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連載:第59回 リーダーが紡ぐ組織力

ノルマがなくても会社は伸びる。リーダーが見つけた「社員の主体性を引き出す」唯一の絶対条件

BizHint 編集部 2025年6月23日(月)掲載
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「ノルマという言葉や概念は会社の中に作りたくなかったんです」。そう語るのは、ハーブ・アロマテラピー専門店を運営する、株式会社生活の木の重永忠社長です。同社は先代の時代のトップダウン型組織から、社員の主体性を重視する組織へと変革し、30人の小さな組織から全国約80店舗、従業員数600人を超える企業へと成長しました。売上規模も10倍以上に拡大。従業員満足度調査では1,000社以上の中から東日本エリア1位を獲得し、「任せてもらえるいい会社」と評される組織に変貌しました。重永社長が実践したのは「ノルマのない経営」。その成功の裏には、社員の主体性を引き出すためにリーダーが見つけた一つの絶対条件がありました。詳しく伺います。

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株式会社 生活の木
代表取締役社長 重永 忠 さん

1961年、東京都生まれ。大学卒業後は大手流通企業へ入社し、3年間コンビニエンスストアのスーパーバイザー業務を経験。その後、経済産業省所管の中小企業基盤整備機構が運営する中小企業大学校経営後継者コースを経て、1986年に生活の木の前身となる株式会社陶光に入社。同年「生活の木」に商号変更。1994年に父から経営権を譲り受け、2000年に代表取締役に就任。


「ノルマなし」で社員の主体性向上。リーダーが徹底した「あること」

――社長就任当時、どのような経営方針を掲げましたか?

重永忠さん(以下、重永): 社長に就任した当時、最も大切にしたのは 「社員にノルマを与えない」 という方針です。ノルマという言葉や概念自体を会社の中に作りたくなかったんです。代わりに、全て「自分たちが定めた目標」という考え方を徹底しました。

これは先代である父の時代の組織と大きな違いでした。父の時代は、強いトップダウンで組織を動かしており、「社長がこれだ」と言うと、みんながそれに従って動く。計画的な人員配置や業務分担がなされておらず、社員一人ひとりが商品開発から営業・店舗運営まで担う、「一人多役」の組織だったんです。

これでは一人に大きな負荷がかかり、組織としての成長に限界がありました。また、教育研修制度も整っておらず、「どこかの研修に行ってこい」という程度で、会社として必要な人材育成の仕組みが確立されていませんでした。

これらの課題により、 社員にとっては「本来やりたいことができずに終わってしまう」状況が続いていたんです。 トップダウンの指示系統が原因で、社員の持つ本来の力や可能性が十分に発揮されていませんでした。当時は10店舗しかなかったので、この体制でなんとか運営できていましたが、さらなる成長のためには組織の在り方そのものを変える必要があると感じていました。

――なぜノルマのない経営を選んだのですか?

重永: 私が社長に就任して間もなく気づいたのは、入社してくる社員たちがハーブやアロマに対して驚くほどの情熱を持っていること。もともと当社の商品のファンだった人や、日常的に商品を愛用していた人たちが社員として入ってくるケースも増えていました。彼らは純粋に商品への愛情を持ち、新しいアイデアを次々と生み出す可能性を秘めていたんです。

しかし、トップからの指示やノルマに縛られた環境では、こうした情熱やアイデアが十分に花開かないことも明らかでした。最初の頃は、彼らが提案する面白いアイデアも、既存の判断基準や慣習の中で棚上げになることが少なくありませんでした。「これをやりたい」という社員の声があっても、「それは今年の計画にない」「前例がない」といった理由で実現に至らないケースもあったのです。

この状況を見て、「これではもったいない。社員の情熱や専門性を最大限に活かす環境が必要だ」と強く感じました。ノルマは上から与えられるもので、「これだけやりなさい」という強制力が働きます。そこには社員の意思や主体性の入る余地がありません。 私が目指したのは、社員が「やらされている」のではなく、「自らやりたい」と思える環境でした。

この経験から、「社員の情熱や専門性を最大限に活かすには、彼らに任せること」という明確な方針が生まれました。 ノルマという外部からの強制ではなく、自分で設定した目標に向かって自分の意思で行動する。これこそが本当の意味での「任せる」だと考えたのです。

では、「任せる」とはどういうことか。 それは単に「あなたに任せます」と言葉で伝えるだけではありません。任せる上で私は一つのことを徹底したんです。 これが社員の主体性を引き出す唯一の絶対条件となりました。

――その絶対条件とは何だったのでしょうか?

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