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連載:第38回 成長企業 社長が考えていること

“夢物語”を否定する幹部社員と山に登るべき理由。「生き延びるため何でもやった」社長が今、目指すもの

BizHint 編集部 2022年8月18日(木)掲載
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米国特許の高い技術力を強みに金属の精密鋳造部品を手掛ける株式会社キャステム。その職人技を武器に、新元号発表から「2分27秒後」に発売した“令和最速グッズ”のぐい吞みや、アニメの世界に登場するアイテムなど、ユニークな新商品を発表し話題となっています。モノづくりに対する情熱は新商品開発に止まらず、近年では農業などの異業種にも参入するほど。とはいえ、社長の戸田拓夫さんが入社した当時は、社員との信頼関係はなく売上は右肩下がりの赤字経営…まさに「どん底」。そこから、今の組織にどう変化してきたのか、戸田社長にお話を伺いました。

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株式会社キャステム
代表取締役 戸田拓夫さん

1956年、広島県福山市生まれ。早稲田大学理学部に在学中、病床に伏したことをきっかけに紙ヒコーキ作りをはじめる。1980年、株式会社キャステム(旧キングインベスト)に入社。1995年に日本折り紙ヒコーキ協会を設立。2007年、キャステムグループ代表者・最高責任者に就任。つねに社員をねぎらい、ワクワクするモノづくりを応援できる会社作りに励む。


家業に戻るも悲惨な状況…。「なんでもやる」の姿勢でどん底から這い上がる

――まずは、貴社の事業内容について教えていただけますか?

戸田 拓夫 さん(以下、戸田): 弊社は精密鋳造を主軸とした部品メーカーで、電車やロケット、工作機械、医療機器など幅広い産業の精密部品を請け負っています。小ロットでしか作れないような複雑な製品を積極的に取り扱ってきたことで、さまざまな業界からご支持をいただいています。

自社技術をもって会社をさらに発展すべく、2015年頃から新規事業にも力を入れています。全社員から新規事業のアイデアを募集し、OEM事業をはじめ、モノづくりのノウハウを活かした医療分野への進出や、農業への参入も行っています。

新元号発表から「2分27秒後」に発売した“令和最速グッズ”のぐい吞み。大きな話題を呼んだ

――様々な企業とのコラボレーションも話題になっていますし、とてもユニークな取り組みをされていますね。社長と社員のみなさんとのやり取りを拝見していると、お互いの距離が近い気もします。

戸田: そうですね、近いと思います。社長だからといって社員から特別な対応をされることはありませんからね。お茶を飲みたくなったら自分で自販機に買いに行きますし、先着の社員がいればその後ろに並びますよ。自販機に並んでいると「社長、お気持ちをください!」と言われたり(笑)。そんな社員が今では300人近く在籍しております。

――社長がご入社された当時から、このような社風だったのですか?

戸田: いいえ、全く違います。当時の社員数は20名ほどでしたが、あの当時はひどかったですよ。言うことを聞かない。自分の意に沿わない社員はいじめるか、仲間に抱き込む。技術を人に教えない。納期は守らない、掃除はしないから工場は荒れていて、品質もでたらめで…売上は落ちる一方でした。当時の社長であった私の父は、技術があるからといって彼らの好きにやらせてしまった結果、もはや手が出せなくなってしまっていたんです。

そんな組織の状態の中に、社長の息子である私が入社したので、もうボコボコにいじめられましたよ。わざと失敗させられて評判は落ちていくし、そんな中で私の意向や意思を聞いてくれる社員はゼロでした。ただ、それでもそのまま黙っているわけにはいきません。整理整頓をお願いしたり、業務への向き合い方の改善を求めたりしていました。

戸田: しかし入社2年目のある日、リーダー格の社員がほとんどの社員を引き連れて退職していきました。彼らの転職先は当社のメイン顧客である企業で、その中に同じ技術をもった工場を新設してしまったんです。自社の技術を奪われてしまったようなものですよね…。

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