連載:第29回 躍進する企業の転換点
社員を一瞬で結束させた「たった1つのルール」リーダーが気づいた本質
仕事が激減した時期に定時までのんびり仕事をする社員を見て導入した『早上がり制度』が、会社の生産性を大きく上げ、さらには人間関係・組織文化までをも好転させた、と語るのは東大阪市のハタメタルワークスの畑敬三社長。「社員はそんなに早く帰りたかったのか!」という気付きを得たそのルールは、やがて「経営と社員との緊張感」のサイクルを生み、会社を成長させる原動力になっていったと言います。経営と社員、それぞれの思いの相乗効果が生まれる仕組みについて伺いました。
株式会社ハタメタルワークス
代表取締役 畑 敬三さん
1975 年大阪府生まれ。関西学院大学卒業後、繊維・化成品の専門商社に就職。2006年にハタメタルワークス(旧社名:畑鉄工)に入社し、専務取締役。2015年、社長就任。
そんなに早く帰りたかったのか…経営の立場では気づけなかった社員の本心
――貴社では「全員の仕事が終わったら帰っていい」という、ユニークな『早上がり制度』で生産性が向上しているとのこと。
畑敬三さん(以下、畑): これは苦肉の策が、結果的に奏功したものですね。
リーマンショック後、仕事が3割ほど減った時期があったのですが、その時に社員が少ない仕事を定時までかけてのんびりとやるようになっていったのです。
「これは良くない」と思い、全員の仕事が終わったら18時の定時前でも帰れる『早上がり制度』を設けました。もちろん、給料は変わりません。
すると、早い時には午前中に仕事を終わらせて、昼ごはんを食べて帰宅…ということが普通に起こるようになりました。社員は以前にも増してテキパキと仕事を進めるようになり、業務効率がぐんぐん上がっていったのです。
――その光景を目の当たりにして、いかがでしたか?
畑:(社員はそんなに早く帰りたかったのか…!)と、正直驚きましたね。社員の本心、本音の部分を感じたというか。
私は前職時代から終電が当たり前という環境で働いてきましたし、家業である当社に戻ってからも経営者という立場。「早く帰りたい」という感覚はまったくありませんでした。
経営者と社員という立場の違いもありますが、こうも考えが違うんだ…と。
――定時までの給料を払っている経営者の立場としては、早上がりに葛藤はありませんでしたか?
畑: 最初はそのような葛藤もあったのですが、 そこで起こったことは、私の想像を超えるポジティブなものでした。
――何が起こったのでしょう?
畑: 大きくは2つあります。
まず1つ目は、 人間関係 です。
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バックナンバー (30)
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