26歳)に有限会社ハーツを創業しBtoBの下請け配送サービスを展開。経営危機を経てBtoCの引っ越し業界に参入、業界初の運転手付きレンタルトラックサービス「レントラ便」を開発。東京商工会議所「勇気ある経営大賞ファイナリスト」「東京商工会議所「イノベーション創出事例企業2022」知財経営モデルの創出企業100社」、経産省「中小企業IT実践企業」。「2020年 中小企業白書 「新たな価値を生み出す中小企業」事業モデル紹介。
人生の師「つぼ八」創業者が語った「ウサギとカメ」の勝敗を分けたもの
――貴社は度重なる経営危機に見舞われながらも、「恩師の言葉」を胸にそれを乗り切られたとのこと。
山口裕詮さん(以下、山口): 2019年に亡くなった「つぼ八」創業者の石井誠二さんには本当にお世話になりました。中小企業家同友会の先輩でいつも経営相談に乗っていただき、プライベートでゴルフもご一緒させていただいていました。僕は函館出身なんですが、息子さんが函館の大学を出て僕と同い年だったり、いろいろと共通点もあり可愛がっていただきました。
僕は1995年にBtoBの運送会社を起業して、これまでに2度経営危機に陥りました。その都度周囲から「山口、もう終わったな」といった目を向けられるのですが、今こうして会社をやりくりできているのは、石井さんからいただいた言葉が本当に心に響いたからでした。
当時は売上の8割を失って、それこそ一度は死を考えながらも「どうせ死ぬなら、前のめりに」と決意を新たにした頃。それでも心のどこかに、まだ人生や会社への迷いがありました。
――どんな言葉だったのでしょう?
山口: 石井さんから「山口君、寓話ウサギとカメで、なぜウサギは負けて、カメは勝ったんだと思う?」と問いかけられたんです。僕は「ウサギが先に休んだからじゃないですか?」と…ごくごく普通の返事をしました。
すると石井さんは「そうじゃない」と。
続けて、こう仰いました。
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