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連載:第11回 躍進する企業の転換点

業績・エンゲージメント・CSは連動する。湘南美容クリニックを運営するSBCメディカルグループが、社員6,500人に対して理念浸透のために行っていることとは?

BizHint 編集部 2022年7月19日(火)掲載
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毎年120%成長を続ける美容医療業界のリーディングカンパニーであるSBCメディカルグループ。企業の急成長に伴い、2017年以降1,000名規模での新規採用を行った結果、それまで順調だった理念浸透への影響が出始めました。そんななか、企業理念や行動指針を「共通言語」とするため研修実施などの対策を講じると同時に、従業員エンゲージメント(企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い)を測るための「モチベーションクラウド」を導入。すると、これまで数値化されていなかった組織の状態や拡大を続ける企業の経営課題が可視化されました。企業理念の浸透をベースに、スタッフのエンゲージメントやモチベーション改善への対策を行ったことで、2022年には「ベストモチベーションカンパニーアワード」で大手企業部門第5位を受賞。サーベイの実施により、同社の業績とエンゲージメントスコア、そしてCS(Customer Satisfaction=顧客満足)は連動することも見受けられるようになりました。今回は、同社の人事部長 峠ヶかおりさんに、エンゲージメントを測ることで見えてきた課題と、得られた結果をどのように活かしているか、そのヒントをお聞きしました。

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SBCメディカルグループ
人事部 部長 峠ヶ かおり さん

博報堂グループにおいてフィールドマーケティング領域を専門とする株式会社バックスグループにて、年間数万人の有期雇用スタッフの採用責任者として従事、2017年にSBCメディカルグループに入社、人事部採用担当部長就任。2018年3月より現職。


年間の新規採用数は1,000名以上、新しく仲間になったスタッフに対して研修で理念浸透を

――貴社の事業内容について教えていただけますか?

峠ヶかおりさん(以下、峠ヶ): SBCメディカルグループ(以下SBC)は、美容医療から不妊治療、整形外科、AGAクリニック、さらには化粧品や医療機器などの商品開発まで幅広い医療サービスを提供しています。ご存じの方も多いかもしれませんが、SBCが運営する湘南美容クリニックは、現在、全国に120院(2022年6月時点)の医院を展開しており、従業員数は6,500名を超えています。企業ビジョンとして「世界一お客様の多い医療グループになること」を掲げ、海外にもクリニックを展開しています。

――最近は、美容医療がより身近なものになっている印象です。

峠ヶ: おっしゃる通りです。コロナ禍においても来院数は伸びており、リモートワークの定着や、人に会う機会が減ったからこそ、ダウンタイムを要する施術を検討される方が増えています。「美容医療」が皆さんにとって必要なサービスであるということが認知された結果だと考えています。

私たちが目指しているのは、美容医療をもっと身近なものにするということ。当社の経営理念には究極の「三方良し」の実現です。この三方というのは「お客様」「従業員」「社会」。特に、社会に貢献するためには、まず美容医療を「なくてはならないサービス」にする必要があると考えています。

例えば、肌を美しく見せるためにファンデーションを塗る、髪を切りに美容室に行く、というように美容医療を日常化したい。そのためには、身近に美容クリニックがあること、手の届く価格帯であることが重要だろうと考えています。現在は、全国に100院以上のクリニックを展開し、価格も手の届きやすいものに設定することで、住んでいる地域に関わらず、お客様が来院しやすい状況を作っています。

ここ数年はミドルシニア層へのアプローチを強化し、美容クリニックの敷居を下げる取り組みを行ってきました。美容クリニックでシミやしわをとるくらいは一般的になってきましたよね。

SBCのクレド

――峠ヶさんは、まさにグループが急拡大するタイミングで入社されたと聞きました。

峠ヶ: 私が入社した2017年はクリニック数71院、従業員数2,000名ほどでした。2016年から2017年にかけて24院を新規開院したため、全国的にクリニックでの人員不足が目立つようになり、採用数を増やしているタイミングでした。

そして、私が入社した2017年以降、毎年1,000人単位の採用を続けています。それまではほとんどが中途採用でしたが、2018年からは新卒採用も本格化し、今では年間100名以上を採用できるようになりました。かつては新卒でいきなり美容クリニックに就職するというのは、あまり一般的ではなかったかもしれませんが、求職者や学生の価値観や美容医療に対するイメージが変わってきているのだと思います。

ただ、従業員数が一気に増えるなかで、人材が多様化し始めました。また、それぞれの目的意識やモチベーションの感じ方も当然違います。グループの急拡大に伴い、私たちが大切にしている経営理念が、これまでの伝え方では浸透しないという課題が出てきました。

――理念の浸透に課題が見えてきたと。その課題はどのようもので、どう解消されたのでしょうか?

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